ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

校長は何をしていた?

2024-06-26 11:02:11 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「校長は何をしていた?」6月19日
 『新任教諭自殺 遺族が提訴 「100時間超残業、叱責」謝罪なし』という見出しの記事が掲載されました。『新任教諭の男性が精神疾患を患い自殺したのは長時間労働と指導担当の教諭によるパワハラが原因として、男性の遺族が市と県に計約9000万円の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁に求めた』ことを報じる記事です。
 記事によると、『自殺までの4か月間の時間外労働時間は月平均100時間』『男性は指導教諭から運動会の出し物の振り付けを覚えていないことなどを理由に同僚の前で繰り返し叱責』『児童が宿題を忘れたことを巡って指導教諭から謝罪させられ、男性は立ったまま泣いていた』などの状況だったようです。
 よく分からないのです。校長は何をしていたのでしょうか。私も新任教員の指導担当をしていたことがあります。記憶は自分に都合の良いように過去を変えてしまう傾向がありますから、実際には違っていたのかもしれませんが、私は1年間、担当した新任教員を叱った記憶がありません。
 もちろん、優秀な人だったということもありますが、それでも「失敗」は日常的にありましたし、保護者から苦情が寄せられたこともありました。でもそれは、叱責することではありません。問題を指摘し、原因を考えるように促し、どうすればよいか一緒に考え、背中を押し、上手くいけば「よかったね」と言い、あまり改善されなければ、「もう一回考えてみようか」と話しかける、そうした対応を積み重ねるのが常識というものです。
 また、「失敗」を指摘するときには、他の教員の前で行ってはいけません。それでは本人のプライドはズタズタになってしまいます。さらに、長時間労働=残業は極力無理のない範囲に抑えなければなりません。私は、自分が出張する時以外は、出来るだけ付き合い、6時を過ぎたら「もう帰ったら」と声を掛けるようにしていました。ときには、「○○さんが帰らないと俺も帰りにくいんだよね」と言って無理矢理帰宅させたこともありました。もし、「まだやらなければならないことが残っている」という返事があったときには、「明日手伝うから」と言って帰宅を促しました。
 そして、書かれた週案に対しては、必ずA4の用紙1枚分コメントを書いて渡し、授業参観したあとにも同様のコメントを渡していました。そこでは必ず最初に、「感心したところ」を書くことにしていました。褒められなければ、自信をもてませんし、成長することはできませんから。新任教員はそれを週案簿に挟んで校長に提出していましたから、私の指導内容を校長も把握していました(このコメントの内容をまとめて整理したのが拙著「教師誕生」です)。そしてときどきですが、私に対して「よくやってくれているね」という慰労の言葉と、「もう少し~で」という助言の言葉を掛けてくれたものです。
 こうしたやり方は、ごく普通のことだと思います。それなのに、この小学校では校長はどのように指導教員を監督・指導していたのでしょうか。まさか任せきっりというわけではないはずです。希望をもって教職を目指してくれた若者を殺してしまう学校や校長、正に万死に値するところです。

 

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