ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

デイサは理性を狂わせる

2020-11-27 14:11:15 | 日記
新型コロナが猖獗を極めている。猛威をふるうコロナの嵐は、ついに政府の景気回復事業「GO TO トラベル」を揺さぶりはじめた。「GO TO おじさん」がトップの座に就いた政府の、その対応は後手後手を余儀なくされている。週1で通っているリハビリ・デイサに行くべきか、どうか。私は先週、そんなことであれこれ思い惑っていた。

だが、今は違う。私の中にもう迷いはなく、心はすっかり「GO!」の方向へと傾いている。一体全体なぜなのか。きのうデイサに「出勤」して1日が経ったきょう、改めて自問してみた。自分で認めるのは癪だし、恥ずかしくもあるが、老子が言うように、多分こういうことなのだろう。

五色令人目盲。五音令人耳聾。五味令人口爽。馳騁田獵、令人心發狂。
(読み下し文:「五色は人の目を盲ならしむ。五音は人の耳を聾せしむ。五味は人の口を爽(たが)わしむ。馳騁(ちてい)田猟(でんりょう)は人の心をして狂(きょう)を発せしむ。」
現代語訳:「色とりどりの色彩は人の目をくらませる。幾重にも音を重ねた音楽は人の耳を聞こえなくさせる。味わい豊かな食事は人の味覚を鈍くする。乗馬や狩猟といった娯楽は、人の心を狂わせる。」)

要するに、五色が、五音が、五味が、馳騁田獵が、私の理性を狂わせたということである。
では私にとって五色、五音、五味、馳騁田獵とは何か。これらはあのリハビリ・デイサとどういう関係にあるのか。

それをわかっていただくには、デイサの独特な雰囲気について多少とも説明しなければならない。きのうの利用者は、2人のお爺さん(私も含む)と、3人のお婆さんだった。
対するデイサ側のスタッフは、生活相談員のA子さん、トレーナーのB子さん、非常勤看護師のC子さんといった若い女の子3人、それに、所長・兼・トレーナー・兼・ドライバーのアラフィフEおじさんである。

デイサ側の若い女の子たち3人は、所長のEおじさんを物ともせず、また、利用者のお爺さんお婆さんたちに見せつけるように、恋バナを披露しあっていた。生活相談員のA子さんはカレシと別れてまだ3ヶ月だというのに、3人の男子から「付き合ってください」と言い寄られているとか。若いというのは、素敵なことだ。彼女たちの黄色い声を聞いていると、その昔、私が若かったころに流行ったあのGSメロディーが流れはじめた。

♪♪花咲く 娘たちは 花咲く 野辺で
ひな菊の 花の首飾り やさしく編んでいた
おお 愛のしるし 花の首飾り
私の首に かけておくれよ
あなたの腕が からみつくように♪♪

要するに私は、自分がとっくの昔に失ってしまったもの、つまり迸る若さのエネルギーに圧倒され、ついクラクラとなって、我知らず理性を狂わされてしまったのだった。

帰路の送迎車の中で、ドライバーのA子さんと「カレシと別れて間もないのに、もう恋のチャンスをゲットするなんて、すごいことだね」という話をした。同乗していたアラ・エイティの利用者D爺さんが「オレも若いころはどうしようもない悪ガキだったよ」と呟いた。

ふだんは寡黙なD爺さんにしては、珍しい告白である。生活相談員のA子さんと相談をして、来週はD爺さんの昔話を特集し、じっくり話を聞く会を開催することにした。コロナの猛威がどうであれ、自分は来週も「出勤」してしまうのだろうな。
コメント
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