花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

枇把葉(びわよう)│ビワ

2019-09-23 | 漢方の世界

七十一 枇杷 かいう│「四季の花」夏之部・四, 芸艸堂, 明治41年

「枇把葉」は、バラ科、ビワ属の常緑高木であるビワ (枇杷)、学名Eriobotrya japonica (Thunb.) Lindl.の裏毛を取り除いた葉から得られる生薬である。止咳平喘薬に属し、薬性は苦、微寒、帰経は肺経、胃経で、効能は化痰止咳、降逆止嘔(肺熱、胃熱を冷まして肺気、胃気を降ろし、止咳し呼吸困難を鎮め、嘔気を止める。)である。清肺熱・胃熱の作用のために寒性咳嗽、胃寒性嘔吐には不適である。方剤例には辛夷清肺湯、和中飲などがある。
 11~1月頃に円錐花序の黄白色の花を咲かせ、初夏に琵琶の形に似た黄橙色の果実を結実する。「枇杷の花」は冬、「枇杷の実」は夏の季語である。

和中飲 本朝経験
枇把葉 霍香 縮砂 呉茱萸 桂枝 丁香 甘草 木香 莪述
右九味
 此の方は関本伯伝の家方にて傷食の套剤なり。夏月は傷食より霍乱を為す者最も多きを以つて、俗常に暑中に用ふる故に中暑の方に混ず。中暑伏熱を治するには『局方』の枇把葉散を佳とす。今俗間所用の枇杷葉湯は此の方の霍香、丁香を去り、香需、扁豆を加ふる方なり。」
(浅田宗伯著「勿誤薬室方函口訣」)


ひの部 ひあふぎ 枇杷葉湯│尾形月耕「以呂波引 月耕漫画」一編巻七