ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

どこでどうなって

2024-06-25 08:30:53 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「信じられない」6月18日
 『「数学18歳まで必修化」も争点に』という見出しの記事が掲載されました。『英国で7月4日に実施される総選挙では、経済や移民対策などに加え、教育分野の取り組みも注目されている。与党・保守党のスナク首相は「18歳までの数学必修化」を掲げ、科学技術立国としての英国の発展を訴えるが、最大野党・労働党からは「むしろ初等教育の充実を」との声があがる。英国の未来がかかる「難問」の背景を追った』記事です。
 記事の中には、『800万人以上の大人が、9歳児に期待される計算能力を下回っている』というスナク氏の言葉が紹介されています。本当なのでしょうか。信じがたい数値です。英国の成人の人口は5000万人余りです。その中で800万人ということは、約16%もの人が、9歳児以下ということです。
 英国の数学教育がどうなっているのかは知りませんが、9歳児を我が国に当てはめると、小3ということになります。小3の学習内容と言えば、4桁の足し算、2桁×3桁の掛け算、2桁÷1桁の割り算、簡単な小数と分数というような内容になります。我が国で、これらの計算ができない大人は、どう多めに見積もっても5%を上回ることはないと思われます。ですから、スナク氏の指摘が真実であれば、これはとんでもない状況だということになるのです。
 英国の科学技術面が特に低レベルという話は聞きません。一方、我が国は、15歳時のPISAの数学的リテラシーテストでは5位(英国は14位)であり、英国を大きく上回っているにもかかわらず、科学技術面での衰退が指摘されています。どういうことなのでしょうか。さらに、ドイツ25位、フランス26位ということを聞かされると、これら欧州先進主要国よりもはるかに上位にある我が国で、科学技術面の衰退や停滞が深刻なのはどうしてなのかという疑問を抱かないわけにはいかなくなってしまいます。
 単純に考えれば、我が国では15歳まで、つまり小中の義務教育段階までは、数学教育が高いレベルの成果を上げているにもかかわらず、高等教育以降にレベルダウンしてしまうということになります。本当のところはどうなのでしょうか。
 教育改革を考え議論するとき、学校教育と一括りにして考えるのではなく、各学校種ごとに分析検討することが必要なのではないでしょうか。充実した部分を改悪し、不足している部分を助長するという愚を犯さないためにも。
 

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