トシコロのありのままの暮らし


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少子高齢化とマスコミ報道

2019-05-23 13:33:44 | 日記
少子高齢化の問題は、丁度日本の元号の平成が始まったころからマスコミはネガティブに報道されてきたようだ。でも、女性たちが高齢婚・仕事を持つ事が当たり前になっている以上、その対策はあるだろうか。対策もないのに、「少子高齢化は危機だ」という報道は無責任であり、人々の心を自動的に暗くしたのではないか。それも平成不況の影の一因になったかもしれない。その他、子供たちにも暗い影響が出て、イジメなどにもつながったと言い切れない理由はないわけである。


  また、少子化は本当にマイナスの事だろうか。多産はプラスだろうか。90年半ば、元気だった先代の三遊亭円楽さんは、当時の政府の人口増加計画を厳しくラジオで批判していた。

  「人口増加させても、ろくな事はありませんよ。戦前の歴史を見て下さい。日本は人口が増加し、食い詰めて、ブラジルなどに移住し、それでもどうにもならず、満州に侵略したじゃないですか。つまり、戦争になったわけです。これから、人口を増やしても、同じ事が繰り返されますよ。政府のその計画はおかしいです」と。

  世界の歴史を見ても、その通りである。多くの国で、人口が急増した時に戦争が起きている。それも侵略戦争。唐や近代前半のスペイン、ポルトガル、その後のイギリス、更には、ドイツや日本が後に続き、第二次世界大戦後はアメリカと。どうして、戦争が起きた状態が幸福で、ポジティブな事なのかと。人口増加期にはそのような不幸な面もあったと歴史には記されているわけである。

  更には、女性の人権。人口増加期の社会の女性たちは社会活躍どころか、教育もまともに受けられず、12歳くらいから親や親戚に結婚を強いられ、物凄い数の子供を産まざるを得ない状態だった。不妊症の女性たちのかなりは、愛情があっても、離婚を強いられた。愛ではなく、子供を産むための結婚になっていた。女性だけでなく、本当は男にとっても不幸な状態だったわけである。

  人口増加時代に再びなれば、女性たちは以上に戻る事に気が付いたのか、日本では「女は産む機械ではない」と反発する女性も出てきているが、それも当然だと思う。物事には、必ず、光と陰があるわけであるから。

   ならば、少子高齢化も、じっくり考えていけば、必ず、プラス・光の面もあるはずだと。それを見つけようともしないで、「それは危機だ」と言うのは余りにも短絡的で、無責任ではないか。特に、マスコミ関係は社会的な影響が大きいから、大罪だと思う。介護面は、高性能の介護ロボット開発も進んでいるわけだし。むしろ、助け合いなどの面も出るはず。

   因みに、今は若者の比率が高いアフリカや中南米も、女性の高教育と社会活躍により、少子高齢化になるのは時間の問題である。世界中がそうなれば、世界平和に向かうのかもしれない。

   (蛇足までに書くと、最近目立つ高齢者への虐待や殺人、高齢者ホームのそのような件の根の一つも、平成初期以来の少子高齢化叩きの報道がある可能性がある。立証はできないが。そのような報道を常に聞いていれば、敬老の気持ちも起きなくなることは十分考えられる。古くは各新聞が日露戦争を煽ったように、マスコミは考えない報道をして、社会を悪くさせた歴史もあるし。マスコミに惑わされる事なく、自分の力で考えたいものである)


小説「私が棄てた女」の遠藤周作氏の意図

2019-05-23 11:31:30 | 日記
   神谷恵美子をモデルとしたミツという女性に、遠藤氏の信仰する聖母マリアを描こうとしたわけである。それが意図であり、ハンセン氏病啓蒙ではなかった。映画化された時は、白血病に変えられていた。それが交通事故だろうが、筋ジストロフィーだろうが、他の病気や後天性障碍でも構わないわけである。たまたま神谷恵美子はハンセン氏病関係の道を歩んだから、それを背景に変えたわけだ。


  それは1963年に発表された。遠藤氏は、ライ予防法は知らなかったわけである。戦時中の強制収容の事もどれだけ知っていたか、判らない。1963年当時は世間に知られていなかった問題である。しかも、東京出身ならば、尚更知らなかったに違いない。2001年のハンセン氏病訴訟の和解の後ならば、当然書けない内容である。

  その他にも、遠藤氏は諸々の著書に、自らカトリック関係の慰問団として、療養所に行き、感染が恐かった事を少し書いてある。感染は政策的に宣伝された事も知らなかった。

  日本のハンセン氏病政策が世間に知られる前に、遠藤氏は昇天したわけである。よく知らない事は、本当は書いてはいけないわけだが。遠藤氏は「沈黙」などの優れた作品を書いたが、やはり、人間のする事には限界があるのだろうか。特に、情報不足の事は。それは怖ろしい。