昔、この橋のねきに上出雲寺というお寺がおましてん。
その寺の別当は浄覚ていう名の※物臭道心どした。
ある夜浄覚はんの夢の中に、死んだお父はんが鯰に姿を変えて出てきはったんやて。
お父はんが言わはるには、
「えらいこっちゃで浄覚よ。明日大水がでて、このあたり
水びたしになるでぇ。あんじょう逃げるんやで。」
「わしゃこんな姿になってもて、おまはんの縁の下に棲んでおったが、明日
わしの姿みっけたら、加茂の流れにもどいてほしいんや、ホナ、たのんだでぇ」
次の日ホンマに大水が出て、寺もなんもかんもわ~やくちゃ。
寺の跡に戻った浄覚はん、縁の下があったへんで夢のお告げどおりに大鯰を
みっけて生け捕りに。
まわりのモンが「※やめとき、やめとき、バチあたるでぇ~」てゆうたんやけど、
「※だんない、だんない、ほっちち~、かもてなや」と※ナガタンでパパァ~ンと
さばくと鍋で煮て食べてしまいはったんやて。※ごりがんなボンさんやでホンマ。
ところが、ちゅうか、案の定ちゅうか、その鯰の骨が喉にひっかかって、
浄覚はん哀れ、※あだし野の露、鳥辺野の煙となりにけり~、おおきにおやかまっさん。
と、まぁ下町京都弁風に今昔物語を改作してみました。(風、だからクレームつけないでね)
この出雲路あたりには出雲路女がいて、夏になると「ぎり~っ、ぎりーっすっ」
と言いながら市中でキリギリスを売って歩いた、と本に書かれていたと思います。
(どこかにメモしたけど、見つからなかった。売り声が間違っているかも)
キリギリスは子供の頃、市内でも少し残された空き地などで捕獲できたけど、
今はどうなんだろう。スイッチョ(ン)て僕らは呼んでたけど・・・。
あ、そうだ。出雲阿国もこの辺りで生まれた、という説もあります。
阿国も浄覚も、とお~い昔のカナタ、真実は歴史の霧の中・・・・。
物臭道心→発心あっての出家ではなく、働くのが面倒で出家した僧。
やめとき→他県の人から指摘されたんですが、京都人はけっこう言葉を知らず
に重ねているらしい。あっつい、あっつい、など。(暑い、熱いの強調)
だんない→大丈夫。どおって事無い。「だんあれへん」とか、「だぁ~んない」
とも言いますナ。これも重ねて使用するケースが多いですね。
ナガタン→包丁。これは今ではあまり使われていません。
ごりがん→無理を通す。強引なさま。
化野、鳥辺野→ともに昔の埋葬地。高貴な方は鳥辺野で火葬されることが多かった
ようです。
追記 出雲路女の売り声は「ぎすっ!」でした。メモが出てきました。
その寺の別当は浄覚ていう名の※物臭道心どした。
ある夜浄覚はんの夢の中に、死んだお父はんが鯰に姿を変えて出てきはったんやて。
お父はんが言わはるには、
「えらいこっちゃで浄覚よ。明日大水がでて、このあたり
水びたしになるでぇ。あんじょう逃げるんやで。」
「わしゃこんな姿になってもて、おまはんの縁の下に棲んでおったが、明日
わしの姿みっけたら、加茂の流れにもどいてほしいんや、ホナ、たのんだでぇ」
次の日ホンマに大水が出て、寺もなんもかんもわ~やくちゃ。
寺の跡に戻った浄覚はん、縁の下があったへんで夢のお告げどおりに大鯰を
みっけて生け捕りに。
まわりのモンが「※やめとき、やめとき、バチあたるでぇ~」てゆうたんやけど、
「※だんない、だんない、ほっちち~、かもてなや」と※ナガタンでパパァ~ンと
さばくと鍋で煮て食べてしまいはったんやて。※ごりがんなボンさんやでホンマ。
ところが、ちゅうか、案の定ちゅうか、その鯰の骨が喉にひっかかって、
浄覚はん哀れ、※あだし野の露、鳥辺野の煙となりにけり~、おおきにおやかまっさん。
と、まぁ下町京都弁風に今昔物語を改作してみました。(風、だからクレームつけないでね)
この出雲路あたりには出雲路女がいて、夏になると「ぎり~っ、ぎりーっすっ」
と言いながら市中でキリギリスを売って歩いた、と本に書かれていたと思います。
(どこかにメモしたけど、見つからなかった。売り声が間違っているかも)
キリギリスは子供の頃、市内でも少し残された空き地などで捕獲できたけど、
今はどうなんだろう。スイッチョ(ン)て僕らは呼んでたけど・・・。
あ、そうだ。出雲阿国もこの辺りで生まれた、という説もあります。
阿国も浄覚も、とお~い昔のカナタ、真実は歴史の霧の中・・・・。
物臭道心→発心あっての出家ではなく、働くのが面倒で出家した僧。
やめとき→他県の人から指摘されたんですが、京都人はけっこう言葉を知らず
に重ねているらしい。あっつい、あっつい、など。(暑い、熱いの強調)
だんない→大丈夫。どおって事無い。「だんあれへん」とか、「だぁ~んない」
とも言いますナ。これも重ねて使用するケースが多いですね。
ナガタン→包丁。これは今ではあまり使われていません。
ごりがん→無理を通す。強引なさま。
化野、鳥辺野→ともに昔の埋葬地。高貴な方は鳥辺野で火葬されることが多かった
ようです。
追記 出雲路女の売り声は「ぎすっ!」でした。メモが出てきました。