観測にまつわる問題

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解雇の金銭解決制度と人手不足の解消、賃上げ、経済成長

2017-12-25 22:33:20 | 政策関連メモ
日経社説 2017/12/25「長期政権にふさわしい構造改革を」を読みました。

日経さんは2017/6/4 2:30に「解雇の金銭解決制度は必要だ」という社説も書いていますね。自分も解雇を金銭で解決する制度をつくることは重要だと考えます。実際問題、解雇が不当という判決が出たからといって、元の職場に戻って仲良く働くことは難しいと考えられます。事業が苦しくなった時、やはり解雇に踏み切らざるを得ない時はあるでしょう。そういう時に円満に退職してもらうために金銭を出すというのは有り得る手法です。企業も下手に訴訟で揉めるよりはその方がいいでしょうし、労働者の側もただ解雇されるよりお金をもらった方がいい訳です。今は人手不足の時代ですから、やる気さえあれば、次の仕事は見つかります。労働組合は解雇促進を懸念するかもしれませんが、逆に応募しても人が来ない状況をどうにかすべきはずです。同一労働同一賃金も恐らく人間関係が出来上がっている今の会社でどうにかしようとするより、一旦リセットして最初からダメとした方が上手くいくような気もします。イタリアなんかでは「金銭解雇OK」で新規正規雇用が36%増加したそうです(「解雇規制を緩和したら正社員が増えた!」 イタリアで労働市場改革に成果、首相も自画自賛 キャリコネニュース 2015.8.31)。仕事は生活基盤ですから、強い会社が差別的にドンドン解雇すると労働者が困るという側面はあると思います。ですから解雇に関する法的問題には踏み込みませんけれども、例えば立場が強い大手企業はまだしも、例えばそれほどでもない企業で不採算店舗の整理が進まないのだとすれば、これは結局金銭的問題ですから、解雇を金銭で解決できれば話は分かり易くなりますし、より上手くいくと考えられます。

商売は立地が重要だと言われます(店を繁盛させる立地条件の不思議 ジャパン・ビジネス・ニュース 1998.10.1)。立地が不味いとどうしようもないことはある訳であって、何時までも採算がいい店舗・事業所から補填して維持するようなことは経済的ではなく、その店舗・事業所は閉鎖し金を払ってでも従業員は解雇するべきなんだろうと思います。これは人の問題・法の問題・差別の問題ではありません。経済の問題です。ライバル店舗・事業所の出現など予測が難しい問題で不採算店舗ができるケースも有り得ますが、単に経営判断が不味いケースで不採算店舗ができるケースもあると思います。いずれにせよ、事態が動いた方が物事は分かり易く責任も明確化されてくるのではないでしょうか?

建設業界など賃金を上げても中々人手不足が解消されない業界もあって、賃上げ要請や金融政策だけに依存することに疑問がないではありません。労働の供給や待遇の改善・教育の段階での対応など総合的施策が求められているのではないでしょうか?(参考:「建設業の人手不足」の理由と打破するための3つの改善ポイントを解説 BOWGL 2017.11.15)。賃上げをして潰れるような業界は潰れるべきという正論だけでは安定的な仕事はなくなってしまい、失業者が増えすぎ生活保護が増えて経済が悪くなる可能性もあるような気もしており、筆者は経済を見る上でもう少し労働問題に注目していこうと思っていますが、それはさておき人手不足問題の改善で注目すべきは労働者をどう供給するかということであって、経営者が不採算を見切って労働者を解雇し、労働者の側は現在需要がある業界に移るというようなプロセスが経済の活性化には必要ではないかと考えられます。手持ちのスキルを考えると業界内移動や職種別の移動(経理が業界は違っても別の会社の経理に移るなど)が効率がいいとは思いますが、もう少し新天地への移動(業界間移動)に注目してもいいような気はします(2017年の賃上げ額平均5627円で過去最高 建設業では8000円超、飲食サービスでは3000円に留まる キャリコネニュース 2017.11.30)。建設業界も楽な仕事ではありませんし、ホワイトカラー→ブルーカラーの移動は難しいかもしれませんが、中には適性のある人もいるかもしれません。人手不足の業界というのがスキルが必要な業界であれば、教育の充実、職業訓練・資格取得の促進など別種の対策も必要になってくるとは思います。賃金が中々上がらないと言われて久しいですが、結局のところ、人が必要であるのに来ない業界に着目し、そこに人材を供給するにはどうしたらいいか?を考えねばなりません。これを新卒だけで対応していくのは無理があります。逆にホワイトカラーで重要な仕事の労働力供給を削ることになりますし、問題がここまで来たら既存の労働者とのバランスの問題で(総人件費を上げすぎられないから)初任給上げに限界があるはずです。だからと言ってそんな業界潰れていいでは、この世に仕事が無くなり失業者が増え生活保護が増え経済が悪くなる可能性もあります。要は政策の総動員ですが、どうも解雇が進まない=新卒でない労働者が供給されないことに問題があるような気がしました。賃上げは労働需要のある業界から進みますが、供給が少なすぎると問題が上手く解決しないと考えられます。少子高齢化の逆ピラミッド社会が明らかな現状で、これまでの新卒依存若者依存男性依存の慣習をそのまま維持して問題が解決するはずはないと見切ることが必要なのであって(これはあまり難しく考える必要もないと思いますが、数学的計算問題だと思います)、中途採用・女性・高齢者あるいは外国人全て検討してみるべきでしょう。日本は新卒採用一辺倒できた国なのであって、その新卒の数が減っているのですから、今の慣習をそのまま維持するとどんな政策を行ったところで、あっちが立てばこっちが立たないということになって、120%政策が上手くいかないということになると思います。今までの慣習の良いところを残しつつ、広い視野を持って慎重かつ大胆に(!)政策を進めなければなりません。

※筆者のfaceboook投稿を加筆・修正した記事



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