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愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

日本の切手と葉書

2023年12月10日 | 日々雑記

テーマ展「日本の切手と葉書」

 当館がこれまでに収集してきた切手や葉書の中から、1840年にイギリスで発行された世界初の切手である「ペニー・ブラック」と「ペンス・ブルー」、明治4(1871)年に発行された日本初の切手である「竜文切手」や翌年に発行された「竜銭切手」のほか、お正月にあわせて昭和10(1935)年に発行された日本初の年賀切手「富士」(渡辺崋山)や昭和24(1949)年に発行された日本初のお年玉付き年賀葉書など、多種多様な切手と葉書の世界を紹介します。

展示概要

会場
愛媛県歴史文化博物館 企画展示室
会期
2023年12月9日()~2024年1月28日(

詳しくは
テーマ展「日本の切手と葉書」| 展示案内 | 愛媛県歴史文化博物館

テーマ展「日本の切手と葉書」| 展示案内 | 愛媛県歴史文化博物館

愛媛県歴史文化博物館

 

高校生との課題解決プロジェクト~愛媛県宇和島市吉田町の地震・津波防災~

2023年12月10日 | 災害の歴史・伝承
今後三〇年以内に七〇~八〇%程度の確率で発生が想定されている南海トラフ巨大地震により、揺れによる建物の倒壊や津波による浸水によって甚大な被害が想定されている愛媛県南予地方の宇和海沿岸部。そこに位置する愛媛県宇和島市吉田町北小路の愛媛県立吉田高等学校(津波の浸水想定高は六.〇m)では二〇二三年度に愛媛県の防災教育実践モデル事業や地域の課題解決プロジェクトの一環で、過去の災害を学んで防災に活かす学習を全校で取り組んできた。吉田高校からの依頼で筆者も防災学習の講師として加わり、災害史学習や防災ソングの作成に協力をしてきたところである。

初回は、七月六日に「過去の災害に学ぶ―吉田付近の地震・津波史―」の演題で普通科一、二年生を対象に座学の講演を実施し、一七〇七年に発生した宝永地震、一八五四年発生の安政南海地震と一九四六年に発生した昭和南海地震での吉田における避難や被害状況を解説した。この講演の中で吉田藩立間尻浦庄屋赤松家文書の「永代控」を取り上げ、安政南海地震時の吉田の住民の避難行動を取り上げたところ、古典の授業の中で、この「永代控」を生徒が読んで現代語訳をしようという取り組みにも繋がった。本稿は、この初回の講演、古典学習の参考となる基礎データとして作成した資料であり、高校の授業だけではなく広く周知するため、投稿したものである。
なお、二回目は八月二一日に生徒有志、教員とともに防災町歩きを実施し、「永代控」の記述を基に、安政南海地震時の住民避難の経路を実際に歩いてみた。その様子を愛媛新聞が取材して八月二四日付で以下のように記事掲載されたので紹介しておく。

「古文書の震災記録、巡って避難路確認 宇和島・吉田高生が防災学習 宇和島市吉田地域に伝わる古文書に記された南海トラフ地震の被害状況を基に、吉田高校(同市吉田町北小路)の生徒約一五人が地域を歩く防災学習が二一日、あった。生徒は身近な場所を襲った揺れや津波を教わりながら、高台避難の経路を確認した。県の防災教育実践モデル事業などの一環で、県歴史文化博物館専門学芸員の大本敬久さんが講師を務めた。古文書は、同市吉田町立間尻の江戸期の庄屋赤松家が保管する「永代控」。吉田藩へ村の出来事を報告するために作られ、一八五四年の安政南海地震の状況を記録している。永代控によると、地震発生後には引き波で船が沖で流出し、午後八時ごろに庄屋に一.八メートルほどの津波が来た。余震が続く中、住民は高台の寺などに避難し、帰宅できずしばらく小屋で生活していた。生徒は海沿いの住吉神社を出発し、赤松家では実際の永代控を目にした。記録に沿って当時の住民が避難した三カ所の寺を巡り、海抜一七メートルの大信寺では避難に備えた防災倉庫を確認した。大本さんは、津波は何度も押し寄せ、最大の海面上昇は数時間後だったと説明。吉田地域は津波が川を遡上してくる可能性が高いとして、できるだけ川沿いではない避難路を選ぶことが大切とアドバイスした。(後略)」

そして、この生徒有志と教員による防災町歩きの経験を活かして、一一月一六日に実施された遠足では、テーマを「過去の津波の経験」とし、八月の町歩き箇所に加え、安政南海地震時に吉田藩主が避難した立間地区の医王寺や、将来の南海トラフ地震で集落の中央部にまで津波浸水が想定されている喜佐方地区の高台にある八幡神社を訪問場所に加えて、遠足が実施された。

また、「永代控」の記述を基に、生徒が主体となって宇和島市吉田町の防災ソングを作る取り組みも同時並行で行われ、一一月二四日に地元の吉田愛児園で披露され、講師、助言役として筆者も参加した。作詞は一、二年生、振り付けは三年生が行い、作曲は音楽教員が主導して防災ソングは完成した。こちらも愛媛新聞が取材し一一月二九日に以下のような記事として掲載された。

「宇和島の吉田高生が防災SONG制作 園児に振り付け指導、津波避難の大切さ伝える 宇和島市吉田町北小路の吉田高校の生徒が、約一七〇年前に吉田地域で起きた大地震を記録した古文書を基に、津波避難の大切さを伝えるオリジナル曲「吉田防災SONG」を制作した。生徒は二四日、吉田愛児園(同市吉田町西小路)を訪れ、園児に歌詞や振り付けとともに命を守る行動を教えた。古文書は同市吉田町立間尻の庄屋赤松家に残る「永代控」。一八五四年の安政南海地震で地域に津波が押し寄せ、住民が避難した様子を記録している。生徒は古文書の口語訳やフィールドワークを通して当時の住民の行動を学び、作詞などに役立てた。歌詞には住民が山に逃げたことや、諦めずに努力し復興を遂げたことなどを盛り込み「登れ逃げよ吉田っ子 命をつなげ吉田っ子」と呼びかけている。振り付けは頭上での指さしや腕を振る動作で、走って高台避難する行動を表現した。同園で同校の二年生約二〇人は、園児と2人一組になり「波が来るから逃げるんよ」などと歌詞の意味や動きを教え、繰り返し踊って練習した。(後略)」

以上のように、残された過去の災害史料を高校生の防災学習に活かし、その成果が地元の園児にも伝わる防災ソングを創作し、地域の防災力を高める一助となった取り組みであり、今後の地域の歴史文化研究成果の発信、展開のモデルケースともいえる。別投稿で、吉田高校での防災学習で使用した資料も掲載しておきたい。


野村の地域文化をつなぐ会

2023年12月09日 | 地域防災・事前復興



本日は愛媛県西予市野村町での災害復興と文化財・文化遺産活用シンポジウム。野村の地域文化をつなぐ会。

会場は、緒方酒造の酒蔵。2018年7月の西日本豪雨による浸水で大きく被災した後にリノベーション。その建造物を、文化発信のパブリックスペースとして利活用する取り組みでもあります。

今回は、国立歴史民俗博物館の川村清志先生(民俗学)、高科真紀先生(アーカイブズ学)に講師をお願いしました。
 
川村清志さん「災害を乗り越えた記憶の継承―宮城県気仙沼の津波記念碑、震災遺構を中心にー」

高科真紀さん「地域の歴史・文化をひらくアーカイブズの可能性ー沖縄県伊江島・阿波根昌鴻の写真を中心にー」

災害碑、モニュメント、建造物、写真、記録などを活かして野村での西日本豪雨の記憶をいかに継承していくのか、大きなヒントになるお話しでした。川村先生、高科先生、そしてご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。

日本農業遺産「愛媛・南予の柑橘農業システム」

2023年12月09日 | 生産生業

愛媛県南予地方。宇和海沿岸部での柑橘栽培。リアス海岸の急傾斜地を切り拓いて作られた段々畑は、山の斜面に沿って麓から頂上まで続いています。この段々畑は、土羽ではなく石積み、石垣。「耕して天に至る」とも形容され、いわば「石を積んで天に至る」壮大な景観を形成しています。南予地方で発展してきたランドスケープは、長い歴史の中で、一人ひとりの生産者が、厳しい地形条件を克服してこの地で生き抜いていくために地道な努力によって作り上げられたもので、南予の人たちの誇りでもあり、世界的に見ても顕著な価値を有する農業遺産ということができます。

平地が極端に少なく、リアスの急傾斜地という特異な地形条件下での高いサステイナビリティ(持続可能性)を有する農業形態は、「愛媛・南予の柑橘農業システム」として「日本農業遺産」に認定されています。

日本農業遺産は、国内において重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域(農林水産業システム)を農林水産大臣が認定する制度です。日本農業遺産は、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、日本において重要な伝統的農林水産業を営む地域(農林水産業システム)のことで、農林水産大臣により認定される制度。令和5年段階で24地域が認定されています。日本農業遺産への認定基準は以下の8つとなっています。

1.食料及び生計の保障
地域コミュニティの食料及び生計の保障に貢献するものであること。

2.農業生物多様性
食料及び農林水産業にとって世界(我が国)において重要な生物多様性及び遺伝資源が豊富であること。

3.地域の伝統的な知識システム
「地域の貴重で伝統的な知識及び慣習」、「独創的な適応技術」及び「生物相、土地、水等の農林水産業を支える自然資源の管理システム」を維持していること。

4.文化、価値観及び社会組織
地域を特徴付ける文化的アイデンティティや土地のユニークさが認められ、資源管理や食料生産に関連した社会組織、価値観及び文化的慣習が存在すること。

5.ランドスケープ及びシースケープの特徴
長年にわたる人間と自然との相互作用によって発達するとともに、安定化し、緩やかに進化してきたランドスケープやシースケープを有すること。

6.変化に対するレジリエンス
自然災害や生態系の変化に対応して、農林水産業システムを保全し、次の世代に確実に継承していくために、自然災害等の環境の変化に対して高いレジリエンス(強靭性)を保持していること。

7.多様な主体の参画
地域住民のみならず、多様な主体の参画による自主的な取組を通じた地域の資源を管理する仕組みにより、独創的な農林水産業システムを次世代に継承していること。

8.6次産業化の推進
地域ぐるみの6次産業化等の推進により、地域を活性化させ、農林水産業システムの保全を図っていること。

日本農業遺産「愛媛・南予の柑橘農業システム」については平成31年2月に認定されました。農林水産省のHPでは以下の認定理由が掲載されています。

「急傾斜かつ複雑に入り組んだ海岸線に柑橘園地が広がり、壮大で独特な景観を成している。厳しい地形条件を克服するため、様々な工夫や特徴のある社会基盤、ストックが存在している。」

「全国トップクラスの生産量と日本一の品目数を誇る愛媛県の柑橘農業において、南予地域はその屋台骨を担う一大柑橘産地です。複雑に入り組んだ海岸線一帯に広がる、他に類を見ない急傾斜地に拓かれた柑橘園地は、壮大で独特な景観を形成しています。労働の負担を減らすために段々畑を作り、防風垣を設置することで海からの塩害リスクを軽減するほか、高い栽培技術や様々な品種の適地適作など、持続的に経営するための工夫やノウハウが存在しています。生産者が結束して主体的・戦略的な産地づくりを進める「共選」組織など、独特の社会基盤やストックが存在し、過酷な条件下での小規模家族経営による経営の継続と高い収益の確保を実現しているほか、次世代育成や労働力の確保、海外への技術支援や国際的な認証取得にも積極的に取り組んでおり、世界に誇る応用可能な農業システムとなっています。 」

南予、宇和海沿岸部の柑橘農業は、地元に住んでいると「当たり前」、「いつも見ている」もので、景観や農業システムが顕著な価値を有すると認識するのは難しい面もありますが、外部の視点、全国の視点、世界的視野で価値判断することも重要だと思っています。

そのため、自分もX(旧Twitter)等で、自分にとっては当たり前の景観を、いろいろ投稿しているところです。








大瀬の民俗世界も描かれる『犠牲の森で 大江健三郎の死生観』

2023年12月06日 | 日々雑記
菊間晴子氏の著書『犠牲の森で 大江健三郎の死生観』東京大学出版会 (2023/3/22)

内子町大瀬の森の世界が描かれる。著者のフィールドワークの経験から大江作品の抽象性を解説。特に犠牲獣のこと、興味深く、大瀬の牛鬼に関する記述もあり、愛媛の多くの人に読んでもらいたい著作。

【主要目次】
序論 「死生観」から大江を読む
第I部 「壊す人」の多面性――『同時代ゲーム』
第一章 『同時代ゲーム』の背景
第二章 「犬ほどの大きさのもの」
第三章 「暗い巨人」への帰依
第四章 「森」という神秘のトポス
第II部 犠牲獣の亡霊
第一章 皮を剥がれた獣たち
第二章 「御霊」を生むまなざし
第三章 隠された「生首」
第四章 「後期の仕事(レイト・ワーク)」における亡霊との対話
第III部 「総体」をめぐる想像力
第一章 自己犠牲と救済
第二章 救済を担う大樹
第三章 聖なる窪地と亡霊たち
補論 テン窪を探して
第四章 「神」なき「祈り」の場
結論 「犠牲の森」の変容

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シンポジウム「文化遺産の現在と未来―人口減少社会と生きる―」

2023年12月05日 | 日々雑記
愛媛大学社会共創学部のホームページに、シンポジウム「文化遺産の現在と未来―人口減少社会と生きる―」の概要が掲載されました。

文化遺産とは、地域またはコミュニティの歴史・伝統・文化を集約した象徴的な存在であり、そこに属する人々にとって何ものにも代え難い誇りです。同時に、情報を共有すれば他地域の人々をも感動させる価値を持っています。しかし、その将来は必ずしも明るいとは言えません。本シンポジウムでは、人口減少によって危機に瀕する文化遺産の現状や課題を議論するとともに、予測不能な現代社会にこそ必要な「文化とともに歩む未来」について考えます。
興味・関心のある方のご参加をお待ちしております。

日  時:令和5年12月21日(木)17:30~19:15
共  催:社会共創学部、社会連携推進機構地域共創研究センター
     気軽にコミュニティカレッジin内子懇話会、内子町教育委員会
開催形式:対面
開催場所:内子町内子自治センター(内子町内子3427)
定  員:先着50名(事前申込はこちら)
参加費 :500円

「文化遺産の現在と未来―人口減少社会と生きる―」
■開会挨拶 林 純司 内子町教育委員会 教育長
      徐 祝旗 社会共創学部 学部長
■来賓挨拶 小野植正久 内子町 町長
■趣旨説明 井口 梓(社会共創学部副学部長・社会連携推進機構地域共創研究センター副センター長)
■研究発表
 渡邉敬逸(社会共創学部・社会連携推進機構地域協働センター南予)
  「人口減少との関係から考える文化財管理のゆくえ:愛媛県を事例として」
 大本敬久(愛媛県歴史文化博物館)
  「VUCA時代の無形文化遺産―文化が新たな地域に果たす役割―」
 村上恭通(先端研究・学術推進機構アジア古代産業考古学研究センターセンター長)
  「文化遺産と人口減少社会の将来-なぜ今、議論するのか-」
■総合討論・質疑応答 コーディネーター:井口 梓

牛鬼番組 NHK WORLD YOKAI—Exploring Hidden Japanese Folklore: USHIONI

2023年12月04日 | 祭りと芸能
牛鬼の特集番組「YOKAI(妖怪): Exploring Hidden Japanese Folklore – USHIONI 」。10月7日(土)・8日(日)にNHKの海外向け放送NHK WORLDで放映されました。

この夏の愛媛・宇和島牛鬼まつり、西予市明浜町狩浜の牛鬼、宇和島の闘牛の様子も紹介。

カリフォルニア大学の民俗学・日本文学研究のマイケル・デュラン・フォスターさんが愛媛来訪。私もご案内しながら牛鬼談義。

YouTubeで視聴可能です。リンクはこちらから。

YOKAI—Exploring Hidden Japanese Folklore: USHIONI


国立歴史民俗博物館特集展示「四国遍路・文化遺産へのみちゆき」

2023年12月02日 | 信仰・宗教

千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館では現在、特集展示「四国遍路・文化遺産へのみちゆき」が開催されています。会期は2月25日まで。愛媛県歴史文化博物館も共催し、四国遍路関係の所蔵資料を出品しています。

四国遍路は、四国4県を周回するルートの中に88ヶ所の霊場が設置された回遊型の巡礼路のことです。その起源は真言宗の宗祖、弘法大師空海に措定され、1200年に渡り人々に信仰され、継承されてきました。もっとも四国遍路の長い歴史のなかでは、その位置づけや人々の関わり方も大きく変化してきました。現代では、世界的に知られるようになった四国遍路を、世界遺産に登録しようとする運動が活発化しています。この展示では、四国遍路の歴史的文化的背景を概観しつつ、近現代における文化資源化の内実に迫っていくものです。

【展示の構成】
この展示では、四国遍路の歴史と現在について、次の構成で紹介しています。

1 四国遍路と弘法大師空海
四国遍路は真言宗の宗祖、弘法大師空海が霊場を定めたと伝えられています。遍路の白衣にも「南無大師遍照金剛」と背中に記され、金剛杖は大師の化身であるとされています。そこで本展示では、まず弘法大師と四国とのつながりを示し、古代から続く大師信仰の系譜をみていきます。

2 遍路絵図と描かれた札所
江戸時代に確立し、庶民の旅の目的として普及していった88ヶ所霊場の特徴を概観します。四国遍路の長い歴史のなかでは、その位置づけや人々の関わり方も大きく変化しています。例えば、88ヶ所を巡るお遍路ですが、これらの札所が定まったのは近世、17世紀に入ってからでした。札所をめぐる巡礼路が絞られていくのも、それ以後のことになります。四国遍路の普及に大きな役割を果たした媒体に注目し、描かれた遍路の姿についても紹介していきます。

3 近代化とツーリズム
近代化のなかで四国遍路は、全国からの集客を見込めるツーリズムへと展開していきます。遍路の代名詞でもある「南無大師遍照金剛」と背中に記された白装束についても、戦後になって普及した姿であることがわかってきました。明治・大正時代に奉納された絵馬や戦前の絵葉書の遍路の一行には、白装束は数えるほどしかみられません。鉄道やバス、自家用車の利用なども盛んになることで、遍路の意味づけや参加者、規模や期間も変化していきました。

4 世界遺産登録に向けて
21世紀になると、四国遍路を世界遺産に登録しようとする運動が活発化します。四国4県は登録に向けて様々な活動を行うとともに、その文化的歴史的な特質を炙り出し、遍路文化を物語化していきました。また、今回の展示共催となる愛媛大学四国遍路・世界の巡礼研究センターと愛媛県歴史文化博物館による最新の研究成果の紹介も行います。

【展示のみどころ】
四国88ヶ所霊場を開いたとされる弘法大師空海とはどんな人物だったのか、弘法大師と四国とのつながりから紐解く
四国遍路の札所はなぜ88ヶ所なのか?-遍路絵図に描かれた、札所や遍路道の姿について紹介する
四国遍路はなぜ白装束?いつから?-近代化による遍路の変化をみる
世界遺産とは?-四国遍路が持つ世界遺産に登録される価値を考える

開催期間 2023年9月26日(火)~ 2024年2月25日(日)
会場 国立歴史民俗博物館 第4展示室 特集展示室
料金 一般600円/大学生250円 高校生以下無料
開館時間 9:30~16:30(最終入館は16:00まで)
休館日 毎週月曜日(月曜日が休日の場合は開館し、翌日休館 )
年末年始(12月27日~1月4日)、2024年2月14日(水)
主催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
共催 愛媛県歴史文化博物館、愛媛大学 四国遍路・世界の巡礼研究センター

人口減少社会の文化遺産シンポジウム

2023年12月01日 | 地域防災・事前復興



【12月21日は、人口減少社会シンポ】

内子町でシンポジウム「文化遺産の現在と未来ー人口減少社会に生きるー」。

自分も無形文化遺産の継承について報告します。

主催は内子町教委・愛媛大学社会共創学部。

(「気軽にコミニュティカレッジ」という事業名だったことに昨日初めて気づいて、自分、全然「気軽」じゃない発表タイトルにしていてちょい焦る。)

募集始まっていますが定員50名、先着順とのこと。参加ご希望の方はお早めに申込ください。

シンポ終了後には、交流会もあります。