ぼやき、ぼやき、ぼやき(^^;)

元助監督で映画キャスティングマンの

22「できごころ」 自分が参加したTV番組をもう一度見直してみようシリーズ第22回 (最終回)

2020年07月01日 | こらむ
22「できごころ」 自分が参加したTV番組をもう一度見直してみようシリーズ第22回
(最終回)

火曜サスペンス劇場
放送日:1996年3月5日
出演:伊藤かずえ・渡辺いっけい・岡本舞・馬渕晴子(馬淵 晴子)・稲垣美穂子・名古屋章、
監督:木下 亮
制作:千里、NTV
殺人犯にされた女が、どうしても言えない事件当日午後5時のアリバイ

この番組の記憶があまり残っていなかったのですが、録画したDVDを見ていると、どんどん当時の事を思い出してきました。伊藤かずえさんが働いていた会社のロケは調布だったとか、彼女の住んでいるボロアパートは、本当に西新宿にあったなとか。若い女性が、こんなアパートに住んでいるだろうかと、いろいろ話し合ったなぁとか思い出しました。このロケ現場の病院に一度、私本当に入院したなぁとか(笑) 主人公の伊藤かずえさんは、とても気さくで素敵な女性でした。

VDVで私が残している2時間ドラマはこの「できごころ」が最後です。今回見直したのが全部で22本です。そのうち1本が1時間ドラマでしたね。当時はソニーのベータで録画していたのですが、それをVHSに変換して、さらにDVDに変換していましたが、そのうちテープの状態が悪くなって見られなくなってしまったものがあります。そうして失ってしまった2時間ドラマのビデオが他に9本あったはず。ですから助監督生活21年で、なんと2時間ドラマを30本やっている事になります(笑) その他、連続ドラマ3本、Vシネマが1本。あと映画とか・・・

この年1996年、私はすでに43才になろうとしていました。この火曜サスペンス劇場「できごころ」を終了してから、次はある映画のチーフ助監督の仕事に入りました。しかしどうしてか、監督と対立してしまって、なんと途中降板してしまう事態になってしまいました。対立するつもりはサラサラなかったのですが、監督は私の仕事ぶりが気に入らなかったのでしょう、きつい叱責を私は受けました。しかたがありません。長い人生こういう事もあります。私も調子に乗っていたか、天狗になっていたのかもしれません。助監督って文字は、「監督を助ける」と書きますが、監督を助けられなくなったら、終わりです。この時、もう監督を助けるのはやめて、自分が監督になる時期がきたのだよ、と天の声が聞こえた感じでした。ついに来た、助監督引退です。さて、これからどうやって食っていくか・・・当然、助監督と平行してやっていたキャスティングという仕事しかありません。それしか、ありません・・・・しかしながら、わずかな希望の光として、もし監督するチャンスがあったら、「ある企画」を自分のデビュー作にしようという気持ちが、心の奥深くに残っていました。その企画は誰にも言うことはありませんでした。いつかチャンスがあったらと、密かに思いながらキャスティングの仕事を続けていました。

それから12年後の2008年、恐れていた事が起きてしまいました。誰にも言わなかった私の「企画」が、なんと韓国映画となってしまったのです。ショックでした。これで、私の目標は完全に消えました。韓国の映画人は、いったいどんな映画にしたのだろう・・・・・おそるおそる私は映画館に足を運びました。その映画は、私の思っていた物とは全く違っていました。正直、つまらなかったのです・・・・これかぁ・・・・こういう結果になったか・・・長い間心の奥深くにしまっていた私の目標は、消えました・・・・現実を受け止めるしかありません。私は完全に目標を失ってしまいました。一方、キャスティングとしての仕事は、映画「おくりびと」を担当したりして、なんだか順調でした。目標を失ったものの、キャスティングの仕事は順調という、私には理不尽な精神状態におちいりました。

漫然とキャスティングの仕事を続けていくわけにもいかず、じっとして生きられない性分の私は、突然「あの企画」を舞台化してみようと思いつきました。そして4年後の2012年、私は企画プロデューサーとして、下北沢駅前劇場で「あの企画」を上演しました。さらに、さらに5年後、とうとう自分で舞台の演出をする事にしました。それが「あの企画」、舞台演出デビュー作、「素晴らしい一日2017」という作品です。原作(平安寿子著)は、すでに韓国映画になっています。当然、韓国映画と私の演出舞台は、似ても似つかぬ物になりました。同じ原作なのに不思議です(笑) さらに2年後、「君にささげる歌2019」を企画演出してしまいました。映画監督にはなれなかったものの、いつのまにか舞台の演出をしていました。こんな事になろうとは、この業界に飛び込んだ時は、思ってもいませんでした。違った形で、自分の夢の一部を実現したのかもしれません。

たくさんのTVドラマに参加して成長してきました。じっとしていられない性分なので、これから何かまた新しい目標を持って、走り出すかもしれません。コロナの自粛期間、こうやって過去の映像を見続けて、自分を振り返ったのは、未来を迎えるためにエネルギーを貯めようとしたのかもしれません。これで過去は終わりにします。終わらないと、先に進めません。懐かしいと振り返っているだけでは、先に進めない。自戒を込めてそう思っています。
 <終わり>



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