雨曇子日記

エイティライフの数々です

まるでドキュメンタリー映画のよう

2019-12-07 13:32:59 | 俳句修行

 

町の図書館で見つけた一冊。

著者アビゲールフリードマンさんが、2000年から 3 年間、外交官として日本のアメリカ大使館で働きつつ俳句を学んだ記録である。

当然、俳句中心だが、交流した日本の俳人たちのこと、仕事や家庭のことなどが生き生きと描かれている。

わたしが一番印象的だったのは、次のようなシーンである。

 

高校 3 年になった息子との会話である。

 

「まじめな話、日本に 8 年も住んで、それで何も示せないなんて、ああ、ほんとうに恥ずかしいじゃない!」

私は、息子にたずねた。

「日本でずっと暮らしたことは、あなたにどんな意味があるの?日本でいちばんいいものは何?」

「ラーメン」彼は答える。

「ラーメン?ラーメンが好きって言って大学に受かることはできないわ!」

「でもぼくはここのラーメンが好きなんだよ。スープがおいしいし、麺もうまい。丼をのぞきこむと眼鏡が曇ってゆくのが好きなんだ。昼休みに友だちとラーメン屋に行くのが楽しみ。日本のラーメンはおいしいよ」

 

「俳句には全然興味がないの?私がこんなに俳句に時間を使っているいるのをみても、関心は湧かないの?」

「わからない。ママが俳句が好きで、ぼくはうれしいよ。でもお願いだからぼくに俳句をやらせないで」

「放っておいてやりなさい」テーブルを片づけながら夫が言った。「ああ、ああ、子育ては大変だわ」と私は心の中で呟いた。

 

著者はこの本を 2006 年アメリカのストーンブリッジ社から出版し俳句の師匠であった黒田杏子に送った。数日後、その赤い表紙の本は、講演会で聴衆に紹介され、聴衆の一人であった翻訳家中野利子(中野好夫長女)の目に留まって、2010年岩波書店から出版されることになる。この本の誕生もまたドラマチックである。

 

 


ひとり吟行

2019-10-08 11:35:01 | 俳句修行

10 月 8 日(火)

いつの間にか 10 月も半ば。私は引き続き夏の格好だが、日没は早くなり、日の出は遅く、柿は色づき、彼岸花は盛りを過ぎ・・・・というように季節は進んでいる。

ふと思いついて、半世紀たった団地の道をひとり吟行した。

 

          山茶花の小さな蕾数知れず

 

          回覧板まわす隣家のしだれ萩

 

          十月の百日紅(ひゃくじっこう)や枝の先

 

          秋半ばアキニレの実やうすみどり

 

          丈高き白き芙蓉の小径かな

 

          桜木の梢震わせ秋の風

 

          ポスターは団地公園秋祭り

 

55 年前、 10 月 10 日に東京オリンピックが開催された。青空に自衛隊機が描いた五輪の輪が、昨日のことのように思い出される。

 

          

 


六月の句

2019-06-11 14:01:05 | 俳句修行

 

仙台市の俳句結社”澪”の会員ですから、毎月 6 句ひねりださねばなりません。

以下が苦心の作です。

 

     六月の木の下道や蝶と行く

 

               (柏市名戸ヶ谷の小径)

 

     眠たげに合歓の花咲く池の端

 

     睡蓮の目覚めすっきり池の中

 

           (柏市増尾城址公園の水辺ゾーンにて)

 

     ふり仰ぐタイサンボクの白き花

 

 

     紫陽花の四弁の小花百余り

 

               (とりあえず路傍にて)

 

     ためらいつ花瓶に移す庭の百合

 

     若鮎の求肥の餡を懐かしむ

     

 

     


躑躅燃ゆ

2019-05-07 15:12:10 | 俳句修行

 

会員となっている仙台市の俳句結社”澪” 6 月号の締め切りが迫っているので、7 句作ってみた。

 

     玄関の花瓶の中の躑躅燃ゆ

 

     巡拝の寺は躑躅の燃ゆるなか

 

     五月晴道しるべ立つ昔道

 

     挑戦のたけのこご飯炊き上がる

 

     二つ三つ庭のえんどう味噌スープ

 

     中空に桐の花咲く通り道

 

     鈴蘭に居住まい正す小庭かな

 

 

 

 


花の団地

2019-04-16 13:23:01 | 俳句修行

4 月の俳句です。

 

     歳月や花の団地となりにけり

 

     散策は団地をめぐる花回廊

 

     雉鳴いて姿見せおり散歩道

 

     桜散る昔二の丸静まりて

 

     県境や川の向こうの花明かり

 

     校庭の百年桜守られる

 

     芹を摘む福島の人と小会話

 

     平成の桜並木の咲き誇る

 

     花吹雪幼子のいる青テント

 

     子の駆ける桜吹雪の広場かな

 

     花筏浄化の川を下りけり

 

     新時代昭和の桜生き残る

 

     


ギヤマンの花瓶に春を投げ入れぬ

2019-03-08 11:19:07 | 俳句修行

 

私の所属する仙台市の俳句結社「澪」の 3 月号が届いた。

次は、 4 月号への投句( 7 句)だ。

今回は、我が家の狭い庭に題材を絞ることにした。

 

 

         球椿垣根の蕾八重に咲く     雨曇子

 

「球椿(たまつばき)は、椿の美称です。歳時記に書いてありました。写真は園芸種の乙女椿で、八重に咲きます。

 

 

          うすみどり短き房の土佐水木   雨曇子

 

隣家の T さんは四国の出身だからこの木について何か思い入れがあるのだろう。30 年前鉢植えを庭に放したところ大木になり、いささか持て余しの気味がないではない。しかし、毎年庭を明るく染めて春の到来を知らせてくれる。

 

 

沈丁花(じんちょうげ)は、赤い蕾の方が好きだが、芳香は開いたときの方が強い。集まって咲く花の数は 10 個前後だ。

 

          沈丁花紅き蕾のみな開く   雨曇子

 

 

雪柳は柳の仲間だけに繁殖力が強い、これから晩春にかけ白い花を雪のようにたくさんつけていくが、葉を出し始めの今の時期はまだ、数えるほどだ。小さいがしっかりした花で、花びらは 5 枚、合弁である。あまり小さいのでルーペで見た。

 

          雪柳ルーペの先に白い花   雨曇子

 

 

          ギヤマンの花器に紅梅投げ入れぬ   雨曇子

 

               (木瓜はまだ芽が固く小さい)

 

          春の花ソーダガラスの窓越しに   雨曇子

 

我が家の窓ガラスはソーダガラスではないが、ガラス越しに春の到来を味わっている様子を句にしてみた。

あと 1 句、なんとかひねり出さねばならない。

 

 


二月号への投句

2019-01-07 16:12:37 | 俳句修行

な 

私が 3 年前より会員にしていただいている仙台市の俳句結社「澪」(みを)2 月号投句がせまってきた。

なんとか 7 句生み出さねばならない。

まず浮かんだ一首。

 

       助け合って生きていかまい老の春

 

「生きていかまい」は三河弁で、「生きていきましょう」ということだ。今のところ介護認定外だが、いずれそうなるだろう。一年でも長く自立の生活を続けたい。そんな決意を込めた。

 

       石段は八十四の初詣

 

       券買って力うどんの初ランチ

 

       椋の実の先に青空初歩き

手賀沼北岸遊歩道は、整備されて半世紀i以上になるので樹木も高い。針槐、桜、枝垂柳などが主だが、なかに 4 m 以上に伸びた椋(むく)の木があって、枝先に小さな黒っぽい実をつけている。その先にきれいな冬の青空が広がっている。そんな情景を表したかった。

 

       蠟梅や枝の先々皆莟む

 

我が家のただ一本の蠟梅。よく見ると枝の先々にまで蕾がついていた。

 

 

         山茶花の垣根やいともにぎにぎし

 

 

あと一句、苦しまぐれだ。

 

         玄関の一輪挿しは水仙に

 

 

       

 

 

 

 

 


秋深し

2018-10-12 11:14:26 | 俳句修行

 

     秋深しフレイル防止旗立てて

 

柏駅東口ダブルルデッキに、ストップフレイルの旗が並んでいた。

”フレイル”は英語 frailty 虚弱 を語源として作られた造語だそうで、要介護の状態は、健康体からフレイルを経て陥るとされています。

市としても要介護の人が増えることは財政上の理由からも阻止したいところなので、このようにフレイルストップをアピールしているのでしょう。

 

     秋彼岸寺の催す落語会

 

     ともかくも達成感の栗ご飯

 

     鬼灯の色鮮やかな今朝の庭

 

     上州のうどん定食秋の色

 

上州の例えば舘林にでも行って、うどん定食でも食べたいなと思っているだけで、まだ行っていません。

 

     幾万の小菊の手勢満を持す

 

我が家の数鉢の小菊が蕾を持ったので、大げさに表現してみたのです。

 

     地下道の書道展まで文化の日

 

 

柏駅西口、東葛飾高校前、国道 6 号の地下道にあった書道部の展示を見ての句です。。他にも美術部の作品など多々ありました。


七月

2018-07-09 14:28:31 | 俳句修行

こんな句ができました。

 

いざ行かむ夏草繁る土手の道

*なにもそんな道を行かなくてもよいのに、いささか無鉄砲です。

 

凌霄のひとり元気な昼下がり

*隣家の庭に凌霄花(のうぜんかずら)が咲いています。

 

街なかの大行列や氷店

 

きょう猛暑風呂の掃除に専念す

 

七夕や観光客の願ひごと

 

燕(つばくろ)の雛三羽いる東口

*アーバンパークライン運河駅です

 

報道の台風被害とめどなく


葭切(よしきり)

2018-07-08 21:10:52 | 俳句修行

日本列島はつくづく雨に脆いと思います。(確かに、かってないほどの雨量ですが、それにしても・・・)

水害の犠牲になられた方のご冥福をお祈りし、被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。

 

「澪」 7 月号からの一句鑑賞です。

 

葭切の鳴いて児ら呼ぶ校舎裏     佐藤拓郎

 

大震災から 7 年の歳月が流れ、あの大川小学校跡地にもオオヨシキリが飛来し、終日大声で鳴きたてています。

その鳴き声は、あたかも犠牲となった児らの名を呼ぶ悲痛な叫びのようにも聞こえます。

 

オオヨシキリは、毎年日本の各地に南方の国より飛来し、主に河川の芦原に住んで子育てをします。その鳴き声は、ググッ ギョギョ ギョッ ギョッ ギョギョシ ギョギョシ ギョギョシ と濁った大声で鳴きます。俳句では、「行々子」とも言います。

 

土台のみ体育館や行々子     佐藤べん

 

お二人は、この 6 月初め、石巻の大川小学校跡を訪ね、校舎裏跡地の湿地でオオヨシキリが鳴くのを耳にされたのです。

今回氾濫した河川にも芦原がありオオヨシキリがいたと思われるのですが、彼らはどうしたのでしょうか。