ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

AIがお膳立て

2024-06-28 07:50:24 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「どうやるの?」6月20日
 読者投稿欄に、大阪府の元教員A氏の『教科書選びに新機軸を』と題された投稿が掲載されました。その中でA氏は、『今の時代、AIの昨日の進展が著しい。その利点を生かし、より幅広く住民に開かれた選定方式を導入する時期に来ているのではないだろうか』と述べていらっしゃいました。
 よく分かりませんでした。AIのどのような機能を活用すると「素人の住民」がその人なりの的確な判断を下すことができるようになるのか、イメージできないのです。
 私は、教員時代から小学校の社会科指導の在り方を研究してきました。区の小社研では、委員として、50回以上の研究授業の学習指導案作成に関わってきました。都の教育研究員、教育開発委員、教員研究生を経験させてもらい、全小社研の懸賞論文にも入選し、全国大会での発表もしました。長年、都や区の副読本の編集委員も務めました。教員向け指導参考書の執筆もしましたし、児童用資料集や歴史事典の執筆もしてきました。
 指導主事になってからも、都の小学校社会科教育研究員の担当として複数年指導に当たってきましたし、都社会科指導主事会の副会長も務めました。都教委では、各区市教委の社会科担当指導主事に文科省の伝達事項を伝える担当にもなりました。指導力不足教員研修の担当となり、マンツーマンで教員の指導に当たってきました。
 自分の口から言うのも変ですが、小学校教育、特に社会科については、専門家と言っても許されると思います。しかしそんな私でも、6~7社から出版された教科書と地図帳を全て読破し、学習指導要領の趣旨と授業の在り方、子供の理解と興味の在り方などを勘案し、順位づけるとなれば、1週間や10日では足りません。
 指導室長時代には、求められて教育委員の方々から質問を受け付けたこともありましたが、そのときにも「こんなに大変なものだとは思わなかった」と4人の委員が口々におっしゃったものでした。日頃から、学校教育について様々な情報を耳にすることが多く、それなりの見識や判断力を備えていらっしゃる方々なのに、です。
  それなのに、授業についても学習指導要領についても、子供の実態についても、ほとんど知識のない「素人の住民」が、的確な判断を下せるということが理解できないのです。もし、AIが評価を下し、推奨順位をつけ、それを参考に投票するようなイメージであれば、それは人間が判断を放棄し、AIに委ねたことでしかありません。そんな未来は最悪だと感じるのは私だけでしょうか。

 

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