バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

Hayes Carllの『KMAG YOYO』

2011-03-10 | 音楽

Kmagyoyo テキサスのルーツミュージックの香り漂う骨太なシンガーソングライター『ヘイズ・カール』。
まだ33歳でこのジャンルでは若手と言っても良いと思う。
僕は彼をメジャー移籍作となった前作『Trouble in Mind』で初めて知りました。教えてくれたのは『キノコズ』や『Midnight Special』のベースプレイヤーMヨシさん。
一聴して、その奇をてらわない硬派な佇まい、ヨレ気味ながら男臭い歌声に好感を持ったのですが、聴きこんでゆくと曲もいい。すっかりファンになってしまい新作を心待ちにしていました。
そして登場したのが本作『KMAG YOYO』。前作と違ってジャケットがむさ苦しい。これが前作。Trouble_in_mind 絶対こっちの方がえいよねやぁ。

なによりこの微妙~なセーターがなんとも…。髪が顔にかかっていないだけでも大分印象は違っただろうに、と思う。ビルの屋上、脱ぎ捨てられた靴。生気のない表情。そしてアメリカ。意味深なジャケットです。

音はいきなりシンガーソングライターに相応しくないパンキーというかパブロックマナーというか、とにかくロッキンサウンド!でスタートします。一瞬面食らいましたが歌声はラウドさに安易に寄り添うことなく、ヨレつつも強靭ですぐにヘイズ・カールの世界を感じる事ができました。前作のカントリーサウンドをベースにしたルーツミュージックからルーツロックサウンドへ踏み出した本作ですが、不思議にそのロックサウンドをうるさく感じません。歌い手の個の力が強いのでしょう。ますます本人の輪郭が明確に感じられるようになった気さえします。
楽曲も含め全体のトーンは少し暗め、ジャケットからも想像されたように現代アメリカ社会の暗部を切り取り繋ぎ合わせるような楽曲が序盤から続きます。タイトルのKMAGは軍隊内の隠語でKiss My Ass Guys, You're On Your Own の略だとのこと。そのタイトル曲では空軍出身の父を持ち自身は陸軍兵としてアフガンでタリバン掃討作戦に従事する男が登場。ヘイズは生気なく屋上に立ち尽くすジャケットとは裏腹にマッチョまではいかないもののしっかりと立ち続け骨のある声で歌いかけてきます。説得力はなかなかのものです。
ウォーレン・ジヴォンを好きな人ならかなり好感を持つのではないでしょうか?
これって僕的にはかなりの褒め言葉です。

購入してから約ひと月、聴き込むほどに良くなってきました。ルーツロック好き、シンガソングライター好きどちらの方にも強くお勧めいたします。ライヴが観たいですね。


ギターパンダ!最~高でした。

2011-03-08 | ライヴ報告

バイユーへ初めてやって来たギターパンダさん。最高でした。参りました。ロックンロールでした。ノックアウトされました。
言語感覚や皮膚感覚、もうこれは好みの問題?とにかく最低で最高からカッチョイイー~までそのうえ苦笑までも。なんというかYeah~という感じでした。失礼ながら5。6年前に観た時の何~倍も良かったです。数人の方から「ギターパンダは長尺のライヴを観なければ良さがわからない楽しみきれない」と言われていましたがその通りだったということでしょうか?でも最近の曲が特に素晴らしかったのも事実です。そしてそのステージング!いやぁまさに仕事を忘れ笑い楽しみ、そして苦笑していた1時間半と少しでした。
とまぁこんなところで、ご本人に断って何枚か撮った写真をご紹介いたします。
110306_2022あ、まずはオープニングアクトこの日のライヴの発起人『近田崇仁(はいからさん)』。 大先輩との共演にピリっと緊張感も漂う力の入った良いライヴで花を添えました。個人的にはソロライヴもバンドと同じくパフォーマンスとして聴かせるようになってきたなぁという感じでした。ソロもライヴ形態として十分成立している感じです。パンダファンにもウウケていました。そしてまだタイトルもないという新曲が披露されたのですがそれがなかなかの出来映えでした。良い曲でした。やるな!と思った次第です。
110306_2047_3 休憩を挟んでギターパンダ先生の登場。証明が落ちAlbert Kingの『Hound Dog』(バイユーの選曲)が流れる中、近田にエスコートされてステージに登場。なんという存在感、非日常観。初体験のお客さんだけでなく、見慣れているいるはずの熱心なファンからも嬌声が上がる。大きな拍手。なんとこのパンダ、視界はゼロだとのこと!手探りでマイクや足下のハイハットを確認するジャイアントパンダ。

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マイクも確認してスタート!いきなり大いに盛り上がる。序盤からコール&レスポンスの嵐。大入り満員です。

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パンダコーナーを終え、子供の夢を壊すコーナーへ。早業で身体を脱ぎペットボトルのお茶を飲む元ジャイアントパンダ。

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頭を脱ぐと子パンダ帽。山川のりをだ!

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山川のりをロックンロール中!向かって右手にはパンダ親子の抜け殻。

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110306_2157_2 最低で最高?カルピス・プレスリー登場!サイテーな歌からグッとくる歌までぶちかますパンダ先生。ヤラレました。『●●の指輪』他小ネタも盛りだくさん。そして『お弁当箱』のイントロから日本の有名なロックンロー。そして『お弁当箱』。まだまだ終わりません。

終演後は当然酒宴。

CD『ロックンロール・パンダーランド』も素晴らしい!


山中vs岩佐!熱かった。

2011-03-06 | ボクシング

20110306vs 昨夜のプロボクシング、ボクシングファンが本当に久しぶりに待ち焦がれた日本人対決。日本バンタム級タイトルマッチ、王者・山中慎介vs挑戦者・岩佐亮佑の一戦は予想通りの熱戦となりました。両者ともに高度な技術と強靭なハートを出しきった白熱の好ファイト。山中選手が最終ラウンドに岩佐選手をTKOで破り、クラス最強を証明し初防衛に成功という劇的な結末もさることながら。1R試合開始早々からいきなりスパークした強烈な展開に後楽園ホールは熱く燃え上がりました。時に解説席の実況すら聞こえなくなるほどの興奮が深夜の画面越しにも伝わってきました(3時10分から観ました)。これぞボクシング。技術とハート両方が揃ってこそ伝わってくる強靭なソウル!月並みな表現ですが両者共に素晴らしかった。ハイレベルに実力の伯仲した選手をしかるべき(最高の)タイミングで対戦させればこのような素晴らしい試合が生まれる事はこれまでも何度も証明されていますが、改めて痛感しました。これですよ!こうであるならボクシング人気の凋落は防げるはずだと信じます。
ユーリvs渡久地や最近では内藤vsカメダ戦。良い時期に実現していれば名勝負となったであろう過去の組み合わせが有名無名いろいろと思い出されます。そう考えると、今やボクシングファンのほとんどからまったく相手にされていないカメダ選手も内藤選手との試合が絶妙のタイミングで行われていれば勝敗にかかわらず現在のようなボクシングファンから無視される世界王者などという摩訶不思議な状況は(好かれるかどうかは別として)おこらなかったのではないか?と思います。
と、今やどうでもいい話はこの辺でやめて昨夜の名勝負。
山中選手の後半のどっしりとした構え(ファイティングポーズ)には更に上へいく凄みを予感させられましたし、岩佐選手のスピードとセンス、そしてその売りと相反するような打たれ強さと根性に更なる可能性を感じました。最終ラウンド連打に晒された時にタオルを投げたセレス小林会長も、同時にストップしたレフェリー氏も妥当だったのではないでしょうか。試合後の両選手の振る舞いも良かった。最後挨拶に来た岩佐選手に山中選手の応援団から岩佐コールが起きたとのこと。
素晴らしい対戦カードに魅力的な両選手。素晴らしい試合内容に劇的な結末。そして相応しい観客。すべてにおいて素晴らしい、理想的なタイトルマッチでした。
ただひとつ相応しくないのは世の中の反応。報道はあまりに少なく貧弱。彼らに相応しい賞賛は一部のボクシング好きや関係者からしか与えられないとしたらあまりに残念です。うーん。


今夜は通常営業。明日日曜日はギターパンダ初登場!!

2011-03-05 | イヴェント案内

今夜の土曜日はライヴは無しの通常営業。土曜日にライヴじゃなくゆるりと飲んでみたいという方、今夜はどうですかー?お待ちしております。

そして明日日曜日はライヴ営業、ソウルフルにロックするジャイアントパンダ『ギターパンダ』がバイユー初登場です。これは楽しみです!詳細は以下に。

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ギターパンダ(山川のりを ex.DEEP & BITES、忌野清志郎&2・3's)

Opening Act 近田崇仁(はいからさん)
開場19:00 開演20:00 料金 2000円(+1drink)

★ついにバイユー初登場!孤高のロッカー『ギターパンダ』 観て聴いてソンはなし!!共演経験のある近田がオープニングアクトを務めます。

 


やっぱり野球にゃかなわない。だけどもボクシング…。

2011-03-05 | ボクシング

春は野球の季節。「球春」なんて言葉が簡単に変換されて出てくる。巷ではオープン戦なんていうものが賑やかに催されているようです。新聞に目をやるとそんな非公式のエキシビジョンマッチでダルビッシュ有投手が好投したという記事が大きく出ています。一面に載っているところすらあった。流石野球。やっぱり野球にゃかなわぁない。

そして我らがプロボクシング。今夜は東京後楽園ホールで近年で最高の日本人対決と関係者、ボクシングファンが大注目の日本バンタム級タイトルマッチが行われる。チャンピオン山中慎介vs挑戦者・岩佐亮佑の注目の一戦。専門誌やインターネットではもう大騒ぎだ。両者共に未来の世界王者?といわれる逸材で無敗同士。そして現在上り調子まっただ中。「これだけの好カードはなかなかない」「よく実現したものだ!」と大変な前評判です。
と、いってもそれはボクシングマニアの間でのお話。残念ながら一般メディアの注目は殆ど無い。スポーツ紙ですら驚くほど平凡な扱いだ。これだけ勇気ある誠実な試合を組んでもこうなのだ。。。
片や練習試合のようなものでカラーで一面…キング・オブ・ジャパニーズスポーツ、野球の前にはボクシングファンとしては無力感を感じるのみです。

まぁぼやいていても仕方ありません。今夜の試合は数年ぶりに日本テレビが日本タイトルマッチを地上波で放送するという英断をしたことで多くの方の目に触れるのでは!と期待しています。
と、威勢がいいことを書いておいてなんですが放送はなんと深夜3時10分~。
誰が観るんだ、という時間帯です。これじゃ試合の事を知っている人しか録画もしやしません。悲しいもんです。とはいえCSでは生放送。今夜のバイユーではケーブルTV経由、BGVとして流してみようと考えています。
これまでの例からライバル対決はお互いのプライドがぶつかり合って凄い試合になることがほとんどです。強打のチャンピオンと高度なテクニックで唸らせる挑戦者、なんとなく気になった方は今夜はバイユーへ!もしくは是非3時10分からタイマー録画を!

内藤vsカメダ長男戦だって実際の2、3年前に行われていたら強力なライバル対決の好カードと話題になったんでしょうけどね~


2010年ベストアルバム

2011-03-04 | 音楽

例年より少し遅くなりましたが年頭恒例、私事小さなお知らせです。

日本最古のブルースサイト『ブルース銀座』の名物企画『アルバム年間ベスト10』に今年も寄稿しております。
バイユー開店以来、なるべく新録アルバムを聴くように心がけている私。アナログ盤漁りは勿論最高!ですが、その年ならではの記憶を刻む新譜の楽しみにすっかり目覚めてしまいました。このベスト10寄稿はそんな1年間の音盤暮らしを振り返る貴重な機会として毎年楽しんでやっております。ご興味のある方はお暇な時にでも覗いて頂ければ幸いです。

毎年言っていることですが、他の選者は本当に識者揃い。自分のはバイユーでの日々の延長でしかありません。お客樣方におかれましては「ああ、こんなの(バイユーで)流行ったなぁ」などと思い出して頂ければ幸いです。しばらくご無沙汰の方々におかれましては「へえ最近はこんな感じなんだ」とでも思っていただければ…。

とにかく盛り沢山で危険な企画です。迷った末に購入しなかったブツが沢山選ばれています。全員分読むと欲しいCDがたくさん出てきてしまうのです。

ではこちらからどうぞ。Nothinsimpossible_2


IAN DURY & THE BLOCKHEADS カッチョイイー!

2011-03-02 | ライヴ映像

土曜日にビルさんと盛り上がったから…というわけなのですが。。。イアン・デューリーの映像が観たくなりyoutubeをうろうろ。お目当てはKilburn and the High Roadsの映像。
流石!現代のインターネットは凄いもので、幻のキルバーンズもいくつか映像があって楽しんだのですが、その過程で観たのがコレ。
http://www.youtube.com/watch?v=n6hO0DHhWss  1979年のThe Concert for Kampuchea出演時のIan Dury & The Blockheads!ギターにミック・ジョーンズを呼び込んでのキラーチューン『Sweet Gene Vincent』!!カッコイイことこのうえない素晴らしい演奏。ガツンときます。
最もイキの良い頃のブロックヘッズの面々のルックスの禍々しさときたらトンデモないものがあります。若きミック・ジョーンズのロックスターぶりも見所です。カッコイイ!ただルックスはともかく演奏面では腕利きのファンキーロックンロールバンドに入っては『クラッシュ』のギタープレイヤーも少々分が悪く…でもそんなところも含めてパンクロッカーの色気がムンムンです。
とにかくブロックヘッズ最高です。後楽園ホールでの来日公演の感動が蘇りますね。
Iandury 『Sweet Gene Vincent』…小児麻痺で重度の障害を背負っていたデューリーが同じく足に障害を持っていたジーン・ヴィンセントへの思いを込めた代表曲。美しくも儚い、そして哀愁と爆発の永遠のロックナンバーです。ブッとんだブロックヘッズとデューリーにしか描けない世界観にいまだに胸ときめくのです。


お客さん、ノーズウォーターズを大いに楽しむ。

2011-03-02 | ライヴ報告

日曜日は久しぶりのノーズウォーターズ。今回はマストとヘンザンのふたりきりでのライヴ。早々に賑わう店内。食べ物の注文も多く、開演前から宴の趣き。そんな中に登場したふたりは(おそらく)期待以上に楽しませてくれたのでした。

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一緒に歌い笑うお客さんたちの笑顔。その一体感たるや相当なものです。とにかくみんな楽しそう。ノーズの歌心ににこやかに応えるその姿に飲み屋ライヴの醍醐味のひとつが鮮やかにあらわれていました。
しかし盛り上げてくれます。そして曲が良い。ヘンザンの『メラメラ』久しぶりに聴いたねー。
気持ちよく家路につくお客様方を眺めて良い気持ちになった夜でした。


国境の香り漂うブルースナイト

2011-03-02 | ライヴ報告

土曜日はお馴染み中央線の顔役・JOJOサワド&PONYBOY野中にマンドリンのBill Benfieldを加えたブルースライヴ。3度目となる今回も気持ちのよいサウンドでゆったりと盛り上がりました。
ブルースライヴ!と銘打たれてはいるのですがなんともユルいジョジョさんのビート感にブルージーな野中さんのギタープレイ。そこにイギリスで生まれ育ちアメリカの音楽を敬愛するビルさんのマンドリンが加わるといわゆるブルース!というのとは少し違った味わいがあらわれてくるのがなんとも面白い。なぜかテックスメックスを思い出したりしてとにかく興味深いのです。実際にテックスメックスナンバーも演る彼らですがそういう問題ではなくブルーススタンダードを演っていてもそこはかとなく漂う国境感。日本とイギリスが混じり合って太平洋の真ん中あたりじゃなくアメリカ、メキシコ国境の香りがするのが音楽の不思議なところです。それはとても楽しい時間でした。

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ジョジョさんの歌のオリジナリティも特筆ものです。『Ain't That Lovin' You Baby』の独自性たるやもう…。特に奇をてらったアレンジをしているわけではないのに凄いもんです。野中さんの痒いところに手が届きそうで届かない絶妙な味わいの歌心ギター、イナタイようでお洒落なところもある歌い回しの素晴らしさは以前スヌークス・イーグリン追悼ライヴで発見したのでしたが今回もなんとも良い雰囲気でした。この二人の独特の味わいはもっと多くの人に評価されてしかるべきではないでしょうか?そしていつもながらカッコいいプレイのビルさん。トレモロも素敵です。そこに石垣島出身の従業員大濱五朗がしばし持ち場を離れてブルースハープで加わるのですからなんとも多彩です。国境の香り漂うブルースの夜となったのでした。

終演後、BGMにKilburn & The High Roadsの『WOTABUNCH!』を流していたらビルさんが話しかけてきてイアン・デューリーについて話しました。「これイアン・デューリーのなんてアルバム?」ということでしたが…なんとビルさん昔、デューリーとクラブで演奏したことがあるとのこと。その時のメンバー等詳しく訊いてみると(時期や特徴等)キルバーン&ザ・ハイロウズ時代であったようで興奮する私でした。ビルさんブルースも好きですがやはり地元のルーツミュージックベースのパブロックシーンには影響を受けたようでGeraint Watkinsが大好き!(ふたりとも)等という話で盛り上がりました。仕事を終えて登場したル・オードムーゲの玉井さんも加わり更にパブ話(アルバート・リーと演った話など)。110226billbenfield 写真はマンドリン話にも花が咲いた玉井さんが撮影したビルさんのポートレイト。この日は時間がとれなかったため「またライヴ企画してや、ソロでもえいなぁ」とお願いされつつの写真。そう考えるとまるでアー写ですね(笑)

興味を持たれた方、次回は是非!