暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

渋さ知らず、 BIMHUIS、 14-9-07

2007年09月15日 11時29分10秒 | ジャズ
渋さ知らず アムステルダム公演
Fri. 14 Sep. 2007

指揮; 不破大輔
tp; 北陽一郎、 タツミミツヒデ
tb; マツモトカズシ
tuba; Gideon Juckes
as; カワグチヨシユキ、 立花直樹 
ts; サトウハン、 
g; オオツカヒロユキ、 Taeil Hwang
b ; オノアキ
perc、vocal ; セキネマリ
ds ; イソベウン、 
fl, vocal ; オノアヤ
vocal ; ワタベシンイチ
dance; アヤカ、 カエ
舞踏 ; マツシバトヨ、 ムカイチエ、 シモムラヨシヒロ、フクザキマユミ
live painting; アオヤマケンイチ、 アベタヤスヒコ
live visuals ; ヨコザワコウタロウ
keyboard ; ? (女性)


夕餉を和食堂の餃子定食ですませガード下を渡っているときに日本人男女と思しき二人に声をかければこのバンドのトランペットとパーカッションだった。 簡単に今回のツアーの様子を聞きながら一緒に会場に向かったのだが着いた会場は既にかなりの入りで一人で出かけたのが功を制したのか一つだけ空いていたのが音響ビジュアルコンソール調整の真下で4列座席の中央最上段だった。 たまたま座った隣が放送関係で働くオランダ人エディターで、彼によるとこのバンドをもうここで2,3年のうちに2回聴いているという話で、それに派生して彼が入れ込んでいる喜納 昌吉、沖縄滞在の話も聞かされて私のまだ見も知らぬ南国の話も私の理解できない方言をも交えて熱く語られたのだった。 日本でも自分のCDを出していて、大男で30代半ばかと見えPascal Plantingaと名乗った。 

会場には日本人の姿が普通以上に見られそのうち客席300をはるかに超えて400に届くかというような盛況である。 このバンドは何年も前から名前だけは聴いていてその「渋旗」というCDは聴いていたが録音からはこれはライブで聴くバンドだなと1、2度聴いただけでそのままになっていた。

20年以上前にはこの名前は知らなかったものの生活向上委員会、という名は聞いておりLPを聴いた覚えが微かにある。 数年前、梅津和時がオランダ人のサックスグループの一員として私が住む地元の公民館でオランダ人サックスグループの一員としてその公演を聞いた際に80年、90年代のジャズの状況を多少は彼からも伝え聞いたこともあり渋さ知らずも日本の流れの一つだろうと想像していた。

会場に設えられた左右の舞台と正面スクリーンを見てパーフォーマンスのグループだと確信した。 オーケストラであるのでそのアンサンブルとソロの按配に興味がいく。 まさにオーディオ・ヴィジュアルパーフォーマンスのセッティングにどれだけ目が幻惑されないで音を捉え続けられるか自信がなかったのだが、それがその通りになった。 学生絵時代にテント芝居を幾つか観た経験と80年代から世界的に知られた舞踏、煌びやかなミニスカートのゴーゴーダンサーとの組み合わせがその時代をよみがえらせるようで期待外の効果に驚きそちらに幻惑されたのかもしれない。 

今回はオランダ人のバリトンサックス、在蘭日本人トロンボーンをも加えてのフランス、ナント、オーストラリア、ウイーンを経過しての公演であり、何年か前の西欧、東欧、ロシア旅行などのヴィデオ映像をバックのロードショーであることは分かるのだが、そんな映像をバックにどこやらで買ってきたウオッカを指揮者が封を切りアルコール好きな楽団員と廻し飲みにするところで会場からはおいおい、というような笑いが起こるものの彼らはそんなことは意に介する風もなく、リハーサルでは酒など飲んでいられないだろうに逆に舞台だからのリラックスぶりだ。 

しかし、その背後での映像が彼らのロード・ムービーを見せるなか、鍛えられたソロイストがトランペット、サックスなど渾身のインプロヴィゼーションを紡ぎ出し、昔風に言えばオドロオドロシク我々にせまる舞踏男女が舞台上でうごめく様子が目に入るのだからこの場に立ち会うものは視覚、聴覚のお祭り騒ぎの渦に放り込まれ、上質の困惑に放り込まれそうになるのに反してふと思わず観客の反応を見ると欧州人、白人の典型的な目と耳だけをそばだて目の前で起こっていることを咀嚼しようとする静寂がかなりみえるもののリズム感のいい女性達や思いもかけない公務員風のオジサン風が上体両腕を振り回し座席のまま踊るのも見られる。しかし、一曲一曲が終わると会場からはそれぞれ力の入った拍手が浮浪者若しくはフウテンの風采をもつ指揮者へと惜しみなくそそがれる。

もう40年近く前に何度か経験したテント芝居、パーフォーマンスをときには生活形態をともにして旅をする集団が繰り広げていたような雰囲気もここに現れ、普通のジャズコンサートにないような経験をしたのだった。 といっても東欧諸国の伝統的な旅芸人の楽団にはここで時たま見せる創造的即興音楽のひらめきはすくないものの音楽のパッケージでは類似のものも最近は時々ジャズ・フェスティバルでみかけるのだが当集団はそれとは似て非なるものである。 

休憩中に会場のカフェーで初めて会った駐在員と話をしていてその御仁がオランダの見知ったジャズメンが会場に見られないようだがと行ったその腰もと10cm先にはオランダより日本で人気があるといわれているカワイコちゃんファンクソウルアルトのキャンディー・ダルファーの父親、自身もテナーを吹くハンスが椅子に腰掛けてアルコールで赤くなった頭があったのだが、さすがマッチョ親父のダルファーでもこの公演には日頃の大きな口がはさめないのだろう。


 
 

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