イズミル便り

IZMIR'DEN MERHABA

KLAZOMENAI(クラゾメナイ)

2009-05-22 14:44:57 | Weblog


エンギナル(アーティチョーク)一杯のパザルの周りはもちろんエンギナル畑が広がっています。その中に1軒茅葺屋根の建物があったことを以前書きました。この建物、実は紀元前6世紀頃のオリーブオイル工房跡だったのです。




収穫したオリーブを入れて運んだのでしょうか。

この辺りはKLAZOMENAI(クラゾメナイ)と言って、このブログでもご紹介したことのあるミレトスやフォチャ、そしてイズミル観光では欠かすことのできないエフェス等と同じイオニア12都市の一つでした。KLAZOMENAIからは、古代ギリシアの自然哲学者アナクサゴラスが生まれているそうです。




遺構を上空から眺めると・・・。

1992年に始まった発掘で畑の真ん中にアナトリア地方で最も古いとされるオリーブオイル工房跡が現れました。炭化したオリーブの種や水と混じったオリーブの実、オリーブをつぶすために使われたであろう小さな乳鉢のようなものが出てきたそうです。そしてもちろんこのような遺構も現れました。





調査発掘はまだ続いていますが、現在はこのように工房が復元され、管理している若者がものすごい早足・早口(!)で案内をしてくれるので、オリーブオイル製造の工程を想像することができます。







写真や絵でわかって頂けるでしょうか。麻袋のような袋に入れられたオリーブが梃子の仕組みを利用してつぶされ、樋を伝って穴の中に流れていきます。油と水が分離することで軽い油は左の樽へ、重い滓汁は右の樽へと分かれるようになっているのです。

 

別棟で、貯蔵庫もあり、この時代にすでにかなりのオリーブオイルの商取引がKLAZOMENAIでは行われていたことが想像できます。



オリーブオイルやワインを入れる為のKLAZOMENAIオリジナルのアンフォラ(素焼きの壷)が製造され、その肩や胴体部分には製造者がわかるようなタグがつけられていたそうです。こんな時代にすでにブランド志向があったのでしょうか。またそれだけ良質のオリーブオイルが生産されていたということでもあるのでしょう。


オリーブオイルの瓶のラベルに今でも使えそう。

KLAZOMENAIは他のイオニアの都市とともにナイルデルタの商業センターNaukratis設立にも大きな役割を果たしたといわれています。今はエンギナル畑が広がるのどかなこの地に、このように影響力を持った都市が栄えたことを想像するだけでもわくわくしてきませんか。

  復元図、タグと遺構の航空写真はKLOZOMENAI発掘のHPより拝借しました。
  http://www.klazomeniaka.com/INDEX.htm






遺跡には美しい蓮の花が咲いていました。トルコ語でNILUFER(ニルュフェル)。
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