風になれたら

SUZUKI Bandit1250Sに乗って風になり
中島みゆきや渡辺美里を聴いて風になり
山を歩いて風になる

大雪山・十勝岳連峰縦走 2020 プロローグ

2020-10-10 | 徒歩の旅

7/4 (土) 晴れ

前回の山行は3月6日の奥多摩で、その後はコロナ禍のために山に行くことはなかった。閉鎖される登山道や山小屋、何より救助が必要となった場合の影響が大きいと思われて、とても行ける気持ちにはなれなかった。

そして6月後半、感染者数も減ってきて、政府による都道府県を跨ぐ移動の自粛が解除されることになった。これはチャンスだ、しかし北アルプスや八ヶ岳などはまだ楽しめるような雰囲気はまだなかった。楽しめそうな山、人が少なく、何日か歩ける山、となれば昨年歩いた大雪山・十勝岳連峰が頭に浮かぶ。山にも行かず、通勤もせず、春やっていたジョギングもやめてしまい体力はかなり落ちているのが心配と言えば心配だけれど、抜かりない準備、そして気合いと経験で乗り切るのだ。本当は体力が一番大事だと思うけれど一度歩いているルートなので安心感が大きい。

この時期の北海道の天気はぐずつくことが多いので天気予報を参考にできるだけ良さそうな日程のフライトを選んだ。と言っても山行出発日が雨にならないようにするのが精一杯なのだけれど。

人のまばらな羽田空港から旭川空港へ向かった。今日の飛行機はAIRDO、翼にはベア・ドゥ。このマスコットかわいいんだよな。

北海道の山々を超えて旭川空港に着陸した。ガラガラの旭川空港の食堂でお昼ご飯を食べた。軽く食べておこうと思い鴨蕎麦をいただいた。幌加内産の蕎麦に地元の鴨、美味しかったが鴨堅っ。

空港から旭岳登山口のある旭岳温泉まではバスで向かう。街は27℃で蒸していたが、旭岳温泉に着くと19℃と涼しかった。今回の宿は昨年同様大雪山山荘、登山者向けの宿だ。宿のおばちゃんによく東京から来るね、と言われた。そうだよね、でも濃厚接触は皆無なのでその旨を伝える、でも安心はできないのでマスクは必須だ。

夕飯前に今回の山行の荷物を並べてみた、5泊の予定だけれど、その場所が気に入ったら連泊しても良いように食料を7泊分にして全部で20kgぐらいだ。

夕飯はこんな感じでとても美味しいのだ。根曲竹の天ぷらや炊き込みご飯が嬉しい。

夕飯後に宿のおばちゃんや常連客とグレート トラバース3を一緒に見たり話したりした。みんな山が大好きなのだ。

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盛夏・黒部五郎岳 2019 最終日

2020-04-25 | 徒歩の旅

8/7 (水) 晴れ

夜明け前、ゴソゴソと周りで音がして目を覚ます。今日は山を降りる日だ。暑くなりそうなので太陽が登る前に双六小屋を後にして登山口の新穂高温泉へ向かった。

振り返ると谷間に鷲羽岳と灯りが散らつく双六小屋が見えた。

下野草 (シモツケソウ)

左手に槍ヶ岳と穂高の山々を眺めながら歩いて行く。

黄苑 (キオン)

白山防風 (ハクサンボウフウ)

深山秋の麒麟草 (ミヤマアキノキリンソウ)

梅鉢草 (ウメバチソウ)

深山川芎 (ミヤマセンキュウ)

次はいつ来れるだろうか。そんなことを思いながら淡々と歩く。その正面には乗鞍岳がよく見えていた。

オコジョ出現!この写真でわかるかな、真ん中の小さな丸い塊。今回の山行でオコジョを見かけるのは2回目、すぐに茂みの木に駆け上がったので覗いてみたら近くまで寄ってきた。シャッターチャンス!とカメラを向けようとしたら逃げてしまった。オコジョって本当に可愛いのでどんな姿かネットで調べてね。

鏡平山荘を経て秩父沢出合と下っていく。林道に出てしばらく歩けばわさび平小屋だ。喉が渇いているがまだ朝の8時20分、ここはビールではなく目の前にプカプカ浮いているスイカを食べよう。

実際に食べるのはプカプカ浮いているスイカではなく、奥の冷蔵庫から出されるスイカなので趣きは半減した、って子供か!

今回は汗を大量にかく日々だったので、久しぶりにスイカに塩をかけてみ用途思った。塩をかけたら甘みをジュワッと感じて、志村けんさんのような勢いで食べてしまった。

新穂高温泉には9時半に着いてしまったがバスの時刻は13時40分、温泉にゆっくり浸かった。

風呂上がりにロープウェイ駅のレストランでビールを飲んでラーメンを食べた。今日も暑い日でラーメンを食べたら汗びっしょりとなった。お腹はタプタプだったけれどソフトクリームも食べておこう。

今回は天候の良い日に訪れることができて本当によかった。花咲く山々は日々のゴチャゴチャを忘れさせてくれる別天地だ。

歩いて、飲んで、食べて、寝る、この簡潔さに身を委ねて心が軽くなる、だから山歩きはやめられないのだ。

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盛夏・黒部五郎岳 2019 3日目

2020-04-19 | 徒歩の旅

8/6 (火) 晴れ

快晴、今日も暑くなるだろう。今日の予定は三俣山荘でお茶して、黒部源流を訪ねて、三俣蓮華岳から双六岳の稜線を歩いて双六小屋でテン泊だ。

黒部五郎小屋を5時に出て歩き出す。登りながら何度も何度も振り返って黒部五郎岳を眺めた。いい山だった、また来よう。

信濃金梅 (シナノキンバイ)

三俣蓮華岳の巻き道を三俣山荘方面へ向かって歩いていると何本もの水の流れを超えた。紛れもない黒部源流の一雫だ。記念に飲んでおいた。

三俣山荘に着いたが時間が早いので予想どうり営業時間外、黒部源流と呼ばれる場所まで荷物を置いて歩いてこよう。今回の装備は20kgぐらいだったので、手ぶらだと本当に早く歩ける。しかし20代前半の時と比べて10kg以上増えた脂肪がなかったらもっと軽いんだろうな、と思う、思うだけの人生である。黒部源流と呼ばれる場所までの道には花が咲いているので飽きることがない。

四葉塩竈 (ヨツバシオガマ)

車百合 (クルマユリ)

白山風露 (ハクサンフウロ)

ようやく川と呼べるような流れのある所まで下ると、黒部川水源地標と書かれた茶色の石柱があった。ここか、って着いて気が付いたけれど、どこが源なのかは人が決めることなのでどこでもいいのだ。

と言うことで踵を返して向かうは三俣山荘。開店と同時に入ってケーキセットを注文した。選んだケーキはフルーツタルトでコーヒーはなんとサイフォンで淹れられている。他のケーキにチョコレートとチーズケーキがあった。

山々を眺めながらのコーヒータイムは長閑で贅沢だ。この右側には槍ヶ岳と穂高の山々が連なっている。

三俣山荘の向こうにドーンと鷲羽岳、いい山だ。

三俣山荘のテン場を抜けて三俣蓮華岳へ、昨日も楽しんだ360度の大パノラマを楽しんだら双六岳へ向かう稜線を歩く。左には槍ヶ岳から穂高の山々、右には黒部五郎岳から遠くの白山の山塊、そして笠ヶ岳、素晴らしい道だ。

双六岳で少し休憩して双六小屋に向かう。槍ヶ岳へ向かう丘陵の道を歩いているとどこか異国にいるかのようだった。

それにしても暑い、双六小屋に着いたら冷たいビールがご褒美だ。もう少し、もう少し、と小屋を目指した。

テントを張ってカウンターで生ビールを頼んだら、なんとビールサーバーが準備できていないので販売まで1時間半ほどかかるとのこと。あと90分待つと言う選択肢は目の前の缶ビール(エビス)によって消え去った。

小屋前のテーブル席で柿の種(ピーナッツなし)をつまみに缶ビールを飲んでサーバーの復活を待った。次第に混んできてテーブルは満席に。相席になった方々のひとりの話し言葉が祖母のものと同じだったので聞いてみたら、やはり祖母と同郷であった。もうひとりの方は5年で百名山を達成したそうだ。スライスチーズの海苔ばさみや他の手作りのおつまみなどいただいて山の話をした。そしてサーバーは1時間ほどで復活したので、めでたくジョッキでビールを飲むことができた。

浅葱斑 (アサギマダラ)が腕や頭の周りを舞っていた。何をしているのだろう、腕にとまったらグルグルした口を伸ばして汗を吸っているようだった。ミネラルがいるんだね。

今日の夕飯はカレー、セブンのサラダチキンを投入。テン泊でカレーは久しぶりだな。

これを書いているのは2020/4/19、今まで使っていたフライパンは20cmを超えるものだったのだけれど、デカイし重いので最近17cmのものを手に入れた。山で使えるのはいつになることだろう。

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盛夏・黒部五郎岳 2019 2日目

2020-04-18 | 徒歩の旅

8/5 (月) 晴れ

3時に起きると星がよく見えた。ゆっくりと支度をして5時に双六小屋を後にした。

今日は三俣蓮華岳を経て黒部五郎岳に向かう。晴れて入れば双六岳を経る稜線、曇って入れば巻き道と決めていた、分岐点で結構ガスっていたので迷わず巻道へ向かった。

昨年巻き道を歩いたとき花がたくさん咲いていたので今回もと期待した。昨年巻き道を歩いたときの日記はコチラ

昨年は小梅蕙草 (コバイケイソウ)の当たり年だったようだけれど、今年も結構咲いている感じだ。

岩鏡 (イワカガミ)はいつ見てもかわいい花だ。イワカガミの葉が鏡のようだと言われているが、いつも花ばかり見て葉っぱは見ていないなぁ。

三俣蓮華岳に着く頃には空はすっかり晴れ渡った。360度のパノラマをくるくる回って楽しんだ。どこから見ても槍ヶ岳は目立つ山だなぁ。

ここから黒部五郎小屋までは下るのみ、道が狭いので何度かグループの人が過ぎるのを待った。北アルプスはやっぱり人気の山域なのだなぁ。

だなぁ、と思うことばかりが山歩きなんだなぁ。

深山大根草 (ミヤマダイコンソウ)

稚児車 (チングルマ)

白山一華 (ハクサンイチゲ)

唐松草 (カラマツソウ)

黒部五郎小屋に着いてテントを張った。ここは別天地だ。遠くに薬師岳が見える。

まだ朝の9時半、軽くなった身で黒部五郎岳を目指す。最初の樹林帯を歩いていたら藪の中を勢いよく何かがこちらに向かっている音が聞こえた。警戒する暇もなく目の前を大きな兎が通り過ぎて行った。びっくりしたが、ここにはあの兎が生きて行くだけの餌があるのだなと思った。草いきれを抜けるとカールの上部から涼しい風が吹いていた。行動食をボリボリ食べたり、途中の岩清水をガブガブ飲んだりしながら、歩いて行く。足下に小さな花を見つけることは小さな幸せだ。

岩銀杏 (イワイチョウ)、こうして帰ってから知らない花の名前を調べるのだけれど、次に見かけたときに思い出せるのだろうか。

カール終端の急登を登って尾根に出たら頂はもうすぐだ。尾根を通り抜ける風は少し冷たかった。

黒部五郎岳に登頂。手作りの銘板が置かれていた。

帰りは登ってきたカールではなく南側の稜線のルートを選んだ。山と高原地図では破線ルートとなっているが、気持ちの良さそうな尾根が続いている。

這松 (ハイマツ) に石楠花 (シャクナゲ)が咲く道に、時折手頃な岩が現れる変化に富んだ楽しいルートだ。

振り返って黒部五郎岳とその下に広がるカールとモレーン を眺める。カールは圏谷と呼ばれる氷河に削られた岩の谷で、モレーンは削り取られた岩石が溜まったり散らばっている地形だ。

頭の中がお花畑になって歩いていると2羽の雷鳥が目の前に現れた。そのうちの1羽は砂浴びをしていた。全く逃げる気配がない、砂浴びが終わるのを待って先に進んだ。

稜線のチングルマはすでに花が綿毛に変わっていた。稜線の季節は谷よりも先に秋が近づいている。

樹林帯に入ると登山道は雨水で深く削られていた。そこを抜けて平らな場所に出るとそこはテン場だ、時刻は13:20、張られたテントも増えてきた。

小屋では缶ビールなどが冷やされているが、ここは生ビールだ、ジョッキで生ビールだ。冷たいビールをこんな場所で飲めることは僥倖の極み、超絶ラッキー、脳みそが溶けていく。

ゆっくりビールを飲んだらテン場に戻ってゆっくりとご飯の準備だ。缶詰のイワシの味噌煮にミニトマトを放り込んでチーズで和えた。

おつまみが終わったらメインだ。イベリコ豚のミートソースパスタにセブンのハンバーグを投入、なんかペンネがふやけて大変な量になってしまった。食べきれないな、きっと。

持ってきたレトルトパウチのワインを飲みながら隣にテントを張った元山岳部、20年ぶりの山行と言う方と取り留めもない話をしばらく続けた。気軽に知らない人と話ができるのもひとり旅のいいところだ。

夕方、遠くにあった黒い雲と雷の音が急にやってきて激しい雷雨となった。酔っ払って溶けた脳みそでテントを打つ雨粒の音を聞いていた。

 

 

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盛夏・黒部五郎岳 2019 1日目

2020-04-11 | 徒歩の旅

8/4 (日) 晴れ

初夏の大雪・十勝岳連峰の縦走は充実した日々であったが、好天に恵まれず厳しい山行であった。その山行から帰って3週間、天気に恵まれて美味しいものを食べるゆったりとした山歩きに行きたくなった。

花咲く北アルプス、黒部五郎に行こう。行程は3泊4日、まったりキャンプ旅の始まりだ。蒸し暑い東京の夜を抜けて竹橋から夜行バスで新穂高へ向かった。

8時間後にバスは新穂高温泉に着いた。林道を歩いてわさび平小屋に到着、冷えた果物や野菜が出迎えてくれた。帰りに寄ろう。

トイレと水の補給をして歩き出す。登山道の傾斜が大きくなり、太陽も昇って汗だくで進んでいく。ふと立ち止まって風の音を聞き、道端の花に癒される。

下野草(シモツケソウ) の仲間だろう。

秩父沢出合の冷たい水で顔をジャブジャブと洗った。気持ちいい!ここは風も涼しいので多くの人が休んでいた。

この花の名はなんと言うのだろう。まぁ、他の花の名前も間違えているかもしれないから、かわいい花と言っておこう。(その後、味噌川草 ミソガワソウ であることが判明)

鏡池に到着、穂高の山々の頂に雲が湧いていた。

鏡池からすぐのところにある鏡平山荘で食べたい物があった。

練乳もあるのか、ここはいちご一択であろう。暑かったので飲むようにかき氷を一気に食べた。こめかみが痛くなってもかまわない。

蝦夷塩釜 (エゾシオガマ)、だと思いたい。

信濃金梅(シナノキンバイ)

ん、鷲羽岳が見えたかな。もう一息だ。それにしても暑い、暑い、暑い。

日光黄菅 (ニッコウキスゲ)だよね。

大文字草 (ダイモンジソウ)

四葉塩釜 (ヨツバシオガマ)

深山竜胆 (ミヤマリンドウ)

白山風露 (ハクサンフウロ)

午前橘 (ゴゼンタチバナ)

バテバテで双六小屋に着いた。テン場は高校や大学の山岳部の合宿で結構な賑わいだ。

テントを張り終えたらビールだ。山小屋に求めるもの、それは冷えたビールだ。鷲羽岳にジョッキを掲げた。

初メスティン 、ヒジキを入れてご飯を炊いてみた。塩気が足りなかったが、おかずは沖縄そばに豚肉の生姜焼きなのでこれでいいのだ。

そして、持ってきた缶ビールはすっかり温まっていたので栄養ドリンクと思って飲んでしまった。

双六池を眺めたり、思い思いに過ごす登山者を眺めたり、コーヒーを飲んだりして時間はすぎていく。

日が傾いてテントの中にいられるようになった5時ごろに寝てしまう。疲労感の中で眠りに落ちていく瞬間が好きだ。

 

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大雪山・十勝岳連峰縦走 2019 最終日

2020-03-14 | 徒歩の旅

7/8 (日) 晴れ

今日はこの山行の最終日、よく晴れて気持ちのいい朝を迎えた。心はとても穏やかだ。次第に明るくなる東の空、雲海に浮かぶ山々は本当に小島のようだ。

いつもの朝と変わらず、アルファ米、スープそして甘いコーヒーの朝ごはんで身体を温める。

そしていつものように寝袋を丸めてテントを畳んでザックに詰めて、上ホロ避難小屋のテン場を後にした。

穏やかな東側の山容に比べて西側は活動を続ける火山の火口だ。

行く手に富良野岳が見える。旅の終着点だ。長かったようであっという間、よく聞く言葉だけれどそんな思いが頭をよぎる。

振り返って昨日歩いた十勝岳を望む、岩と砂礫の山は美しい形をしている。

いくつかのピークとお花畑を抜けて富良野岳に着いた。山中で5泊、白金野営場で2泊、霧に包まれ雨に打たれた日々、やはり最後は晴れがいい。

歩きはじめた旭岳が彼方に見えた。あそこから歩いて来たんだという充足感が身体中を満たす。

富良野岳の頂で喜びをたっぷり味わってから十勝岳温泉に下山した。当初はここの凌雲閣に宿泊しようと思っていたが予定がずれ込んだので、温泉に浸かってお昼ご飯を食べるだけにした。

館内でシャロやんのポスターを発見、2015年の春はシャーロットのミニコンサートに行ったなぁ、秋にはマッサンのロケ地である十勝牧場にも行ったなぁ。その時の日記はコチラコチラのリンクをクリック。

そして風呂上がりにはこれだ。サッポロ クラシック、本当に美味い。このあとは地ビールとカツ丼、それらも美味い。

食後はこれだ。北海道とうきびモナカというアイス。固くて冷たかったのでしばらく置いておけばよかったかもしれない。

凌雲閣から町営バスで上富良野駅に向かった。上富良野までの道のりはこれまでバイクツーリングで何度も走った極上のワインディングロードだ。途中のフラヌイ温泉もスーパーチェーンふじも懐かしい。

雲上の世界から降り立った上富良野は照りつける日差しが痛いくらいで熱気が身体にまとわり付いた。

上富良野からノロッコ号に乗ってファーム富田でラベンダーを観たり隣のとみたメロンハウスでメロンでも食べたりしようと思ったのだけれど、乗り合わせの都合で15分しかいられないことがわかった。

残念、まただな。どんなところかはコチラまたはコチラまたはコチラのリンク。

列車は海外からの観光客で満席だった。そして頭上に連続テレビ小説、なつぞらのポスター、窓を流れる水田や畑、遠くの山々、いい、実にいい旅の終わりだ。

さようなら、大雪と十勝の山々。

 

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大雪山・十勝岳連峰縦走 2019 7日目

2020-03-10 | 徒歩の旅

7/6 (土) 曇り時々晴れ

今日はよい天気になりそうだ。2日過ごした白金温泉野営場を後にして十勝岳の登山口である望岳台まで道路を歩く。気分は田中陽希だ。

1時間ちょっとで望岳台に到着した。以前訪れた時には古い施設の入り口が閉ざされていたが、すっかり新しくなった快適な施設がそこにはあった。

そして今日は土曜で登山日和、駐車場は車と登山者がいっぱいだった。時折雲の中から現れる十勝岳の頂きを眺めながら黒い溶岩の砂礫を踏みしめて歩いていく。

勾配が緩やかになって大きな噴火口が現れた。十勝岳は今も活動を続ける生きた火山なのだ。

ほどなくして十勝岳の山頂に到着した。山頂は混んでいたので写真を撮ってすぐに上ホロカメットクに向かった。

荒涼とした稜線を下って十勝岳を振り返る。

上ホロ避難小屋のテン場に着いてテントを張る場所を探す。早く着いたので選び放題だが、まともに張れる場所は10箇所ぐらいだ。

広すぎず狭すぎず景色のよい場所にテントを張った。濡れた服や道具を全て乾かしてもまだ12時、ゆっくりワインを飲んでご飯を食べて片付けてもまだ14時半、あとは寝るだけ。

しばらくするとテン場は激混みとなり、すぐ隣にパステルカラーに身を包んだカップルがテントを張り出したので、挨拶したら返事がないので聞こえないのかと思って大きな声で挨拶したら、女性の方だけ挨拶を返して男性の方は無視、こちらも相手にしないことにしよう。彼らのテントの張り方が危ういが風がないから良いだろう。そう言えば以前北アルプスで家族連れに狭い道を譲った際に挨拶したら無視されたことがあった、挨拶ができない子供がああやって育つのだろう、可哀相なことだ。

上ホロ非難小屋の水場はこんな感じの雪解け水だ。ちょっと上の方に動物の糞があったのでそこからの流れでない場所で水を汲んだが浄水器は必須だ。

この辺りは蝦夷小桜(エゾコザクラ)や蝦夷の栂桜(エゾノツガザクラ)が多く咲いていた。これはエゾノツガザクラ。

ようやくここまで来た。明日は最終日、最後の夜はなんとも言えない充足感に包まれていた。

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大雪山・十勝岳連峰縦走 2019 6日目

2020-02-09 | 徒歩の旅

7/5 (金) 曇り時々雷雨

天気予報は雨と雷雨であったため休養日とする。

予報と違って薄曇りなので、テントの中に濡れた服を干して散歩することにした。十勝連峰を見上げると山は雲の中であった。

白金野営場から少し下った温泉街で白髭の滝と青い川を大きな橋の上から臨んだ。この青い色は水酸化アルミニウムのコロイドとのこと。魚は住んでいないだろう。

レストランのあるホテルで温泉に入った後、鹿肉のステーキを食べた。もちろんサッポロクラシックの生も忘れず飲んだ。

時間はたっぷりあるので青い池に寄って道の駅まで行ってみよう。途中にあった白金滝不動尊に寄ってみた。ここは観光地の喧騒から離れた神秘的な場所だった。石像も不動の滝も厳かであった。

有名スポットである青い池、曇っているため少し暗めだった。青い池には大きな駐車場と売店が出来ていて大混雑であった。ソフトクリームに少し惹かれたが道の駅まで我慢しよう。ここは混みすぎだ。

道の駅へ向かって街道の1本横の歩いていたら所々にベンチが置かれていたが、誰も歩いていない。野営場からここまで5キロ以上、不動の滝で海外からのバックパッカーのカップルに会ったぐらいだ。

道の駅に着くといきなり雷鳴が轟き土砂降りになった。傘を差したが役に立たない、建物に逃げ込んでしばらく待ったいたら雨は雹に変わった。

身体が冷えてしまったので雹が止んですぐに駐車場横のコーヒーショップに入った。ケーキセットでもと思ったが、飲み物以外は売れ切れだった。

お店の人と話していたら野営場まで車で送ってくれると言ってくれた。北海道では今まで何度も優しい声をかけてもらった。普通店を閉めてまでも送ってくれるなんて言わないだろう。その心遣いだけで嬉しいと伝えてお断りした。

しかし、送ってもらったらよかったと思うことがそれからあるとは夢にも思っていなかった。

再び土砂降りとなり、下半身はずぶ濡れ、歩道は川と化し裸足にサンダルだったので冷たい水に身体は震えた。そして近くで鳴り止まない雷。山でもこんな恐怖は感じたことがない。

とにかく歩くのだ。白金温泉街に着く頃、やっと雨が上がった。ふやけた足には大きな水ぶくれができていた。明日の山は大丈夫だろうか。

とりあえず、林道食堂に入ってビールと味噌ラーメンとライスで栄養をつけた。少し身体が温まりホッとする。十勝連峰も美瑛岳を中心に頭を見せてくれた。

ゆったりとした気持ちで野営場に戻ると、テントが何か変だ。オーマイガ〜、と言うのはこう言う時に使うのだろう。テントが浸水していて防水袋に入っていなかったものが全てビショビショであった。マット、バックパック、タイツ、レインウェアの下。寝袋はしっとりと重い。暗くなる前に片付けよう。全ての荷物を外に出してテント内の水をかき出した。すでに芝生の水は引いていたが、只ならぬ雨だったので何時間か水たまりになっていたのだろう。そして知らない間に昨日と今日ブヨと小さな虫に刺されてしまい痒くてたまらない(泣)。
明日晴れることを祈って湿った寝袋に潜り込んだ。

 

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大雪山・十勝岳連峰縦走 2019 5日目

2020-01-26 | 徒歩の旅
7/4 (木) 曇り
今日は最後の宿泊地である上ホロ避難小屋を目指す。もうすぐ旅も終わりだなと思う。
明るくなったのでテントの外へ出ると東の空が明るくなっていた。あとで確認してみればカメラのレンズが曇って朝焼けの写真はボケボケであった。
 
何はともあれご飯を食べて身体を温める。そしてまた濡れて冷たい行動着に袖を通し、歩くとズブズブ言う靴を履いた。今回の旅は本当にびしょ濡れの旅でもあった。
ご飯を食べると便意をもよおす。自然の摂理である。前日は雨だったのでテントの中で携帯トイレに用をたしたが、今日はキリリとした外気に包まれて携帯トイレに用をたした。誰もいない山の中だからできる解放の時間。
持って行った乾燥食料に水を加えて食べるのだけれど、それが外に出ると食料よりも重くなってしまう。携帯トイレの袋に納められたそれを担いで山を歩くときトイレの有り難さを感じるのだ。
 
昨日霧の中だったピークをオプタテシケ山だと思ったのだが、今日ピークに立って確認してみればオプタテシケの頂はその先にあった。
これがオプタテシケ山頂、自撮りの顔を見ると山に入って5日目となり髭が伸びてきた。
オプタテシケ山の頂を後にすると反対から登ってくる人が。おおっ、2日ぶりに人とすれ違う。話をすると美瑛富士の登山口から登ってきたとのこと。
そこから少し降って振り返るとオプタテシケ山はピラミダルな山容でかっこいい。
この辺りに花は少なく、お馴染みのヨツバシオガマがチラホラするぐらいであった。
美瑛富士キャンプ地への分岐で休憩してズブズブの靴を脱いて靴下を絞った。ふやけた足の爪に細菌が入り化膿していたが、消毒してテーピングして歩けば問題はなさそうだ。行動食を口に入れて霧の中を再び歩き出す。
 
美瑛岳方面に少し行くと雪渓が現れた。数歩歩いてみたらシャーベット状になっており足が取られる、かなり危険な香りがする。バックパックを下ろしてチェーンスパイクを着けて歩いてみても足を出すたびにスリップしてしまう。とてもバックパックを背負って歩けるような状態ではない。下を覗くと滑ったら200メートルは滑落しそうだ。少しの間どうしようか考える、ここを通らない場合は一度近くの登山口まで降りて20kmぐらい迂回する必要があるのだ。霧と地形の関係でで先が見えないが美瑛富士分岐までまだ数百メートル、その間ずっと雪渓かもしれない。ここは一旦山を降りると言う選択が最善だろう。そうと決まれば下山だ、直近の国設白金野営場を目指すことにする。
登山口に向かう途中の美瑛富士避難小屋は霧の中だった、そこから人が出てきたら朝オプタテシケ山で会った方であった。
ここからが悪路の連続で登山道が時々川になったり、藪となったり、ヌルヌルした道を滑らないよう気をつけて進んだが厳しい道だった。
かなり疲労したが無事登山口に到着した。そこから久しぶりにアスファルトの道を歩いて白金温泉に向かった。
登山口から2時間ほど歩いて白金野営場に着いた。ここは5年前の秋のツーリングで富良野岳に登った時に宿泊した場所だ。その時の日記はコチラ。その時キャンプ場で転んで顎を打ち、持っていたヘルメットのスタビライザーが割れてしまったことを思い出した。
気持ちの良い芝生の上にテントを張ったら温泉へ向かう。久し振りのお風呂は気持ちよかった。町営の温泉施設で200円ととても安いのだが、失敗したのはシャンプーもソープもないことだった(泣)。バイク旅だとシャンプーもソープも持っているのでいいのだけれど、今回はそれらを持っていなかったのだ。お風呂でさっぱりしたらビールだろう、少し歩いたところにある林間食堂でビールと大盛りの親子丼をオーダーした、久しぶりだとビールも親子丼もとにかく美味い。
ほろ酔い加減でキャンプ場に戻って天気予報を確認すると明日は雨のち雷雨の予報だった。最後は晴れた山で過ごしたいので明日は休養日にしようと決めた。そして平らな土地で眠れる幸せを噛み締めながら意識を失っていった。
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大雪山・十勝岳連峰縦走 2019 4日目

2020-01-15 | 徒歩の旅
7/3 (水) 曇り時々晴れ
昨夜の豪雨が嘘のように未明の空が明るくなった。テントを出てみると南沼のキャンプ指定地から見えるトムラウシの頂は手が届きそうなところにあった。
今日は三川台、ツリガネ山、コスマヌプリを経て双子池まで行く予定だ。聞いた話ではここからが藪漕ぎの核心部らしい。
テン場を後にして少し行くと霧が晴れて緑の山稜が見えた。気持ちいいね〜。この後再び霧に包まれたと思ったらブロッケン現象に遭遇、と思ったらすぐに消えてしまった。ブロッケンの妖怪と言うより如来君臨と言う感じがする、日本に住んでいるので知らず知らずのうちに仏像を見る環境があったのだろう。
霧に覆われた笹原を進んで行く。聞こえる音は小さな鳥の鳴き声と自分の歩く音だけ、静寂の世界だ。
岩鏡 (イワカガミ)
三川台を過ぎると藪となる。これは笹薮で少し窪んだ所に道がある。さて行きますか。下が見えないのでつまずかないように歩く。

途中で崩落地に遭遇した。あちゃー、迂回路はないかと少し戻ってハイマツの中に見つけた踏み跡を辿る。ハイマツの中を行くのは結構厳しい。

ちょっと休もう。荷物を降ろしての休憩は2時間に1回ぐらいだ。
今日はとにかく藪との闘いだ。この先にえいやっと突っ込んで行く。ハイマツの中を進むと松ヤニが結構体に着いた。

ここはちょっと濁っているが飲み水は基本的に雪解け水を浄化して使った。
南沼のキャンプ指定地は雪渓の真下にあり沼地となっていてテントを張れる良い場所がなかった。時間に余裕があったので雪渓の上まで行ってそこにテントを張ろうと思い、雪渓を登っていった。
ルートは不明瞭なので地図とGPSを頼りにジグザグと登って行く。雪はしゃりしゃりとして如何にも滑りそう、と思い滑落したときのことを考え雪渓の端を登っていたらやっぱり滑落、10メートルぐらい滑って下に見えた岩にガシッと着地できた。危ない、危ない。そこからチェーンアイゼンを着けて登山ルートをを目指して雪渓をトラバースした。
雪渓を登り切ったがテントを張れるような場所はなく、そのまま歩き続けた。ピーク20メートル直下にギリギリテントを張れるような場所があったが、ピークまで行けばもっと平らな場所があるだろう登り続けた。やっとピークに着くと虚しくも場所はなく、霧も出てきてしまった。この疲労度で先に進むのは危険だ。先ほどの少し斜めになった狭い場所まで戻ってテントを設営した。結局双子池のキャンプ指定地を出て2時間以上経過していた。
今日は藪漕ぎでビショビショ、登山道はドロドロ、雪渓はヘロヘロ、歩いたなぁと言う1日であった。そして誰にも会わない1日であった。今日はやり切ったなぁと暖かい寝袋に潜り込んだらすぐに深い眠りに落ちてしまった。
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大雪山・十勝岳連峰縦走 2019 3日目

2020-01-07 | 徒歩の旅

7/2 (火) 晴れのち曇りのち雷雨

テントから顔を出すと晴れ間が見えた。ここだけぽっかりと雲がないようだ。キャンプ指定地から昨日歩いた忠別岳の頭が見えた。気持ちのいい朝となった。

隣人に挨拶をしてテン場を後にする。今日彼女は行けたら南沼、天気が悪かったらヒサゴ沼まで行き次の日にトムラウシにアタックするとのことだった。僕は南沼まで行く予定だ。

忠別岳避難小屋前の雪渓を横断して尾根を目指す。尾根からこれから向かう化雲岳方面が見えた。山はやっぱり晴れがいい。

五色岳を経て低いハイマツの登山道を抜けると木道が現われた。途中エサを求めて動物が掘ったと思われる穴があった。熊ではないかもしれないが、一度熊を見てみたいなと思う、近くではなく遠くからだ。

先に見えたのが化雲岳だと思ってこの写真の先の雪渓を登ったら違っていた。雪渓ではよくあることだ。雪渓を降って登山道に戻り先に進むと化雲岳への分岐に出た。

化雲岳はパスして分岐点から少し行くと大きな雪渓の左から人が歩いてきた。その若い男性とすれ違った時に挨拶したが、この先の状況を聞かなかった。そしてその雪渓に突っ込んで行った。大きな雪渓は稜線をトラバースする近道に見えたのだ。眼下に彼が歩いて来たヒサゴ沼が見えてきた。ヒサゴ沼には向かわずそのまま標高を保って歩いて行くと雪が途絶えてハイマツの海になってしまった。うーむ、登山道まで300メートルほどだと思うがハイマツ帯を抜けるのは現実的ではない。そこで進路を反対に取って雪渓の切れ間にヒサゴ沼から化雲岳へ向かう登山道を探した。登山道が見つかって元々予定していた稜線のルートに戻った。結局1時間ほど余分にかかってしまった。これもまたよくあることだ。

ようやく稜線の登山道に戻ると化雲岳のあたりに小さく人影が見えた。もしかすると忠別岳避難小屋のテン場で一緒だった人かもしれない。

その後天沼がある日本庭園と呼ばれる場所を行く。天気が良ければ素晴らしい景色だろう。

雲は垂れ込み小雨が降っている。日本庭園の先のロックガーデンあたりは残雪も多く道がよくわからない。地図やGPSを頼りにトムラウシを目指した。少し雲が切れて北沼が見えてきた。
北沼に着いた。天気も相待ってとても寂しい雰囲気が漂っていた。この辺りは10年前に大きな遭難が発生した場所で8名の方が亡くなっている。少しの間冥福を祈った。

トムラウシ山の頂まではもう少しだがガスっていて距離感が掴めない。

トムラウシの頂上に着いてホッとしたが周りは全く見えない。写真をLINEで家族に送って足早に下山する。

標高を200メートルほど降れば南沼のキャンプ指定地だ。半分ほど歩くと本降りとなってしまった。

キャンプ指定地は川の横にありどこも濡れていた。雨の降るなか少しだけ高い場所にテントを張った。浄水器を使って横の川で水をたっぷり汲んだ。その後濡れた服を着替えてご飯を食べて身体を温めた。何かを食べることは精神を落ち着かせてくれる。
その間にも雨は強まり雷雨となった。すぐ近くで雷が轟き、結露がボタボタ落ちるくらいの雨がテントを叩き続ける。風がないのがせめてもの救いだ。
しばらくするとテントの下を水がジャカジャカ流れてテントの中もビショビショになってしまった。ここは水の通り道だったようだ。なんてこった。結局明け方までスポンジで水を抜く作業を続けることになったのだった。

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大雪山・十勝岳連峰縦走 2019 2日目

2020-01-06 | 徒歩の旅

7/1 (月) 霧

朝起きると周りは霧に包まれていた。出発の準備をしているとテン泊していた一人の女性が近づいて来てどちらまで行かれますかと尋ねた。今日は忠別岳避難小屋であることを伝えると、同じ予定で今夜の宿泊が一人にならなくてなくてよかった、とのこと。
一人きりの野営はとても心細い。僕の場合、誰もいない場所での野営の緊張感が好きなのだけれど、全ての人がそうではないのだ。もちろんウェルカムなので、お先に行っていますと言って白雲岳避難小屋を後にした。

霧のため良くても視界は数百メートル、晴れていれば素晴らしい景色だろう。それはまた来たときのお楽しみだなと思い、足下の花を見つけながら歩いて行く。

蝦夷御山の豌豆 (エゾオヤマノエンドウ)

岩梅 (イワウメ)

猩々袴 (ショウジョウバカマ)

蝦夷鹿の足跡。羆 (ヒグマ) のいる気配はない。

細葉得撫草 (ホソバウルップソウ)

ホソバウルップソウは今回楽しみにしていた花である。丈の短いホソバウルップソウも咲いている。

綿菅 (ワタスゲ)

黄花塩竈 (キバナシオガマ)、日本ではこのあたりでしか見られないらしい。

稚児車 (チングルマ)

風雪に晒された道標は高原温泉を指していた。高原温泉は沼巡りのために訪れたことがある。その時の日記はこちら

ただ霧の中を進んで行く。本当にただ進んで行く。

進行方向左側は急峻な崖になっているが下の様子は見えない。この下には綺麗な沼がいくつもあるのだ。

蝦夷の白山一華 (エゾノハクサンイチゲ)

駒草 (コマクサ)、コマクサは他の植物が生えていない砂礫地に生えている。砂礫の開拓者だなぁ。

黄花石楠花 (キバナシャクナゲ)、ホッとするの好きな花。

忠別岳山頂に着いたが何も見えず。向こう側は崖のはず。

忠別岳を下っていると茶色の塊が足元から前に跳ねた。かわいい蝦夷兎 (エゾウサギ) の子供だった。雨に濡れて寒そうだった、独り立ちしたばかりだろうか。

下りきって振り返れば霧が少し取れて忠別岳が現れた。

忠別岳避難小屋は稜線の分岐点から下った場所にあり、小屋まではハイマツとササの中のえぐれた道を行くので胸から下が再び濡れてしまった。小屋前の雪渓はかなり融けていてクレバスが多くジグザグに歩いて三角屋根の小屋に到着した。

小屋の前のトイレの前にテントを張るスペースはほとんどなかった。そこがテン場だと思ったので、今日は小屋に泊まるか、と小屋の扉を開けると若いメンバーのパーティーがトランプに興じていた。泊まる予定であることを告げると場所を空けてくれようとした。2階が空いているか聞いたところ空いているとのことだったので入り口横の梯子を使って2階に上がった。レインウェアを脱いでどこに寝ようかと考えていたのだけれど、小屋の中は暗い運動部の部室のようだったのでうーむと思った。解放的な場所で寝たいので、テント場はどこか彼らに聞くと下の方にあるとのことなのでそちらに移ることにした。

そこは雪渓前の小ぢんまりとしてとても静かな場所だった。これだよ、これ。とっても良い感じ。

テントを張る前に雪渓で冷やしておいたビールをいただく。フッフッフ、とはこのことだ。

それにしても今日はとても静かな山行だった。白雲岳の避難小屋を出てここに着くまで誰にも会わなかった。動くものは小鳥、シマリス、エゾウサギだけ。

それからしばらくして白雲岳で朝話した女性が到着した。やはりトイレ前のスペースをテン場だと思い、小屋の中の宿泊者にこの場所を聞いたとのことだった。

それから今回の山行を含めてひとしきり山の話で盛り上がり、やっぱり大雪はいいねと意見は一致した。

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大雪山・十勝岳連峰縦走 2019 1日目

2020-01-05 | 徒歩の旅

2019年はほとんど更新がなかったな、と少し反省をしました。そこで昨年2日分だけ書いて放っておいた大雪山・十勝岳連峰縦走のことを見直して完成させようと思います。
と言いつつつも今日はもう1月5日、明日から仕事となりました。まぁ、いいか、今年の冬休みは大晦日の夜から熱が出て体調を崩し、三が日を寝て過ごしたのだからと自分を納得させます。では行ってみましょう。

6/30(日) 晴れ

旭岳裏の黄花石楠花(キバナシャクナゲ)

何度か訪れたことのある北海道の大雪山と十勝岳連峰の山々、いつか北の旭岳から南の富良野岳まで歩いてみたいとぼんやりと考えていた。歩くなら今だな、今年の夏、大雪山・十勝岳連峰縦走に挑戦してみようと思いたった。

咲き誇る高山植物の花を見るためには7月中旬がベストかもしれないが、そこは予定が入っていたので6月末から訪れることになった。この時期は残雪と藪漕ぎが想定されるので余裕を持って5泊6日の行程を組んだ。

山旅が成功するかどうかは準備で決まると聞いたことがある。一度出発してしまえば後は現地でやりくりするしかないからだ。長旅なので出発の1週間前に準備を整えた。コース上に営業小屋はなく途中で食料を補充することはできない。テント泊装備と6日分の食糧に予備食、缶ビールとワインなどを入れて20kgを超える荷物となった。食料はギリギリの量だ。それほど多くの雪は残っていないようだったのでクランポンとアイスアックスは持たず、チェーンスパイクのみ持った。

前日、飛行機で旭川に入って登山口のある旭岳温泉までバスで移動した。その頃毎日雨が降っていて出発は当初の予定から2日ずらしたのだった。晴れていたら登山口でもテント泊にしようと思っていたのだけれど天気予報は雨なので宿にお世話になることにした。

朝起きて窓の外を見ると降っていた雨は朝には上がったようだ。晴れなくても雨にならなければいい。

前泊した大雪山山荘を出発する。登山者向けの宿で暖かく明るい女将がもてなしてくれ、お見送りまでしてもらった。

宿から数分のロープウェイ山麓駅からロープウェイに乗って姿見駅まで10分ほど、久しぶりに期待に胸が高鳴る感情を覚えた。空は雲に覆われていたが旭岳はしっかり見えた。

さぁ、行こうか。これから数日山に入るかと思うと顔がにやけてしまう。旭岳を目指す登山者は結構いたが大きな荷物の登山者はいないようだった。まだ縦走は盛期でないからだろう。

天気予報は何だったのか、頂上が近くなるに連れ空が晴れて行った。これから歩くトムラウシ山、十勝岳連峰の山々が見えた。これを全て歩くのだと思うとテンションマックスである。

有名な金庫岩、本物の金庫なら相当でかい。旭岳の頂上はもうすぐだ。

旭岳の頂上までは人も多いが、そこから先へ行く人の数はかなり減る。長い雪渓が残っている旭岳裏をガシガシと下って行く。スキーやソリがあったら楽ちんだろうな。

千島金梅(チシマキンバイ)?の花にバッタが止まっていた。花の中は暖かいのだろうか。なんとかのキンバイって見分けが難しい。

峰蘇芳(ミネズオウ)、漢字で書いたら読めないな。

赤味を帯びたキバナシャクナゲ、厳しい環境なのでシャクナゲも大きくなることはない。

あー来てよかったと思える一瞬、それが何度も何度も訪れる。

お鉢平の縞々模様が美しい、左から北鎮、凌雲、桂月、黒岳。あちら側から見たお鉢平も美しい。

キバナシャクナゲの他、岩梅(イワウメ)も盛りであった。

蝦夷御山の豌豆(エゾオヤマノエンドウ)だと思う。

北海岳までの稜線は少し風が吹いていた。白雲岳の分岐に着く頃はすっかり曇ってしまったので白雲岳はパスした。

そこから少し行くと雪渓の向こうに白雲岳避難小屋が見えた。その左の雪渓を緑岳に向かうパーティーもいた。

白雲岳をパスしたので白雲岳避難小屋に12時45分に着いてしまった。ガラガラのテント場にテントを張る。この日のテン泊は全部で4張りだけだった。

テントを張ったらダラダラ、いやゆったりと過ごす。雪解け水で缶ビールを冷やして飲んだ。北海道でサッポロビール、ってどこでもサッポロだけど。

夕食はパスタ、ソースはコストコで買ったイベリコ豚のミートソース、これが毎日続くのだけれど飽きない味なのだ。

その後テン場には山岳部の団体とふた組ほどのテントが立てられた。山岳部の方々は大鍋でアルコール類を冷やしていて、その真ん中にスパークリングワインが鎮座していた。羨ましい限りだ。

盛り上がる隣人を他所に横になってラジオを聴いた。ここは驚くほどラジオが入るのだ。AIR-G' (FM北海道)を聴いていたらサカナクションの山口一郎さんが11日前にリリースされたニューアルバム「834.194」の全曲を紹介すると言うもの凄い番組をやっていた。山口さんの話を北海道で聴くことができて本当によかった。その後中島みゆきさんのアルバムを聴きながら眠りについたのだった。

スタートは申し分のない日となった。素晴らしい!

 

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残雪の聖岳 最終日

2019-06-16 | 徒歩の旅

5/4 (土)

朝起きると足の痛みが少しだけ治ったような感じがした。足の付け根の痛みは足をあげる時に感じるのでほとんど下りの今日は大丈夫だろう。

アルファ米とポタージュスープで体を温めて3:45に友人より少し早く聖平小屋を出た。夜明け前の静かなひととき、雪を踏む音だけが聞こえる。

薊畑まで少し登ったらあとは下るだけだ。早朝で雪が締まっているのでトレースを外れてジグザグに進んで行く。調子に乗っていたらルートを外れてズボズボ埋まりだした。

雪に隠れていた折れた立ち木に小指をぶつけて少し血が出てしまった。トレースに戻ろう。

少し行くとルートは合っているもののトレースがなくなって腰まで埋まってしまった。ルートを間違えたか、尾根に向かってみたがトレースはない。地図やGPSで確認下がやっぱり合っている。さてどうしようと考えていたら友人が追いついた。

友人もこのルートでいいと言った。ちょっと先を見てくると友人が進むと僕が埋まった場所の先にトレースがあった。友人は雪に埋まらなかった。友人より体重と荷物で10kgぐらい重いのでその差で踏み抜きが多いのだな、と納得した。体重落とそう。。。

標高2000mまで下ると雪も少なくなってそこからは急な坂となる。友人は彼のペースで僕は僕のペースで歩き出す。渡渉箇所のある沢に降りるまで多分2組のパーティーとすれ違った。彼らも聖平小屋を目指すのだろう。

沢に着くと先に行った友人が休んでいた。ここで靴下を脱いで火照った足を風に晒して冷ました。余っていた行動食を口に放り込み十分休んだら出発だ。

ここまでくればあと少し登山道は林道へと変わる。林道と言っても狭く整備されているわけではないので車は通る事ができない。トンネルもある、トンネルでチャンピオンポーズをする友人を撮った。

山吹が先ごろを迎えていた。緑に映える鮮やかな黄色、山吹色だ。

沢沿いの林道を歩く、何か気の利いた山菜を見つけられればいいのだけれど知識が乏しいので何も見つけられない。時折見かけたタラの木はどれも丸坊主でタラの芽は残っていない。タラの木は全ての芽を摘むと枯れてしまうと言う。

聖平小屋から6時間15分、下山口の柴沢ゲートに着いた。温泉まではちょっと遠いので下栗の里でお昼ご飯を食べることにする。下栗の里まで先導するがついアクセルを開けてしまう。伴ちゃん(Bandit 1250S)の力を借りれば速く進めるのだ。

下栗の里の村営施設にはバイクがウジャウジャ止まっていた。ここからしらびそ高原は通行止なのでここが最終地点となるからだろう。下栗の里で蕎麦定食を食べた。なんと言うことのない定食だが山から降りた食事はいつも美味しい。ビールを飲みたいところだがバイクなのでビールもどきで喉を潤した。友人とはここで別れた。気をつけてな、言葉は少ないがこれでいいのだ。里を降りきる前に聖岳が見える場所にバイクを停めた。いいな、南アルプス。

中央道に入って南アルプス方面を眺めると積乱雲に覆われていた。天気は大荒れになるだろう。

駒ケ岳SA に寄ってお土産を物色した。鹿肉のお焼きと野沢菜漬けを買った。それと外で売っていた山菜、タラの芽もあったがコシアブラを買った。コシアブラは次の日天ぷらにして食べた。コシアブラを初めて食べた妻が喜んでいたので良いお土産となった。

中央道を山梨に入ると前方に黒い雲が見えた。まずいかも、と思って少し走っていたら急に風が強くなり大雨となった。その後バチバチと指や肩に当たる粒が痛いなと思ったら雹だった。マジか、もう全身ずぶ濡れなのでレインウェアを着る意味はないかと思い走り続けた。そのうちに寒くなって身体が少し震えるほどだった。山ではなく高速道路で低体温症に突入しそうだった。東京に入っても雨は続き高速を出る頃にやっと雨が上がった。寒い、すぐに風呂に湯をためて肩まで浸かった。やばいところだった、身体を温めながらそう思う。十分温まれば気は楽になりゆっくりビールを飲んだのであった。

 

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残雪の聖岳 2日目

2019-06-09 | 徒歩の旅

5/3 (金)

昨夜は3シーズンのシュラフだったので寒さで起きてしまう事があった。小屋の中の温度は5℃ぐらいだったようだ。

今日は足が痛かったら聖岳には登らず小屋で過ごそうと思っていた。目覚めると左足の付け根の痛みはそのままであった。今日は休養日としよう。

友人に今日は小屋にいる事を伝えた。その後ノロノロと朝ごはんを食べながら今日は何しようかなと考えていた。

そんな時に一日ここで過ごすよりも行けるとこまで行ってみようかという思いが突然湧いて出た。そうと決まれば行こうという事で素早く準備して友人と同じく5:30に小屋を出た。

小屋前のテント場にはテントがひとつ、素晴らしい快晴だ。やっぱり行くことにしてよかった。

小屋を出て上りになる場所から友人に先に行ってもらった。友人はあっという間に見えなくなった。小屋から薊畑まで歩いてみたが小股で歩けば痛みは少ない。

薊畑からの樹林帯には先日降った雪が残っていた。斜面のトラバースが楽しく好きなルートをズボズボと歩いて行く。

樹林帯を抜けると富士山が見えた。西から見る富士山の整ったシルエットに感動を覚える。

稜線はほとんど雪がない。小聖岳の山頂から聖岳を望む、いい感じの佇まいだ。

少しだけ怖い尾根を通過して振り返る。左手に見えるのは上河内岳か。

その後尾根道をショートカットして斜面を歩いたり頂上直下の雪渓を小気味よく登ったり今シーズン最後と思われる雪道を楽しんだ。

頂上直下の雪渓で登頂した友人が下りてきた。風が強かったので奥聖には行かなかったそうだ。その後すれ違った方も凄い風だと言った。

頂上に着くとどうですか言わんばかりの大きな赤石岳が眼前に現れた。風はそれほど強く感じなかったので奥聖まで行こうかと言う考えが過ぎったが欲は捨てようと天使の声が聞こえた。

帰り道、小聖をすぎて樹林帯に入った。登山道から最後の鞍部とピークを見て登りたくないなと思った。左手を見ると聖平小屋が見えた。地形図でも難所はなさそうなので下りてしまおう。

そうと決まれば好きなルートを時折り踏み抜くのを楽しみながらズボズボと歩いて行く。谷筋なので沢のだけは歩かないようにした。沢は雪融けが進んで雪の下に大きな空洞ができているに違いない。

上り3時間半、下り2時間半、小屋にはお昼前に着く事ができた。小屋に着くと友人がシュラフを干してくれていた。そこにアイゼン、ピッケル、ゲイターなども干した。ゲイター以外はドイツ語、山道具はドイツ語由来が多いな、他にもザック、ザイル、ストック、コッヘル、英語で言った方が今っぽいと思うのは思い過ごしだろうか。スリーピングバック、クランポン、アイスアックス、バックパック、ロープ、トレッキングポール、クッカーなどなど。

聖平小屋には立派なトイレがあるので利用しよう。昨日沢の水を汲みに行ったらこっちに来ないでと声がした。数メートル先に人が腰を降ろしていた、しばらく待ってそこを通ると大便と紙があったのでびっくりぽん!するなら小屋から離れた場所、人の通り道から離れた場所、水場から離れた場所でしなければいけない。もちろん紙は持ち帰りだ。

お昼ご飯はボロネーゼのパスタを食べた。その前にはサッポロ黒ラベル、ビールを持ってきて本当によかった。

その後「黒部の山賊」を読みながら過ごした。友人はラジオを聴きながら横になっている。

パスタが消化されたのを見計らい、セブンイレブンで買ったサラダチキンでミネストローネを作る、それにサラダビーンズを投入した。持ってきたワインも飲み切った。

あとは暗くなるまで本を読んで眠りについた。友人には明日1時間早く出ると伝えた。

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