ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

それを言っちゃあ、お終えよ の 日本学術会議問題

2020-11-01 10:10:04 | 日記
それを言っちゃあ、お終えよ。
映画『男はつらいよ』の中で寅さんが吐く印象深い決め台詞である。言ってはいけないことがある。だから言えないことがある。

スガ首相は今ごろ、この言葉を噛みしめているのではないだろうか。この人は今、日本学術会議の任命拒否問題で「拒否した理由を説明せよ」と、あちこちから攻め立てられている。朝日新聞もきのうの社説で、次のように書いた。

「首相は26日のNHKテレビで『説明できることとできないことがある』と述べた。今回の拒否理由は『説明できること』だし、しなければならない。きわめて重大な問題である。」

だが、スガ首相にしてみれば、今回の拒否理由はとても「説明できること」ではない。それが問題なのだ。それを言っちゃあ、お終えよ。それを言ったら、このオレ様がお終いになってしまう。せっかく手に入れた首相のポストが、おじゃんになってしまう。だからそれは、口が裂けても言えないことなのだ。

口が裂けても言えない言葉、それが何かは、国民のだれもが知っている。
「政権に異を唱える奴は、ただでは済ませないぞ」。
これは全体主義に向けてひた走る、独裁志望者の脅し文句であり、言ってみれば独裁政治の開始を告げる国民への挑戦状である。

挑戦状をたたきつけられた国民は、スガ首相が暗黙裡に何を言おうとしているかをよく解っている。それをスガ首相自身が口に出せば、この政権が終わりになることも知っている。だから野党も論壇も、〈それ〉を言わせようと躍起になるのである。

野党や論壇のこうした意図は、だが、政権側の巧妙な論点ずらしの戦法によって、残念ながら不発に終わっている。言葉を武器に攻め立てても、肩透かしを食らうだけなら、ホントの勝負は、次の国政選挙でつけるしかない。独裁と全体主義の牙を研ぐこの政権に、国民の投票行動で鉄槌を下すのだ。

男ってものはな、引き際が肝心よ!これも寅さんの決め台詞である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする