観測にまつわる問題

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新型コロナウイルスの季節性ファクターと絶対湿度

2020-06-09 09:43:41 | 厚生労働
 夏場になるとエアコンの使用があるので、季節性ファクターが効きづらいという見方があるかもしれません。確かにそう言われれば、そんな気もしてきますが、そもそも季節性とは何かと考えてみると、インフルエンザにおいて12~3月という流行期があることから来る発想の下に言われるはずであり、新型コロナウイルスもインフルエンザと同じく呼吸器系の感染症で似た傾向があって不思議ではありません。パンデミックインフルエンザは明快な季節性が言われず感染拡大し、季節性インフルエンザに落ち着いていくとされますが、これは免疫の有無に関係すると思われ、パンデミックインフルエンザにおいて爆発力の陰に隠れた季節性はあっても見えにくいだけだろうと思いますが、これもまた新型コロナウイルスの傾向に似ているように思われます。
 そして季節性インフルエンザにおける季節性とは何かですが、つまるところ湿度だと筆者は思います。エアコンで密閉は冬場も夏場も同じですし、現代において一般に感染しやすいと思われる屋内で温度はある程度保たれているからです。筆者は日本は夏場に湿度が高い海島であるがゆえに、多少のエアコンファクターがあっても、(既に季節性インフルエンザと同じく4月に入って収束傾向ですが)基本的に収束するものと思っています。勿論感染拡大/収束の理由は一つではなく、季節性ファクターもワンノブゼムに過ぎませんが、今の流れを踏まえると大きな感染拡大は考えにくいどころか、しつこい北海道・東京神奈川での感染も魔法のように消えて無くなるはずです(梅雨のない北国の北海道と大都市の中の大都市の東京神奈川のどちらが先に消えるかは難しいところです)。
 ただ湿度とは%で表わす一般的な湿度ではないと思っています。温度によって許容できる水分が違うことは良く知られるからです。つまり湿度という言い方は正確ではなく、飽和水蒸気量が感染症の拡大を大きく左右しており、絶対湿度(湿り空気に含まれる水蒸気の質量)なるものが正確な言い方なのでしょう。インフルエンザにおいてもインフルエンザ予報計は絶対湿度を参考にしていると言います(インフルエンザはアプリで予防する 注意すべきは「絶対湿度」 Aging Style. 2017.2. 8)。これで(東北と違って中国との交流が多い)北海道の湿度が高くても感染の拡大があり(実効再生産数が高止まりし)、沖縄がどれだけ中国と交流があっても(実効再生産数の低さで)新型コロナの感染拡大を抑え切った理由が分かろうというものです。理論的にはウイルスは目に見えない小さなものですが、飛沫感染すると言い、理論的にはウイルスが空気中の水分を取り込むと重くなって、遠くまで飛ばないと言います(冬になると、風邪やインフルエンザが流行するのはなぜですか? エステー 身近な疑問)。
 誤解があるようですが、日本の冬は湿度が高くないと言い(日本は砂漠より乾燥している?!(加湿.net 加湿NEWS) >東京の冬は年々乾燥してきており、湿度が低下しています)、(暖房とヒートアイランド効果による)温暖化の影響か?と思わないでもありませんが(ヒートアイランド現象 >都市化の影響は夏と冬で違いはあるのですか? 気象庁 >都市化の影響は8月より1月の方が大きいことが分かります)(温暖化で相対湿度は下がります)、結論を言うと、エアコンに加湿機能があると良いと思われます(物事は何でも両面があり、例えば菌が繁殖しやすいとなる可能性もありますが)。そういう訳でストーブにヤカンは正解ということになりますね。オシャレ(石油ストーブの上でおしゃれな絵になるやかん11選 冬の加湿、加温効果も期待できておすすめ IECOLLE)で言っているのではありませんよ(あまりエッセンシャルに偏り過ぎると経済になりませんが)。
 日本では新型コロナウイルスの夜の街での感染が今言われています。何故夜の街かと言えば、基本的に夜が寒く、擬似冬だからではないかと筆者は見ています。露は朝露とも言い夜明けに見えるものですが、夜露とも言い、単に暗いので見えてないだけだと思います。温度の高い日中の空気中の水分が夜には結露して絶対湿度を下げ、ウイルスが日中より遠くに飛んでいると思われる訳です。そう考えると日本で目立つ院内感染も夜の方がより注意だったのかもしれません。看護師は二十四時間勤務と言います。感染拡大しない日本で目立つ現象ほど強力な現象だと推定できます。
 乾燥しているのが不味いというなら砂漠はどうなんだと思われるかもしれません。確かに問題が大きいと思いますが、一つには砂漠に多いイスラムで人口の半分を占める女性はスカーフで口元を覆っています。これは部分的に飛沫感染を防いでいると思われます。もう一つは温度です。ウイルスは40度で死滅すると言い、感染症での発熱はウイルスを殺すためだそうです。更に日光です。砂漠の日差しは強いですが、日光に殺菌効果があると言います。他に密集も考えられます。一般に砂漠は密でありません。こういった種々のファクターが総合されて目に見える現象になっていると考えられるという訳です。つまり砂漠で感染拡大してないからと言って、呼吸器系感染症が絶対湿度に弱くないとなりません。
 台風ではありませんが、神風とは湿っているものでしょう。日本は神風に守られていると言えます。ただし元寇は神風だけで勝ったものではなく、武士の守りも当然重要でした。当然物事の原因とは何か一つと限りませんが、絶対湿度とウイルスの飛ぶ距離には深い関係があると思われ、呼吸器系感染症の拡大を大きく左右しているのだろうと思います。あくまで全体的な傾向ですが、理論的には実効再生産数が1を切れば収束に向かいます。飛沫感染だから水分量が飛ぶ距離に関係していると言えますが、飛沫核感染も始まりは飛沫で途中で乾燥して飛沫核になるという理論なので、いずれにせよ飛沫と絶対湿度の関係が決定的に重要です(マスクが効果的なのも感染者の飛沫をシャットアウトするからだと思われますが、非感染者の飛沫核に対しては大きな意味が無いと考えていいようです)。
 とりえず以上ですが、全ては飛沫感染の話で3密で飛沫核感染(空気感染)するケースがあるのかないのかが考えられなければなりません(接触感染もありますが、ここでは取り上げません。影響は小さくないと思われ、環境表面のウイルス除染ガイダンス(一般社団法人日本リスク学会)も考えられているようですが、そうした取り組みが現実になる前に日本では収束しています)。厚労省は飛沫核感染の可能性を否定していると思いますが、同じ呼吸器系感染症のインフルで言われていることを参考にすると、筆者は現時点で部分的な可能性を排除していません(例えばVol.41 インフルエンザの感染経路|矢野先生のコラム|健栄製薬)。ただし、空気感染とは厳密なもので(結核院内感染対策<1> 結核予防会複十字病院副院長 中島由槻)、あるとなると大きな影響が考えられます。今まで新型コロナ患者の看病をしている医療従事者は空気感染があるか知っていると言うべきなのかもしれません。だとすれば、飛沫感染と接触感染だけで今の感染拡大を起こしたということになり、被害を大きく見積もる考え方が事実と異なる可能性もあります。
 ここでエアコンと呼吸器系感染症の関係性を再び考えてみると、たちまち湿度の移動というファクターを考えるべきなのかもしれません(ビルの省エネ指南書(55) 福岡県ビルメンテナンス協会)。つまり温度と同じく湿度も移動するので除湿器の影響が無ければ、温度が低くなった分、湿度が高まって外気と似たような状況になるとも考えられます。感染症予防の観点からはエアコンの除湿性能はあまりない方がいいのかもしれませんね。
 保守的な見方だと思いますが、夏場のインフルは南半球が原因なのだそうです(【医師監修】夏にインフルエンザが流行!? その理由やインフルエンザ対策とは? タマケアLab.)(逆もまた然りですし、だからと言って南半球に行くなという考え方が好ましいものと思いませんが。過剰反応は慎むべきですし、極論に従えば鎖国になって失うものが大き過ぎます)。あくまで確率現象ですから、さもありなんと言ったところでしょう。
 夏場のインフルに関してはこんな記事(沖縄県で夏のインフルエンザ流行が規模拡大傾向(日経メディカル 2013/03/19)>冬に比べると小規模ながら)もあります。熱帯・亜熱帯気候である東南アジアでは雨季での流行も目立つらしいのですが、雨季では人が室内に集まることが接触感染を引き起こしていると見られるようです(「東南アジアにおけるインフルエンザの流行」(感染症TODAY ラジオNIKKEI 2018/8/29)。沖縄も同じ理由で夏場に小規模なインフルの流行があるのかもしれません。新型コロナが飛沫感染でインフルと同じ傾向がないとすれば、とうの昔に東南アジアやアフリカでは衛生環境の問題(失礼)で欧米での感染拡大を抜いていてもいいと思われますが、そうはなっていません。飛沫感染で寒い地域の寒い冬に拡大する傾向があるからなのではないでしょうか?
 最後に〆る前に換気に触れますが、インフルを含めて感染症で換気は重要と言われるものの、一般に外の空気が綺麗かは疑問なしではないでしょう。少なくとも花粉症の人間にとっては、季節的には外の空気の方が汚染されているものです。排ガスなんかも外の空気でしょうね。気密性が高まった現代でインフルが急増というデータも知られないようですし、筆者は過剰反応は疑問としてきます。失活してないウイルスが空気中に存在するなら、換気は当然に重要でしょうが。それも飛沫感染・接触感染が主だとなると???多分夏冬で空調のメリットは感染症の危険のデメリットを上回り、換気をすればするほど空調にならず、電気代の巨大な無駄だと言ったところなのでは?
 筆者は飛沫感染の(呼吸器系の)感染症の拡散防止で絶対湿度の高さは大きくプラスに働くと見ますが、異なる見解もあるようです。例えば日本の冬に新型コロナウイルスが拡散しなかった理由とは?という質問を持ってこられても現時点で即答はしかねます。ご利用は各自マナーを守り、ご自身の責任において行ってください。