昨日は、お茶っこ会の「ゆべし作り」です。「ゆべし」は、気仙地方では”お正月”や”結婚式”などの”おめでたい”ときに作られたお菓子でした。
昔は、それぞれの家で作り方があり、貴重な”お振る舞い菓子”でしたが、最近は家庭で作ることは少なくなっています。作業に入る前に、市販されている郷土の”ゆべし”を試食し、今回は、どんなゆべしを作るかのイメージをふくらませています。
甘味は極力抑え、くるみをたっぷり入れて、白砂糖を使ったものと玉砂糖を使ったものの2種を作ることにしました。
材料となる米粉は、自家製のうるち米ともち米を、7対3の割合で製粉機で挽いたものです。
まず、材料の粉に熱湯を注ぎ、よくこねて団子状になったものを蒸し器で15分蒸し上げます。
蒸しあがったものを、再度良くこねます。
そこに、玉砂糖とくるみ、醤油を入れ、まとまるまで練り上げます。玉砂糖と醤油が混じり合い、しっとりとした色合いに仕上がってきました。
白ゆべしの場合は、白砂糖で練り上げます。この練り上げが、力と技術を必要としますが、熟達した老人力を発揮して、見る間に練り上がっていきます。
練上がったゆべしを、程よい大きさに小分けにし、巻き簀で形を整えて、出来上がりです。
粉1.8kg、砂糖800g、くるみ250g、醤油、塩等の材料で、11本のゆべしが出来上がりました。くるみが入っているためツヤツヤとして上出来です。
出来上がった”ゆべし”を試食する前のひと時。囲炉裏を囲んで、昔の作業の思い出や苦労話に花を咲かせています。
そんな話の中で、米作りのため肥料を作る話がでてきました。
人糞や牛馬糞とともに、「コクサギ」の枝葉を裁断機で刻んで、田んぼの泥に埋めたそうです。その時に「おおあし」という”大きな下駄”を履いて沈めた話を、92歳のトクエおばあさんから聞き、我が家に有った物を見せたところ、「これが、おおあしだよ!」ということで、ようやく謎であった下駄状の使い道がわかりました。
*コクサギ・・・樹液はアルカロイド系の毒を含み殺虫効果があり、また、枝、葉は窒素を構成成分としているために肥料木にもなるということです。
(化学肥料や農薬がなかった時代、先人たちは身近にある自然のものを有効活用していたようです。コクサギの旺盛な繁殖力に嫌気をさしていましたが、”ボットン便所”の殺虫剤などとして、里山暮らしにおおいに役立ちそうです。)
さて、いよいよ、出来上がったゆべしを試食しながらの「お茶っこ会」です。
出来たてのゆべしの美味しさは格別でした。話が弾んだあと、次回は何にしようか?何時頃が良いだろうか?と話し合っています。来月12月は、みなさんもお正月を迎える準備で忙しいので、来年1月の中旬に、新年お茶っこ会をすることにしました。地域のお年寄りの方々から教えられる”生活の知恵”は、本当に貴重なものです。これからもこの会を大切にしていきたいと思います。