オオウバユリ(ユリ科)
冬枯れの景色の中に凛と立つオオウバユリの咲きがら。
横向きに咲いていた花は結実し、種がこぼれないように上に向きに姿を変えました。果実を数えると18個ありました。
花の時期は人の背丈ほどの高さでしたが、今では見上げるほどに伸びています。
オオウバユリのさく果が開いて、裂け目から整然と並んだ種が顔を出しています。種の入った鞘は、風通しの良い格子状の作りで吹き上げる風に、より遠くへと種を運んでもらう仕掛けのようです。
果実を上から覗くと、一つの実が三つに割れ、かつ一片が2室に分かれ、たくさんの種が詰まっていました。
根を掘り起こしたオオウバユリ
今春、オオウバユリの鱗茎を掘り起こし試食した折、ヤマユリの鱗茎を思い出し、オオウバユリの秋の鱗茎はさぞかし大きく育っているだろうと思っていましたが、ヤマユリのような大きな鱗茎は見当たりません。でも元株の脇には小さな子株が育っていました。オオウバユリは、花をつけた後はたくさんの種を作り、その後枯れ、地上部だけではなく鱗茎も姿を消すそうです。
オオウバユリの子株は三年ぐらいで花を咲かせるようですが、種からの芽生えは、始めは一枚葉で一年を過ごし、2年目、3年目と葉を増やし、約8年を過ぎた頃に初めて花を咲かせるそうです。そして種を作り、子株を育て、その年に枯れて一生を終える典型的な「一回繁殖型多年草」ということを知りました。
植物もさまざまな生き残りの知恵を駆使しているのですね。