あび卯月☆ぶろぐ

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経済政策にみる麻生太郎への期待

2008-09-17 01:18:47 | 政治・経済
今度の自民党総裁選で小泉元首相が小池百合子への支持を表明したのは実にわかりやすかった。
小池議員は中川秀直を中心とする上げ潮派に属する。
上げ潮派は、まづ日本の景気を回復させ、経済成長を促しそれにより税収入を増やそういう考えをもつ。
與謝野馨が主張する消費税の引き上げにも反対の立場だ。
ただ、この景気を回復させる方法というのが新自由主義的な経済思想に基づくもので反自由主義派からは評判が悪い。
おおかた構造改革やら規制緩和やらで平たくいうと小泉改革路線の継承・続行である。
小泉元首相が小池氏を支持したのもそういう理由からだ。
この上げ潮派は緊縮財政を敷いて、小さな政府を目指す。
言い換えれば、弱者切り捨て。
「福祉って何ですか?」ってなことにもなりかねない。

與謝野馨は財政再建化。
つまり、日本の財政赤字を少しでも立て直そうとしている。
そんなわけで手っ取り早く歳入増が見込める消費税の引き上げを主張しているが、この時期の消費税の引き上げは悪い景気をさらに悪化させる危険性をはらんでいる。
だた、與謝野氏は根本理念は福祉重視で反市場原理主義。
自身の著書『堂々たる政治』では安倍内閣に入閣したときの思いを
「内閣の基本的な方針は総理大臣が決めるものだが、個人的には永田町を含め巷にはびこる「市場原理主義」的な考えと戦うということを密かに心に決めていた」と書いている。
むしろ、その為に巨額の財源が必要になるから消費税を上げなければいけませんと言っているわけだ。
上げ潮派からは「財政タカ派」なんて呼ばれているが、福祉の点から見れば全候補の中でもっともハト派といえる。

麻生太郎は積極財政派。
つまり、減税と公共事業で消費と雇用の拡大をはかるという考え。
與謝野氏と同じく緊縮財政を実行しようとする上げ潮派とは距離がある。
だから上げ潮派からは「ばら撒き政策」などと非難されることしばしばである。
反対に反上げ潮派、つまり経済格差や構造改革、規制緩和に反対する人々からは評判が良い。
麻生氏は自身のサイトで小泉路線の尖兵で竹中平蔵を「経済現場の解っていない人」とまで云って、反小泉路線の森永卓郎を「自民党の大物政治家でこういうことをはっきりと言う人を、わたしは初めて見た」と感動させている。
この前、NHKのある番組で森永氏と竹中氏が一緒に出演していて、竹中氏が森永氏を「社会主義者」と批判する場面があってなかなか興味深かった。
この対立構造はそのまま小池氏と麻生氏の対立とみることができる。

ちなみに、同じ総裁選候補の石原氏は小池氏、石破氏は麻生氏の考えに近い。
もっとも、石破氏の口から出る言葉は国防に関することがほとんどで私も国防の重要性は十分認めるところだが、いまそれをアピールしても国民の支持を得られるのは難しいだろう。

歴史を紐解けばデフレの時に緊縮財政をやって景気が回復した試しはない。
戦前で云うと濱口内閣。
濱口雄幸首相は昭和恐慌に対して緊縮財政を敷いた。
不景気の時に質素倹約をして景気が良くなる道理は無く、日本経済は余計ズタボロになった。
この危機を救ったのは高橋是清で彼は積極財政による巨額の赤字国債を発行した。
これによって、国の債務は激増したがGNPも激増、景気は回復し結果的に国の債務は減少した。
平たく言えば、麻生氏はこの高橋是清と同じことをやろうとしている。


さて、平成の御世では橋本、小泉両首相が緊縮財政を敷いて失敗している。

バブル崩壊以後の日本経済について失われた十年という呼び方がなされるが、これには少し嘘が含まれている。
実は公共支出によって1994年から景気は回復の兆しをみせ、96年には経済成長率が3.5%となり当時の先進国中で最高の数字となった。
この時期の輸出寄与度は決して高くないので日本経済は内需主導で回復基調に乗りかけていた。
ところが、橋本内閣は「構造改革」を唱え、緊縮財政政策、行政改革、そして規制緩和、金融自由化を中心とする経済改革に着手する。
直後、景気は急激に悪化し、98年には実質経済成長率はマイナス1%にまで落ち込んだ。
のちに橋本首相は自身の経済政策を失政として認めることになる。
いわば、上向きつつあった日本の景気をぶち壊した張本人だが、橋本首相だけに責任を押し付けるわけにはいかない。
橋本氏の政策は輿論の圧倒的な後押しがあってからこそのことだった。
メディアもエコノミストも財界も「構造改革」に大賛成していた。
この構図はそのまま小泉首相の時に受け継がれる。
小泉構造改革で日本がどのようになったかは御存知の通り。
財政は緊縮化し、市場競争のもとで弱体企業は倒産。
失業者を生み出し、消費の低迷をもたらした。

ついでに云っておけば、橋本内閣の後の小渕内閣では宮澤蔵相が積極財政を敷き、総額24兆円の財政支出を含む「緊急経済対策」を発表し内需拡大を行って景気を支えた。
これにより2000年に実質成長率は2.4%にまで回復した。
宮澤喜一が平成の高橋是清と呼ばれた所以だ。
で、その後の森内閣が再び緊縮財政へと転換し、2000年後期から再び経済は悪化。
そして小泉内閣の登場となったわけだ。

いま、日本は恐慌の入り口に来ていると指摘する経済学者もいる。
私はそこまで云うつもりはないが、いま日本は積極財政に転じないと本当に危ないのではないかと危惧している。
次期総裁最有力候補が積極財政派の麻生氏というのは悪くない。


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なお、なにゆえデフレ下における緊縮財政が誤った政策であるかについてはsaratomaさんのブログ「のんきな日本人」における記事を参照されてください。
大変詳しくそして解り易く書かれており、本稿作成にあたって大いに参考にさせていただきました。

http://search.nifty.com/websearch/search?cflg=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&select=2&q=%E7%B7%8A%E7%B8%AE%E8%B2%A1%E6%94%BF+site%3Ahttp%3A%2F%2Fnonki-nihonjin.cocolog-nifty.com%2Fblog%2F&ck=&ss=up

他、参考にした文献として佐伯啓思・著『成長経済の終焉』(ダイヤモンド社)を挙げておく。

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