TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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企業の「環境負債」6割増となる-環境関連の引当金計上増加-

2009-08-10 07:08:28 | 経営全般
産業廃棄物の処理や土壌の現状回復などの将来必要になる環境対策費を引き当てる企業が増えています。

 新日本石油は石油や天然ガス開発で使う設備について、採掘する権益が切れて生産終了後に現状回復する必要があるため、負債の1%に当たる246億円を計上しています。

 電気メーカーには、「資源の有効な利用の促進に関する法律」に基づき、2001年から販売したパソコンの回収を義務づけています。NECはパソコン販売台数と回収率をもとに回収費用を算出、2009年3月期に67億円を引き当てました。

 海外の環境規制を受けて、日本硝子は欧米の海岸部にガラス工場を持つ欧州子会社ピルキントンが「海岸を保護するための費用」などとして65億円の環境対策引当金を計上しました。

 環境に関する引当金を計上する企業が増えている背景には、2011年3月期から導入される「資産除去債務」と呼ばれる新会計制度や環境規制の強化があります。新制度が始まると企業は「環境負債」の引き当てを義務づけられます。

 環境対策への社会的な関心は高まっておりますが、企業にとっては新たな費用負担です。しかし、企業の社会的責任を果たすということが会計基準に反映したものだと私は思います。

 私が専門校で会計を教えていた時に、連結決算、減損会計、時価主義の導入など会計の分野ではいわゆる経済のグローバリゼーションを背景に国際会計基準の導入が言われてきました。

 環境関連の引当金といい負債除去債務といい、会計分野は時代に対応した制度改正を実施しています。グローバリゼーション化した経済に生きる企業にとっては当然のことなのでしょう。