風になれたら

SUZUKI Bandit1250Sに乗って風になり
中島みゆきや渡辺美里を聴いて風になり
山を歩いて風になる

北アルプス 花咲く裏銀座を行く 4日目

2018-08-21 | 徒歩の旅

7/26 晴れ

今日は西鎌尾根から槍ヶ岳を目指す。夜は薄曇りであったが今日の天気はまずまずのようだ。

テント場は双六池の北側に広がっている。5時20分、水場で水を満タンにして歩き出す。

小屋の横にそびえる樅沢岳を越えると槍ヶ岳に続く西鎌尾根の全貌が現れた。ここまで歩いてきた達成感は大きい。

右に見える谷には雲が敷き詰められその向こうに乗鞍岳が見えた。

西鎌尾根は花も楽しめるルートだった。短い夏に一斉に咲く花々、命を繋ぐ形と色の多様性に生きる力を感じながら歩を進めていく。

車百合(クルマユリ)

峰薄雪草(ミネウスユキソウ)

小梅蕙草(コバイケイソウ)、今年はコバイケイソウの当たり年とのこと。

寄せ植えのような高嶺撫子(タカネナデシコ)、伊吹麝香草(イブキジャコウソウ)、山母子(ヤマハハコ)

左俣乗越あたりから槍ヶ岳を望む。風が吹くと汗をかいた身体が急に冷えていくので長目の休憩を取る際はジャケットを羽織った。

このあたりから本格的な岩場が続く。少しいくと急坂が現れた。気合いを入れて一気に登り切ったら息が上がっていた。

歩いてきた道を振り返る。いい感じだ。

稜線を巻くこの山道を抜けると千丈乗越、槍ヶ岳はすぐそこだ。千丈乗越で残っていたアルファ米の赤飯を食べたら力が出てくるようだった。

千丈乗越から槍の肩まで単調で急なガレ場が続く。標高が上がり空気が薄くなったことを感じながら黙々と歩く。ちょっときつくなったら息を整えて再び歩き出す。10時10分、今日の宿泊地である槍ヶ岳山荘に着いた。

この時間であればテントサイトも空いているだろう。受付でテントの大きさを伝えるとテントサイトが指定され、Cと書かれた木札を受け取った。テント場でCを探すと岩の陰に槍の穂先を目の前にする小さな場所があった。2人用テントで本当にギリギリの場所だ。

テントを張り終わり登頂しようと思ったのだけれど大勢の人が取り付いていたのでしばらく待つことにする。山荘の食堂で山菜うどん(1000円)を食べた。塩っぱい汁物が身体に染み込んでいく。

うどんを食べ終わって外に出て上を見上げると、まだ人の列ができていたのでテントに戻って穂先を眺める。甘いコーヒーを作ってゆっくりと飲む。なんとも贅沢な時間だ。物資を運ぶヘリコプターが山荘にやってきては颯爽と去っていく。

カメラで山頂付近に寄ってみると頂上とその直下に人が群がっていた。

しばらくして人の流れが一段落したようなのでいよいよ登頂することにする。下山したらビールを飲もう。

空いた登山道を景色を楽しみながら登っていく。上も下も高度感があってワクワクする。突きあがる鉄の梯子、もうすぐ山頂だ。

眼下の山荘が小さくなった。テント場の自分のテントは豆粒のようだ。

空いているかと思ったが頂上には10数人の人がいた。360度見渡せるその場所はなかなか離れ難いのだろう。頂上から今日歩いた西鎌尾根を眺めると南側から雲が湧き上がっていた。

15分程周りの山々を眺めた後下山した。下山時、気が抜けたのか少し滑って右の脛を岩で打ってしまった。テントに帰って脛を見ると擦り傷ができて少し腫れていたので持っていた大きな絆創膏を貼った。

暫くすると隣のテントの人たちが帰ってきた。挨拶をきっかけに一緒に飲みながら山の話をして盛り上がった。会社のお仲間だそうで双六、槍と4人で回ったそうだ。とても気持ちの良い人ばかりであった。ひとり旅だと見ず知らずの方々と一緒になることがたまにあるから面白い。

今回の旅は酷暑の影響で昼は暑い日もあったが、ずっと好天に恵まれていた。毎日夕陽を楽しむことができ、今日は槍ヶ岳が夕陽に染まる一瞬に出会った。山で過ごす最高の一瞬だ。

テントから出て西を見渡す。空と大地が少しづつ闇に包まれていくのを見て地球は回っているのだなと思う。

明日はいよいよ最終日、少しの淋しさと大きな安堵感に包まれて眠りについた。少し飲み過ぎたな。

 

 

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北アルプス 花咲く裏銀座を行く 3日目

2018-08-17 | 徒歩の旅

7/25 晴れ

今日は再び祖父岳を経て鷲羽岳、余裕があったら三俣蓮華岳と双六岳に登って双六小屋まで向かう予定だ。

朝ご飯を食べたらテントを畳む。すでに半数の人は旅立ったようだ。テントを張った場所は鳥の巣があったみたいな感じだ。

5時半、テント場を後にして木道を行く。分岐点を過ぎて少し歩くと水晶岳から日が昇った。 朝から神々しい山の姿を見ることができた。ハイマツ帯に入る前にスイス庭園と呼ばれる場所に寄ってみた。薬師岳と水晶岳に挟まれた大きな谷が見える場所だった。残雪の近くに何かが動いていた。雷鳥だ。数羽の子供と母親だった。子供はカルガモの子供に似ていた。親子は慌ただしく餌を啄ばんでいた。

ハイマツ帯を抜けて祖父岳の頂を目指す。左手足裏の親指の付け根の痛みは歩くのに大きな支障はなさそうだったが確実にペースは落ちているようだ。

祖父岳から三俣蓮華岳と笠ヶ岳を望んだ。笠ヶ岳は本当に笠の形をしている。

小さな向日葵かと思った兎菊(ウサギギク)、葉の形がウサギの耳を連想させるのでその名がついたと言う。

鷲羽岳手前のワリモ岳はちょっと岩場があっていい感じだ。ときおり緊張すると怪我をしないような気がする。ワリモ岳の切れ落ちた崖の脇で遠くの山を眺めて休んだ。食欲が落ちてきたので朝起きて食べられなかったアルファ米を休憩時に少しずつ食べた。ワリモ岳の鎖場を抜けると鷲羽岳は目の前だ。

鷲羽岳の頂は三俣山荘方面から登って来た人で賑わっていた。頂から少し降ると池が見えた、鷲羽池だ。鷲羽岳の火口に水が溜まったものだと言う。

ガレ場を下り切って登山道の交錯する三俣山荘に着いた。

山荘でネクター(300円)を買った。久し振りに飲んだが背徳の甘さであった。

三俣山荘を後にして宿泊地である双六小屋を目指した。通過した山荘近くのテント場はとても過ごしやすそうな場所であった。

足の裏に痛みがあるので三俣蓮華岳の山頂は経由せず巻道を行くことにする。思いがけず巻道にお花畑が広がっていた。

ハクサンイチゲとチングルマが主役だ。チングルマはずっと見ていても飽きない。

綿毛になりかけのチングルマと四葉塩釜(ヨツバシオガマ)

深山金鳳花(ミヤマキンポウゲ)

深山金梅(ミヤマキンバイ)

お花畑を抜けると雪渓から沢が流れ出ていたので登山靴を脱いで火照った足を浸した。ここからしばらく行ったところには雪渓から染み出す綺麗な水場があって思い切り水を飲んだ。

最後に少し登り返して高台に出ると双六小屋が見えた。テント場が広くていい感じだ。

双六小屋に着いてテントを張ったら生ビール(1000円)だ。鷲羽岳に乾杯!

ビールを飲んでいると陽が陰って少し涼しくなってしまった。テントに戻ってワインを飲みながらパスタを食べた。毎日同じボロネーゼだが飽きずに食べている。

 いよいよ明日は最終目的地の槍ケ岳だ。ここまで歩いた安堵感に包まれて眠りについた。

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北アルプス 花咲く裏銀座を行く 2日目

2018-08-13 | 徒歩の旅

7/24 晴れ

気持ちの良い朝だ。アルファ米、カップスープ、甘いカフェオレ、これが今回の朝ごはんのメニューだ。水分多めで身体を温めるようにしている。年齢とともに新陳代謝が落ちてくるから身体を温めることは重要だ。

4時40分、烏帽子小屋のテント場を後にしてゆっくり歩き始める。朝焼けに染まる赤牛岳、右奥には薬師岳。歩きたい山が増えていく。

三ツ岳の分岐、ずんぐりとした野口五郎岳が姿を現す。その奥には最終目的地の槍ケ岳が見えた。開けた景色がいつもそこにあるのが稜線歩きだ。裏銀座はどちらを向いても山、そして山、人工的な形跡は限られている。心の奥からジワリと感情が膨れ上がる。

三ツ岳西峰を巻いてお花畑ルートを選んだ。登山道の両側にハクサンイチゲ、チングルマ、シナノキンバイが咲いている。

白山一華(ハクサンイチゲ)、可憐な花だ。

青の栂桜(アオノツガザクラ)、こいつも可愛い。

歩を進めると前方の水晶岳も大きくなってきた。

そして大きな石が増えてきた。大きな岩がゴロゴロしたした地形をゴーロと呼ぶ。野口五郎岳は野口のゴーロなのだと妙に納得する。烏帽子小屋を出て3時間10分、無事野口五郎岳の山頂に着いた。ぐるぐる回って頂上からのパノラマを十分に楽しんだ。

この後気温が上昇して汗が出てきた。それと合わせるかのように左右の足の親指と足裏の親指の付け根に痛みが出てきた。無理せず歩こう。まだ半分以上の行程が残っているのだ。

東沢乗越までくれば水晶小屋までもう少しだ。しかしここからがきつかった。急登、容赦ない日光、痛みの出た足、時折吹く涼しい風だけが味方だ。

かなりの水分が絞り出された身体で水晶小屋に着いた。ここから水晶岳を往復しようとして予定していたのだけれど、先のことを考えて水晶岳をパスして休憩に変更する。

水晶小屋はまだ新しいが、ここに至る道のりは簡単に想像できるものではない。その辺の話も含めて三俣山荘、雲ノ平山荘、水晶小屋に関する情報は三俣山荘事務所が参考になる。 

三ツ矢サイダー(300円)で喉を潤した。サイダーなんて久しぶりだな。小屋番の方にメニューにあった力汁(1000円)て何ですか、と訊ねると焼いた餅と根菜を味噌仕立てにしたものだと言う。力汁を食べて塩分とエネルギーを補給した。塩っぱいのがいいね。

十分休んだが、足の裏の痛さを思うとやはり水晶岳はパスして雲ノ平に向かおう。残りの水は300mL、ワリモ北分岐を過ぎて岩苔乗越に水場のマークがあったのでそこで水を補給すればいいだろう。

降ること30分、岩苔乗越に到着したが水場がない。雪渓の一番上の部分が見えるだけだ。そんな状況とは関係なく薬師岳が美しい山容を見せていた。

雲ノ平山荘まで2時間ほど、黒部源流に向かう道にも水場のマークがあったが戻って少し降るまでもなく、まぁなんとかなるだろうと祖父岳(じいだけ)に向かった。しかし暑い、水足りるかな。

すると少し行った祖父岳直下に水場があった。残念なことに水は少し濁っていた。飲めるかな?浄水器を持ってくればよかったと思ったが、まぁいいか、プールの水より美味いだろう。

ペットボトルに水をすくって飲んだ。とにかく暑くて汗が出るので冷たい水は貴重であった。人の身体の大部分は水でできているのだなぁ。

左を向けばお花畑の向こうに鷲羽山、槍ケ岳、穂高連峰、暑くても足が痛くても一瞬の輝きがそこにはあるのだ。

白山風露(ハクサンフウロ)

ハイマツの間を縫う蒸し暑い登山道を抜けて祖父岳の山頂に着いた。薬師岳がだいぶ大きくなった。

山頂を超えると雲ノ平が見えた。おお、もう少しだ。祖父岳を下りきったところの雪渓には綺麗な水が流れていてそこでも喉を潤した。今日はここまでで3Lぐらい水を飲んだと思う。

再びハイマツ帯となりそれを抜けると開けた場所に出た。そこからしばらく歩いて雲ノ平山荘に近づいていく。山荘は泊まってみたいなと思わせる佇まいだった。

小屋に着いてテント泊の受け付けを済ませて缶ビールを飲んだ。生ぬるい、が山の中なのでよしとしよう。

山荘からテント場まで30分弱、小梅恵草(コバイケイソウ)の咲く木道を歩いた。可愛い花だが猛毒を持っているそうで食べると死に至ることもあると言う。

テント場との分岐からテント場までは稚児車(チングルマ)が満開であった。ここは少し谷になっているので雪解けが遅かったのだろう。

テント場は岩が多いもののトイレと水場に近い。テントの中が熱いことを除けばなんてゆっくりできる場所だろうか。テントの中に入って居られないので日傘をさしてぼんやりと山を見ていた。目の前にはチングルマが揺れている。

水はこの通り、豊富に湧き出ている。テント場に着いて1Lぐらい飲んでしまったかもしれない。

日没の1時間ほど前、積乱雲によって太陽が遮られてようやくテントに入ることができた。テントに入ってまずすることは着替えだ。ウェットティッシュで身体を拭いてテント場で過ごすウールのTシャツを着る。汗をかいたウェアはまた明日の昼着となる。

そして今日はこれを用意した。ナイフ、ライター、絆創膏、消毒液、そしてキネシオテープ。

そしてこれができあがり、足にできたマメから液を出したのだ。マメはそのままにしておくのが一番だが、マメの場所と状況によっては液を出した方が痛みが和らぐと言われている。今回の場合は後者だろう。

せっかく好天なので外で夕飯を食べてワインを飲んでいたらブヨに耳、額、顎、腕など5箇所も刺されてしまった。水の綺麗なところにブヨあり、腫れて痒くて痒くてたまらん、たまらん。

でも夕焼けを見ることができたからいいか。明日もいい天気になるだろう。

雲ノ平の夜は風もなく本当に静かだった。そしてよく眠ることができた。

 

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北アルプス 花咲く裏銀座を行く 1日目

2018-08-11 | 徒歩の旅

7/23 晴れ

昨年北アルプスの表銀座を縦走して本当に良い体験ができたので今年は裏銀座を縦走しようとぼんやり考えていた。出発のおよそ2週間前、計画は整った。烏帽子岳から槍ケ岳までの裏銀座に雲ノ平を足して4泊5日、予備日の1日はどこかの温泉宿でさっぱりしよう。

前日の午後9時半、竹橋にある毎日新聞本社に到着した。ここから毎日新聞旅行主催の登山バスが出発するのだ。本社玄関ロビーはこれから山に向かう人々が集い冷房の効いていない空気と混ざり合った高揚した雰囲気が漂っていた。

受け付けは出発15分前なので待っている間地図を眺めた。もう少し遅く来てもよかったかもしれない。受け付けを済ませてバスに乗ると乗車率は半分ほどであった。バスは竹橋を出て新宿の都庁を経由して中央高速を北アルプスへ向かった。途中2回程休憩した。夜中のパーキングはトラックでいっぱいだ。

ぐっすりと眠ることは難しく細切れで睡眠をとって登山口の七倉ダムに着いたのは3時40分であった。ここで降りたのは数人。山荘前にはマイカーできた人たちが数人。やはり裏銀座、表銀座に比べて空いている。ここから烏帽子岳の登山口である高瀬ダムまでは6km、5時半になるとタクシーで向かうことができる。タクシーを待つよりもウォーミングアップ、と言うことでポツポツと歩き始めた。林道はすぐにトンネルとなる。いきなり2kmのトンネルで灯りはなく真っ暗。

ヘッドランプは2、3m先しか照らしてくれない。おかしいな、おかしいな、暗すぎる。前にも後ろにも人はおらず水の滴る音と自分の足音だけが聞こえる世界だ。出口も見えない。ときおり蛾が突っ込んでくる。

高瀬ダムまで4000m、と言う標識があった。15分歩いたしトンネルの出口ももう少しだな。この2日後、ヘッドランプがローバッテリーであったことに気がついた(涙)。

トンネルを抜けるとその後もいくつかのトンネルがあったが、最初のトンネルに慣れてしまったので残りのトンネルで恐怖は感じなかった。すっかり明るくなる頃高瀬ダムに着いた。最後にこのジグザグを登るのか。

ロックフィルダムの斜面を登り切って登山口に着いたのは5時15分、七倉ダムから1時間半かからなかった。

するとまたトンネル、これで最後だよね。トンネルを抜けると道路にオオクワガタのメスが逆さになってもがいていたので起こしてあげた。

そこから吊り橋で沢を渡ると登山道が始まる。北アルプス三大急登のひとつと呼ばれるブナ立尾根だ。最後の水場で家から持ってきた水道水を沢の水と入れ替える。水道水より俄然気分が盛り上がる。

天気は上々。そして急登、今回の荷物の重さは18kg、とくれば暑いのなんの、汗がどんどん出てくる。今日は初日、無理せず行こう。

山の短い夏、そこかしこで花が咲く。今回の山行は花を見るのも楽しみのひとつだ。

山母子(ヤマハハコ)

午前橘(ゴゼンタチバナ)

兎にも角にも暑い行程だった。行動食のトレイルミックスと水を20分置きに摂取してシャリバテと熱中症にならないように注意した。あと梅干しもいい感じだった。

ブナ立尾根を歩くこと5時間弱、10時過ぎに稜線に建つ烏帽子小屋に着いた。小屋の前には岩桔梗(イワギキョウ)が咲き誇っていて疲れを忘れさせてくれた。

ブナ立尾根で一緒になった方が白い駒草(コマクサ)があるよ、と教えてくれた。普通のコマクサはピンクと白のグラデーションだ。

小屋でテント泊の申し込みをしてテント場へ。そこは少し谷になっていて風が穏やかで陽がよく当たっていた。おかげでテントの中は地獄の暑さになってしまった。テントでゆっくりできる状況ではないので早速烏帽子岳に向かった。

登山道脇に咲く信濃錦梅(シナノキンバイ)、稚児車(チングルマ)、小岩鏡(コイワカガミ)、有名どころのオンパレードだ。これは高嶺爪草(タカネツメクサ)だと思う。

小屋横の樹林帯を抜けるとダンッ!と烏帽子岳が現われた。端正な山だ。ひょいひょいと登って頂上を探す。頂上は切り立った岩で風が強くとてもではないが頂には立てない。頂上岩の隙間に挟まってよしとした。前方に初めて見る劔岳、いつかは訪れてみたいと思わせてくれた。

小屋に戻って缶ビールを買った。650円とちと高めだが山の上である。生ぬるいが山の上である。山並みを眺めてのビールだ、よしとしよう。

これがテント場、テント場は中央の黄緑のテントが私の寝床だ。ガンガンに陽が当たっている。この下にもテント場が広がり夕方日陰となっているところもあったので季節に応じて場所を選びたいところだ。

ツェルトとロープでどうにか日陰を作って夕飯を食べた。夕飯はパスタでソースはコストコで買ったレトルトのイベリコ豚のボロネーゼだ。今回の夕飯は全てこれだ!

夕暮れ時になったので見晴らしの良い小屋の前に行ってみると多くの人が佇んでいた。小屋前のイワギキョウが夕陽に照らされて幻想的であった。

夕陽が沈むのを見届けてテント場に戻る途中、携帯電話の電波が届く高台に登ると風が強く吹いていてみるみる身体が冷えていった。

しかしテント場は穏やかで暖かく眠ることができた。

夜、目を覚まして空を見ると満天の星空であった。満月に近いのに天の川が見えて流れ星もビュンビュン飛んでいた。

心の中で子供が踊っている、そんな感じの夜だった。

 

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