山みどりさえずり谷地に溢れたる目にも耳にも息吸う胸に
結葉も茂る草むら蒼々と谷間の空はなおなお青し
森を出ぬ鳥のさえずり森を出で青田風吹く里を包めり
幾十の小さき光位置を変え棚田の上に星と瞬く
沈泥池の底を掘り下げて、その土を堤の肉付けに使い、堤の9mを40㎝太らせた。新たに付け加えた土が固まれば堤の内側を削り取り水面面積を広げようとする魂胆である。
現在の沈泥地の面積は36㎡約11坪で、太らせた堤を40㎝ほど削り、もう1坪ほど拡幅する予定なのである。掘り下げた部分はまだ半分で、残り半分の土の扱いが決まっていない。
今のところ西側の堤を幅広く作り、余裕が合ったら再度の拡幅になるだろう。いつまでたっても完了する目途は無いけれど、生物リザーブプールとしての役割を担わせたいから、まあしょうがない。
半分を掘り下げたので水抜きをし残り半分の底を顕わにした。これで掘り下げ作業は楽になったし、残りの部分にいた生物は掘り下げた部分に避難できる。見えた生物はヤゴよりツチガエルのオタマジャクシがほとんどで、産卵も逐次行っているのでサイズもさまざまである。
瓦礫山血肉踏み分け泣く子らの声聞かずとも街はかなしき
奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声きくときぞ秋はかなしき 猿丸大夫
街固め荒野も行けぬ地雷原我が両脚は塵と降りたり
君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ 光孝天皇
血は流るメシアも効かぬ盗った側からくれないにガザくくるとは
ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれないに水くくるとは 在原業平朝臣
パレスチナなんと厳しさまさりける命も街もかれるとおもえば
山里は冬ぞさみしさまさりける人目も草もかれぬと思へば 源宗于朝臣
誰もかも知る人死せむ荒砂に待つも昔の友ならぬ国
誰をかもしる人にせむ高砂の松も昔の友ならぬくに 藤原興風
全燔祭丸焼き供物自治区かな生き延びた民ナチ倣うなり トロル叔父
椿に毒蛾の幼虫が発生したから薬液を作ろうとしたら動くものがある。蛾と思ったらアゲハだった。「尾羽打ち枯らし」そのままにうまく飛び立てないでいる。
翅の大半は失われているが地上には落ちていない。野生状態の三つ葉につかまって、まだ元気そうだったが、消毒を終えた後に見たら、池の上の蜘蛛の巣にからめとられていた。
この蝶を探す途中で見つけたジャコウアゲハの蛹化中の個体、これも三つ葉の花茎に身を固定していた。地上高30㎝程で羽化まで大丈夫かと蟻からの被害が心配だ。
期せずして「ミツバの陰」で消えゆく命と生まれるだろう命の両方を目撃した。生老病死は現世の常であるが、食物連鎖の中での戦は受け入れることが出来る。
フイールドに御出勤すれば最初は水見回りからだ。毎回眺めていて虫が動き始めた。「チョボ水でも安定している沈泥地を、もう少し拡幅しよう」と。
そんなことで「もう完結」したつもりの拡幅に手を出してしまった。未解決の理由の一つが「沈泥地と隣の泥水池3の高低差」で、水面差で1mある。オーバーフローした時、堤斜面への浸食を緩和したい。そのためには高低差を減らすのが良い。
そこで「泥浚い」でなく水底を掘り下げ、土の処分で堤を広げる、と言う算段だ。着手してもこの暑さ、2時間も作業すれば「もう帰ろう」となる。一坪でも泥にはまりながらスコップひと掘り分掘り下げるのは大仕事であって、掘り下げた部分は見えないけれど、堤が厚くなっていくので達成感はある。