風になれたら

SUZUKI Bandit1250Sに乗って風になり
中島みゆきや渡辺美里を聴いて風になり
山を歩いて風になる

残雪の聖岳 最終日

2019-06-16 | 徒歩の旅

5/4 (土)

朝起きると足の痛みが少しだけ治ったような感じがした。足の付け根の痛みは足をあげる時に感じるのでほとんど下りの今日は大丈夫だろう。

アルファ米とポタージュスープで体を温めて3:45に友人より少し早く聖平小屋を出た。夜明け前の静かなひととき、雪を踏む音だけが聞こえる。

薊畑まで少し登ったらあとは下るだけだ。早朝で雪が締まっているのでトレースを外れてジグザグに進んで行く。調子に乗っていたらルートを外れてズボズボ埋まりだした。

雪に隠れていた折れた立ち木に小指をぶつけて少し血が出てしまった。トレースに戻ろう。

少し行くとルートは合っているもののトレースがなくなって腰まで埋まってしまった。ルートを間違えたか、尾根に向かってみたがトレースはない。地図やGPSで確認下がやっぱり合っている。さてどうしようと考えていたら友人が追いついた。

友人もこのルートでいいと言った。ちょっと先を見てくると友人が進むと僕が埋まった場所の先にトレースがあった。友人は雪に埋まらなかった。友人より体重と荷物で10kgぐらい重いのでその差で踏み抜きが多いのだな、と納得した。体重落とそう。。。

標高2000mまで下ると雪も少なくなってそこからは急な坂となる。友人は彼のペースで僕は僕のペースで歩き出す。渡渉箇所のある沢に降りるまで多分2組のパーティーとすれ違った。彼らも聖平小屋を目指すのだろう。

沢に着くと先に行った友人が休んでいた。ここで靴下を脱いで火照った足を風に晒して冷ました。余っていた行動食を口に放り込み十分休んだら出発だ。

ここまでくればあと少し登山道は林道へと変わる。林道と言っても狭く整備されているわけではないので車は通る事ができない。トンネルもある、トンネルでチャンピオンポーズをする友人を撮った。

山吹が先ごろを迎えていた。緑に映える鮮やかな黄色、山吹色だ。

沢沿いの林道を歩く、何か気の利いた山菜を見つけられればいいのだけれど知識が乏しいので何も見つけられない。時折見かけたタラの木はどれも丸坊主でタラの芽は残っていない。タラの木は全ての芽を摘むと枯れてしまうと言う。

聖平小屋から6時間15分、下山口の柴沢ゲートに着いた。温泉まではちょっと遠いので下栗の里でお昼ご飯を食べることにする。下栗の里まで先導するがついアクセルを開けてしまう。伴ちゃん(Bandit 1250S)の力を借りれば速く進めるのだ。

下栗の里の村営施設にはバイクがウジャウジャ止まっていた。ここからしらびそ高原は通行止なのでここが最終地点となるからだろう。下栗の里で蕎麦定食を食べた。なんと言うことのない定食だが山から降りた食事はいつも美味しい。ビールを飲みたいところだがバイクなのでビールもどきで喉を潤した。友人とはここで別れた。気をつけてな、言葉は少ないがこれでいいのだ。里を降りきる前に聖岳が見える場所にバイクを停めた。いいな、南アルプス。

中央道に入って南アルプス方面を眺めると積乱雲に覆われていた。天気は大荒れになるだろう。

駒ケ岳SA に寄ってお土産を物色した。鹿肉のお焼きと野沢菜漬けを買った。それと外で売っていた山菜、タラの芽もあったがコシアブラを買った。コシアブラは次の日天ぷらにして食べた。コシアブラを初めて食べた妻が喜んでいたので良いお土産となった。

中央道を山梨に入ると前方に黒い雲が見えた。まずいかも、と思って少し走っていたら急に風が強くなり大雨となった。その後バチバチと指や肩に当たる粒が痛いなと思ったら雹だった。マジか、もう全身ずぶ濡れなのでレインウェアを着る意味はないかと思い走り続けた。そのうちに寒くなって身体が少し震えるほどだった。山ではなく高速道路で低体温症に突入しそうだった。東京に入っても雨は続き高速を出る頃にやっと雨が上がった。寒い、すぐに風呂に湯をためて肩まで浸かった。やばいところだった、身体を温めながらそう思う。十分温まれば気は楽になりゆっくりビールを飲んだのであった。

 

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残雪の聖岳 2日目

2019-06-09 | 徒歩の旅

5/3 (金)

昨夜は3シーズンのシュラフだったので寒さで起きてしまう事があった。小屋の中の温度は5℃ぐらいだったようだ。

今日は足が痛かったら聖岳には登らず小屋で過ごそうと思っていた。目覚めると左足の付け根の痛みはそのままであった。今日は休養日としよう。

友人に今日は小屋にいる事を伝えた。その後ノロノロと朝ごはんを食べながら今日は何しようかなと考えていた。

そんな時に一日ここで過ごすよりも行けるとこまで行ってみようかという思いが突然湧いて出た。そうと決まれば行こうという事で素早く準備して友人と同じく5:30に小屋を出た。

小屋前のテント場にはテントがひとつ、素晴らしい快晴だ。やっぱり行くことにしてよかった。

小屋を出て上りになる場所から友人に先に行ってもらった。友人はあっという間に見えなくなった。小屋から薊畑まで歩いてみたが小股で歩けば痛みは少ない。

薊畑からの樹林帯には先日降った雪が残っていた。斜面のトラバースが楽しく好きなルートをズボズボと歩いて行く。

樹林帯を抜けると富士山が見えた。西から見る富士山の整ったシルエットに感動を覚える。

稜線はほとんど雪がない。小聖岳の山頂から聖岳を望む、いい感じの佇まいだ。

少しだけ怖い尾根を通過して振り返る。左手に見えるのは上河内岳か。

その後尾根道をショートカットして斜面を歩いたり頂上直下の雪渓を小気味よく登ったり今シーズン最後と思われる雪道を楽しんだ。

頂上直下の雪渓で登頂した友人が下りてきた。風が強かったので奥聖には行かなかったそうだ。その後すれ違った方も凄い風だと言った。

頂上に着くとどうですか言わんばかりの大きな赤石岳が眼前に現れた。風はそれほど強く感じなかったので奥聖まで行こうかと言う考えが過ぎったが欲は捨てようと天使の声が聞こえた。

帰り道、小聖をすぎて樹林帯に入った。登山道から最後の鞍部とピークを見て登りたくないなと思った。左手を見ると聖平小屋が見えた。地形図でも難所はなさそうなので下りてしまおう。

そうと決まれば好きなルートを時折り踏み抜くのを楽しみながらズボズボと歩いて行く。谷筋なので沢のだけは歩かないようにした。沢は雪融けが進んで雪の下に大きな空洞ができているに違いない。

上り3時間半、下り2時間半、小屋にはお昼前に着く事ができた。小屋に着くと友人がシュラフを干してくれていた。そこにアイゼン、ピッケル、ゲイターなども干した。ゲイター以外はドイツ語、山道具はドイツ語由来が多いな、他にもザック、ザイル、ストック、コッヘル、英語で言った方が今っぽいと思うのは思い過ごしだろうか。スリーピングバック、クランポン、アイスアックス、バックパック、ロープ、トレッキングポール、クッカーなどなど。

聖平小屋には立派なトイレがあるので利用しよう。昨日沢の水を汲みに行ったらこっちに来ないでと声がした。数メートル先に人が腰を降ろしていた、しばらく待ってそこを通ると大便と紙があったのでびっくりぽん!するなら小屋から離れた場所、人の通り道から離れた場所、水場から離れた場所でしなければいけない。もちろん紙は持ち帰りだ。

お昼ご飯はボロネーゼのパスタを食べた。その前にはサッポロ黒ラベル、ビールを持ってきて本当によかった。

その後「黒部の山賊」を読みながら過ごした。友人はラジオを聴きながら横になっている。

パスタが消化されたのを見計らい、セブンイレブンで買ったサラダチキンでミネストローネを作る、それにサラダビーンズを投入した。持ってきたワインも飲み切った。

あとは暗くなるまで本を読んで眠りについた。友人には明日1時間早く出ると伝えた。

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