この時期、福岡地方はほんとうに憂鬱な天気が続き、すっきりしない。 今日もどんより曇って冷たい雨が降っている。 こんな日は不思議とCeltic Musicに癒される。 アイルランド地方には行ったことはないが、このような曇天の気候が多いのだろうか。
少し前になるが、昨年の暮れ、大瀧詠一が亡くなった。 我々の世代にとっては、好き嫌いは別として、非常にインパクトにあるソングライターであった。 あまりにも有名な「A LONG VACATION」が発売されたのは、私がちょうど修士の学生の頃であった。 カセットテープに録音し初期のウォークマンで聴いていた。 その後は、仙人のような生活だったようだが、所謂団塊の世代と、我々の世代との生き方の違いを感じさせる人物であった。
信じられないような嬉しいニュースである。 あのポール・マッカートニーが今年、来日することが決まり、さらに11月15日福岡での公演も決まっている。 何でも「アウト・ゼアー ジャパン・ツアー」と言うらしい。 中学1年生の時に、解散したビートルズであったが、今でもほとんど全ての曲の歌詞は覚えている。 解散後は、特にポール・マッカートニーの曲が好きであった。 ちょうど20年前、本学に赴任した時の11月にポール・マッカートニーのコンサートが福岡ドームで行われた。 あの当時、約6時間、5台の電話をかけ続け、初日のチケットを買うことができた。 どうしても、もう1回観たかったので、2日目のコンサートは会場前のダフ屋からチケットを買った。 あれが、間違いなく最後と思っていただけに、今回の来福は非常に嬉しい。 ただ、公演が1日のみで、チケットも抽選ということなので、後は運に任せるだけである。 競争倍率も凄いだろうな。
ビートルズ結成50周年ということで、NHKFMで4日連続の特別番組「オールフロムザビートルズ」が放送されている。 我々の世代でビートルズの音楽を聴かなかった者はほとんどいなかった、ただ中学1年生の時に解散しているので、最後のビートルズ世代かもしれない。 久しぶりに聴いたが、ほとんどの曲の歌詞まで覚えている。 またとても50年前の音とは思えないくらい新しく、まさに時代を越えた音楽であろう。 小学生の頃、最初に買ったLPはたぶんラバーソウルだったと記憶している。 とにかくレコードと針が擦り減るくらい(今の若い人には意味不明かもしれない)聴いた。 ポールとジョンという個性の強い天才音楽家が偶然に出会ったできたビートルズ、おそらくこれからも彼らを越えるミュージシャンは現れないであろう。
Bee Geesのロビン・ギブが62歳で亡くなった。 小学生の時最初に買ったレコードがMassachusetts、B面がHolidayのドーナツ盤であった。 それ以来、彼らのサウンドはほんとうに好きであった。 いろいろな批評はあるが、個人的には、Lennon, MaCartneyに匹敵するメロディメーカーだと思っているし、彼ら独特の旋律は心に響いた。 私のipodにも50曲以上の彼らの作品が入っており、もちろん最多である。 よく、70年代のあのディスコブームのみと関連づける記事も多いが、私も含めた多くのBee Geesファンにとっては、あの時代の音は本来の彼らの音とはちょっと違ったものであった。 2億5000万枚のレコードを売り上げたスーパーグループであったが、2003年にモーリス・ギブが53歳で亡くなって、ほぼ活動は終わっていた。 さらにソロ歌手だったアンディ・ギブも、1988年に30歳で亡くなっている。 これで、長男のバリー・ギブ一人になってしまった。 もう二度と、彼ら独特の美しいメロディラインが聞けなくなると思うと、非常に寂しい。 1973年の九電記念体育館、そして1989年の福岡サンパレスのライブに行ったことが思い出される。 こんな時は、アルバムOneに入っている、Wish You Were Hereが聴きたくなってくる。
少し寒さを感じるようになった秋の夜、なんと言ってもジョスカン・デ・プレである。 500年ほど前の作曲家で、ミサ曲、モテットを数多く残している。 日々の雑念から、離脱できる時間と空間を与えてくれる。 お薦めである。
ラフォルジュルネが九州初進出ということで鳥栖市で開催される。 2005年に東京で開催が始まり、確実に全国にひろがりつつある。 素晴らしいことである。 このラフォルジュルネは、1995年にフランスのナントという町で始まったクラッシク音楽祭で、毎回、テーマが決められており、一流の演奏家はもちろんこれからの若手も参加することでも知られている。 何といっても、非常に安い料金で多くの演奏が聴けるのが特徴である。 例えば、東京の国際フォーラムの場合、1公演45分、5つの会場で3日間、朝から晩まで開催されるという大規模なものである。 さらに、食事やワインも楽しめ、今後、ゴールデンウィーク最大のイベントになるだろう。 ちなみに、鳥栖でのテーマは「ウィーンのベートーベン」である。 博多どんたくも悪くはないが、福岡の街もこのような落ち着いた音楽祭が欲しいものである。

この連休、古い友人とコッキーポップの話しになった。 非常に懐かしい。 インターネットも携帯電話もない70年代前半、深夜、ふとんに包まってよく聴いたものである。 画像がない音だけの世界だったので、いろいろと勝手に想像した。 門あさ美、中沢京子、下成佐登子、相曽晴日、柴田まゆみ、高木麻早、小阪恭子、高岡美智子、小野香代子、西郡葉子 などなど。 もう皆、還暦が近いんだろうな。

今回は、ヘンデルのメサイアである。 バッハのマタイ受難曲にも勝るとも劣らない大作である。 ヘンデルのメサイアと聞くと、知らない人も多いかもしれないが、第二部最後のハレルヤコーラスを聞いたことがない人は、まずいないだろう。 メサイアとは、新約聖書中のメシア、すなわち救世主キリストのことであり、この曲もすべて聖書の言葉による歌詞である。 すべて英語である。 1741年に、チャールズ・ジェネンズという人が、旧・新約聖書から歌詞を編集し、265ページにもわたる台本をヘンデルに渡したとされている。 独唱曲、重唱曲、合唱曲で構成されており、演奏時間は2時間半前後の大作である。 第一部、降誕、第二部、受難、第三部余波の三部から成っており、全部で53(54)曲である。 あまりに長いので、通常は抜粋盤しか聞かない。 カール・リヒター指揮、ロンドンフィルハーモニー管弦楽団のものが人気のようだ。 その他、ガーディナー指揮、イギリスバッロック管弦楽団、クレンペラー指揮、フィルハーモニア管弦楽団などがあるようだ。 私の持っているのは、マリナー指揮、アカデミー&コーラス・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズのものである。 秋の夜長に、じっくりと聴くと心が洗われる感じがする音楽である。
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今週は、ヴィヴァルディの合奏協奏曲集[調和の霊感]である。 1711年頃の作品なので33歳頃の作曲と思われ、まさに大作曲家としての道を踏み出そうとしている時期のものである。 1台から4台のヴァイオリンのための12曲からなる協奏曲集である。 部分的に、ここでも紹介したコレルリ以来の合奏協奏曲のスタイルも含んでいることから、上記のように呼ばれている。 解説によると、急-緩-急の三楽章から成る典型的なヴィヴァルディ型協奏曲の形をとっているそうである。 とにかく、出版された時には、ヨーロッパ各地で、大きな反響があったらしい。 どの曲も親しみやすく、絶妙なハーモニーが最高である。 あの有名な四季よりも楽しめる作品である。 なお、あのバッハが、第3,9,12番をチェンバロ独奏用に、第8、11番をオルガン独奏用に、第10番を4台のチェンバロ用に編曲している。 その点からも、素晴らしい作品である。 イ・ムジチ合奏団のものが良い。
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今回は、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータである。 3曲のソナタと3曲のパルティータから成り、1720年に作られた。 この1720年であるが、バッハ35歳であり、妻のマリアが36歳で急逝した年でもある。 その頃から、ケーテンの宮廷楽団が縮小され始めたようである。 翌年の1721年に、ソプラノ歌手をしていたアンナ・マグダレーナと再婚しており、そんな時期に書かれた作品である。 このパルティータであるが、共通の主題を持ち統一された組曲のことであり、パルティータとしては、本作品が最も有名ではないだろうか。 ここでの3曲のソナタは、教会ソナタと呼ばれ、勇ましい舞曲風の楽章は含まれていない。 この作品には、特に有名な二つの曲が含まれている。 パルティータ第2番第五楽章のシャコンヌ、そして、パルティータ第3番第三楽章のガボットである。 特に、後者はバッハのガボットとして、どこかで聴いたことのある旋律である。 まさに、大バッハの代表作の一つである。 日本人を含め、100人以上の演奏家の録音がある凄い作品である。 ヘンリク・シェリング、ルッジェーロ・リッチらのものをよく見かける。
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以前、アレッサンドロ・スカルラッティを紹介したが、今回は、その子供の一人であるドメニコ・スカルラッティである。 偶然ではあるが、バッハ、ヘンデルと同じ1685年に、アレッサンドロ・スカルラッティの六男として、ナポリに生まれている。 16歳の時に、ナポリ王室の礼拝堂のオルガン奏者兼作曲家となり、18歳で、最初のオペラを発表している。 やはり、天才的な音楽家の一人であろう。 同じ歳のヘンデルと、鍵盤楽器の技量を競い合ったという噂もある。 1715年には、サン・ピエトロ大聖堂にあるジュリア礼拝堂の学長の地位を得ている。 特に、チェンバロの名奏者であったらしい。 何と言っても550を越えるソナタが有名であろう。 彼のソナタは、主に、チェンバロで弾かれることを想定して作られたものであり、現代のピアノで演奏するには、微細な技巧が必要らしい。 ほとんどが、単一楽章で単純な二部形式になっている。 後の時代のピアノ曲とは、随分と趣向が異なっているような感じを受けるが、彼のソナタの中には、ピアノ演奏に必要な近代的な技法も、すべて網羅されているとのことである。 スコット・ロスは、すべての曲を録音している。 ロスの弟子の曽根麻矢子、また、ピアノでは、廻由美子の録音などがある。
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以前、ヘンデルのオンブラ・マイ・フのことを書いたが、それと同じくらい有名なアリア「私を泣かせてください」が含まれる歌劇リナルドを、今週は紹介したい。 間違いなく、サラ・ブライトマン、あるいはヘイリー・ウェステンラが歌っているのをどこかで耳にしたであろう。 さて、ヘンデル(ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル)は、1710年に、ロンドンに移るのだが、その翌年の1711年に初演された、このイタリアオペラが大当たりしたようで、これが理由で、以後、ロンドンを活動の拠点にした。 この歌劇は、タッソーの「解放されたエルサレム」が原作で、十字軍兵士リナルドと魔女アルミーダが登場する物語である。 なお、私を泣かせてください、は第二幕で歌われる。 詳しくは知らないが、囚われの身になったリナルドの恋人アルミレーナが、リナルドへの想いを込めて、過酷な運命に涙を流しましょうと歌うアリアである。 私も、一度くらい、このような経験をしたいものである。 ヘンデルは、この歌劇を、二週間で作曲したらしく、全体の約三分の二以上は、過去の曲を手直しして使っていると言われている。 ヤーコプス指揮、フライブルグ・バロック・オーケストラ、ホグウッド指揮、エンシェント室内管弦楽団のものが好評のようである。
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今回は、バッハのオーボエとヴァイオリンのための協奏曲である。 もちろん、バッハの作品には、ヴァイオリン協奏曲もオーボエ協奏曲もあるが、あの時代では複数の楽器をソロ楽器として使うこともあったようである。 そんなわけで哀愁のある旋律が印象的な作品であるオーボエとヴァイオリンのための協奏曲(BWV.1060)を紹介する。 オーボエのソロが、少し物悲しく感じるが、そこがこの作品の特徴であり、また、普段は、表に出ることが多いヴァイオリンが控えめなのも、何となく良い。 ヴァイオリン協奏曲集のCDの中に一緒に収録されていることが多い。 アーノンクール指揮、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス、ヒラリー・ハーンヴァイオリン、ロサンジェルス室内管弦楽団のものなどがある。 ちなみに、今年3月で演奏活動にピリオドを打った、日本のオーボエ奏者である宮本文昭氏も、最後の演奏会で、この協奏曲を取り上げている。
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今回は、モンテヴェルディのマドリガーレ集である。 クラウディオ・モンテヴェルディについては、No26で述べているが、16世紀後半から、17世紀前半に活躍したイタリアの作曲家であり、彼の作品は、個人的に大好きである。 宗教曲や劇音楽の大作の他、マドリガーレも、9巻、約230曲残している。 このマドリガーレであるが、元来は、世俗声楽曲のことで、14世紀まで遡る。 特に、北イタリア地方で引き継がれ、そして、このモンテヴェルディによって、完成させられた。 ある記述によると、このことによって、音楽の歴史がバロックへと大きく進んだらしい。 詳しくはわからないが、第1巻から、最後の巻まで、非常に細かく、音楽史的にその進展が研究されている。 とにかく、いろいろな選曲が行なわれており、どれも楽しんで聴くことができる。 ある意味、バロック音楽のスタートと考えても良いだろう。 リナルド・アレッサンドリーニ指揮、コンチェルト・イタリアーノ演奏、アントニー・ルーリー指揮、コンソード・オブ・ミュージック演奏のものが人気らしい。 余談ではあるが、京都には、クラウディオ・モンテヴェルディ合唱団がある。
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