ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

君は○○だ!

2018-12-04 08:35:03 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「責任はとれない」11月26日
 『学校とわたし』欄で、気象予報士根本美緒氏が、インタビューに答えていました。その中で根本氏は、小学校の担任Y氏とのエピソードを語っていらっしゃいました。『5年生で部活を選ぶとき、私はバスケットボール部に入りたかったのに、先生は「君は演劇部でしょ」と(略)結局、演劇部に入り、そこで初めて発声練習や早口言葉の練習をしました(略)気づいたら人前で話すことをたくさん経験していました』『卒業文集では、将来の夢を「普通のお母さん」と書いたんです。なのに、先生からのメッセージは「将来アナウンサーか」』『(アナウンサーの)採用試験の際には、文集のメッセージをコピーし、お守り代わりにポケットに入れていました』などです。
 すごいですね、というのが第一の感想です。Y教員は千里眼の持ち主なのかと思ってします。根本氏は、アナウンサーになり、その後気象予報士としてテレビで活躍なさいました。Y教員が、演劇部入りを勧め、人前で正しく話す経験を積ませたことが生きていたわけですし、将来はアナウンサーと示唆することで、根本氏の意思が固まったと言えます。大袈裟ではなく、根本氏の生き方を決定づけた、と言ってよいと思います。と同時に、教員がこんなことを言ってしまっていいのだろうか、とも考えました。私はY教員のような眼力はありませんでしたから、教え子の将来について、何かアドバイスめいたことは言ったことがありません。
 私が「芸術的な才能がある」と思っていたMさんは、今外国に渡り武道を教えています。全然違う道を歩んでいるのです。同じく「慎重でまじめにコツコツ努力する」と思っていたKさんは、脱サラし、介護会社を立ち上げ、その後その会社を乗っ取られ、また新たな会社を興し、大きく発展させているという波瀾万丈の人生を送っています。余計なことを言わなくてよかった、というところでしょうか。
 教員は子供の人生に関わり続けることはできません。上記のMさんもKさんも、テレビで活躍を知ったり、結婚式に招かれて現状を知ったりしただけで、卒業後はほとんどお会いしていません。もし、教員が言ったことが教え子を「縛り」つけ、その後の人生を狂わせたとしたら、そう考えると、Y氏は良い教員だったのか疑問を抱いてしまうのです。
 「君は○○だ!」と力強く背中を押してくれる教員は、魅力的ですか。

 

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