USCで研究するためにもう一つ重要なことがある。 パーキングスペースである。 ここロサンジェルスは世界一の車社会の大都会であり、郊外のモールには数万台規模のパーキングロットがあることも珍しくない。 ところが、それ以外の場所ではパーキングスペースが完全に不足している。
ほとんどの日本の方は信じられないかもしれないが、大学に駐車するのに、1日10ドルも取られる。 こんなこと日本の大学では考えられない。 教職員、学生に関わらず、皆、高額の駐車料金を払わされている。
そこで、とりあえず初日は10ドル払って駐車し、早急に担当のオフィスに行って4週間の割引の駐車券を手に入れた。 支払えば90ドルらしいが、ご厚意でインスティテュートの負担にしてくれた、有難いことである。
ちなみに、数万人いるUSC教職員の中で、ただ一人、パーキング代を払う必要のないのは、恩師のオラー先生のようなノーベル賞受賞者だけらしい。
初日ということもあり、お世話になるプラカッシュ教授とロバート博士に、昨年、新しくなったUSC University Clubで昼食をご馳走になった。
ロバート博士は、私が29歳で博士研究員として初めてアメリカに行った時に空港まで迎えに来てくれた方で、それ以来27年間の付き合いである。 ちなみに、プラカッシュ教授はインド出身、ロバート博士は、イスラエル生まれのハンガリー人である。
やはり慣れ親しんだ場所は良い、インスティテュートのほとんどのメンバーや秘書の方と面識があるので、研究室に顔を出してすぐにデスクを割り当てくれた。
現在、どの研究室も非常に人数が多くなっているそうである。 そんな中、わずか4週間滞在の研究者に良い場所をくれたのも、国籍は多様だが、基本的には人と人のつながりの結果だと思っている。
今から4週間お世話になる南カルフォルニア大学のLoker Hydrocarbon Instituteである。
1987年から89年まで2年間博士研究員として過ごした思い出の場所で、その後も頻繁に訪問しているので、勝手知ったところである。 ただ、当時から残っている方は、3名のみになってしまった。
ロサンジェルスの中心部にあるが素晴らしいキャンパスである。
今回は3ヶ月ぶりのLAであるが、雨が多く急に寒くなってきた福岡地方から来ると、やっぱりカルフォルニアスカイは最高に気持ちが良い。
いつものホテルで荷物を整理した後、こちらに住んでいた当時、頻繁に遊びに来たレドンドビーチに夕日を見に行った。 昔とちっとも変らない夕日であった。
今回もハーツでレンタカーを借りることにしたが、これまで窓口で1時間以上並ぶことが頻繁だったので何か策はないかと考えていた。 ホームページを見ていたところ、ハーツの会員制度があることがわかった。 実は、以前からこの会員制度は知ってはいたが、まあ、年に1度程度の利用なので、わざわざ入会する必要はないと思っていた。 しかし、よく見ると、予想に反して会員登録費も無料なので、とにかく「ハーツGoldプラスリワード」に入会し、その会員番号で予約をした。
空港からシャトルバスでハーツのオフィスに到着すると、降りた場所のすぐ前に電光掲示板があり、そこの79番に私の名前があり、近くの係員に聞いたところ、その79番に車が準備してあるから、何の手続きもいらないということであった。 まあ、アメリカのことなので、あまり信用しないで、その場所に行ったところ、予約していた車種らしい車が止まっていた。
とにかく運転して出口で予約書を見せたところ、「Have a nice day」と笑顔で言われて終わりであった。 手続き時間は2分といったところだろうか。 今までの長蛇の列は一体何だったのだろうか。 まだ、まだ知らないことばかりである。 それにしても、アメリカらしくないスピーディで性格なシステムである。
ここ数年、ロサンジェルを訪れるたびに、気になっていた新国際線ターミナルがようやく部分的に完成したようである。
今年7月に訪問した時とは異なった出口からイミグレーションへと向かった。
荷物を受け取る場所も新しくなっていたが、相変わらず、入国には時間がかかった。
意味もなく広すぎるレストルーム
JAL062 B777-300である。 この時期、すでに成田を離陸する時は日が暮れている。
台風の影響もなく非常にスムーズなフライトである。 ほんとに空を飛んでいるのかと思うくらい揺れない時間帯も多く、改めて航空機のテクノロジーには感心させられる。
約10時間のフライトであるが、よく考えてみると、食事をとりながら、酒を飲みながら、そして好きな映画を見て過ごす時間なんて、日常ではそんなにない。 贅沢な移動時間である。
だんだんとアメリカ大陸に近づいてくると夜が明け始め、朝日に輝く光景は素晴らしい。
二回目の食事(朝食)は、自分で選べるのだが、夜中の1時過ぎに、とても食べる気は起きない。
機内でもネットが繋がるが、個人的には薄暗い機内で、パソコンを使いたくはない。 日本時間の夜中の3時(現地時間11時)にLAXに到着した。
今日から、4週間のアメリカで研修である。 これは本学の教育職員研修プログラムに応募し採用されたものである。 趣旨は文科省在外研究制度終了にともなう若手教員向けの海外滞在プログラムであると思っている。 ところが理由はわからないが、第一次募集、二次募集とも応募者がなく、最終締め切り数日前になっても、誰もいないということで、急遽、書類を揃え応募した。
そんなわけで、南カルフォルニア大学で4週間実験ができることになった。 デスクワークから解放されてのベンチワークを楽しみにしている。 いつものJALで成田乗継である。
台風の影響による低い雲の中に降下していく航空機
成田で待ち時間があるので、ラウンジでビールを飲みながら大好きな航空機を眺めることができる。 ある意味、至福の時である。
ただ、メールチェックができるので、結局、返事を書いてしまう。
九州工業大学工学部応用化学科 21世紀シンポジウムを下記の要領で行いますので
関係の方はぜひご参加下さい。
主旨:
九州工業大学は、2009年に創立100周年を迎えました。本年春には、記念事業の中核である百周年中村記念館が戸畑キャンパス内にオープンし、21世紀のものづくり立国を支える工学系大学として新たな一歩を踏み出しています。工学部応用化学科も2011年に創立100周年を迎え、次の100年に向けて教育と研究の一層の充実をめざしています。
本シンポジウムでは、九州工業大学工学部応用化学科を経て現在第一線で活躍されている先生方に研究の最先端をご講演いただき、最近応用化学科に着任した教員による話題提供と合わせて、21世紀をリードする応用化学研究を展望します。
主 催 九州工業大学工学部応用化学科
日 時 2013年11月30日(土) 10:00-17:00
会 場 九州工業大学戸畑キャンパス百周年中村記念館
参加希望者は
1) 氏名
2) 勤務先
3) 卒業年度(旧教職員の方は在籍時期)
4) 懇親会参加希望の有無
5) 連絡先(電話番号およびe-mail)
を下記連絡先にメールでお申込ください
e-mail: sympo21@che.kyutech.ac.jp
担当:柘植、荒木
プログラム
10:00—10:10 開会挨拶、趣旨説明
(座長:山村 方人)
10:10—10:40 招待講演 近藤 昭彦(神戸大学)
非可食バイオマス原料からの燃料・化学品生産
10:40—11:10 招待講演 三原 久和(東京工業大学)
設計ペプチドライブラリーを利用するタンパク質・細胞分析チップ
11:10—11:30 依頼講演 佐藤しのぶ(九州工業大学)
歯周病診断を目指した電気化学的バイオセンシング技術の開発
11:30—12:00 招待講演 梶原 稔尚(九州大学)
高分子ブレンド・コンポジットの溶融混練
12:00—13:10 昼食
(座長:荒木 孝司)
13:10—13:30 依頼講演 北村 充(九州工業大学)
安定で取扱い易いジアゾ化剤 — グアニジノジアゾニウム塩の合成と反応
13:30—14:00 招待講演 市川 淳士(筑波大学)
炭素-フッ素結合の切断を利用する合成反応
14:00—14:30 招待講演 山口 雅彦(東北大学)
ラセン芳香族化合物の合成と機能
14:30—15:00 コーヒーブレイク
(座長:植田 和茂)
15:00—15:20 依頼講演 村上 直也(九州工業大学)
表面形状制御による酸化チタン光触媒粒子の高活性化
15:20—15:50 招待講演 高橋 誠治(JFCC)
JFCCマテリアル・プロセッシンググループの研究開発
15:50—16:10 依頼講演 中戸 晃之(九州工業大学)
無機結晶から液晶をつくる —— ナノシート液晶の世界
16:10—16:40 招待講演 小倉 裕直(千葉大学)
未利用熱駆動ケミカルヒートポンプによるエネルギーリサイクル利用システ
ム開発
16:40—16:50 閉会挨拶
17:00— 懇親会
自宅から車で5分のところに、いつも混み合っている天ぷら屋がある。 値段も手頃で、かつ非常に美味しい。 多量の食材は一度に扱っているのだが、いつも均質な味が出せるのは、職人技とは言え感心させられる。
休日のランチタイムなど、店の外までお客さんで溢れている。 店内での順番待ちは、座っている長椅子をどんどんと移動していく形式で面白い。
また国際免許の取得である。 ここ数年、毎年訪米しているので、毎回、新しい免許証が必要である。 有効期限は、たった1年で2400円必要である。 さらに、わざとのように写真の大きさもパスポート用とは異なっている。 そして10分で発行されるのは、10円もしないただの薄汚れた厚紙である。 いったい、誰が暴利を貪っているのだろうか。 日本の免許証にただローマ字表記を加えるだけで、こんな無駄なことは省けると思うのだが。
学力テストを課さないアドミッション・オフィス(AO)入試は、なんとなく耳障りが良いが、ほんとうの意味でのアドミッション・オフィス(AO)入試を実践しようとすれば、とても、現状のように、多忙な教員が片手間に行えるようなものではない。 私が滞在したアメリカの大学では、確かアドミッション・オフィス(AO)入試専門のスタッフが多数おり、1年中、関連の仕事をしているようである。 まあ、入学希望者が定員の6-8倍もいるので、その数も半端なものじゃないだろうが。 つまり、それくらいの予算と人員を割かないと、有効なAO入試など難しいだろう。 しかしながら、昨今の予算削減の中では、そんなことは到底望めそうもない。 そして、ずっと言われていることだが、何よりも大学の出口の基準をきちんと決め、入学より卒業に重きを置くようにすることが大事である。
報道によると大学入試改革を検討している政府の教育再生実行会議が大学入試センター試験を廃止し、代わりに「達成度テスト(仮称)」の創設を提言するそうである。すなわちレベルや目的が異なる「基礎」と「発展」の2段階の試験を設け、高校在学中に複数回受験可能となるということである。 5年後に導入される見通しである。 なんとなくアメリカのSATやACTといった共通テストとアドミッション・オフィス(AO)入試を想定しているような気がする。 確かに、アメリカの大学システムは、実感として、日本より合理的、かつ先進的である。 その証拠に、大学ランキングの上位は、ほとんどアメリカの大学が占めており、そして、アメリカは今なお世界中から若者が集まって来る唯一の国である。 ただ、いつも思うのだが、形式だけ導入しても、日本に根付くのは難しいだろう、そんな例はこれまでもたくさんあった。 ほとんどの場合、短期間でほぼ破綻している。