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菅首相が消費税引き上げに前傾
2010 06 17
[東京 17日 ロイター] 菅直人政権が消費税増税に大きくカジを切った。菅首相(民主党代表)や民主党幹部が参院選マニフェスト(政権公約)発表に伴う記者会見で打ち出した消費税を含む税制抜本改革のシナリオは、2010年度内に消費税率を含む改革案をまとめ、菅首相が呼び掛けた超党派の協議で合意できれば、最速で2012年秋に税率を引き上げるというコースだった。
引き上げ幅は、自民党が「参院選挙公約2010」に明記した「当面10%」が1つの参考になると引き上げ幅・実施時期に言及、持続的な社会保障制度構築のための消費税引き上げに踏み込んだ。
菅首相は大きな税制改正を伴う場合は「国民に信を問うのが本来の道」とも述べており、参院選の結果次第では、早期の衆院解散の思惑も浮上しそうだ。
鳩山由紀夫前政権が政権担当期間の4年間は引き上げないとしていた消費税増税の封印を解き、歳入改革に着手する背景には、日本の財政事情に対する強い危機感がある。菅首相は現在のような水準で国債発行を続ければ、数年内に日本の長期債務残高は対国内総生産(GDP)比で200%を超えることは確実とし「日本自身が財政再建に取り組まなければ、IMF(国際通貨基金)などの国際機関がわが国の主権ともいうべき、財政運営をコントロールすることになりかねない」と言及。ギリシャ問題に端を発した欧州の財政危機問題は「対岸の火事ではない」と強調した。
自公政権下において、消費税を含む税制抜本改革は、2011年度までに具体的な内容を定める法案を提出するというスケジュールが09年度税制改正の付則第104条で法定化されている。民主党政権に変わっても、付則を廃止することはしておらず、2011年度までの法案提出も念頭にあるもようだ。
今後の手順について玄葉光一郎・民主党政調会長は、参院選後に消費税を含む抜本税制改革のとりまとめに着手し、その後に超党派の会議設置を呼び掛け、2010年度内の制度設計を描く。抜本税制改革では、消費税増税のほか、法人税引き下げや格差是正のための所得税の最高税率引き上げなども検討課題として浮上している。民主党はマニフェストで「法人税の引下げ」方針を明記し、実施時期について玄葉政調会長は、抜本税制改革より先行実施する可能性にも言及。国際競争力を強化し「強い経済」を立て直すために、減税先行にも含みを残した。
一方で、民主党は所得税の再分配機能強化に乗り出す方針を固めており、具体的には、累次にわたって引き下げされた最高税率の引き上げを検討している。
マニフェスト発表会で民主党は消費税増税に踏み込んだものの、所得税「増税」項目に関しては、言及を控えた。法人税の減税先行には「消費税増税の議論をして個人への負担をお願いする一方で、企業優遇との批判もでかねない」(政府税調幹部)との慎重論が根強い。さらに民主党が主張する全額税方式による最低保障年金制度には、消費税率に換算して3%相当が必要とされる。
消費税率を現行の5%から、仮に10%に引き上げるとしても、「強い社会保障」確立のための財源不足は明らかで、使途も含めた精緻な議論が求められている。
一方で、参院選を前に「財源の裏打ちのないばらまき」との批判をかわす狙いがあるとみられる。菅首相は、超党派での法案提出が難しければ「民主党で、とりまとめる」と明言し、政権与党としての責任を強調した。
自民党は参院選公約で、社会保障の安定財源とするため「消費税は当面10%とする」ことを明記し、法人税についても、雇用拡大につなげるため「国際水準の20%台に減税する」方針を明記した。参院選では民主党の歳入改革のあいまいさを浮き彫りにする予定だったが、財政健全化目標、財政健全化責任法の早期成立などの考え方も、民主党に取り込まれ、対立軸が不鮮明になったとの声も出てきそうだ。
(ロイターニュース 吉川 裕子記者;編集 田巻 一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-15873520100617
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