ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

今まで考えたこともなかった

2018-12-03 07:20:54 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「考えたこともない」11月25日
 『孤立防ぎ命を守る 犯罪者家族支援の先駆者』という見出しの特集記事が掲載されました。『犯罪加害者家族を支援するNPO法人「ワールドオープンハート」(WOH、本部・仙台市)』の阿部恭子理事長の10年間にわたる活動を取り上げた記事です。犯罪者やその家族にも人権があることは当然です。教委勤務時代に人権教育を担当していた私は、もちろんその重要性について分かっていたつもりです。
 しかし、今回記事を読んで、私は重大なことに気がつきました。それは、「犯罪」をごく狭い意味で捉えていたということです。学校には、様々な加害者がいます。犯罪として起訴されたり、罰せられたりはしないもののある事件の加害者となってしまう人間はたくさんいるのです。当然、その家族も。
 分かりやすい例でいえば、いじめの加害者とその保護者です。あるいは、体罰やセクハラで訴えられた教員とその家族です。さらに言えば、指導力不足教員(つまらない子供に授業で苦痛と損害を与えた加害者)とその家族もそうです。私はこれらの事例を数多く経験してきましたが、正直に言って加害者の家族に対する配慮はほとんどしたことがありませんでした。もちろん、相手の求めに応じてご家族にお会いしたことはありますし、丁寧に話も聞きました。でもそれは、裁判等で誠意のない対応だったと非難されないための自衛措置としての対応という側面が強かったのは事実です。
 加害者側の人間だから、辛い思いをするのは当然と考えていたわけではなく、そもそも視野に入ってこなかったというのが実情です。記事では『家族の協力を得て、本人は更生に向けて自ら変わっていこうとしている。ゆくゆくは新たな被害者を生まないことにつながっていく』という言葉が紹介されていました。いじめも体罰も、加害者の家族を支援していくことは、再発防止策でもあるということです。そうであるならば、加害者の家族に寄り添うことは、教委や校長の職務の一つでもあるのではないかという思いに至ったのです。
 言い訳をするようですが、加害者側の家族を支えることにまで思いが至らないのは私だけでなく、多くの教委幹部や校長に共通することではないかと考えます。実際、加害者の家族のことなど口にすれば、悪いことをした奴をかばうのか、被害者の苦しみを軽視しているのか、という批判を浴びることは必至です。
 北風と太陽の寓話をもちだすまでもなく、加害者が真に反省し更生するためには、ただ糾弾し罰するだけでなく、自分の所為で苦しんでいる家族にまで気を配ってくれたという思いをもたせることが有効でしょう。悪質とされるいじめの加害者である子供にも、その先の学校生活があります。体罰をしてしまった教員のほとんどは戒告や減給の処分後教壇に戻ります。それらの家族に対する支援窓口は必要なのではないでしょうか。その形はまだ見えてきませんが。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 失敗が許される職業 | トップ | 君は○○だ! »

コメントを投稿

我が国の教育行政と学校の抱える問題」カテゴリの最新記事