サイロ・エフェクト -高度専門化社会の罠-

2016-04-18 09:05:48 | 日記

ジリアン・テッド著  文藝春秋刊

まず、最初に。「サイロ・エフェクト」を「たこつぼの罠」と意訳したのには感心した。名訳である。蛸壺に閉じ込められた蛸は、自らの手足を喰い、死を待つより仕方ないてはないか!
この視野狭窄と部族主義(著者は人類学を学んでいる=専門家集団)は、企業・官僚組織・非営利組織、どこにでも見られる。あなたの会社にも…。俗に言う「隣の人は何する人ぞ」現象である。
この罠に陥った企業・組織、そこから脱却して成功した組織・企業の実例として、ソニー、ニューヨーク市庁、シカゴ警察、フェイスブック、アップルなどが挙げられている。
企業人、組織人には思い当たることがあり過ぎる。ここから脱却する方法はあるのか? 著者はある、と言っている。著者は六つの方法論を提示している。ただし、サイロをコントロールするという戦いに終わりはないとも言っている。そうなのだと思う。かりにサイロを脱却しても、それが新たなサイロになることは十分あり得る。常に進行中の作業なのである。どうすればいい? 答えを探すのはあなただ!
著者は、ファイナンシャル・タイムズ紙のアメリカ版編集長。東京支局長を務めたこともある。博士課程で学んだ人類学の視点がなかなか秀逸。


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