マイッタ! まいりました
十一日前評判のよい映画「わさお」を観ようとかみさんと二人、水戸駅南口まで出かけます。映画そのものは、動物映画に有り勝ちな、敢えてお涙頂戴の演出ではありませんで、好感の持てる映画でした。今日二回目の上映が終わったのは午後二時十五分過ぎごろです。
トイレを済ませ、場外を出て表へ出る寸前グラッときました。地震だ! 足早に建物のドアに向って走りましたが、そこで今度はグラグラっと、表へ出る寸前に押しかけた人たちの足が停まり、お互いに体を支えたりしましたが、もう歩ける状態ではありません。腰を地べたに落とす人。悲鳴を上げる女性たち。目の前の喫茶店の看板が倒れ、吊り看板が音をたてて落下します。そのたびに悲鳴が上がりますが、その時点で建物から出たほうが安全か、それともこのままにしていた方が正解か、一瞬まよいますが、いかんせん揺れが半端ではありませんので動くことが出来ないのです。
こうやって災害に遭遇した人は死んでいくのかとか、またパニック映画の登場人物になったような、不思議な気分にもなりました。揺れの続く中、かみさんと抱き合うようして、ただ揺れが収まるのを待つしかありません。窓越しに見る表の広場には、降って湧いたように多勢の人たちが、地べたにへたりこんて゛います。広場といっても地上から二階にあたる部分で、南口に通じる広場です。
揺れが止まります。その瞬間を待っていたように多勢の人間が一固まりのようになって、どっと広場目がけて走ります。あたしはかみさんと手を握り合って広場に出て、とにかく呼吸を整えようと腰を下ろしました。余震はこれ以上に激しくはこないからとかみさんに言った途端、またしても激しい揺れです。群衆に悲鳴が上がり、みな地べたに座りこんでしまいます。
その激しい余震も収まり、南口からバス乗り場の北口まで駅舎通路を行きます。両側の店舗が無惨な姿を露出しており、唖然となりました。店々の店内は陳列棚は倒れ、物品が外まで氾濫しておりました。
改札口では駅員が、駅舎から出るようにと盛んに怒鳴ります。照明の点いてるのは駅だけで、薄暗いなか駅ビルからもこれもまた多勢の人たちが飛び出してきます。各店舗の従業員の男女も一斉避難といったところであります。
階段をおり北口広場でバスを待ちます。次々と各方面行きのバスは到着しますが、そしてそれぞれ乗り込むのですが、一向に発車せず、目的のバスは影かたちも見えません。気持に焦りが徐々に沸騰してまいります。家には娘夫婦は務めで不在、孫娘が二人でいるのです。最前から何度も携帯をかけるのですが繋がりません。
その時でした。二度目の余震が襲ってきました。目の前の何台ものバスがバウンドしてます。こっちは二人してただベンチにすがり付いているだけでした。
十一日前評判のよい映画「わさお」を観ようとかみさんと二人、水戸駅南口まで出かけます。映画そのものは、動物映画に有り勝ちな、敢えてお涙頂戴の演出ではありませんで、好感の持てる映画でした。今日二回目の上映が終わったのは午後二時十五分過ぎごろです。
トイレを済ませ、場外を出て表へ出る寸前グラッときました。地震だ! 足早に建物のドアに向って走りましたが、そこで今度はグラグラっと、表へ出る寸前に押しかけた人たちの足が停まり、お互いに体を支えたりしましたが、もう歩ける状態ではありません。腰を地べたに落とす人。悲鳴を上げる女性たち。目の前の喫茶店の看板が倒れ、吊り看板が音をたてて落下します。そのたびに悲鳴が上がりますが、その時点で建物から出たほうが安全か、それともこのままにしていた方が正解か、一瞬まよいますが、いかんせん揺れが半端ではありませんので動くことが出来ないのです。
こうやって災害に遭遇した人は死んでいくのかとか、またパニック映画の登場人物になったような、不思議な気分にもなりました。揺れの続く中、かみさんと抱き合うようして、ただ揺れが収まるのを待つしかありません。窓越しに見る表の広場には、降って湧いたように多勢の人たちが、地べたにへたりこんて゛います。広場といっても地上から二階にあたる部分で、南口に通じる広場です。
揺れが止まります。その瞬間を待っていたように多勢の人間が一固まりのようになって、どっと広場目がけて走ります。あたしはかみさんと手を握り合って広場に出て、とにかく呼吸を整えようと腰を下ろしました。余震はこれ以上に激しくはこないからとかみさんに言った途端、またしても激しい揺れです。群衆に悲鳴が上がり、みな地べたに座りこんでしまいます。
その激しい余震も収まり、南口からバス乗り場の北口まで駅舎通路を行きます。両側の店舗が無惨な姿を露出しており、唖然となりました。店々の店内は陳列棚は倒れ、物品が外まで氾濫しておりました。
改札口では駅員が、駅舎から出るようにと盛んに怒鳴ります。照明の点いてるのは駅だけで、薄暗いなか駅ビルからもこれもまた多勢の人たちが飛び出してきます。各店舗の従業員の男女も一斉避難といったところであります。
階段をおり北口広場でバスを待ちます。次々と各方面行きのバスは到着しますが、そしてそれぞれ乗り込むのですが、一向に発車せず、目的のバスは影かたちも見えません。気持に焦りが徐々に沸騰してまいります。家には娘夫婦は務めで不在、孫娘が二人でいるのです。最前から何度も携帯をかけるのですが繋がりません。
その時でした。二度目の余震が襲ってきました。目の前の何台ものバスがバウンドしてます。こっちは二人してただベンチにすがり付いているだけでした。