TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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荒天にぶれない経営、ダイキン工業とカゴメ-日経ビジネス2009.8.3から-

2009-08-02 06:48:11 | 経営全般
今週号の日経ビジネスは「亜熱帯ニッポン」ということで、気候変動リスクを克服する経営について特集されています。

 その特集で「荒天にぶれない経営」という記事が記載されています。地球温暖化が進む過程で懸念されているのが、異常気象の増加ですが、その気候の「不確実性」に、①在庫を減らすことで対応しているダイキン工業と、②在庫を増やすことで対応しているカゴメの企業が記載されています。

 ダイキン工業は、エアコン製造メーカーですが、エアコンは猛暑になれば出荷が伸び、逆に冷夏になれば需要が縮小します。ダイキン工業にとって一番こわいのは品切れです。機会損失だけでなく、取引先(卸売、小売)からの信頼も失います。

 猛暑に機会損失はしたくないが、在庫も持ちたくないという二律背反を乗り切るための手法が、1999年から確率してきた「ハイサイクル生産」です。この生産方法は、「3日間」という生産リードタイムです。3日間で製品が製造され、出荷されれば、また次の3日間のための生産計画が立てられます。これを繰り返していきます。この生産方法の確立で、猛暑でも冷夏でも、その兆しが現れた時点で即応できるようになりました。

 ダイキン工業のルームエアコン事業は、赤字を脱して、2004年にはパナソニックを追い抜き、首位に踊りでました。

 カゴメはトマトケシャップやトマトジュースを主製品とする食品メーカーです。カゴメは豊凶に関わらない買取方式で契約を国内生産者と結び調達網を築いてきました。
 しかし、必要とするトマトは、生トマトに換算して年間約35万トンで、国内で調達できるのは2万トンに過ぎません。残り33万トンは海外から輸入しています。

 昨今の気象変化で、世界のトマト生産地は豊凶が変化が激しくなっています。そこで、カゴメの基本的な考え方は、原料トマトの調達に関して、リスクを最大に見て十分な安全策を取るというものです。

 具体的には、産地を分散させて気候変動リスクに備えるのとともに、「原料在庫」を多めに確保するように不作に備えています。収獲直後の時期まどは、およそ、18か月分の原料在庫を抱えます。

 一般に在庫を減らすことのメリットが言われますが、それはほんとうに一般論ということが今回の記事を読むとわかります。