すこし前のことになるが、スガ義偉氏は自民党総裁のポストを手にしたとき、次期首相としての抱負を聞かれ、「自助・共助・公助」というフレーズを口にした。
「まずは自分でできることは自分でやってみる。そして、地域や家族で助け合う。その上で、政府がセーフティーネットで守る」そういう社会を築くことが、自分の抱負だというのである。
このスガ氏の考え方を知ったとき、私は大きな違和感をおぼえた。その違和感を、私は本ブログ(9月17日《自助・共助・公助について》)に記したが、スガ氏のこの思わくはどだい実現不可能な妄想の類に過ぎない。そのことに気づかせてくれたのは、老子の次の言葉である。
「天長地久。天地所以能長且久者、以其不自生。故能長生。」
(書き下し文:「天は長く地は久(ひさ)し。天地の能(よ)く長く且(か)つ久しき所以(ゆえん)の者は、その自(みずか)ら生(しょう)ぜざるをもってなり、故(ゆえ)に能く長生(ちょうせい)す。」
現代語訳:「自然は長く永遠に生きる。自然が長生きなのは、長く生きようと思わないからである。自然が永遠に生きられるのは、自分のことを考えないからなのだ。」)
どういうことか。これを目下の文脈に入れて言い直せば、自らを助けようとする者(自助の気概をもって生きようとする者、自分の力を恃み、独力で生きようとする者)は、長くは持ちこたえられないということである。
それはそうだろう。自恃の気概だけが強い人は「ジコチュー(自己中)」と呼ばれる。ジコチューは自分を中心にしかものを見られない人、利己的にしかふるまえない人である。そういう人は他人から嫌われ、疎んじられ、結局は損を見ることになる。四六時中「自分のため」ばかり考える人は、「自分のため」にはならないのだ。これとは反対に、いつも「他人のため」を考えて行動し、自分のことを後まわしにする人は、他人から好かれ、結果として好い目を見ることになる。
「天地の能(よ)く長く且(か)つ久しき所以(ゆえん)の者は、その自(みずか)ら生(しょう)ぜざるをもってなり、故(ゆえ)に能く長生(ちょうせい)す。」
簡単にいえば、情けは人の為ならず。自分を助けようと思ったら、他人に情けをかけなければならない。自助のためには、共助を心掛けなければならないということである。
自助の念だけが強く、思い通りの結果を出せない口だけのジコチューたちは、(プライドが邪魔をして)他人を頼ることができない。その結果、彼らは、政府に「公助を!」と強く要求することになる。「自助」の発想が喧伝され、ジコチューが増えれば、彼らの要求の重さに政府は耐えきれず、早晩、潰れ去ることだろう。
「まずは自分でできることは自分でやってみる。そして、地域や家族で助け合う。その上で、政府がセーフティーネットで守る」そういう社会を築くことが、自分の抱負だというのである。
このスガ氏の考え方を知ったとき、私は大きな違和感をおぼえた。その違和感を、私は本ブログ(9月17日《自助・共助・公助について》)に記したが、スガ氏のこの思わくはどだい実現不可能な妄想の類に過ぎない。そのことに気づかせてくれたのは、老子の次の言葉である。
「天長地久。天地所以能長且久者、以其不自生。故能長生。」
(書き下し文:「天は長く地は久(ひさ)し。天地の能(よ)く長く且(か)つ久しき所以(ゆえん)の者は、その自(みずか)ら生(しょう)ぜざるをもってなり、故(ゆえ)に能く長生(ちょうせい)す。」
現代語訳:「自然は長く永遠に生きる。自然が長生きなのは、長く生きようと思わないからである。自然が永遠に生きられるのは、自分のことを考えないからなのだ。」)
どういうことか。これを目下の文脈に入れて言い直せば、自らを助けようとする者(自助の気概をもって生きようとする者、自分の力を恃み、独力で生きようとする者)は、長くは持ちこたえられないということである。
それはそうだろう。自恃の気概だけが強い人は「ジコチュー(自己中)」と呼ばれる。ジコチューは自分を中心にしかものを見られない人、利己的にしかふるまえない人である。そういう人は他人から嫌われ、疎んじられ、結局は損を見ることになる。四六時中「自分のため」ばかり考える人は、「自分のため」にはならないのだ。これとは反対に、いつも「他人のため」を考えて行動し、自分のことを後まわしにする人は、他人から好かれ、結果として好い目を見ることになる。
「天地の能(よ)く長く且(か)つ久しき所以(ゆえん)の者は、その自(みずか)ら生(しょう)ぜざるをもってなり、故(ゆえ)に能く長生(ちょうせい)す。」
簡単にいえば、情けは人の為ならず。自分を助けようと思ったら、他人に情けをかけなければならない。自助のためには、共助を心掛けなければならないということである。
自助の念だけが強く、思い通りの結果を出せない口だけのジコチューたちは、(プライドが邪魔をして)他人を頼ることができない。その結果、彼らは、政府に「公助を!」と強く要求することになる。「自助」の発想が喧伝され、ジコチューが増えれば、彼らの要求の重さに政府は耐えきれず、早晩、潰れ去ることだろう。