中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

パフューム

2019-12-21 23:22:01 | 映画・ドラマ
 懐かしい音楽を耳にした時、ふと、その曲を聴いていたころの記憶が蘇って、その時代に戻ったような気持ちになることがありますよね。「懐メロ」が好まれるのは、そういう作用によるものでしょう。脳の中の、刺激される部分が、記憶を司るところに近いせいだというようなことを聞いたことがあります。

 しかし一説によると、音よりもさらに「におい」の方がその部分に近いらしい。

 たしかに嗅覚は、視覚や聴覚よりも、原始的でより生理的な感じがします。文字や言語のように、意思の疎通を図ることに使えない。においは、光や音のように電気で造り出すこともできないですし。

 それだけに、もし「におい」を自在に操ることができたら、人の心に訴えかける力は計り知れないでしょう。よりインパクトのある芸術になることは間違いない。映画館やコンサートホールのように人を集めて、時間の経過とともに変化する「におい」の作品を「上演」するとか。

 さらに、そういうことさえも超えて、人々を支配することもできるかもしれない。


 前置きが長くなりましたが、DVDを借りて映画「パフューム」を観ました。ジャンルとしては、サスペンスとかスリラーになるでしょうか。…と言うとB級感が漂いますが、実に芸術的な映画です。「アマデウス」の、嗅覚版だと言っても良い。

 原作はパトリック・ジュースキントの「香水」という小説です。これがもともと大好きなのですが、映画化されていたことを最近知ったのです。

 18世紀のフランスが舞台です。そこに超人的な嗅覚を持って生まれた男の数奇な運命を描いた話です。もちろんフィクションですが、アマデウスに通じる感じがします。

 映画は原作に忠実でしかも、わかりやすくまとまっていて、がっかりさせられることはなく、むしろ完成度が高いと言ってもいいかもしれません。ダスティン・ホフマンなどの脇役も素晴らしい。そして音楽も良い。

 
 …映画館で観たかった。とは思いますが、「冬の夜長」におすすめの映画です。

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