とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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対地接近警報装置とATC、新聞報道の?

2010年10月31日 21時21分44秒 | 社会
この一週間、交通網の安全に関わる大きなニュースが二件続いた。

ひとつはANA機への管制ミスで、もうひとつはJR西日本の速度超過。
どちらもひとつ間違えれば重大な事故につながった大きなミスだが、どちらも最新鋭の自動装置が働いて危機を回避。
乗客は誰もケガはしなかったし、気づきもしなかった。

鉄道や航空機、バスなどを利用するにはどうしてもリスクが付きまとう。
普段はほとんど意識することはないが、この世に完璧なものがない限り移動中に事故に遭遇してしまう可能性はゼロではない。

それでも、航空機や鉄道は事故が殆ど無い一方、一度事故が発生してしまうと被害が大きく悲惨なだけにとりわけ神経質になるのも頷けるというものだ。

今回のANA機への管制ミスは管制官の単純ミスであった。
JRのほうは運転手の考え事に端を発する単純ミスであった。
ところが、飛行機は当時視界ゼロで管制官の誘導のみが頼りの中、地上までの高度がわずか500メートルになったというのだから、尋常ではない。
500メートルというと東京スカイツリーよりも低い高度だ。
一方JRは制限時速60kmのところを時速67kmで走っていたというので、大した速度超過ではないだろうが、場所があの福知山線脱線事故のまさにその場所だったために大騒ぎになった。

ところで、新聞報道では、どちらも危機的状況の内容だけを伝え、一方的に読者の不安を煽るような記事ばかりを流しているが、それでいいのだろうか。
どちらの事件も自動装置が作動して事故を回避。
自動制御技術の信頼性を取り上げる新聞記事は皆無で、ただただ「危ない危ない」を繰り返すばかり。
自動制御技術はどこまでが安心で、どこからが不安なのか、記述している新聞も皆無だ。

「高度差〇〇◯メートルで、こういうケースは危険です」
とか、
「ATCは急に速度制限をかけるのではなく、段階的に制御するから安全ですよ」
とか、何か具体的で科学的に伝えてられないものか。

新聞報道は感情ではなく、論理と知性で記事を書いていただきたいものだ。