うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山田風太郎の「戦中派不戦日記」を読む57

2010-03-27 05:08:47 | 日記

勤労動員に憤懣の学生達に同情です<o:p></o:p>

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 「三十一日まで学校内にて作業すべし、四月一日より七日まで休みと発表せられたるゆえに、それを信じて働きたりしに、かくのごとくペテンにかくるとは何ぞや。ペテンにはペテンを以って報いよ、みんなサボレーッ」<o:p></o:p>

 と高山咆哮す。<o:p></o:p>

 暫く休んでいたるマリアナのB29一昨夜名古屋に来る。整備成りたるべし。たいてい二日目の夜々に来襲するキマリなれば、昨夜あたり来るかと思いしに来らず。果然、本日午前百三十機北九州に来襲せる由。<o:p></o:p>

 敵機動部隊また南西諸島に近接沖縄に上陸を開始せりと発表さる。何んとしてもこれを撃攘するは軍のほかなし。その軍は? 海軍は? われらはいうべき言葉を知らず。<o:p></o:p>

 ああ、無敵海軍、その姿見ざること久し、聞かざること久し。<o:p></o:p>

 三月二十八日(水)晴<o:p></o:p>

 休日。午後一時B29一機来。九州にまた七十機来襲せりとなり。<o:p></o:p>

 山本有三「米百俵」を読む。この戯曲曾て井上正夫(?)によって上演せらる。されどこれが上演せられたるは、作者の名と、時勢のゆえにあらずや。山本元帥の戦死により全国に喧伝せられたる長岡魂と、常在戦場という句の流行に乗りたるまでにあらずや。<o:p></o:p>

 三月二十九日(木)晴風吹く<o:p></o:p>

 このごろ毎日、衣服一枚ずつ脱ぐ。空の色、一時間毎にうららかさをますかと覚ゆ。路地ゆけば塀の内より白梅さしのぞく。空の蒼さに古色きよらかに浮び、義士の妻のごとし。<o:p></o:p>

 午後一時B29一機偵察来。<o:p></o:p>

 三月三十日(金)晴<o:p></o:p>

 極めて暖、半日は裸にて過ごす。午前中米配給受けに、隣組のばばあ連と米やにゆく。<o:p></o:p>

 B29二機朝九時来。午後一時また来りて投弾退去す。