イズミル便り

IZMIR'DEN MERHABA

Cagla(チャーラ)

2006-03-30 04:58:19 | Weblog
 チョルムのエリクの木

日本の春は梅に始まり桃、辛夷、木蓮、桜…と今頃まさに百花繚乱の季節ですね。私はいつもこの時期、桜が咲くのを楽しみにしながらもあの在原業平が詠んだ「世の中に絶えて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし」の心境で風が吹いたり雨が降ったりすると桜の花びらが散ってはしまわぬかと気が気ではありませんでした。

最初に住んだトルコのチョルムで春を迎えた時、道端で見つけた満開のエリク(すもも)の花にしばらく会わなかった旧友に会ったような懐かしさでとても嬉しかったことを覚えています。外国に住む様になって日本や日本人の良さを再発見する日々ですが、中でも日本人の季節の移り変わりを敏感に感じ、それを楽しむ心はすばらしく、そんな日本人でよかったと思います。日本人がこれ程までに桜を愛する気持ち、あまり季節の移り変わりに胸ときめかすことがない様に見受けられるトルコの人には説明してもわからないだろうなあ、と最初からあきらめてまだ誰にも説明したことがありません。

 街角で春を告げるチャーラ売りの屋台  

 洗って塩をかけてカリカリと齧ります  

そんなトルコで、春の訪れを感じるものにチャーラがあります。チャーラはアーモンドや杏のまだ熟してない若い実のことで、青いうちにそのまま食べます。初めてアンカラの街角で売っていたチャーラを夫が買ってくれた時は、何だか渋いようなすっぱいような味がしただけで、1個すら食べられなかったのですが毎年「あ、チャーラだ!」と言って春を感じながら食べるごとにその青っぽい味やカリカリとした歯ごたえが不思議と美味しく感じられるようになってきました。