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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

三ツ橋敬子 ✕ 岡本誠司 ✕ 東京フィルでメンデルスゾーン「序曲:美しいメルジーネの物語」&「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調」&「交響曲第4番”イタリア”」を聴く ~ 都民芸術フェスティバル参加公演

2023年02月08日 07時03分15秒 | 日記

8日(水)。わが家に来てから今日で2949日目を迎え、米富豪のチャールズ・コーク氏が設立した保守系政治団体「繁栄のための米国民」が2024年の大統領選に向けた共和党の予備選でトランプ前大統領以外の候補を支援する方針を発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     共和党内の「トランプ離れ」を加速させる可能性が大きい  共和党は目を覚ますか?

 

         

 

昨日、夕食に「親子丼」を作りました 娘が旅行に出たし、私は夜にコンサートがあるので、外食で済まそうかとも思ったのですが、怠惰な生活に転落しそうなので自分で作ることにしました 一人分作るのは面倒だと思いがちですが、山形に単身赴任している息子(趣味は料理)は毎日自炊をしているので、負けてはいられません できる限り自分で作ることにしました

 

     

 

         

 

昨夜、東京芸術劇場コンサートホールで「都民芸術フェスティバル」参加公演「東京フィル」コンサートを聴きました プログラムは①メンデルスゾーン:序曲「美しいメルジーネの物語 作品32」②同「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64」、③同「交響曲第4番 イ長調 作品90 ”イタリア”」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=岡本誠司、指揮=三ツ橋敬子です

指揮の三ツ橋敬子は東京藝大、同大学院修了。ウィーン国立音楽大学とキジアーナ音楽院に留学。第10回A.ペドロッティ国際指揮者コンクール優勝、第9回アルトゥール・トスカニーニ国際指揮者コンクールで女性初の準優勝を果たしています

 

     

 

自席は1階K列23番、センターブロック右から2つ目です

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東フィルの並び。コンマスは近藤薫です

1曲目はメンデルスゾーン:序曲「美しいメルジーネの物語 作品32」です フェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)は1833年にベルリンで鑑賞したドイツの作曲家コンラディン・クロイツァーのオペラ「美しいメルジーネの物語 」の序曲を、より良いものにしようと編曲し、改訂の後に初演しました オペラは、人魚姫と騎士の恋愛をテーマとした作品です

小柄な三ツ橋が指揮台に上り、演奏に入ります 木管群が海の波のうねりを表現し、弦楽器群が恋愛の心象風景を描写します 中間部におけるスケルツォ風の音楽は、いかにもメンデルスゾーンそのものです 三ツ橋はしなやかな指揮ぶりでメリハリのある演奏を引き出していました 手の動きが美しく、指揮者の中で一番美しいのではないかと思います

2曲目はメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64」です この曲はライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサート・マスターを務めていたフェルディナント・ダヴィッドのために1844年に完成、1845年にライプツィヒで初演されました 第1楽章「アレグロ・モルト・アパッショナート」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグレット・ノン・トロッポ ~ アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成り、連続して演奏されます

ヴァイオリン独奏の岡本誠司は東京藝大卒。ドイツのハンス・アイスラー音楽大学の修士課程修了。第19回J.S.バッハ国際コンクールでアジア人で初めて優勝、2021年にはARDミュンヘン国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門第1位など入賞歴多数 現在、ドイツのクロンベルク・アカデミーに在籍し、内外のコンサートで活躍しています また、反田恭平が結成したJapan National  Orchestraのコンサートマスターを務めています

三ツ橋の指揮で第1楽章に入ります 冒頭から独奏ヴァイオリンが入ってきますが、完璧なテクニックに裏付けられた岡本のヴァイオリンは雄弁に語ります カデンツァは鮮やかでした 第2楽章のアンダンテは、叙情的で美しく、いかにもメンデルスゾーンらしいメロディーに溢れています 岡本の完璧にコントロールされた弱音が美しい 第3楽章では独奏ヴァイオリンによる天翔ける演奏が繰り広げられます オケを巻き込んでのフィナーレは鮮やかでした 岡本は磨き抜かれた美音で終始聴衆を魅了し、三ツ橋 ✕ 東京フィルはしっかりソリストを支えました

 

     

 

プログラム後半はメンデルスゾーン「交響曲第4番 イ長調 作品90 ”イタリア”」です この曲は作曲者が1829年から1833年にかけてイギリス、イタリア、スイス、フランスに旅行した際の当地の思い出をもとに作曲した作品です

第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ ~ ピウ・アニマート」、第2楽章「アンダンテ・コン・モト」、第3楽章「コン・モト・モデラート」、第4楽章「サルタレッロ:プレスト」の4楽章から成ります

三ツ橋の指揮で第1楽章が開始され、溌溂とした演奏が繰り広げられます 加瀬孝宏のオーボエ、万行千秋のクラリネットが素晴らしい 第2楽章は憂いに満ちた曲想が続きます。弦楽器群の美しいアンサンブルが印象的です 私は叙情的なこの楽章が大好きです 第3楽章はメヌエット風の音楽が穏やかに演奏されますが、弦楽器の渾身の演奏が光り、高橋臣宣のホルンが抜群の安定感で演奏されます フルートが鮮やかです。第4楽章は13世紀のナポリで発祥したという舞曲サルタレロの軽快なリズムが躍動します 弦楽器群の激しいキザミが心地よく響きます 躍動感あふれる演奏で堂々たるクライマックスが築き上げられました

満場の拍手にカーテンコールが繰り返され、三ツ橋 ✕ 東京フィルはアンコールに「イタリア」繋がりで選んだと思われるレスピーギの「リュートのための古代舞曲とアリア」から第1楽章「イタリアーナ」を、美しいアンサンブルで演奏、再び大きな拍手に包まれました

「都民芸術フェスティバル参加公演」ではスマホによる写真撮影が許可されています 昨日初めて気がついたので記念に写メしました

 

     

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坂入健司郎 ✕ 北村陽 ✕ 日本フィルでドヴォルザーク「チェロ協奏曲」&「交響曲第8番」を聴く ~ 都民芸術フェスティバル / 「光熱費高騰 苦境の博物館」~ 朝日の記事から

2023年02月07日 07時04分38秒 | 日記

7日(火)。昨日の朝日新聞朝刊文化面に「光熱費高騰  苦境の博物館 ~ 文化財  24時間の温湿度管理が必要」という見出しの記事が載っていました リード記事は次のように書いています

「ロシアのウクライナ侵攻などによる燃料価格の高騰は、博物館の運営にも影を落としている 文化財の保存には適切な温度や湿度の管理が必要で、空調を止めるわけにはいかないからだ 光熱費が例年の倍以上に膨れ上がっている施設もあり、文化財の修理や購入にも影響しているという

記事を東京国立博物館(東博)のケースを中心に超訳すると次の通りです

「昨年、創立150年を迎えた東京・上野の東京国立博物館(東博)は、本館や東洋館など6館の展示施設を持ち約12万件の文化財を所蔵する、国内最大級の文化施設だ 昨年12月まで開いた特別展では、所蔵する国宝89件を一挙に公開し、活況だった だが、光熱費の問題が現場を悩ませている 東博によると、年間の光熱費は例年約2億円で予算全体の7%ほどを占める。しかし、今年度は倍以上の約4億5千万円に膨らむ見込みといい、各部署で支出を減らすなどして対応している 担当者は、『東博は展示施設が多い上、貴重な文化財を守る収蔵庫では原則24時間、空調が稼働している。仏画や書跡など古い紙や布は特に脆弱で、退色や腐食を防ぐためにも徹底した温度と湿度管理が必要』と話す 東博などを運営する独立行政法人国立文化財機構は、文化庁を通じ、光熱費の高騰分を補充するための予算措置を要望したが、認められなかった 燃料価格の高騰が今後も続く場合、東博では2023年度の光熱費が7臆円まで膨らむ可能性もあるとみている 東博は、一方で自ら収入を増やすための取り組みにも力を入れるという 『より多くの人に入場してもらえるよう企画を工夫するほか、文化財保護の大切さを広く伝えて会員制度や寄付制度にもつなげていきたい』とする 博物館や文化財行政を担う永岡桂子文部科学相は1月27日の会見で、博物館の光熱費は『設置者の管理運営の経費』で『それぞれの館の経営努力で適切な対応がなされるもの』だとした。政府が補正予算で電気・ガス価格の激変緩和の事業を計上しているとした上で、『文科省としても引き続き注視していきたい』と述べるにとどめた 文化庁の担当者は『光熱費高騰で社会全体が苦しい中、博物館の支援をしっかりするべきだなどとは言いにくい』と漏らす」

記事を読んでまず驚いたのは、東博だけで年間2臆円もの光熱費がかかっていることです それが今年度は倍以上の4億5千万円になり、23年度は7臆円になるかもしれないという話です 日本国民の共通財産とも言うべき文化財を適正に管理することは国の重要な役割で、光熱費は管理上の最低限の必要経費です 光熱費高騰分をカバーするためには、入場料金を値上げする方策も考えられますが、あまり金額を高くすると入場者の減少に繋がり、逆に収益を圧迫することになりかねません 博物館側の自助努力とともに、政府の補正予算を期待したいところです

ということで、わが家に来てから今日で2948日目を迎え、ドローンをぶつけて風船を割るという単純なルールの新しいスポーツが徐々に広がりつつある  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     米軍が米国領海上空で 中国の気球を撃墜したのも このスポーツのノリだったのかな

 

         

 

昨日の夕食は「サーロインステーキ」にしました 今日から 娘が休暇を取って北海道旅行に出かけるので、旅行前夜の晩餐として用意しました

 

     

 

         

 

昨夜、東京芸術劇場コンサートホールで「2023都民芸術フェスティバル」参加公演「日本フィル」のコンサートを聴きました プログラムは①ドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 作品104」、②同「交響曲第8番 ト長調 作品88」です 演奏は①のチェロ独奏=北村陽、指揮=坂入健司郎です

坂入健司郎は慶応義塾大学経済学部卒業。指揮法を井上道義、小林研一郎、三河正典、山本七雄各氏に、チェロを望月直哉氏に師事。2008年から東京ユヴェントス・フィルを主宰、2016年に川崎室内管弦楽団音楽監督に就任。2021年以降、読響、日本フィル、新日本フィル、神奈川フィルをはじめ全国各地のオーケストラと共演しています

 

     

 

自席は1階H列12番、左ブロック右通路側です

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという編成です コンマスは扇谷泰明、その隣はアシスタント・コンマスの千葉清香です 残念ながら、私は日本フィルの会員ではないので、その他のメンバーは一人も分かりません

1曲目はドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 作品104」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1894年から翌95年にかけて作曲、1896年3月にロンドンで初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・モデラート」の3楽章から成ります

チェロ独奏の北村陽は2004年生まれ。2022年に第18回ハチャトゥリアン国際コンクール第2位入賞。2017年に第10回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール優勝 現在、特待生として桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)3年に在籍しています

坂入の指揮で第1楽章が開始されます オケの前奏に導かれて北村のソロが力強く入ってきます 北村の演奏は、多くの中堅やベテランのチェリストのように体を大きく動かすことはしません。極めて自然体でクールに演奏します 「余計なパフォーマンスはいらない。音で評価してくれ」とでも言いたげです 彼の演奏はクールではあるが訴求力があります フルート、オーボエといった木管楽器群が素晴らしい演奏でソリストに華を添えます 第2楽章では独奏チェロが良く歌います 第3楽章では、北村は力強くも軽快な演奏を繰り広げ、演奏の難しさを表面に出しません 実に見事な演奏でした。坂入 ✕ 日本フィルはしっかりとソリストを支えました

 

     

 

プログラム後半はドヴォルザーク「交響曲第8番 ト長調 作品88」です この曲は1889年から90年にかけて作曲され、1890年2月に作曲者自身の指揮によりプラハで初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ ~ モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

坂入の指揮で第1楽章が開始されます 坂入はメリハリのある指揮でオケを統率します この曲でも木管楽器群が素晴らしい演奏を展開します 第2楽章では弦楽器のアンサンブルが美しく響きました 中盤でのトランペットの演奏は爽快そのものでした 第3楽章はこの曲の白眉です。ドヴォルザーク特有の哀愁に満ちたメロディーが弦楽器群を中心に繰り広げられます 中盤でのオーボエの演奏が素晴らしい 間を置くことなく続けられた第4楽章では、冒頭のトランペットが爽快でした フルートが大活躍です。中盤ではヴィオラが渾身の演奏で ものすごい音を出していました    このオケ、弦楽セクションに底力があるようです    坂入 ✕ 日本フィルはアグレッシブな演奏で華やかなフィナーレを飾りました

満場の拍手にカーテンコールが繰り返されます 何度目かのカーテンコールで坂入が指揮台に上り、アンコールの態勢に入ります すると静まった会場に2階席から歌謡曲のようなケータイ着信メロディーが響き渡りました 坂入はそれに合わせて踊るような仕草を見せた後、会場に向き直り、「アンコールにドヴォルザークのスラブ舞曲第2番をお送りします」とアナウンスして演奏に入りました おそらく、2階席の当該者は、まさかアンコールがあるとは思いもせず、演奏が終わったと判断してケータイの電源を入れたら、ちょうど電話がかかってきたのでしょう その音を感知した坂入は、その音楽に合わせて踊る仕草を見せ、さらにアンコール曲名をアナウンスすることによって、険悪な雰囲気になるのを事前に回避したのだと思います 私は着信メロディーが「笑点」のテーマ音楽でなくてよかった と思うと同時に、思わぬアクシデントに対し、機転を利かせてその場の雰囲気を和らげてアンコール演奏まで持って行った坂入健司郎のスマートな対応に心の底から感心しました こういうことは、やろうと思ってもなかなかできるものではありません 私が坂入の指揮で聴くのは今回で2度目ですが、一気に彼の評価が上がりました アンコールの「スラブ舞曲第2番」は哀愁に満ちたメロディーで、メロディーメーカーとしてのドヴォルザークの能力を再認識しました

 

     

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「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン」のチケットを取る / 読響から2023年度定期会員チケット届く

2023年02月06日 07時02分07秒 | 日記

6日(月)。昨日午前9時過ぎ、O病院を退院しました 入院中には reilaさん、ままははさん、鮎さん、4lastsongsさん、よよまさんからお見舞いのコメントをいただきました。この場をお借りしてあらためてお礼を申し上げます   

今日から再びパソコン入力でブログを書いていますが、スマホ入力よりずっと楽です

昨日は午後2時からNHKホールでN響2月度Aプロ公演(尾高忠明指揮:ルトスワフスキ「管弦楽のための協奏曲」他)を聴く予定でしたが、さすがに退院当日で、手術したお腹も若干痛いので諦めました

家に帰って、新国立オペラ「アイーダ」のプルミエ公演(4月5日)が読響定期公演の新シーズン第1回目とダブっているので、「アイーダ」を4月19日に振り替えました

ということで、わが家に来てから今日で2947日目を迎え、4日ぶりに登場してあいさつするモコタロです

 

     

     今日から toraブログの表紙モデルとして職場復帰します  これからもよろしくね!

 

         

 

昨日、毎年6月にサントリーホール「ブルーローズ」で開かれている「サントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン」のチケットを取りました 先行発売は4日からでしたが、入院していたため出遅れました

 

     

 

取ったチケットは次の5公演です

1.エリアス弦楽四重奏団  ベートーヴェン・サイクル

①6月3日(土)19時:ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番、第3番、第15番」

②6月5日(月)19時:  同    「弦楽四重奏曲第2番、11番、13番(第6楽章は「アレグロ」)」

③6月7日(水)19時:  同    「弦楽四重奏曲第5番、9番、14番」

④6月14日(水)19時: 同    「弦楽四重奏曲第4番、10番、13番(第6楽章は「大フーガ」)」

 

     

 

2.6月17日(土)19時:クロンベルク・アカデミー日本ツアー公演(①モーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番」、②メンデルスゾーン「弦楽五重奏曲第2番」、③ブラームス「弦楽六重奏曲第2番」)

 

     

 

エリアス弦楽四重奏団 「ベートーヴェン・サイクル」は10日、12日の公演も含めて全6公演を取ろうと思えば取れたのですが、他のコンサートの日程が詰まっているので、無理しないことにしました

 

         

 

読売日響から2023年度定期会員年間チケットと共に、会員特典「チケットホルダー」と「特典CD引換券」が届きました 私は「定期演奏会」と「名曲シリーズ」の会員なので、2セット同封されていました。「チケットホルダー」は新国立オペラ、N響のもあるので溜まる一方です

これで、2023年度の会員継続申し込みをしていて、まだチケットが届かないのは東京シティ・フィルのみとなりました

 

     

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道尾秀介著「サーモン・キャッチャー the Novel 」を読む ~ 釣り堀に放たれた1匹の色鯉を巡るドタバタ騒動を描いたエンタメ小説

2023年02月05日 06時42分27秒 | 日記

5日(日)。今日は退院日です。3日の鼠径ヘルニアの手術も無事に終わり、昨日は点滴やほかの医療器材も外され、昼から食事が出ました。メニューは五分粥、魚、五目煮、お浸し、牛乳、お茶です やっぱり最初はお粥ですね

 

     

 

夕食は五分粥、鶏団子、ポテト煮物、澄まし汁などです。まだお粥ですね

     

     

 

         

 

今回の入院にあたり文庫本を2冊持ち込みましたが、1冊読み終わったので感想をアップします

道尾秀介著「サーモン・キャッチャー   the  Novel 」(光文社文庫)を読み終わりました    道尾秀介は1975年東京都生まれ。「背の眼」でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー   2009年「カラスの親指」で日本推理作家協会賞受賞。2010年「龍神の雨」で大藪春彦賞受賞、2011年「月と蟹」で第144回直木賞を受賞   「いけない」「N」など著書多数

 

     

 

本書は劇作家であるケラリーノ・サンドロヴィッチが道尾に声を掛ける形で実現した企画で、2人が作り上げたコンセプトをもとに、道尾は小説を書き、サンドロヴィッチが映画を撮るというものです 小説は2016年11月に光文社から刊行され、映画は現在制作中とのことです

屋内釣り堀「カープ・キャッチャー」に放たれた1匹の色鯉を巡り様々な人物が繰り広げる奇想天外のストーリーです この釣り堀では鯉を釣るごとにポイントが溜まり、景品と交換できるようになっているのですが、白い箱に収められた「1000ポイント」交換の景品は誰も手に入れたことがなく、箱の中身は店長以外の従業員さえ見たことがないという 物語は、この「カープ・キャッチャー」に出入りする複数の登場人物の視点を入れ替えながら進行していきます

登場人物は次の個性あふれる人たちです

河原塚ヨネトモは長い白髪で仙人のような風貌で、釣り堀では「神様」と呼ばれている。かつて800メートル走のオリンピック強化選手だった

内山聡史(さとし)はフリーターだが、対人恐怖症歴12年を自称する。口が利けるのは妹の智(とも)だけである

春日明(かすが めい)は「カープ・キャッチャー」でアルバイトをして、外国語会話教室「フンダルケッツ」の授業料を賄っている

大洞真実(おおぼら まこと)は離婚して独り身だが住居はなく、健康ランド「ジョイフル図々川」を根城に生活し「何でも屋」をして生計を立てている 彼が娘の明にいいところを見せるため霧山美紗の邸宅の池から自分が餌付けした色鯉を盗み、「カープ・キャッチャー」に行って釣り堀の中に放し、自分だけが釣れるように仕掛けたことから、周囲の人たちを巻き込んで事件が大きくなっていく

霧山美紗は大きな屋敷に住み、池で多くの鯉を飼っているが、電動車いすで移動しているので、何でも屋の大洞に餌やりの仕事を依頼している

柏手市子は資産家の不動産経営者の妻で、息子の耕太郎はインターネットを使った外国語会話教室「フンダルケッツ」を経営している

釣り堀「カープ・キャッチャー」の店長の名前はなぜか広島です

ヒツギム人のヒキダスは「フンダルケッツ」でヒツギム語の講師をしており、春日明は彼の生徒の一人です

ハミダスはヒキダスの幼なじみだが、彼を拉致して殺そうとしています

以上のように登場人物が多いのですが、その割には読んでいて面白く、すんなりと頭にストーリーが描けるのは、道尾秀介の筆力でしょう

この物語にはヒキダスらの話す「ヒツギム語」が頻繁に出てきますが、これがなかなか凝っていて面白いのです たとえば、

クサイ=いいね

コナイノ=何でもない

ソレダスナ!=あれを持ってこい!

マーゲリン!=助けて!

サイケツ  オオクテ=愛している、あなたを

デマカス!=嘘だ!

モヤシッコ=ずらかれ

アシタノアナ=すまない

という具合です 何の脈歴もない日本語をいい加減にヒツギム語に置き換えているようです 個人的には「ヒツギム語」は「必要な義務の言葉」を意味しているのではないかと密かに考えています

読み始めたら止まらない怒涛の展開が待っています 極上のエンタメとしてお薦めします

         

ということで、今日は午後2時からNHKホールでN響A定期公演があるのですが、とても聴きに行ける状況ではありません 明日から連日コンサートが控えているので、取り敢えず今日は諦めて、体勢を整えたいと思います🐯

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手術は無事に終了しました

2023年02月04日 06時43分17秒 | 日記

4日(土)。昨日の手術は無事に終了しました 当初、左右両方とも手術する予定でしたが、右側はヘルニアの穴が無かったとのことで、左側だけの手術になりました。ただし穴がかなり大きかったそうで、約3時間かかりました 全身麻酔の威力は凄いもので、気がついたら手術が終わっていてビックリです 今回の手術を通して、現代医学の進歩の目覚ましさをまざまざと見せつけられた思いです

手術後から点滴を受けているので、思うように動けず、オシッコが溜まってたまりません。こればかりはシッコう猶予がないので困ります

午後は持参した本を読んで過ごします🐯

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昨日入院しました。今日手術です。

2023年02月03日 06時22分14秒 | 日記

3日(金)。いま病院にいます。鼠径ヘルニア手術のため、昨日午前10時に東京都立O病院に入院しました 本日午前9時から全身麻酔をして手術を行います

昨年10月中旬、左下腹部に痛みがあり11月初旬にO病院で精密検査を受けたところ、鼡径ヘルニア(いわゆる脱腸)であることが判明しました ヘルニアは薬で治すことは出来ず手術以外に方法はないとのことで、11月30日に手術をすることになりました 手術するには新型コロナPCR検査で陰性であることが条件なので、11月25日に検査したところ陽性が判明したため、12月1日まで自宅待機するとともに、手術の延期を余儀なくされました 外科のH先生と当方の日程調整の結果、1月31日にPCR検査、2月2日入院、3日手術、5日退院という日程が決まりました 幸い、今回はPCR検査が陰性だったので予定通り手術することになりました

病室は5階の病棟の10号室になりました。4人部屋ですが、窓側です。一昨年10月に階段から転げ落ちて頭を5針縫って曳舟の病院に入院した時もそうでした。どうやら私はこういうのに恵まれているようです

また、この病院では部屋ごとに番号表示サイネージが異なっていて、動物や植物の写真が使われているのですが、10号室は何とウサギです。思わずモコタロに想いを馳せました

 

     

昨日の昼食はビーフシチューが出ました。手術前とはいえちょっと驚きました

     

 

16時半にシャワーを浴びました。夜間は食事禁止です

 

          

 

夕食はブリの西京焼きでした。汁ものはお茶で、味噌汁が出ないのは塩分を考えてのことでしょうね 手術前最後の食事をゆっくりいただきました

 

 

さて、今日の手術は「腹腔鏡」により行います 下腹部に3か所小さな穴を開けて、カメラと鉗子により、映像をテレビモニターで見ながら手術します ヘルニアの穴を確認して腹膜と筋肉の間に補強材のメッシュを置いて固定します。私の場合は左と右の両方なので、手術の所要時間は3時間と聞いています。外科のH先生を信じて手術台に向かいます

このブログは久しぶりにスマホから入力しています 字が細かいので非常にやりにくいですが、ブログを止めるわけにはいきません 手術後にどの程度書けるか分かりませんが、必ずアップします🐯

 

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日テレ系「リバーサルオーケストラ」第4回を観る ~ 出演者で演奏経験者は誰? / フェデリコ・フェリーニ監督「8 1/2」を観る ~ 早稲田松竹

2023年02月02日 07時00分27秒 | 日記

2日(木)。一昨日の朝日朝刊ラテ欄のコラム「はてなTV」に「日テレ系ドラマ『リバーサルオーケストラ』(水曜)で、出演する俳優の皆さんは楽器の経験があるのですか?」という質問が掲載されていました 回答は次の通りです

「鈴間広枝プロデューサーによると、経験者は高校時代にオーケストラ部だったヴァイオリンの行平あい佳さん、トランペットのロイック・ガルニエさん、ヴィオラの濱田マリさんの3人だけです 初心者が多く、指揮者役の田中圭さんは昨年6月からレッスンを始め、主演の門脇麦さんら大半が8月には開始、マンツーマンの指導を受けつつ、個人練習も重ねました 皆さんスタッフを驚かせるほど習得が早かったそうで、木管楽器で最も難しいとされるオーボエの平田満さんは『初日にチャルメラと音階を吹けるようになっていた』。撮影現場でも先生方が指導するほか、神奈川フィルとの共演も俳優陣を後押し。ともに演奏するパワーを実感しているそうです

そういうことを頭に入れて、昨夜、第4回のドラマを観ました

 

     

 

第4回のストーリーは、「発表会の成功で自身をつけた玉響の団員たちが、ファンを増やすために出張オーケストラをやろうと盛り上がる中、指揮者の朝陽(田中圭)は次の目標となる定期演奏会に向けて動き出す 演奏曲目をチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」に決めると、初音(門脇麦)をソリストに指名する 初音にとっては小学生の頃から弾いている十八番の曲だが、ミスを連発する 一方、ヴィオラの桃井さん(濱田マリ)と大学受験を控えた娘さんとの間に軋轢が生じる さてどうなる?」という内容です

さすがに濱田マリさんのヴィオラはサマになっていました

さて、第4話で流れていたのは、登場順にショパン「ノクターン 作品9-2」、ラフマニノフ「前奏曲 嬰ハ短調 作品3-2」、チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」より、チャイコフスキー「交響曲第5番」第4楽章(オープニング・テーマ)、エルガー「愛の挨拶」、ムソルグスキー「展覧会の絵」より、ブラームス「交響曲第1番」第4楽章、ラフマニノフ「パガニーニの主題による変奏曲」より、リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」といった曲でした いずれもピアニストの清塚信也氏により巧みにアレンジされている上に、流れる時間も短いので聴き取りにくかったです

ということで、わが家に来てから今日で2943日目を迎え、ノルウェーの公共放送NRKは1月31日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の元戦闘員で、ノルウェーへの亡命を求めているアンドレイ・メドベージェフ氏(26)のインタビューを報じたが、同氏は「戦闘を拒む者はワグネルに殺された」などと訴えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ほとんどが刑務所の受刑者のワグネルは 人殺しなど何とも思っていない 恐ロシア!

     

         

 

昨日、夕食に「鳥の唐揚げ」を作りました 本来は隔週金曜日のローテーションで作っていますが、事情により昨夜になりました

 

     

 

         

 

早稲田松竹でフェデリコ・フェリーニ監督による1963年製作イタリア・フランス合作映画「8 1/2」(はっかにぶんのいち:140分・4Kデジタルリマスター版)を観ました

著名な映画監督のグイド(マルチェロ・マストロヤンニ)は、新作の構想に行き詰まってしまいクランクインを2週間も先延ばしにしていた 彼を診察した医師は疲労の蓄積と判断し療養のため湯治を勧める 温泉地を訪れたグイドだったが、女性たちや仕事上の取り巻き連中から逃れられず、新作のシナリオが頭から離れずにいた そこに愛人のカルラ(サンドラ・ミーロ)がほとんどリゾート気分でやってくる 一方、妻のルイザ(アヌーク・エーメ)との関係は冷めていたが、離婚するまでは踏ん切りがつかないでいた グイドがいつも頭に思い描くのは若い女優クラウディア(クラウディア・カルディナーレ)だったが、目の前に現れても、夢なのか現実なのか分からないうちに、いつしか消えてしまう 彼を取り巻くあらゆる人たちが相談を持ちかけて来るが、それも現実なのか虚構の世界なのか曖昧になってくる 保養を終えたグイドは撮影現場に向かうが、何もかも思うようにいかず途方に暮れる やがて妄想の世界に出てきた女性たちが登場し、彼を罵倒し始める すると、グイドの眼前にサーカスの楽隊が現れ、自分に関わった全ての人々が現れ、手に手を取り合いながらカーニバルが始まる グイドはメガホンを取りカーニバルの指揮を始める

 

     

 

この映画はフェデリコ・フェリーニ監督の自伝的作品と言われています タイトルの「8 1/2」は、本作がフェリーニ「単独」監督による8作目の作品であり、さらにフェリーニの処女作「寄席の脚光」でアルベルト・ラットゥアーダが共同監督をしたので、それを「半分=1/2」として加えると「8 1/2」の作品になることにちなんで付けられたと言われています

この作品は登場人物が多く、夢の世界と現実とが混在して描かれているので、ストーリーが複雑怪奇で追うのに苦労します 私としては関心のある音楽の使い方に絞ってご紹介します

映画が始まって間もなく、野外劇場で楽隊がワーグナー「ワルキューレの騎行」を演奏します 次いで、ロッシーニの歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲を演奏します 別のシーンではチャイコフスキーのバレエ組曲「くるみ割り人形」から「行進曲」が流れました また、追いかけっこのシーンではハチャトゥリアン「剣の舞」をアレンジした音楽(多分ニーノ・ロータの編曲版)が流れていました フェリーニとニーノ・ロータはよくクラシック音楽を使います

 

     

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新国立オペラでワーグナー「タンホイザー」を観る ~ ステファン・グールド、サビーナ・ツヴィラク、デイヴィッド・スタウト、エグレ・シドラウスカイテ、妻屋秀和、前川依子にブラボー!

2023年02月01日 07時03分02秒 | 日記

2月1日(水)。月日の流れは速いもので、2023年も1か月が過ぎてしまい、今日から2月です 1か月が28日しかないので「二月は逃げる」とも言われます あっという間に3月を迎えるような気がします

ということで、わが家に来てから今日で2942日目を迎え、ロシアの有名な俳優イワン・オフロビスチン氏が、米国がウクライナに提供する戦車「エイブラムス」を撃破すれば、1両あたり1千万ルーブル(約1900万円)の報奨金がロシア企業から支払われるとSNSに投稿した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     国のトップが暴走プーチンなら 俳優はイワンの馬鹿か 暴走ロシアにブレーキなし

 

         

 

昨日、夕食に「豚の生姜焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました 生姜焼きは豚肉に小麦粉を振ってから弱火で焼いたらソフトに仕上がりました

 

     

 

         

 

昨日、新国立劇場「オペラパレス」で、ワーグナー「タンホイザー」を観ました 私はプルミエ(初日)公演の会員で、本来28日(土)14時から観る予定でしたが、同じ時間帯に東京シティ・フィルの定期演奏会とダブってしまったので、振替制度のある新国立オペラの方を昨日に振り替えたものです

キャストはタンホイザー=ステファン・グールド、ヴァルター=鈴木准、エリーザベト=サビーナ・ツヴィラク、領主ヘルマン=妻屋秀和、ヴォルフラム=デイヴィッド・スタウト、ビーテロルフ=青山貴、ハインリヒ=今尾滋、ラインマル=後藤春馬、ヴェーヌス=エグレ・シドラウスカイテ、牧童=前川依子。管弦楽=東京交響楽団、合唱=新国立劇場合唱団、バレエ=東京シティ・バレエ団、指揮=アレホ・ペレス、演出=ハンス=ペーター・レーマンです

 

     

 

オペラ「タンホイザー」はリヒャルト・ワーグナー(1813-1883)が1843年から45年にかけて作曲、1845年にドレスデンで初演されました

物語の舞台は中世のドイツ。騎士タンホイザーは、愛欲の女神ヴェーヌスの虜となるが、やがてこの歓楽の日々に飽きて、彼を愛する清らかな乙女エリーザベトが待つ人間世界に戻る 温かく迎えられたものの、城で開催された歌合戦に参加し、「愛の本質を明らかにせよ」というお題に対し、ヴェーヌスを讃える歌を歌ってしまう タンホイザーは、この大罪への赦しを得るためローマ法王のもとへ懺悔の旅に出るが、赦されず絶望し、再び官能の愛に溺れそうになる しかし、エリーザベトは自らの命を犠牲に彼の罪を償い、救済されたタンホイザーも息絶える

 

     

 

私が新国立の「タンホイザー」をハンス=ペーター・レーマンの演出で観るのは2007年、2013年、2019年に次いで今回が4度目です

主催者側から指定されたのは1階17列10番、左ブロック右から2つ目の席です 私の定期会員席のすぐ近くなので主催者の配慮が窺えます 会場はウィークデーの真昼間というのにほぼ満席状態です

アルゼンチン・ブエノスアイレス出身のアレホ・ペレス指揮東京交響楽団により序曲の演奏に入りますが、中盤から繰り広げられた東京シティ・バレエ団による躍動感溢れるバレエが素晴らしかった

歌手陣は総じて大健闘でした

主役のタンホイザーを歌ったステファン・グールドはアメリカ・ヴァージニア州生まれのテノールですが、新国立オペラではワーグナー「ニーベルングの指環」4部作にすべて出演したのをはじめ、常連テノールと言うべき存在になっています 今回も安定感のある力強い歌唱力で存在感を示しました

エリーザベトを歌ったサビーナ・ツヴィラクはスロヴェニア生まれのソプラノですが、特に高音が美しく無理のない歌唱で聴衆を魅了しました

ヴォルフラムを歌ったデイヴィッド・スタウトはイギリス出身のバリトンですが、第3幕第2場で歌った「夕星の歌」をはじめ、深みのある歌唱を発揮しました

ヴェーヌスを歌ったエグレ・シドラウスカイテはリトアニア生まれのメゾソプラノですが、美しくも強靭な歌唱で存在感を示しました

領主ヘルマンを歌った妻屋秀和は新国立オペラの常連歌手ですが、今回も抜群の安定感で低音の魅力を発揮しました

そして、今回とくに素晴らしかったのは第1幕で牧童を歌った前川依子です 透明感のある美しく澄んだ歌唱で、ワーグナーの毒の一服の清涼剤のように感じました

ワーグナーと言えば合唱ですが、新国立劇場合唱団のコーラスは相変わらず迫力があり素晴らしかった

さらに、アレホ・ペレス ✕ 東京交響楽団(コンマス:水谷晃)は歌手に寄り添いつつ、時に自らタンホイザーの、エリーザベトの心情を歌い上げました

 

     

 

今回、字幕スーパーを見ていて初めて気が付いたことがあります それは、第2幕の歌合戦でタンホイザーが純愛を否定し愛欲の女神ヴェーヌスを讃えてしまい、皆が憤慨する中で、エリーザベトだけが彼を庇い、「彼は魔法をかけられているのです 名誉挽回のチャンスを与えてほしい」と懇願します ストーリーでは、第1幕で ヴェーヌスが、去り行くタンホイザーに対して「呪いをかけてやる」と怒り狂うシーンがあります つまり、歌合戦に参加した誰もがタンホイザーを批判する中、エリーザベトだけが「事の真相」を理解していたのです タンホイザーの唯一の理解者エリーザベトが彼の犠牲になって死んでいくのは理不尽だと思ってしまいますが、それがワーグナー特有の世界なのでしょう

満場の拍手の中 カーテンコールが繰り返され、予定より10分ほど遅れて幕が下りました

 

     

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