MOVIE KINGDOM Ⅱ

映画に関する話題やライブ&イベント、ローカルなグルメ情報など色々話題を広げて行きます
ポイントは★~★★★★★★

No.130 「硫黄島からの手紙」 (2006年 米 141分 シネスコ)

2006-12-31 01:42:43 | 2006年劇場鑑賞
監督 クリント・イーストウッド
出演 渡辺謙
    二宮和也
    伊原剛志



10月に公開された「父親たちの星条旗」と2部作になるこの映画ですが、硫黄島の戦いを描いたこの2本がアメリカ映画として製作されたことが凄いと思うけど、この「硫黄島からの手紙」は取り分けオール日本語でまるで日本映画のように作られたのがもっと驚きですね。
でもアメリカではどんな評判になるんでしょうかね~ 前作「父親たちの星条旗」は興行的には今ひとつのようですが・・・

(あらすじ)

戦況が悪化の一途をたどる1944年6月、アメリカ留学の経験を持ち、西洋の軍事力も知り尽くしている陸軍中将の栗林忠道(渡辺謙)が、本土防衛の最後の砦ともいうべき硫黄島へ。指揮官に着任した彼は、長年の場当たり的な作戦を変更し、西郷(二宮和也)ら部下に対する理不尽な体罰も戒めるなど、作戦の近代化に着手する。

出来れば前作と続けて連続で鑑賞すれば(どちらが先でもいいけど)尚、いいと思いましたね。
それぞれ関連性のあるシーンもあるしクリント・イーストウッド監督の意図がますます分かってくるかも知れないですね。
色々と発見があったりするかも?

前作は戦勝国の物語ってこともあり、一見華やかなシーンなんかもありましたが、今回は硫黄島という名の戦場での物語・・・砂と埃にまみれた兵隊たちが圧倒的な兵力の米軍から敗走していく様が描かれていきます。

悲惨な体験をしていながら英雄として祭上げられた米軍の兵士たちのドラマと愛する家族たちを日本に残し死を覚悟しながら戦っていく日本兵の若者たち・・・勝っても負けてもその場に居た者たちに取っては双方とも地獄であったことは同じなんですね。
勝って本国に帰り英雄と呼ばれた者と家族に宛てた手紙が死して60年経って本国に届けられる者・・・同じ地獄を経験した両国の兵士の対照的な運命ですね。
政治的に戦争に勝つことの意義は大きいでしょうが、最前線で戦ったものたちにとってそれは地獄でしかない・・・この2作を見て感じましたね。

全編日本語で日本側からの視点で描いた意義は大きいと思います。
こう言う歴史的な戦争の映画はリアリティも大事だと思いますからね。

栗林中将を演じた渡辺謙はますます国際俳優としての風格が出てきましたね。
今回はハリウッド映画の堂々の主演ですからね~ 存在感はさすがだと思います。
さらに二宮和也が意外といい芝居してるのもビックリでしたよ。
でも中村獅童は今回はあまり出番も少ないせいか今ひとつ彼らに比べるとインパクトが弱かったかな?

悲惨な硫黄島の戦いをアメリカ側だけでなく日本側からも日本人の視点で描いたのはある意味画期的な作品ですね。
本来は日本映画がこの作品を作らないといけないんだろうけどね。



★★★★ 2006.12.29(金) アポロシネマ8 スクリーン1 16:30 N-20

No.129 「座頭市兇状旅」 (1963年 日本 83分 シネスコ)

2006-12-30 02:02:42 | 2006年劇場鑑賞
監督 田中徳三
出演 勝新太郎
    高田美和
    万里昌代



2006年の劇場鑑賞129本目にしてこの古~い作品・・・何故?
実は「エラゴン」を見た後、夕食をいつもいく中華料理店の大阪西成にある上海軒(グルメスポットVol.7参照)で摂った後に 20:05分上映の「王の男」とハシゴの予定だったんですが、上海軒に付いたのが19:35分で普通なら劇場までそこから10分程度に着くのでまず間に合うんだが、妙に混んでて料理が出てくるのが遅いのが誤算だった・・・結局出てきたのは20時頃!
これではどうしょうもなく「王の男」は諦めることになってしまったのでした。

しかし普通ならこのまま帰るところですが、何とか無理矢理に後1本何か見たれい!
と時間の都合の良さそうな映画を新聞の映画欄を探してたら、出てきたのが新世界の2本立ての名画座「日劇会館」という劇場。
ここで「関東おんな悪名」「座頭市兇状旅」の2本立が公開中で、時間的に良かったのが「座頭市兇状旅」なんでそれを目当てに行くことにしました。
ここは初めて行く劇場で関西ウォーカーを持っていけば割引してくれるようなので本を持参して妖しさ漂う夜の新世界に繰り出すことになりました。

入場料¥900-で連日オールナイト興行の古い劇場ですが、ビルの中にはここの他にポルノ専門の「日劇シネマ」東映系名画座「新世界東映」もあるけど入り口は共通です。
館内は予想通りの寝泊りにきたおじいさんが中心で新世界の映画館特有の異臭が館内を漂います。

椅子も古く座りにくいし、床はタバコの吸殻や色んなゴミが散乱してる有り様で始まった生まれて初めて劇場の大スクリーンで見る勝新の「座頭市」の始まり、始まり!

(あらすじ)

座頭市は旅の途中で素人相撲大会に出くわし、参加してまんまと勝ち抜いてしまった。それで上機嫌になった座頭市に刺客が… しかしその刺客はたやすく座頭市に斬られてしまう。聞けば座頭市の首には十両の賞金がかかっていて、それをおっかさんにやりたかったのだという。座頭市はその斬ってしまった男のおっかさんを探して下仁田の宿場にやってきたが、そこには周辺の親分集が集まっていた…

始まるや否や一瞬勝新のアップが写るとプチッと画面が切れてまた場内の明かりが点いた・・・「なんや始まるんと違うんかいな?」と思ったらまた場内暗転になり行き成りタイトル文字が写って突然に始まりました!
しかしそこで昔ながらの名画座ならではの体験をするハメに・・・

とにかくフィルムの状態がガタガタで、色彩が退色して抜けてる為にまるでモノクロとカラーの中間のような色合いで古い映画を見てる感じが存分に味わえました。
またフィルムにキズは入ってるし突然場面が飛んで次のシーンになってるし、音も悪いし・・・しかも途中でセリフがスローになったかと思えば画面が切れて真っ暗に!
しばらくして復帰したけど最近の映画館では考えられないですね(昔はたまにあったけどね)

しかも後半でももう1回画面が切れて、今度は場内の明かりまでも点いてしまう始末!
5分ほど明かりがついて休憩状態になったんでマジで「このまま終わりかな?ここから先のフィルムは無いのかな?」と思ったもんでした。
まぁまた続きから再開されたけど、毎日こんな状態なのかな?たまたま私のめぐり合わせが悪いのか~?
ま、毎回こうなんだと思いますがね。
クライマックスの立ち回りも、市が小屋に立てこもってたと思ったら画面が飛んでいつの間にか田んぼで大勢相手に立ち回りしてるしね。

で、肝心の映画ですが、「座頭市」シリーズはビデオやDVDで何本か見てるんですが、どれも面白くて好きなんだけど、この映画は未見でした。
正直イマイチだったね~ 高田美和が若々しい娘役を演じてたけど、若い頃は可愛いかったんやね~
ま、特別編集版を見た気分なんで画質の良いノーカット版(笑)を見たらまた感想も違うかもね。

この作品が終わると同時に続けて休憩なしで「関東おんな悪名」が始まったけど、こちらも古い映画やけど画質が全然綺麗でした。
さすがここで2本見る気にもなれず帰りましたが・・・衛生状態も悪そうだから何となく喉がおかしいな~ でもいつも言うけど貴重な劇場ではありますね。

ここの劇場の新春番組表をGETしてきたので貴重な資料としてこの後に乗せて置きます。

映画レビューと言うより「日劇会館」鑑賞記になってしまった・・・



★★ 2006.12.28(木) 日劇会館 22:20 3列目端

No.128 「エラゴン 遺志を継ぐ者」 (2006年 米 104分 シネスコ)

2006-12-30 00:53:36 | 2006年劇場鑑賞
監督 シュテフェン・ファンマイアー
出演 エド・スペリーアス
    ジェレミー・アイアンズ
    ジョン・マルコヴィッチ



ファンタジー映画が毎年数本公開されてますが、最近多いのが何部作という風に壮大なストーリーが数冊にか分けて書かれてる原作の映画化。
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズや「ナルニア国物語」、そしてシリーズ物としてはご存知「ハリー・ポッター」シリーズなど最近流行ってますね。

この「エラゴン」も原作は3部作だそうで、また随時映画化されて行くのかな?
そういえば「ナルニア国物語」は相当に本が分かれてる見たいやけど全部するのかな?

また上映時間がやたら長いんですよね~この手のファンタジー映画は・・・
ハリー・ポッターはいつも2時間半ぐらい毎回あるしね~
子供見ることを思えばもう少し短くても・・・と毎回思うんですが、コアな原作ファンはそれでも不満見たいですね。
そう言う意味でいけばこの「「エラゴン 遺志を継ぐ者」リーズナブル(?)な上映時間が好感もてますね。
てっきり2時間以上は間違いなくあると思ってたら1時間44分とは嬉しいやないの!
これぐらいの時間が見易くていいですね。

(あらすじ)

かつてはエルフやドワーフが人間と共存する平和な土地だったが、今では邪悪なガルバトリックス王(ジョン・マルコヴィッチ)が支配する遥か彼方の帝国アラゲイシア。農場に暮らす17歳の少年エラゴン(エド・スペリーアス)は、ある日、森の中で光を放つ青い石を見つける。その石は、世界の命運を握るドラゴンの卵だった。

設定を見てたらまるで「スター・ウォーズ」見たいですね。
主人公が夕日を眺めて思いに耽る場面なんかモロにそう思いましたがね。
一人の若者が選ばれし戦士=ライダーになって悪に立ち向かっていく姿や悪役ガルバトリックス王がかつてはライダーだったり(ダースベイダー見たい?)、かつてライダーだった老人に手ほどきを受けたり(こちらはオビ・ワンかな?)と所々スター・ウォーズの匂い感じてしまいました。

ドラゴンが空を飛び回るVFXはさすが迫力もあり戦闘シーンなど見応え充分で、さすがILMですね。
でも特撮だけでは映画はしょせん薄いものになってしまいがちだけど、この映画はジェレミー・アイアンズとジョン・マルコヴィッチの2人は出てるのが大きいと思います。
若手俳優が多い中でやはり彼らがスクリーンに出てると場面が締まりますね。

「ロード・オブ・ザ・リング」のような超大作て言う感じはしないけど、なかなか微妙なB級感が良かったです。



★★★ 2006.12.28(木) TOHOシネマズなんば スクリーン7 15:40 K-27

No.127 「沈黙の傭兵」 (2006年 米 96分 ビスタ)

2006-12-29 01:03:54 | 2006年劇場鑑賞
監督 ドン・E・ファンルロイ
出演 スティーヴン・セガール
    ジャクリーン・ロード 、
    ロジャー・グーンヴァー・スミス



今年も沢山映画見に行きましたが いよいよ年の背で2006年も後僅か 年末の休みを利用して数本映画を見る予定だけど その最初の映画を見に行ったのがお馴染の天六シネ5ビル。

思えばシネコン中心に色々な所で映画を見ましたが 一番通った回数が多いのがこの天六シネ5ビルですね。
上映時間が早まったり、遅れたりは当たり前で、ある時には本来なら今から上映が始まる時間なのに、まだ前の回の途中だったり・・・数々の逸話を今年も残してくれましたね。
でも色々文句言いつつもほとんどここの作品は見ましたね~

本年最後の天六映画鑑賞を飾るのは勿論 天六のレギュラー!? スティーブンセガールの作品「沈黙の傭兵」!
今年だけでセガール作品は何作公開されたでしょうね~
その全てが此処で公開されましたが、どれもこれも駄作・・・天六のお正月番組を任された今回の作品は果たして?

(あらすじ)

湾岸戦争の英雄で屈強な傭兵のジョン・シーガー(スティーヴン・セガール)は、アフリカの独裁国家ガルモラル島での任務中にCIAの策略によって仲間を失ってしまう。怒りと失意に打ち震えるシーガーの前に新たなミッションが下るが、それは南アフリカの刑務所に投獄された大物武器商人の息子を脱出させるという困難な任務だった。

ま、終わって見ればキッチリいつものように滑りまくる支離滅裂な脚本と出演者のやる気のなさがスクリーンから滲み出てくるトンデモムービー!
冒頭の戦闘シーンはさすが監督がスタッフに「プライベートライアン」と「ブラックホークダウン」のビデオを見せまくっただけあってそれなりに迫力はあるけど、どっちが敵でどっちか味方よく分からない銃撃戦で、演出力の甘さが際立つ結果になっております。

セガールアクション少しだけ持ち前の格闘術を見せただけで本領発揮に程遠く、体力の衰えとやる気のなさが伝わってきます。
ま、本領発揮したのは相変わらずの衣装の着こなしの悪いとこかな(笑)

とにかく一言で言えば滅茶苦茶な映画と言いますか、辻褄の合わないとこが多すぎで、B級TVM(?)だとしてももう少し真面目に作ってほしいものですな。
今年公開されたセガール映画は駄作揃いだけど、その中でも最悪の作品ですね



★★ 2006.12.27(水) 天六ユウラク座 0:25 中央通路前

No.126 「戦場のアリア」 (2005年 仏/独/英 シネスコ 117分)

2006-12-24 00:49:33 | 2006年劇場鑑賞
監督 クリスチャン・カリオン
出演 ダイアン・クルーガー
    ベンノ・フユルマン
    ギョーム・カネ



久々にハシゴでなく連続の2本立ての鑑賞で、息つく間もなく次の上映が始るので何か疲れそうやね。
ハシゴなら移動してる間は少し気分転換を図り、次の上映にリフレッシュして挑めるけど、同一場所で10分の休憩ではキツイかな・・・ただでさえ椅子の座り心地が悪いのにね~
昔の劇場に来るといつも感じるのが最近のシネコンとの椅子の座り心地の差です。
最近のシネコンの椅子がいかに良く出来てるか・・・昔の椅子は固いし疲れてきますね。
特に2本立てなどの場合はね・・・

「リトルランナー」に続いての上映がこれまたミニシアター系の梅田ガーデンシネマで上映していた「戦場のアリア」
こちらが私としては楽しみにしていただけに期待を持って鑑賞。
シネマスコープの横長のスクリーンに切り替わり、配給会社の文字が・・・お~い!ピントボケとるやんけ!!!

先ほどの「リトルランナー」はビスタサイズだったがどうもなかったけどシネスコになったらアカンのかいな~ ついに本領発揮?
「男たちの大和」もそうだったけど、たまたま偶然なったとは思えず多分毎日ボケてるんやろね~ 街の古い映画館やからな・・・

しかし本編の映像が流れてからは決してシャープな映像ではないけどあまりボケが気にならないし、字幕の部分はハッキリしてる事から何とか気にせず見れて良かったですよ。

(あらすじ)

第1次世界大戦下、フランス北部の最前線デルソーで、敵対するフランス・スコットランド連合軍とドイツ軍兵士たちはクリスマスを迎えることになった。そんな中、ソプラノ歌手アナ(ダイアン・クルーガー)と彼女の夫でドイツ軍兵士のテノール歌手ニコラウス(ベンノ・フユルマン)は、塹壕で聖歌を披露するのだが……。

ヨーロッパでは有名なクリスマス休戦の話だそうですが、最前線で戦ってる兵士が音楽によって武器を下ろし、互いに交流していく姿は戦争をしてる兵士としては有るまじき行為だろうけど、それでも戦争して戦ってるのは人間であり、殺されるのも人間なら殺すのも人間・・・敵対しているもの同士が何かのキッカケで戦争を辞めるのも人間としては普通の事だと感じます。(それが一番簡単に出来ないんだけどね)
結局、何するにしても戦争だって人間のすること・・・この映画を見てそういう風に感じました。

敵の塹壕から聞こえてくる聖歌の歌声に合わせてバクパイプで伴奏するあたりの戦場とは思えない暖かい空気はまことに見てるこちら側も暖かい気持ちにさせてくれる名場面です。
互いに塹壕から出てきて交流しはじめて最前線で休戦が行われる。
ワインで乾杯し、家族の事や自分の事を言葉が通じなくとも話す兵士たちの姿にもっとも危険な場所でのクリスマスがどこよりも暖かいクリスマスだったのではないでしょうか?そんな風に感じましたね。

一夜明けて休戦が終わってもそれぞれの遺体を埋葬したり、自分の所の軍の攻撃を知らせてあげて安全な場所に避難させたり・・・休戦がキッカケで馴れ合いのようになってしまうけど、でもあんなに仲良くなったら戦えないのも無理ないですね。
いや、もう戦えないでしょう・・・でも、これって大事な事ではないでしょうか?
戦争を辞める、戦う意欲がなくなるぐらい仲良くなるって事は現在の世界で起こってる戦場で必要なことかも知れないですね。

勿論、その戦争を指揮してる者に取ってはそんな行為をする兵士こそ軍隊の面汚しなんだろうけどね。
この作品でも家族に充てた手紙にうっかりこの休戦を書いたことから、軍の検閲で見つかり、舞台は解散させられて、更に過酷な戦地に送られたりするけど・・・でも本人たちは誰一人としてこの行為を恥じてないでしょうね。
そこに人間としての希望を感じました。
全世界の戦場でこんな奇跡が少しでも起こればいいんでしょうがね・・・ま、起こる事が奇跡だから無理やね~



★★★★★ 2006.12.21(木) タナベキネマ 19:00 最後列

No.125 「リトル・ランナー」 (2004年 カナダ 98分 ビスタ)

2006-12-23 01:13:20 | 2006年劇場鑑賞
監督 マイケル・マッゴーワン
出演 アダム・ブッチャー
    キャンベル・スコット
    ゴードン・ピンセント



最近めっきり減ってしまった名画座とよばれる劇場ですが、大阪では新世界に数件現存してるもののだいぶん減りましたね。
そんな名画座の匂いを残す劇場「タナベキネマ」という劇場で今年ミニシアターで公開された作品を2本立てで上映してたので見に行きました。
いずれも見逃していたのでそれをイッキに見れるのはなんともお徳感がありますね。
このブログを見て頂ければ判る通り、ミニシアター系の作品はかなり見逃しております。
どうしてもロードショー系を中心に追って行くので仕方ないんですが・・・
ですからこう言う機会を得られる劇場って有り難いことです。

でもこのタナベキネマなんですが、今年は「男たちの大和」を年頭に見に行きましたが、この時の記事にも書いてますが、途中から画面のピントがボケ出してしまい最後までそのままで上映してしまったという事がありました。
後日この劇場に見にいった友人も途中からボケた・・・て言ってたんでいつもボケてたんでしょうね~
事情は判らないけど今回はどうなんだろう?そんな不安がよぎる鑑賞ではあります。

(あらすじ)

1953年、カトリックの私立校に通う14歳の問題児のラルフ(アダム・ブッチャー)は、病気で昏睡状態に陥ってしまった母(ショーナ・マクドナルド)のためにボストンマラソンに参加することを決意する。

病気の母親に献身的に看病する見た目は普通の少年なんだけど、学校で喫煙はするわ、プールで更衣室を覗くわ・・・しかもプールの泡を股間に当てて昇天してしまうボンクラ小僧!

しかし昏睡状態に母親が陥ってしまってから彼にある意識が目覚める。
奇跡を起こせば母親が目覚める・・・そんな思いでマラソンにチャレンジする姿は、そこはやはり健気な少年ですね。
母親の事を思いながら走って、走って続ける姿に前半のボンクラ小僧の姿は微塵も感じさせない。
この辺が後半の感動の布石となっていくところはスポ根もののパターンと言えばパターンですね。

                ややネタバレ注意報








しかしこの作品はすんなり勝ってメデタシではなく、敗れることによって学ぶ事を教えてくれるような気がします。
せっかくボストンマラソンでゴール間際で競ったんならそれだけでも奇跡なんだから勝たせてやればいいのに・・・なんて思ったけど、あそこで勝っていれば少年は一つのゴールを達成するだろうけど、負けることでまた目標に向かって歩きだす少年の姿にかつてプールで射精してプールの水を総替えさせた少年の姿は感じられません。
 
ちなみにピントはバッチリ合ってましたよ・・・当たり前だけど・・・と思ってたら!・・・つづく~



★★★ 2006.12.21(木) タナベキネマ 17:05 最後列

No.124 「犬神家の一族」 (2006年 日本 135分 ビスタ)

2006-12-18 01:21:55 | 2006年劇場鑑賞
監督 市川崑
出演 石坂浩二
    松嶋菜々子
    富司純子



30年前に角川春樹事務所第1回作品として公開された「犬神家の一族」。
横溝正史の文庫が当時ベストセラーとなり、映画&小説で一大横溝ブームが到来しました。
1976年当時は何気に映画ファンだった小学5年生の私は、大阪の難波に住んでいて自宅から少しいくと大阪ミナミの大盛り場だった。
期間限定で越境通学だった当時の私は近所には友達がいなく、独りで毎日のように高島屋なんかの玩具売り場で戦艦や戦闘機のプラモデルを眺めに(ほしいと指をくわえて見てるだけだが・・・)行き、帰りには高島屋の向かえにある南街会館という映画館が5館入ってるビルに寄り、映画の看板やポスター、劇場前に設置されたモニターで次回作などの予告を見て楽しんでいたもんでした。
その南街会館の地下にある「なんば東宝」で上映されていたのが「犬神家の一族」だった。

現在のように入れ替え制や指定席制などは限られた劇場のみあるだけで、ほとんどの劇場は入れ替えなしの自由席でした。
当然ながら{立ち見}という現在では珍しくなりつつある現象が頻繁に起こっておりました。
ある日なんば東宝の前で立ってると、館内は満員らしく立ち見でドアが閉まらないのかして少しドアが半開きになっていたので背伸びして覗くとドアの隙間からスクリーンが見えた!
調度、珠世がボートで遭難するシーンだったんですが、少しだけだったけど徳した気分でしたね~

その後、兄に頼み込んでなんば東宝に連れてってもらいついに「犬神家の一族」を目にする事になりました。
スケキヨの不気味な仮面と形相にビビリ、残酷な殺人シーンに戦慄!加藤武の珍推理に笑ったもんでした・・・しかし何と言っても石坂浩二の金田一耕介が印象深かったですね。
風采の上がらないダサい出で立ちなんだが、それが子供心にかっこよく写りましたよ。

30年の時を越え何故かリメイクとして製作され公開された今回の「犬神家の一族」ですが、監督も同じで金田一も石坂浩二が演じていて、私事ながら見に行った劇場も30年前に旧作の「犬神家の一族」を見たなんば東宝のあった南街会館跡に建ったレジャービルにあるシネコンのTOHOシネマズなんば!
劇場の形こそ違え30年前と同じ場所で見たので感慨深いものが少しありましたね。

(あらすじ)

信州の犬神財閥の創始者である犬神佐兵衛(仲代達矢)は、腹違いの3人の娘とその息子たち、佐兵衛の大恩人の孫娘、野々宮珠世(松嶋菜々子)らを残してこの世を去る。巨額の遺産が一族の争いの元凶となることを予期した法律事務所の若林は金田一耕助(石坂浩二)に調査を依頼するが、ほどなく一族間で次々と殺人事件が発生する。

今回リメイク作の前にオリジナル版をDVDで見て改めて作品の完成度の高さに感動したもんでしたが、今回のリメイク版は旧作の脚本をなぞったような感じで展開やセリフも場面の構図やカット割もほとんど旧作と同じで、予想はしてたけど「やはりそうだったか・・・」て感じで旧作をリアルタイムで知るものとしては複雑ですね。
カス・ヴァン・サント監督のリメイク版「サイコ」もほとんど同じ展開やカット割で作られたヒッチコックの模倣作品だったが、今回も監督自らが旧作を模倣したかのような感じだった。

旧作のような重厚な雰囲気は感じられず、少し軽~い感じになったよう思いますね。
同じオールスターキャストでも旧作の方が役者的には上のような気がしますし、さすが石坂金田一も前のようなハツラツとした感じはなく、年齢的な事もあるんだろうけどイマイチ元気が無いように思えた。
御馴染みの走ったりする場面や身のこなし方などの動きが何となく鈍ってるような気がするのは仕方ないかな?

警察署長の加藤武も髪の毛を黒く染め、眉毛を書いて再登板していたが、御馴染みの決めセリフ「よし!わかった」も旧作当時や以後のシリーズは館内爆笑だったが、今回は静かなモンでしたわ~
「ここで笑わな~」と思っても観客無反応でしたね(寂しい)
血マナくさい話だけにこのシリーズは結構笑わせる場面も多いんですが、ギャグも旧作当時のままで客席は無反応でした。

ヒロインの野々宮珠世役の松嶋菜々子も旧作の島田陽子さんの方は断然いい!
この役をするにはもう少し若い女優を探した方がよかったかな?
松嶋菜々子ではチョイ歳が行き過ぎてるかな~ やはり野々村珠世は島田陽子でないとね・・・

旧作を知らない新しい観客にはどう映るのかな?
旧作を知るものとしては、前と同じのを作ってもなぁ~と言う気もするし、逆に全然イメージの違うものが出来上がっても嫌やしな~と思いますけどね。

そっくりそのままリメイクはまるで芝居の再演を見てる感覚に陥りましたよ・・・でもエピローグだけは旧作と違いましたね。
これも個人的には旧作の方が好きだけど、より金田一耕介を神格化したような感じで旧作以上に金田一の存在にこだわりを持ち、あくまで金田一が主人公・・・て言う思いを感じますね。
市川崑監督は「金田一耕介は天使のような存在」と以前から言ってるように、まさにそれにこだわったようなラストでしたね~
いずれにしても・・・今作が大ヒットしても、もうリメイクしないでね~ もうええで・・・



★★★ 2006.12.17(日) TOHOシネマズなんば スクリーン5 18:00 G-20







No.123 「武士の一分 」 (2006年 日本 121分 ビスタ)

2006-12-16 00:43:43 | 2006年劇場鑑賞
監督 山田洋次
出演 木村拓哉
    檀れい
    坂東三津五郎



藤沢周平原作の映画化作品がここ数年続いているが、「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」「蝉しぐれ」と製作されているが見たのは「蝉しぐれ」のみでした。
昨年の「蝉しぐれ」は自身の2005年度のベストテンに選んだほどの高得点を付けた作品だったが今回のキムタク主演で話題の「武士の一分 」は果たしてどうか・・・?

(あらすじ)

下級武士の三村新之丞(木村拓哉)は、妻の加世(檀れい)とともに幸せに暮らしていた。しかし、藩主の毒見役を務め、失明してしまったことから人生の歯車が狂い始める。妻が番頭の島田(坂東三津五郎)といい仲であることが判明し、絶望のなか離縁を決意。愛する妻を奪われた悲しみと怒りを胸に、新之丞は島田に“武士の一分”を賭けた果し合いを挑む。

前半まだ目の見えてるキムタクの演技を見てると「あ~いつものキムタクやな~」ていう感じで時代劇だからどうのて言う感じはなかったけど、視力を失い盲目になってからの芝居が予想以上上手かったと思いますよ。
周りのキャスティングにも助けられてるかも知れないけど、盲目の演技の中での存在感が充分感じられました。

時代劇の割りには立ち回りがほとんど無く、クライマックスの坂東三津五郎との果し合いが唯一の立ち回り(まだ「蝉しぐれ」の方がリアルな立ち回りがあった)
しかしこれもそんな派手なものでなく、どちらかと言うとアッサリ決着が付くほう。

この作品はキムタク扮する新之丞と檀れい扮する加世との夫婦愛をメインに描いたラブストーリーだと思います。
視力を失くした新之丞を献身的に看病し、ひたすら尽くして行くいじらしいほどの愛情を注ぐ加世の姿は古き日本特有の奥様像かも知れないですね。
彼を救うために番頭の島田の言いなりになってしまう姿に自己を犠牲にしてまで想う気持ちの深さと悲しさを檀れいさんが上手く表現していたと思います。

悪役の島田を演じる坂東三津五郎がさすがの貫禄で、登場場面はそんなに多くないけど、彼がスクリーンに映るだけで画面が締まりますね。
これはさすがの天下の木村拓哉でも足元に及びません!

若い2人の夫婦愛とそれを取り巻く様々な人間模様、そしてタイトルにある「武士の一分」を架けた男のプライド・・・時代劇=チャンバラではなく、様々な思いが交差する深い人間ドラマって感じの作品です。



★★★★ 2006.12.14(木) 動物園前シネフェスタ4 シネマ2 18:00 中央端




No.122 「カオス」 (2005年 加/英/米 107分 シネスコ)

2006-12-12 00:10:51 | 2006年劇場鑑賞
監督 トニー・ジグリオ
出演 ジェイソン・ステイサム
    ウェズリー・スナイプス
    ライアン・フィリップ



御馴染み天六シネ5ビルで開催された「ウェズリー・スナイプス大運動会」で「ザ・マークスマン」「デトネーター」「7セカンズ」と立て続けにウェズリー・スナイプスの作品を見たせいで「当分はウェズリーは要らんで・・・」と食傷気味だったとこに「ウェズリー・スナイプス大運動会」の次に公開されたこの作品「カオス」・・・また出とるがなウェズリーが!

しかし今回はワンマン的に大活躍する主演作ではなくジェイソン・ステイサムやライアン・フィリップとの共演てことでまず一安心(何でや!)
しかも今回は銀行を乗っ取る悪役ってことで、それを追う刑事がジェイソン・ステイサム・・・何かこれが期待できそうだな~
TVのCMもバンバンやってたしな(TVのCMに「ホクテンザ」って文字が出ただけで何か凄いと思ってしまった・・・)

(あらすじ)

シアトルの銀行を武装強盗団が襲撃し、リーダーのローレンツ(ウェズリー・スナイプス)は、交渉人にコナーズ刑事(ジェイソン・ステイサム)を指名する。交渉中、一味は警察の裏をかいて逃走してしまうが、銀行からは何も盗まれていないことが判明。コナーズは新米刑事デッカー(ライアン・フィリップ)と組み、不可解な事件を追うが……。

強盗団リーダーのウェズリー・スナイプスを追う刑事ジェイソン・ステイサム・・・筋肉派の2人の対決だけに盛り上がりますね。
一見畑違い(?)の優男ライアン・フィリップも明晰な頭脳でこの2人の間に割って入って参戦!
武道派のジェイソン・ステイサムが気づかない手がかりを見つけて事件の核心に迫る。
この3人の色合いが良く出ていて中々面白い作品でしたね。

派手なアクションが中心の映画だと思って見てると意外とこの映画は「クセモノ」だったりする所がいいですね。
二転三転するストーリー展開に細かく張られた伏線や何気ないセリフのやり取りが後に重要になってたりと、実に巧妙に練られた脚本に単なる肉体派俳優たちによるアクションムービー感覚で見てると「こんな映画やったんか~!」と鑑賞後に何となくのお徳感があるかもね?
私はそんな映画だと言う予備知識で見てたのでやや期待が大きすぎたせいもあり、若干の物足りなさはあったけど、それでも割りと良く出来た映画だと思いましたよ。
期待せず見たらこれは拾い物だと思うでしょうね~
勿論、期待して見ても充分楽しめますがね・・・メーカー在庫処分市のような「ウェズリー・スナイプス大運動会」よりは断然いいですよ!
久々の天六シネ5ビルの当りでしたわ!



★★★ 2006.12.8(金) ホクテンザ1 23:30 4列目端

No.121 「プラダを着た悪魔」 (2006年 米 110分 シネスコ)

2006-12-11 00:21:59 | 2006年劇場鑑賞
監督 デヴィッド・フランケル
出演 アン・ハサウェイ
    メリル・ストリープ
    エミリー・ブラント



女性が主人公で仕事でどんどんと成功へとのしあがって行くサクセスストーリーはアメリカ映画では良くありますね
例えばメラニーグリフィス主演の「ワーキングガール」何て作品もそんな感じの映画でした。
たしかあれも部下のメラニーのアイディアを盗むような悪魔のような上司にシガニーウィーバーが扮してましたが この作品もタイトル通り「プラダを着た悪魔」に扮するのが名女優メリルストリーブ。
この映画は主演のアンハザウェイよりこの敵役(?)のメリルストリーブの好演が大きいと個人的には思いますね。

(あらすじ)

アンディ(アン・ハサウェイ)はジャーナリストを志しNYにやって来る。オシャレに関心のない彼女は、無謀にも一流ファッション誌ランウェイの面接を受ける。編集長ミランダ(メリル・ストリープ)のジュニア・アシスタントの仕事を手に入れるのだが、翌朝から24時間公私の区別なく携帯が鳴り続ける悪夢の日々が始まった。

最初はファッションなんか無頓着で全然興味がない主人公アンディが鬼のような編集長ミランダの雑用で振り回される序盤はよくあるコメディ映画風です。
ファッション雑誌の裏側も見せてくれるのも興味深いですね。
なにしろアン・ハサウェイすらこの世界では太ってる部類に入るらしんですから・・・

地獄のような日々に耐え切れずケツを割ろうとした時にさりげなくミランダの片腕スタンリー・トゥッチに励まされる・・・ここからアンディの意識改革?によりダサい女の子(私から見たらそうは思えんのだが)が見る見るうちにファッショナブルなブランド服に身を包んだ女性に変身!
ここからファッション、ファッションの連続でアンディが次々と着ていく衣装の素晴らしさ・・・と言ってもファッションに疎い私にはよく分からない(高そうな服ってのはわかるけど)やはりこの作品は女性が見るとそこらの所は楽しいと思いますね。

仕事が成功してと友人や恋人からは「人が変わった」と言って非難されてしまうお約束的な展開になっていくが、最後は鬼編集長ミランダを見返すような結末かと思ったけど鬼編集長のミランダの人間的な弱い部分を垣間見せてくれて、カリスマ性のあるセレブな彼女もやはり1人の女であり、妻であり母である・・・「ワーキングガール」のシガニーウィーバーような悪役的な扱い出ないところが違った意味でラストの爽快感になってるところですね。

氷の女ミランダがフッともらす人間的な微笑みがこの作品を実に後味の良いものしています。
やはりメリル・ストリーブの見事な芝居がこの作品をグッと締めてるように思いますね。



★★★ 2006.12.7(木) アポロシネマ8 スクリーン7 18:45 K-3