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観測にまつわる問題

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最低賃金上げが日本経済を再成長させる

2023-09-03 02:23:21 | 経済財政
経済学的には最低賃金上げに功罪はあるでしょうが、バブル崩壊以降、日本の平均賃金だけが横ばいで推移してきており、世界の成長から取り残されてきました。私はデービッド・アトキンソンさんが指摘してきたように、最低賃金上げは全体として今の日本経済にポジティブな効果をもたらし、経済の再成長の起爆剤になると思います。

給与が上がれば、ディマンドプル型のインフレが引き起きると思いますが、日本は根強いデフレ体質で、インフレを引き受ける余地があります。企業に余裕が無ければ、給与引き上げは無理ですが、体力はあるところにはあります。生産性の低い企業から生産性の高い企業への人の移動が起きるでしょう。

また有効求人倍率の低い業界から有効求人倍率の高い業界へ人の移動が起きると思います。日本だけが成長しなかったのは終身雇用年功序列制が人の円滑な移動を阻害したからに違いありません。バブル期まで終身雇用年功序列制が機能したように見えたのは、単に皆若かったからに過ぎないでしょう。

とは言え、社会はわりとどんな過酷な状況でも適応できるものです。これまで通りにして大きな変化が起こるとは思えません。ここで全体に良い変化をもたらすのが最低賃金上げだと思います。低賃金労働者に依存した企業・業界に何かしらの強制力を働かせないといけないはずです。

日本は人手不足傾向です。最低賃金上げで潰れる企業が出ても、再就職先はあります。よって失業者が増えることはないでしょう。倒産が仮に増えても、それは不況によってもたらされるものではなく、あまり深刻に捉える必要はありません。また最低賃金上げで強制的に平均賃金は上がるはずです。ただし、需要が少ない高給料の人がクビになったら、平均賃金は下がり得ます。とはいえ、これをそのままにする訳にもいかず、変化が必要ですが、解雇規制はそのままにしておいた方がいいかもしれません。それでどうなるかですが、新規採用が抑制されます。有効求人倍率が低い人気企業はそもそも求人を出さなければいいんですね。狭き門でも採用される期待があるから、中々有効求人倍率が高い企業に人が流れない訳です。そういう訳で、新規採用が抑制された企業は今ある人材に仕事をしてもらうしかないでしょう。今ある人材を切って、常に安い人材を市場に求めるある種の経営者のスタイルが日本の賃上げを抑制している可能性があります。そうした業界における競争は、Off-The-Job Training設備投資による生産性向上によってもたらされるかもしれません。経営者は儲けようとする生き物だと思いますが、賃金抑制で儲けてもらっては困る訳で、そこを縛ることで、別の知恵を出してもらいたいということです。ただ不当解雇に関しては金銭解決制度の導入でペナルティを与えるということでいいと思います。会社に戻しても中々働けないでしょうから。それでも不当解雇を濫用するなら、ペナルティを重くすればいいんですね。儲からないなら、解雇→採用で賃金を抑制しようとする経営者も現れなくなります。解雇が無くても、人は自分の意志で会社を移ることは出来、それは経済的には望ましいことなのでしょう。中途採用に関して、クビになったから移動ではなく、ヘッドハンティングを含め、自分で移動したいから移動する流れになることが大切です。解雇に関連して、整理解雇ですが、条件が厳密に守られれば仕方ないのかもしれません。あくまで利益を出すための解雇が問題です。企業に競争は必要で、敗れる企業も出てくるでしょうし、守れる労働者は守る必要もあります。賃金抑制のテクニックとしては残業代未払いもあります。日本は経営者に甘いのかもしれませんね。訴訟やペナルティが重要だと思います。まぁ競争のない高給料の公務員(教員とか)の定額働かせ放題には私は同情しませんが(クビが基本的にない公務員をクビにしろとは言いませんが、払い過ぎに注意して給与は抑制してほしいものです。また給与上げ以外の待遇改善で知恵を出すことに反対ではありません)。あれは一種のホワイトカラーエグゼンプションなのでは?業界として人材不足とも思えないホワイトカラー公務員に関しては、給与を上げるより、非正規を禁止して待遇改善した方がいいはずです(パイは限られていますから、ブルーカラーに適性のある人がホワイトカラーに流れては日本全体として困るんですよね。公務員が給与を上げたら、公務員が人気になるだけで、民間の人手不足は何時まで経っても解消しません)(非正規禁止でも平均賃金は上がります。採用抑制で対応出来るなら、採用抑制でも構いません)(研究職(非正規)の雇い止めが問題になりましたが、これは大問題でしょう。何が問題かと言えば、非正規の研究職が存在すること自体が大問題です。どう見てもデフレ脳の過ちと思われ、日本の賃金抑制の主犯の一つとしか思えません)(非正規公務員は同一労働同一賃金の原則に反し、新しい身分格差を産み出しているだけなんですね)(ブラックなキンチョーカンで人は仕事する訳ではないです)(非正規は多様な働き方で時間を限定して働きたい等の需要に厳密に限定されるべきであって、違法な非正規は指導されるべきです)。まぁ自衛隊員等、ブルーカラー公務員に関して言えば、給与上げが必要とは思いますが。

2023 建設業にも「賃上げ」の動き 厳しい中小企業は「ヤバい」?(ビルドアップニュース)
最低賃金上げの負の側面ですが、例えば今人手不足の建設業界に人が流れにくくなるというのはあると思います。だからと言って、最低賃金を上げるなというのではなく、更に労務単価を上げろということだと思います。それで発注が抑制されたら、労働時間も減り待遇改善がなされるはずです。また設備投資=ICTの利用が促進されるかもしれません。発注の抑制で新築の供給がタイトになったら、中古市場が活性化する可能性もあります。勿論、建設業界におけるサービス残業等、もっての他です。ガンガン時給換算で給与を上げて欲しい。

IT業界で残業代未払いが発生するケースとは?請求方法などを解説!(アディーレ法律事務所)
IT業界の待遇改善もまったなし。

建設業界もIT業界も高賃金で人手不足の業界ですが、繁忙期・閑散期がある業界のようです。どう考えても経済的には、安定的な仕事の給料が安く、不安定な仕事の給料が高くあるべきでしょう。掻き入れ時には勿論労働者は働くべきですが、仕事の都合に合わせて働くなら、給与は当然色がつけられるべきです。今の日本は嫌な仕事が給料が安いという押し付け身分制社会になっているんでしょう。これでは人手不足は解消しませんし、賃金も上がりません。奴隷制では賃金は上がらないんですね。