昨日、メゾンエルメス ル・ステュディオの上映会に行って来ました。今回は、ロベルト・ベニーニ監督・脚本・主演の「ライフ・イズ・ビューティフル」。
内容を調べもせず、この写真の印象だけを抱いて見にいったので、幸せそうな表情の家族が、ある日突然ナチスのユダヤ狩りに巻き込まれ、強制収容所に送り込まれることになるとは、映画のタイトルから考えても意外でした。
父親の口から聞いた収容所での体験談からはじまり、ホロコーストについての歴史的事実の調査、生存者からの証言などを通して、ベニーニ監督の作り上げた作品は、史上稀なる悲劇を、コメディーを交えた人生賛歌へと至らしめたのです。
いただいたパンフレットの中に、ロベルト・ベニーニの言葉が載っていました。
皆さんは、なぜこんな悲しい、今世紀最大の恐怖を笑いの種にするのかと
言われるでしょう。しかし、これは物ごとの悲劇性を和らげる物語、深刻
さを軽減する映画なのです。なぜって、人生は美しいものなのですから。
恐怖の中にも希望の芽があり、あらゆる禍いに抵抗する何かがあるのです。
トロッキーを思い出しました。彼が耐え忍んだすべてのことを。
彼がメキシコ・シティーのトーチカの中でスターリンの刺客を待っていた
こと。庭にいる妻を見つめながら、「いろいろなことがあるけれど。人生
は美しい。生きるに値するものだ」と書いたことなどを。
笑うということは、私たちを救います。物事の別の面、非現実的で楽しい
面を見たり、その別の面を想像することができれば、小枝のように折られ
たり、ひきずられずにすむのです。長く長く感じられる夜をやり過ごすこ
ともできます。それにだれかを攻撃しなくても笑わせることはできます。
主演のロベルト・ベニーニが、「90年代のチャップリン」と絶賛されたほど、滑稽な道化役を、まるで地で行っているように演じると同時に、悲哀をも感じさせる演技は、人々の心を掴んで離さないほど素晴らしいと思いました。悲劇の涙を、最後には感動の涙にかえてしまうんですから。
以下も、パンフレットに載っていた、フェデリコ・フェリーニのベニーニ評。
私も全く同様に感じたので、本当にそうなんだ、と知り嬉しかった~。
今すぐ遊んでほしくて、狂ったようにはしゃぐコッカー・スパニエル
のようだ・・・が、それは自らの中に閉じ込めた悲しさを大事に隠して
おくためなのだ・・・。彼には偉大な道化としての純潔、カリスマ的
権威が感じられる。白いクラウン(憂い顔の道化)と、アウグスト(陽気
でおっちょこちょいの道化)とが、彼の中で一体になっているのだ・・・
〇1999年アカデミー賞3部門受賞【主演男優賞/外国語映画賞/作曲賞(ドラマ部門)】
〇98年カンヌ国際映画祭審査員グランプリ受賞
〇98年ダヴィッド・ドナテッロ賞 8部門受賞
ライフ・イズ・ビューティフル(1998) - goo 映画
ラストでは、あちこちからすすり泣きが聞こえてきました。5歳の子供に、家族に、最後まで希望を失わせないため、嘘の作り話を語って絶望の状況の中でも明るく振舞っている主人公の姿への、我慢の限界が切れた熱い熱い涙でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/33/62f63bccfabd57029fc57c2bfce056d3.jpg)
このあと、8階のギャラリーで開催中の「市井の山居~細川護煕展」に寄り、茶碗や皿などの陶芸作品や油絵を拝見。
素人とは思えない・・というか、もはや趣味が芸術の域に達している気がしました。というか、もう作家さんなんでしょうか。
元総理大臣、
今芸術家もいれば、
元普通の主婦、
今も後にも普通の主婦
もいる。
人生いろいろ・・・
な~んて、
細川家と比べるな、ですね。
去年の暮れごろに行った、永青文庫別館サロンでも、書や陶芸品が幾つか飾られていました。後日その時のことを投稿するはずが、時期を逸したことを今、思い出しました!