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大小迫 つむぎの家

よみがえれ!大小迫の里山。 人と人、人と自然をつなぎ、つむぐ「つむぎの家」

感謝祭の放課後にやってきた綾里っ子

2013年11月22日 | 綾里っ子

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昨日は、綾里小で感謝祭があり、つむぎの家も招待され、児童から作文や感謝のメッセージをいただき、一緒にゲームをしたりして楽しいひと時を過ごしました。その際に「つむぎの家の山は、今、赤や黄色や黄緑の紅葉で染まっていますが、木枯らしもやってきて葉を落とし、まもなく木々が裸になりそうです。折々の季節を楽しみに遊びに来てね。」という話をしました。

今は日が短くなり、平日につむぎの家に遊びに来る子は、ほとんどいないのですが、一声かけたせいか、3年生3人が遊びに来てくれ、久しぶりに里山探検に行きました。

クマに折られた柿の木を見上げて、木登り上手なクマの仕業に驚いていました。


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トモヤくんは、わずかに残っていた柿の実を取るのが面白いと、取ってはケイスケくんとヒビキくんに上げていました。この時期の柿は”ペトンコ”と言って木で熟し、霜にあって、とても甘くて美味しい柿の実になります。

「美味しい!」と笑みを浮かべて頬張る二人のために柿をもぎ取るトモヤ君。


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カキ畑に来るとスッポンタケの幼菌がたくさん顔を出していた昨年のことを思い出したようで、「恐竜の卵、まだある?」とトモヤ君。

幼菌はなかったが、スッポンタケ(キノコ)の成菌が一本出ていました。

「えーこれがキノコ?」とケイスケくんと触ってスポンジのような感触を楽しんでいました。


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その後は、カタクリ山に上り、紅葉した木々の中で、展望を楽しんだり、木登りしたりして、森の中を探検しました。


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「ズズズズー」と転げるような音に振り向くと、トモヤ君が斜面を滑り降り、木につかまって止まっていました。トモヤ君は、色づいたもみじの葉を取ろうとして、尻餅をついてしまったようです。


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ヒビキくんは、拾い集めた葉を右手に、何かを発見したようです。近づいて見ると、帽子をかぶったコナラの赤ちゃんどんぐりでした。「千田さんにあげる!」とかわいいどんぐりをくれました。

宿題をせずに、すぐにつむぎの家に来たという3人は、このあと、葉っぱでしおりを作りたいと、拾った葉を押し葉にした後、お迎えに来た車で帰宅しました。

午後の4時を過ぎると瞬く間に薄暗くなり、子どもたちの外遊びの時間が少なくなってきましたが、下校後、すぐに遊びに来てくれた綾里っ子たち、忙しくしている日々ですが嬉しく思いました。


お茶っこ会  「ゆべし作り」

2013年11月21日 | 地域交流

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昨日は、お茶っこ会の「ゆべし作り」です。「ゆべし」は、気仙地方では”お正月”や”結婚式”などの”おめでたい”ときに作られたお菓子でした。

昔は、それぞれの家で作り方があり、貴重な”お振る舞い菓子”でしたが、最近は家庭で作ることは少なくなっています。作業に入る前に、市販されている郷土の”ゆべし”を試食し、今回は、どんなゆべしを作るかのイメージをふくらませています。

甘味は極力抑え、くるみをたっぷり入れて、白砂糖を使ったものと玉砂糖を使ったものの2種を作ることにしました。

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材料となる米粉は、自家製のうるち米ともち米を、7対3の割合で製粉機で挽いたものです。

まず、材料の粉に熱湯を注ぎ、よくこねて団子状になったものを蒸し器で15分蒸し上げます。


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蒸しあがったものを、再度良くこねます。

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そこに、玉砂糖とくるみ、醤油を入れ、まとまるまで練り上げます。玉砂糖と醤油が混じり合い、しっとりとした色合いに仕上がってきました。

白ゆべしの場合は、白砂糖で練り上げます。この練り上げが、力と技術を必要としますが、熟達した老人力を発揮して、見る間に練り上がっていきます。


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練上がったゆべしを、程よい大きさに小分けにし、巻き簀で形を整えて、出来上がりです。


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粉1.8kg、砂糖800g、くるみ250g、醤油、塩等の材料で、11本のゆべしが出来上がりました。くるみが入っているためツヤツヤとして上出来です。


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出来上がった”ゆべし”を試食する前のひと時。囲炉裏を囲んで、昔の作業の思い出や苦労話に花を咲かせています。

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そんな話の中で、米作りのため肥料を作る話がでてきました。

人糞や牛馬糞とともに、「コクサギ」の枝葉を裁断機で刻んで、田んぼの泥に埋めたそうです。その時に「おおあし」という”大きな下駄”を履いて沈めた話を、92歳のトクエおばあさんから聞き、我が家に有った物を見せたところ、「これが、おおあしだよ!」ということで、ようやく謎であった下駄状の使い道がわかりました。

*コクサギ・・・樹液はアルカロイド系の毒を含み殺虫効果があり、また、枝、葉は窒素を構成成分としているために肥料木にもなるということです。

(化学肥料や農薬がなかった時代、先人たちは身近にある自然のものを有効活用していたようです。コクサギの旺盛な繁殖力に嫌気をさしていましたが、”ボットン便所”の殺虫剤などとして、里山暮らしにおおいに役立ちそうです。)

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さて、いよいよ、出来上がったゆべしを試食しながらの「お茶っこ会」です。

出来たてのゆべしの美味しさは格別でした。話が弾んだあと、次回は何にしようか?何時頃が良いだろうか?と話し合っています。来月12月は、みなさんもお正月を迎える準備で忙しいので、来年1月の中旬に、新年お茶っこ会をすることにしました。地域のお年寄りの方々から教えられる”生活の知恵”は、本当に貴重なものです。これからもこの会を大切にしていきたいと思います。


初冬に鳴くエンマコオロギ

2013年11月20日 | 昆虫

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エンマコオロギ(コオロギ科)

先日の午後、畑に路地野菜を取りに行くと、「キリリリリー キリリリリー」と美しい虫の鳴き声が聞こえてきました。音をたどると、ハウスのビニールに身を隠すような姿で、エンマコオロギが羽を震わせ鳴いているではありませんか。

真夏には、夜しか鳴かないオスのコオロギですが、気温が下がったせいか、初冬の日差しを浴びて真昼間に鳴いていました。

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焦げ茶色の複雑な模様をしたオスの羽も色あせ、剥げ落ちていますが、最後の命を振り絞って鳴くメスを呼ぶ声は、澄みきった空に美しく響き渡っていました。

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メスのエンマコオロギ

オスの鳴き声を聞いた3日前に、畑を耕していて現れた産卵管を持ったメスのコオロギです。

ジャンプ力を思わせる頑丈そうな腿とは対照的に羽は色あせ、右の羽は破けています。産卵を終え、命のバトンをつなぎ、小春日和の陽だまりで穏やかに、巡り来る季節に身を任せているようでした。


京大生の里山体験-その2-

2013年11月19日 | 地域交流

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昨日は、京都大学4年生の山本さんが里山体験に来てくれました。

つむぎの家の代表が、柿の木を見ながら、今年の作柄状況を説明しているところです。

山本さんは、この夏に環境調査活動のためにつむぎの家の里山を(同学年の大崎さんと)見学していきましたが、今回は、仙台で行われた地球環境国際学会に出席し、発表を終えてからの来訪で、2度目です。

干し柿作り体験を希望されていましたが、残念ながら今年は不作で、体験活動ができませんでした。

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そこで、里山生活で冬を迎える準備作業としての、里芋掘りの手伝いをして頂きました。

里芋(小芋)を傷つけずに掘り起こし、親芋(根幹)と茎を切り離す掘り方を教えると、手際よく掘り起こし葉を取り除いてくれました。

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その後、沢の水で、収穫した里芋の泥落とし作業をしてくれました。

農業体験は、祖母の家や農学部実習で経験していますが、里芋掘りは始めての体験だったようです。


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農作業が終わると、果樹園に移動し、昨年植樹したばかりのサクランボやリンゴ、モモなどの木に、コモを巻く作業を手伝ってくれました。

コモ巻きは寒さよけと、鹿による食害防止のためです。


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作業が一段落したあとはカタクリ山に登り、紅葉した山頂から、綾里の駅や小学校を望み、綾里の町並みを展望しました。

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この時期は日暮れが早く、午後4時を過ぎると薄暗くなり、ぐっと冷え込んできました。

里山体験を終えた山本さんは、囲炉裏の炭火で暖をとりながら、里山での自給自足の生活体験の一端を振り返っていたようです。

普段は無口な性格で、必要以上のことは喋らないと言っていました(夏に来た時も殆んど喋らなかった)が、国際学会の発表を終えた安堵感と、つむぎの家の雰囲気が良かったのでしょうか、進んで話す笑顔が素敵でした。

このあと、綾里駅から南リアス線に乗って大船渡町の民宿に帰って行きました。


柿を食べにきたツキノワグマ

2013年11月18日 | 動物

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今年の「小枝柿」は不作でしたが、例年収穫していない山際の高木の柿の木だけは、どういうわけか、たわわに実がついていた木が数本ありました。いつもなら、これらの柿の実は鳥たちの冬の食料にしていましたが、「今年は大不作なので、高くて取るのが大変だけれども、これらの木からも収穫するようだね」と話し合っていました。

そして先日、柿モギに行ってみると、なんと!柿の実が突如姿を消していました。近づいて幹を見ると、残されていたのは真新しいクマの爪痕です。

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ツキノワグマが、6~7mもある柿の高木に、鋭い爪を立て登り、柿の実を食べていたようです。

これら、山際の柿の木は、これまでもクマが食べに来ていて、以前の黒ずんた爪痕も残っています。昨年は爪痕は見られなかったのですが、今年は畑の畦に植えてある柿の木にまで爪痕がついていました。

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この柿の木の下には、クマがへし折った木の枝が散乱していました。途中で引っかかっている枝もありました。何れもたわわに実っていた枝のようです。


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柿の木畑を囲っていた頑丈な杭も、無残に抜かれていました。また、散策用に付けた竹の手すりもへし折られていました。

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地面を見てみると、クマの糞が、あちこちに残っていました。この糞の内容物は、柿の皮やヘタがほとんどでした。柿の種も残っていました。小枝柿は、種無しなのですが、稀に種を付けるものもあります。種がこれだけ残っているということは、かなりの量の柿の実を食べてたようです。

これまで、山際止まりだったクマの食害は、ほぼ柿の木のある全域に及んでいました。


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これは、最初に発見した、山際にあったクマの糞です。

クマの糞をザルに入れ、川で洗い流し、ザルに残ったものです。こちらの糞は、サルナシの皮や種がほとんどで、実が形のまま排泄され消化不良気味でした。糞の匂いは全くありません。

10月半ばに山を散策しましたが、山栗やサルナシやマタタビなどの木の実の実成りも悪く、シカが頻繁に里に降りてきていたのですが、まさか熊までが、我が家のすぐ裏まで来ていたとは!、冬眠を前に、クマも食糧不足に陥っているようです。

これまで夜半に、犬のヤマトが山に向かって吠えていたことが何度もあり、また、シカが来ていると思っていました。先日の満月の夜に、ヤマトが激しく吠えていたので、真夜中でしたがヤマトを連れて柿畑まで行ってみました。警戒しているシカの鳴き声が聞こえましたが、ヤマトは匂いを嗅いでいるだけでしたので家に戻ってきました。

翌朝、柿畑に行くと、唯一柿の実が残っていた木の幹が、完全にへし折られていました。気仙地方は温暖なので、これからもクマが里山に降りてくる可能性があり心配です。今のところ人家には姿を見せませんが、クマの食料事情が悪化する中、年々人の生活圏に近づいてきている状況です。