トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

尾羽打ち枯らし

2015-08-06 | 感じるままの回り道
 アザミの花に止まったまま動こうとしない。翅の傷みが激しくて生き抜いてきた厳しさを全身で表している。すでに飛翔する元気もないようで捕食されるか花から落ちるかのどちらかなのだろう。蝶もトンボも生き抜いてきた日数を体現しているかのような個体は目にするが、ここまで痛んだのは珍しい。これまでになる前に、おおかた食物連鎖の中に組み込まれているはずだ。ともかく「ご苦労様、よく生きた!」としか言えない。
 今日は多くの人々が塵と消え果た「広島原爆忌」、「良く生きていた」人々も多かったに違いないが「良く生きた!」とはとても思えない。かろうじて生き延びた人々は「良く生きた!」と思うけれど、それぞれの人生は凄惨だったに違いない。尾羽打ち枯らしかろうじて命脈を保っている野生生物には、自ら凄惨な現実を生み出す事はないだけに生存競争の只中にあってなお「良く生きている」事は間違いなかろう。

**大本営の系譜 2

2015-08-06 | 温故痴新
 よこしまな大和心を人問わばお足が臭う法螺桜連     
      敷島の大和心を人問わば朝日ににほふ山ざくら花        本居宣長

 策宿る永田の面に隠す闇氷背に浴ぶ赤紙の朝   
      月宿る沢田の面にふす鴨の氷より立つあけがたの空       続草庵集

 採決の音におどろかされて暁の寝覚め乱れし世はおどろかな
      鳥の音におどろかされて暁の寝覚めしづかに世を思ふかな   後村上天皇

 汝や知る都は五輪の空回り誰だ誰だと回る責任
      汝や知る都は野辺の夕ひばりあがるを見ても落つる涙は   飯尾彦六左衛門尉

 おのづから染まぬ言の葉吹きまぜて色々で言う傾国の志士
      おのづからそめぬ木の葉を吹きまぜて色々に行く木枯の風    藤原為家

 どの額も妥当と思ふ後出しの欠けたる事の無きまつりごと
      この世をばわが世とぞ思ふ望月のかけたることもなしと思へば  藤原道長