風になれたら

SUZUKI Bandit1250Sに乗って風になり
中島みゆきや渡辺美里を聴いて風になり
山を歩いて風になる

残雪の農鳥岳を行く 最終日

2018-05-20 | 徒歩の旅

5/1(火) 晴れ

早いもので今日は下山する日となった。大門沢に沿って下って行く。小屋直下の半分流された橋を渡るとき、体を軽くしようとザックを向こう岸に投げたら1/3ぐらい沢に浸かってしまった。ザックが流されるかとヒヤヒヤした。おまけに渡り終える頃にバランスを崩して川に落ちそうになるおまけ付きだった。もうザックは投げないようにしようと思う。その後右岸に渡って日本昔話に出てくるみたいな崖の狭い道を抜けて明るい森に出た。広葉樹の森は本当に明るい。こんな森で昼寝も悪くないな。それよりキャンプできたら気持ち良さそうだ。

ここを過ぎると八丁坂と呼ばれる急峻な九十九折りの道を降る。道には落ち葉が積もっている、こう言う道は滑るので苦手だ。転げ落ちたらタダではすまない。友人はひょいひょいと歩いて行った。先を行った友人に追いついたのは河川工事が行われている林道の終点だった。友人は途中で採った山菜を持っていた。

林道を歩くこと数十分、奈良田に戻ってきた。時間があるので奈良田の里にある温泉、女帝の湯に寄って汗を流した。その昔女帝が養生したらしい。食堂が併設されていて早めの昼食とした。お任せの山菜の天婦羅(400円)と親子丼を食べた。塩でいただく春の味は少し苦くて嬉しい味だった。

身体もさっぱりしてお腹も満たされた。ちょっとゆっくりしようと温泉の隣にあった古民家カフェ、鍵屋に寄った。

椅子や座布団の席、縁側などもあってどこの席に座るのか迷ってしまう。炬燵の間もあった。肌寒い時期には人気だろう。

食事も取れるのだが食べたばかりなのでケーキセットを頼んだ。かわいいコーヒーだ。

雨畑茶のシフォンケーキが美味しかった。

雨畑は早川町のある地名で以前ツーリング仲間と雨畑湖の先まで行ったことがある。その時の日記はこちら

旅の最後にゆったりとした時間を持ててよかった。奈良田の里へは気持ちの良いワインディングロードもあるのでツーリングで来てもいいところだと思う。

友人も言っていたが南アルプスは深く険しい、なかなか厳しい山行だった。また一緒に山を歩こうと約束して友人は西に僕は東へ向かった。

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残雪の農鳥岳を行く 2日目

2018-05-14 | 徒歩の旅

4/30(月) 晴れ

空が明るくなって目が覚める。今日は農鳥岳へ挑戦だ。

テント場はこんな感じだ。開けた谷の中腹にある。水場はこのすぐ下にあり、こんこんとキリリと冷えた清水が湧いている。

サーモスのお湯をアルファ米に注ぐ。赤飯とカレーリゾット、2パック食べて置こう。今日は行動食のみとなる予定だ。2日分持ってきた保冷パックに入ったローストビーフとビールはまだ冷たいが、炎天下のテントに置いておくので傷まないようシュラフで包んだ。

さぁ、出発だ。沢沿いの中腹の道をしばらく行くと雪渓が現れた。踏み跡を辿って登って行ったが、登山道へはそのまま横断して対岸へ渡ればいい、と次の日に気がついた。

樹林帯に再び入ると雪は1メートルほど残っていた。前を行く友人の踏み跡を辿って行くのだが何故か踏み抜いてしまうことが多い気がする。体重と荷物の総重量が10kg以上違うからだろうか。

60%を超える勾配率の斜面を右に左に黙々と登って行く。標高も上がって息も上がりかなり疲労が出てきた。病み上がり2週間の身体にこの山は厳しい。大門沢下降点直下あたりで雪がなくなり、夏道のトレースもなくなった。夏道は沢筋をロープで横断するようだがロープはない。雪渓が切れたガレ場の沢筋を渡って見たが道はない。再びガレ場の沢筋を戻って夏道の途絶えた辺りで地図を見る。うーむ、沢筋の横の隆起部を直登だろうか、と話していたら藪の中から人が現れた。道のない藪を数メートル登れば踏み跡があるとのことだった。ハイマツとシャクナゲの藪に突入だ。藪を抜けるとハイマツの間にトレースがあった。この地点で30分をロスしてしまったが、小屋から5時間で大門沢の下降点に出た。ここから農鳥岳までは1時間ほどだが、かなりへたばってしまったので、少し休むと告げた。稜線は風が強い。身体が冷えないよう重ね着をして栄養を補給した。頂上は見送りでもいいかと思ったが15分休んで息が整ったので友人を追った。

夏道はこの上だが雪上をトラバースして行く。ツボ足で突入したが少し滑るのでアイゼンを付けてサクサクと進んで行った。

再び稜線まで出ると雪はもうないようだったのでアイゼンを外し、ザックを置いて頂上を目指した。下降点から1時間、農鳥岳に辿り着いた。目の前に間ノ岳と北岳が見える。指で北岳の頂を指してみた、その頂は鋭く均整がとれていて美しい。北岳に向かう稜線は歩かなければいけないな、と思わせた。

天気が良ければ南アルプスからはいつも富士山が見える。富士はやっぱり日本一の山だな、美しく高い。

大門沢下降点からハイマツ帯を抜けて樹林帯に入ると再び友人と差が開き始めたので先に下山するよう伝えた。本来パーティは別れてしまってはいけないのだが、彼も私も普段はソロで無理をしないことがわかっているのでいいだろう。午後になり雪が緩くなりズボスボと踏み抜きを繰り返して山小屋を目指した。 面白いのは彼が滑った箇所は同じように滑ると言うことだ。子供の頃のそり遊びを思い出した。午前中渡った雪渓に出たが渡った箇所が見つからない、行ったり来たりしたがわからない。地図と地形を見比べて渡河点を探した、河原付近まで降りて渡るのが正しいようだった。友人から遅れること1時間、山小屋に到着した。自分で作ったスケジュールどうりであった。やはり彼は早いな。

テント場に行くと友人がテントを畳んでいた。明日の出発を楽にするために今日は小屋に移ると言う。じゃあ、そうしようと言うことで小屋に移動した。シュラフの中のローストビーフとビールは常温となっていた。ビールをわき清水に入れて冷やした。わき清水の温度は数度でビールには丁度よかった。引越しを終えてビール、山で飲むビールは何故こんなにも美味いのだろう。ちなみに友人は山では飲まないのだ。と言うか普段飲まないので毎日飲んでる私とは大違いだ。

ご飯を食べ終えて写真の交換をしたり話をしたりした。そして日が暮れる前に眠りについたのであった。

 

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残雪の農鳥岳を行く 1日目

2018-05-13 | 徒歩の旅

4/29(日) 晴れ

午前3時半、バイクにザックを括り付けて家を出た。ゴールデンウィークではあるが早朝なので車の流れはスムーズだ。

当初の計画では4/30から2泊で農鳥岳に登る予定であったが下山の日に天気が崩れる予報となったため1日早く出発することにしたのだ。今回の山旅は旧知の友人が誘ってくれた。ここ数年彼も山登りに精を出しているのだ。実は以前も彼と山に登ったことがある。中学校を卒業した春に地元の山に登ったのだ。あれから30数年の月日が流れていた。白髪や薄毛になってまた一緒に山を歩けるなんて面白いじゃないか。

登山口となる山梨県早川町の奈良田に着いて駐車場を探したが地図にあった大きな駐車場は工事の資材置き場となっていたので集落の中心にある駐車場にバイクを停めて友人を待った。すぐに友人が車で到着した。バイクスタイルから山スタイルに着替えて出発だ。

登山道に続く林道を近況を話しながら歩く。彼と長い話をするのは久しぶりだ。数年ぶり、いや30数年ぶりだろう。登山口近くの休憩所で休んでから登山道に入る。

沢沿いの道を飛び石、丸太橋、吊り橋などを渡って上流に向かって行く。

広葉樹の樹林帯は眩しいくらいの緑が溢れていた。南アルプスの水はこの森に育てられているのだなと思う。友人は足取りが早く、見たことはないが昔の旅人のようだ。身体を絞って荷物も軽くしているのだ。それに引き換え余計な脂肪を蓄え、アルコール類とツマミで1.5kgも持っている私とは大違いだ。

時々現れる落ち葉の積もった九十九折り急登や崖の道を慎重に歩いて行く。久しぶりに重い荷物を背負って歩くので結構きつい。

今日の宿泊地は大門沢小屋、小屋直下の沢で丸太橋が流されて頼りない木が渡されていた。滑って落ちないよう慎重に進む。

時折見かける一輪草が可憐だ。南アルプスの夏は花で溢れると言う。ぜひ夏にも訪れてみたい。

奈良田のバス停から4時間で大門沢小屋に着いた。冬季避難小屋が解放されているので中を拝見した。

古いがよく手入れがされておりレトロ感満載だ。

テント場は小屋の先にあり富士山の頭が見える。テントを張り終えて昼ごはんとした。ビールとワインを飲みながらバゲット、チーズ、ローストビーフとシンプルながら美味しい昼ごはんとなった。ビール缶を石で叩いて小さくしてみた。

昼ごはんを食べてテントの中でストレッチとマッサージをして横になっていたら寝てしまった。夕方目が覚めて少しお腹が空いていたのでビスケットと水を流し込んだ。そして再び深い眠りに落ちていった。

 

 

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残雪の北八ヶ岳を行く

2018-05-06 | 徒歩の旅

4/21(土) 晴れ

1週間前まで風邪で1週間寝込んでいた。そして1週間後に南アルプスへ2泊3日で行くことが決まっていた。とても不安だ。リハビリを兼ねて雪上歩きに慣れておこう。買ったばかりの12本爪アイゼンとピッケルも試しておきたい。
行き先は何度か訪れたことのある北八ヶ岳にした。朝3時半に家を出る、まだ空は暗い。都内も高速道路も車は数える程しか走っていない。談合坂のサービスエリアもご覧のとおりガラガラだった。

南諏訪のインターチェンジを出て八ヶ岳の勇姿を正面や右に見ながら冬季閉鎖が解除されたばかりの麦草峠へ向かう。今年は雪が少なく道路の凍結も心配なさそうだ。久しぶりのワインディングロード、パワーRS(ミシュランのタイヤ)のおかげでグリグリと登っていける。しかし久しぶりのワインディングロード、ずっとくねくね走っていたら酔ってしまった。ちょっと気持ち悪い感じで麦草峠をパスしてその先の白駒池の駐車場にバイクを停めた。数組の人が山に入っているようだった。バイクの格好から山歩きの格好に着替えて出発だ。外でタイツになるのは少し恥ずかしいが仕方あるまい。

駐車場向かいの登山口に雪はほとんどない。昨年の5月4日に訪れた際はこの辺りも残雪があった。その時の様子はこちら

白駒池の周辺も雪はまばらだ。そして昨年末に火災で消失した湖畔の白駒荘の新館は再建の途にあった。

白駒池から高見石に向かう。ようやく雪が出てきた。まだ8時前なので雪の状態は良好だ。今日は暑くなる予報なので帰りはズボズボかもしれない。

高見石から中山へ向かうと開けた場所となる。日差しが目に痛いくらいだ。

中山の展望台からは日本アルプスの山々の全貌を望むことができた。南にはこれから向かう天狗岳が見える。中山からの下り、少し傾斜があったのでここでアイゼンを装着した。いい感じだ。

下ってから中山峠に向かっていると出発前に先行したパーティと行き交った。ニュウを回ってきたそうだ。すれ違ったのはここまでで彼らだけだ。中山峠で休んでいた老年の女性に会った。今回が八ヶ岳は2回目で行けるところまで行くという、亀のように遅いがそう言う楽しみ方もあるのだ。

少し行くとようやく雪の斜面が現れた。再びアイゼンを付けて登って行く。風もなく薄着で登って行く。汗をかいた体に風が心地よい。

稜線上は断続的に雪がある程度で頂上には雪はなかった。東天狗の頂から南八ヶ岳を望む。絶景をしばし楽しんだ。

東天狗からニュウを回って下山した。森の中は雪が軟らかくなり踏み抜きに苦しみ、ニュウからは溶けた雪が再び凍ってツルツルとした箇所が多かった。

白駒池の手前に小さな湿原がある。ここは春の準備ができているようだった。

白駒荘から駐車場に向かっているとクローラーで資材を運ぶ人たちとすれ違った。小学生の男の子もいた。白駒荘の方々だろう。再建したらあのホオズキのレアチーズケーキを食べに行こう。

駐車場でバイクが待っていた。再びワインディングロードの走りを楽しみ家路に着いた。

今日の歩行距離は12km、走行距離は435kmであった。

コメント (2)
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