トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

三日月池のカサスゲ抜去

2021-09-15 | 水辺環境の保全
 普段は水見回りのコースには入れない三日月池なのだ。それと言うのも雨水頼りの単独池なので見回りしてトラブルを見いだせたとしても他に波及は皆無だからで、それとともにこの池の大きな役割はクロスジギンヤンマの多発生部である事なのだ。故にそれを楽しみに出現期に入れば「まだかまだか!、今日か今日か!」と到着時と帰宅前の日に二回も日参する事になる。全く持って事実上の二ッ参である。

 馬鹿はそれくらいにして先日以来カサスゲの繁茂が抜去の限界をとうに過ぎたまでになってしまった。下のフイールドでのっぴきならない作業が多発していたから「後回し、後回し」でいたのだ。その付けは抜き取り難いカサスゲを大量に抜去しなければならない、と言う付けで返ってきた。
 「大きなカブ」なら犬や猫の手も借りられるのだろうが池の中ではそうもいかない独り孤高とお馬さん体勢で「ウン、ウン」と曳き抜くのである。右腕はテニス肘状態、下腹部は左右のヘルニアの古傷、腰にも腰椎挫滅の古傷と、腹圧と渾身の曳き動作には悪い作業でしかないけれど、そうも言ってはいられない。繁茂を許せばトンボの種が減少するし、壊滅させれば羽化台や産卵台の消滅となって、どちらにしても「動的平衡」が重要なのだが平易に言えば「塩梅」であろう。

 日当たりの良い範囲は既にカサスゲに覆われてしまってトンボの飛翔さえ見つからない近況だったのだ。日陰となっている部分にはヤブヤンマなどの産卵履歴はあるものの、先日の除伐でヤマグワの倒木が落ち込んだままなので寄り付いているのかどうか、これも撤去しなければならないのだ。

 そんなことで池に入り抜去開始、黙々とやるしかない抜去で抜き取る楽しみなど皆無なものの、水域部のカサスゲを今回は全抜してみた。それでは「来季の羽化に差し障る!」と思えるだろうが、繁茂させ過ぎた事で多くの地下茎が途中で切れ残っている。これが冬の到来前に伸長して葉を復活させる。クロスジギンヤンマの出現期には羽化台は間に合うのだ。
 抜去中、数は少なかったがクロイトトンボが水面飛行をしていた。このトンボのためにも水面付近には「水面だけ」とは出来ないけれど、今なら浮遊物もあるし、踏み荒らしてしまったシャジクモも、おっつけ水面近くまで復活するだろうからクロイトトンボには支障は無いのだ。
 しかし、シオカラやオオシオカラ、マユタテなどの常在種の一匹も縄張りを張らない環境に至らしめたのは我が身の至らなさの結果であったわい。

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*今日の一苦

2021-09-15 | 温故痴新
                   二夜啼くひと夜は寒しキリギリス      記逸
                  二夜目で飽和度限界ギリギリす

                  二夜で亡くひと夜の発熱あっけなし    嬬

今日のトンボ「まだ産卵しているクロスジギンヤンマ」

2021-09-15 | 小父のお隣さん
 「やさしいトンボ図鑑」を参照するとクロスジギンヤンマの出現期は八月末までなのだがフイールドではまだ産卵個体が観察できる。この日も水見回り中に産卵個体を発見して撮影した。
 希望的観測をすれば、まだ出現期にあるヤブヤンマ・マルタンヤンマ・ギンヤンマなどを見たいのだけれど、そうそううまくいくはずも無し。追っかけしている訳でも待ち伏せしているわけでも無い、折々の水見回り中に遭遇する機会だけでの視認なのだ。

 そうはいっても今期の大型トンボの中ではオニヤンマの遭遇機会が格段に多い。水域の折々の場所で水見回り中に出会う事から複数の個体が飛翔しているのは間違いないだろう。どういう訳なのか胸の高さほどを飛翔しているオニヤンマを眺めていると手が届く距離まで寄って対面ホバリング、で180度踵を返していく事が多々あるのだ。恐れている風もなく、小生的には「視線を交えた」感覚のある一時でこれは秋波を送られたみたいに嬉しい。まあ、♂であることは重々承知の助。