日々是雑感

アニメや映画の感想を中心に雑多に述べていきます

「みなみけ」総括・後編

2008-04-07 19:00:01 | アニメ
 なんか、調子に乗って書いていたらblogの文字数制限をオーバーしちゃったんで2回に分けなきゃならなかった。では、早速最後の全体総括を

4・全体総括
1つの原作を2つの製作チームが異なったアプローチでアニメ化する。「みなみけ」が打ったこのやり方は、どうしても後発が不利になる。

先発がこけるともう見てくれないし、逆に上手く行き過ぎれば後発はどうしても過度な期待と戦わねばならない。しかも、原作のめぼしい要素はあらかた先発にとられてしまい、後発は残った要素で勝負をかけねばならないのでなおさらだ。

この「みなみけ」の例を挙げればマコちゃん、冬馬、保坂といった中心となる要素の登場は先発の無印にとられてしまい、「おかわり」はどうしても先発の要素を引きずるしかなかった。

それならばオリジナルで勝負するしかないが、ここで「おかわり」が犯した失策は普通ならば原作ファンが騒ぐ程度で済む失策だったかもしれない。しかし「無印」があまりにも上手く行き過ぎ、「おかわり」に過度な期待がかかった結果、この失策は致命的に働いてしまった。

この企画自体に無理があったと見る向きも多いし、事実私もそう思う。だが、私はこのやり方は止むを得なかったのではないかと考えている。「無印」のスタッフに2クール渡して、「無印」のやり方を2クールやり通せたかどうか、と考えるとはなはだ疑問だ。それならば1クールを別チームに振り分ける方法を取るのはベターなやり方だと思う。それが上手くいけばしめたものだったが、残念だがごらんの通りという訳だ。

もう少し原作のストックがたまったら、ちゃんと2クールを1つの製作チームに任せられる体制を作って3期を作って欲しいものだね。

以下は注釈。










注釈1:
>全般的にキャラに多面性が無く記号的
「みなみけ」と同じヤングマガジン連載で、「みなみけ」との合作もある4コマ「妹は思春期」は多面性がなく記号的であるが故に会話の節々にある下品さを見事に中和していた。

注釈2:
>露骨なパロディーをやってはいなかった。(せいぜいさらりと流す程度)
「露骨な宣伝活動は無かった」と言い替えても良い。

話は全く変わるが、「無印」が原作にもある
「赤い帽子をかぶると涙を流して小さくなるものな~んだ?」→「連敗中のカープファン」
というたったこれだけのネタを徹底的に拡張し、「南夏奈=カープファン」を半公式設定くらいまでしてしまったのに対して(「起きないから奇跡って言うんだ」(予告)とか「今日負けたら最下位なんだよねぇ、広島」(ドラマCD)とか「無印」のスタッフは広島ファンを敵に回したいのか)、「らき☆すた」が原作の公式設定であるはずの「黒井先生=千葉ロッテマリーンズファン」という所を「ウチの球団」などとぼかしてしまったのにはどういう意図があったのだろう?


注釈3:
>「南家三姉妹とその仲間たち」に現実的なそして変わる日常という楔を打ち込む
こう考えると黒塗りのモブや最後のカット(下の画像)の意味するところはなんとなく理解できるような気がする。それが「みなみけ」らしいかどうかは全く別問題だが。


注釈4:
>「無印」のスタッフに2クール渡して、「無印」のやり方を2クールやり通せたかどうか、と考えるとはなはだ疑問
「無印」の1クールで使われていた原作準拠の部分は1~3巻に集中している。故に「無印」の企画段階ではここまでしか原作のストックが無かったと考えるのが妥当だろう。故に2クールやった場合、どこかで原作ストックが尽き、完全なオリジナルを必要とするだろう。その時に「無印」のやり方を貫き通せたかどうか。

注釈5:
>1クールを別チームに振り分ける方法を取るのはベターなやり方
決して「ベスト」ではない。だがここで言いたいのは本来ならば1チームが2クールやるはずだったところを、それが困難だったために分割したのではないかということだ。

注釈6:
上の話に関連することだが、「おかわり」最終話で「経験値上昇中☆」(「無印」のOP)を流したのは「おかわり」スタッフの敗北宣言だという意見があるが、私はその意見にはどうしても賛同できない。

もし前のOPを流すことが敗北宣言だというなら「ネギま!?」で「ハッピー☆マテリアル」を流したのはシャフトのXEBECに対する敗北宣言だとでも言いたいのだろうか。

「無印」が基調にあって「おかわり」はあくまで「おかわり」に過ぎないという考えに立てば、アニメ「みなみけ」のテーマソングはあくまで「経験値上昇中☆」であって、それを最後に流したのは至極妥当な措置ではないだろうか。それにクールごとに主題歌が変わるような作品で最後に最初の主題歌を流すなんてのもよくあることだし。






また注釈のほうが長くなってしまった。