遺伝子医療革命ーゲノム科学がわたしたちを変えるー

2011-01-27 15:26:08 | 日記
フランシス・S・コリンズ著 NHK出版
ぜひ、一読を薦めたい本(但し、400ページ近くあり、私は1週間もかかったが……)。
これは、ヒトゲノムのDNA配列決定が2003年に終了してから、現在までに何が分かったのかの現状レポートである。著者は、1993年から2008年まで米国立ヒトゲノム研究所長で、在任中に国際ヒトゲノム・プロジェクトの代表つとめた人。そして現在は米国衛生研究所(NIH)の所長。
ヒトゲノムが全て解析され、その後次々に、様々な病気の遺伝子が見つかり、遺伝子治療が喧伝されている現在、あたかも全ての病気が治る(直るではない)と思い勝ちである。
しかし、著者は「そうではない」と言う。明らかになったこともあるし(治せる病気もある)、解明できていない(治す方法が見つからない)こともある。著者は今現在「なにがわかって、なにがわかっていないか」を知ってほしいと言っている。
IQを高めたり、天才を育てる遺伝子はいまのところ見つかっていないし、逆に肥満や高血圧を促進させる遺伝子は確実にあることが解っている。
一見難しそうなタイトルだが、この本の凄いところは、あくまでも患者の視点から書かれていることで、難しいところを読み飛ばしても主旨はたいへん分かり易い。
いますぐ私たちにもできることがある。それは著者が繰り返し述べていることでもあるのだが、家族、一族を含めた病歴の系図を作っておくことである。一族の遺伝子を受け継いでいる我々は、それらのどれかに罹る可能性あるからだ。遺伝子医療が急速に発展している今、それを医師に見せれば、適切な診断を受けられる可能性も高いというわけだ。

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