近年雪の少なくなった綾里ですが、久しぶりの冠雪で、一面の銀世界が続いています。
雪解け前に、雪化粧した景色を心に留めておきたいと、昨年整備をした奥入りの旧棚田へと足を運んでみました。
林道を歩いて行って、最初に目に飛び込んできたのは、子どもたちの木登り用に残しておいたクリの木で、雪をかぶった枝が重たそうながら美しい樹形を見せ、棚田の真ん中にドンと構えて立っていました。
まるで、「やあー、よく来たね! 寒かったろう、さあー、私の大きな雪の枝で包んであげよう!」とでも言っているようでした。
整備前の棚田上段の堰の周りは、イバラやコクサギのヤブでしたが、周辺整備ですっかり明るくなり、白い絨毯を敷き詰めたようでした。
その中に、切り倒されたコクサギの切り株からは、新たな枝が四方に伸びて、雪の花を咲かせていました。
棚田の上段に行くと、冬木立が出迎えてくれました。
かつての棚田が陸化し、実生で自然に芽生えた木々たちです。ハンノキやイヌシデなどが生い茂り、里山整備で美しい雑木林になっていました。
棚田の最上段の、茅やススキが生い茂った草地。
背丈の高いススキは、雪の重みで、たわんでいますが、その姿が何とも言えない美しい曲線を描き、自然美を見せていました。
川辺の冠雪は、水の流れを残して全てを真白く覆い、澄んだ水を一層清らかに見せ、白い杉木立の中へ吸い込まれていくような、明るい情景を創り出していました。
棚田から振り返って、里地の方を眺めてみると、朝日に映え、雪に覆われた木々の枝が、空に向かって伸びている姿が、際立っていました。
雑木林の枝に積もった雪は,やがて雪解け水となって森や草地を潤し水辺の生き物たちの命を育んでくれることでしょう。
全てのものを真白く染める冠雪の美しさに心癒されたひとときでした。