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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイング、オッフェンバック「ホフマン物語」を観る~素晴らしいケイト・リンジー

2015年03月11日 07時00分56秒 | 日記

11日(水)。コンサート+映画=9回の疾風怒濤の8日間が昨日で終わり一息ついているところです  わが家に来てから154日目を迎え、音楽を聴きたいのでヘッドホンを貸してくれと頼むモコタロです 

 

          

             何を聴くか迷っているんだよ ベートーヴェンかAKB48か

 

  閑話休題  

 

今日は3.11です。4年前の今日を思い出します。あの時、当ビル8階の管理事務所で仕事をしていました。大きな揺れが来たので、テレビのある会議室に行き、机の下にもぐりました しばらくして落ち着いたので外に出ると、隣のFビルの人達が国会道路を横切って日比谷公園に向かっているのが見えました。すると、また大きな揺れがありました 余震です。Fビルを見ると上の方が大きく揺れているので「大変なことになった」と寒気がしました 再び事務所に戻り、テレビを観ましたが、津波が田畑を侵食していく映像がリアルタイムで映し出され、これは現実なのだろうか?と唖然としました 交通機関のほとんどがストップし、社員のほとんどが帰れなくなりましたが、地下鉄都営三田線は夜遅くになって復旧したので帰宅しました。マンションのエレベーターが運転停止していたので、外の階段を上がって行きました。部屋に入ると台所に割れた食器類が散乱していて足の踏み場がありませんでした 息子は無事でしたが、娘は連絡がつかなかったので心配していました 翌朝けろっとした顔で帰ってきて「電車が動かなくなったから友達とカラオケ歌ってた」とのたまっていました。あれから4年。時の流れの速さを感じます

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日の日経朝刊「なんでも調査団~首都圏まるかじり」欄は「東京に多いオーケストラ~世界でも突出 音楽学校の集中 背景に」という内容を扱っていました 記事によると、東京都内に拠点を構えるオーケストラは10団体とのこと。これは海外の大都市に比べると多いといいます ニューヨークは2団体、パリは4団体、ベルリンとロンドンは各6団体とのこと。なぜ東京にはオーケストラが多いのかについて、日本演奏連盟の吉井専務理事によると「戦前から東京には演奏者養成の受け皿となる音楽学校が官立のほか私立が5校以上あったことが背景にある」ということです また、「オーケストラの聴衆の数は近年、横ばいを続けている。現状への危機感から、現在の聴衆の中核である中高年層に代わる新たな客層を掘り起こそうと、若い女性や子供らを対象にした演奏会を開く楽団も増えている」とのことです

これは今に始まったことではなく、かなり前から叫ばれていたことです。さらなる努力が必要と言うことでしょう

また、日本オーケストラ連盟正会員の10団体(2012年)の年間公演回数と年間総入場者数は下記の通りとのことです

      【オーケストラ名】         【年間公演総数】     【年間総入場者数】

東京フィルハーモニー交響楽団        331回           59万人

NHK交響楽団                   112回           20万人

東京交響楽団                   156回           20万人

日本フィルハーモニー交響楽団        165回           20万人

読売日本交響楽団                102回           17万人

東京都交響楽団                  145回           20万人

神奈川フィルハーモニー管弦楽団       131回           25万人

新日本フィルハーモニー交響楽団       138回           19万人

東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団   118回           12万人

東京ニューシティ管弦楽団            118回            1万人

この一覧表を見て想像できるのは、公演回数と総入場者数が一番多い東京フィルは楽団員が約150人と、他のオーケストラの1.5倍から2倍もいるので、ある意味当然と言えるということです 驚くのは横浜に拠点を置く神奈川フィルの総入場者数(25万人)が東京フィルに次いで2位を保っていることです ここに次世代育成のヒントがありそうな気がしますが、実際にはどうでしょうか

 

  最後の、閑話休題  

 

昨日、休暇を取って午前10時から新宿ピカデリーでMETライブビューイング、オフェンバックの歌劇「ホフマン物語」を観ました 平日の昼間にも関わらずかなりの数の中高年の姿が見えます せめて映画でも良いから本物のオペラに接したいという人が一堂に会した様相です

今回の映像は今年1月31日にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画です キャストは、ホフマンにヴィットーリオ・グリゴーロ(テノール)、アント二ア/ステラにヒブラ・ゲルツマーヴァ(ソプラノ)、ニクラウス/ミューズにケイト・リンジー(メゾ・ソプラノ)、オランピアにエリン・モーリー(ソプラノ)、ジュリエッタにクリスティン・ライス(メゾ・ソプラノ)、悪役・4役にトーマス・ハンプソン(バリトン)。カナダ生まれのイ―ヴ・アベル指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団による演奏。演出はサンフランシスコ生まれのバートレット・シャーです

 

          

 

「ホフマン物語」は、3つの恋を失って詩人になったホフマンが過去を振り返る物語です。あらすじは

【プロローグ】ホフマンは学生たちと酒を飲み「クラインザックの歌」を歌っている 酔いが回りホフマンは失った過去の恋を語り始める

【第1幕】最初の恋。ホフマンは友人ニクラウスとともに物理学者スパランザーの家を訪れ、オランピアを見初める しかし、オランピアは機械人形だった

【第2幕】アント二アはある理由から歌を歌うことを禁じられている。ホフマンはアント二アと再会するが、ミラクル博士が無理やりアント二アを診察するとアント二アは歌い出し、そのあげく母親と同じように死んでしまう

【第3幕】ヴェネツィアを訪れたホフマンは娼婦ジュリエッタに恋をする しかし、魔術師ダベルトゥットに操られたジュリエッタに裏切られ、ホフマンは鏡像を奪われてしまう

【エピローグ】3つの恋を語り終えたホフマンは酔いつぶれる その時、ニクラウスが詩の女神ミューズとして姿を現す ホフマンは詩人になった

 

          

 

オッフェンバックといえば、白黒時代のテレビ・コマーシャルの傑作「カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂」で使われた喜歌劇「天国と地獄」で有名なフランスの作曲家です その彼が晩年になって初めてオペラに挑戦したのがこの「ホフマン物語」です

この公演で注目すべき歌手が3人います。まず、ホフマンを歌ったテノールのグリゴーロです 彼は現在イタリアの若手を代表するテノールと言っても過言ではないでしょう。女性にフラれてもめげずに次の女性に挑戦するエネルギッシュなホフマンを見事に演じました

次にホフマンの友人ニクラウスと詩の女神ミューズを演じたメゾソプラノのケイト・リンジーです。NETの若手育成プログラムを卒業した歌手ですが、現在は世界の歌劇場で活躍しています。この人は歌で聴かせ、目で語り、身体で表現することができる稀な逸材です 来日してリサイタルをやってくれたら絶対に聴きに行きたい歌手です

次に機械人形オランピアを演じ、超絶技巧アリアを歌ったソプラノのエリン・モーリーです。この人もMETの若手育成プログラムの出身者のようですが、まるでゼンマイ仕掛けの機械のような体の動きや、幅広い音域が聴衆の笑いと感動を誘います 日本ではかつて森麻季のオランピアが話題になりましたね

もちろん、トーマス・ハンプソンもヒブラ・ゲルツマーヴァも良かったのですが、上記3人が飛びぬけて良かったのです

サンフランシスコ生まれのバートレット・シャーによる演出は絢爛豪華で幻想的な夢の世界を表現していました

METライブビューイング「ホフマン物語」は13日(金)まで都心では新宿ピカデリー、東銀座の東劇で上映中です 休憩2回・歌手へのインタビューを含めて3時間35分の上映時間。入場料は3,600円です。内容からして決して高くないと思います

 

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新国立オペラ、プッチーニ「マノン・レスコー」を観る~4年前の公演が実現

2015年03月10日 07時03分01秒 | 日記

10日(火)。わが家に来てから153日目を迎え、柄にもなくダイエットを気にするモコタロです 

 

          

           体重計に乗ったんだけど、コード踏んでたら正確に測れないよね

 

  閑話休題  

 

最近、当ビル8階廊下の窓から南の方角を映した様子です 中央の高いビルが虎の門ヒルズ、その右の奥のビルが六本木ヒルズ、その右の黒っぽいビルが東京ミッド・タウン、手前右のガラス窓のビルが飯野ビル、その手前の工事中のビルが現在解体中の旧・新生銀行ビルです

 

          

 

  閑話休題  

 

昨夕、初台の新国立劇場でプッチーニの歌劇「マノン・レスコー」を観ました キャストはマノン・レスコーにスヴェトラ・ヴァッシレヴァ、デ・グリューにグスターヴォ・ポルタ、レスコーにダリポール・イェニス、ジェロントに妻屋秀和、エドモンドに望月哲也、旅籠屋の主人に鹿野由之ほか。バックを務めるのはピエール・ジョルジョ・ラモンディ指揮東京交響楽団、合唱は新国立劇場合唱団。ジルベール・デフロによる新演出です

 

          

 

舞台は18世紀後半のフランスのアミアン。青年騎士デ・グリューは、修道院に入ることになっていた美しいマノンに一目ぼれし、二人でパリに駆け落ちする マノンはパリでの貧乏暮しに嫌気が差し、大蔵大臣ジェロントの妾になる しかし、贅沢だが愛のない生活に虚しさを感じていた。そんなマノンの前に再びデ・グリューが現われ愛を確かめ合う。それをジェロントに目撃され、マノンは姦通罪で流刑に処される 彼女の後を追ったデ・グリューと共にアメリカの荒野をさまようが、衰弱しきったマノンはデ・グリューの胸の中で息を引き取る

一言で言えば恋に一途な青年と贅沢病の女の絶望的な物語です オペラというのはだいたいそういう台本が選ばれています。それに作曲家が美しい音楽を加えることによって人々を感動させる訳です

実はこの公演は、4年前の3月15日(火)午後6時半から観るはずでした しかし、その4日前の3月11日に発生した東日本大震災の影響で急きょ中止になったのです。2011年は3月だけで8枚のチケットの払い戻しを受けました

プログラムに載った4年前のゲネプロの写真を見ると、マノン役のヴァッシレヴァとデ・グリュー役のポルタが載っている(プログラムの表紙もそう)ので、4年ぶりにゲネプロの成果が生かされることになった訳です

 

          

 

賑やかな前奏が始まると、隣席のアラフォーのイタリア人らしき女性の二人連れがヒソヒソ話を始めました これがずーっと続くのです。ヒソヒソ話なのでうるさくはないのですが煩わしいのです 歌手が歌っていようが、オケだけが演奏していようが、シチュエーションに関係なくひたすらヒソヒソやっているのです 「あの歌手のドレス、素敵ね」「きっと、森英恵よ」「あの人、いい男ねえ」「私の好みじゃないなあ」とか話しているのでしょうが、日本語ではないので会話の内容が分かりません。よくも続くものだと感心さえします。それが何と第1幕だけでなく第2幕も続いたのです

さて、マノン役のヴァッシレヴァはブルガリア生まれのソプラノですが、ウィーン、ミラノ、英国などの主だった歌劇場で歌っている実力者で、美しくも力強いリリコ・スピントで奔放ながら悲劇のヒロインを演じました

 

          

 

デ・グリュー役のポルタはアルゼンチン生まれのテノールですが、ベルリン、トリノ、フィレンツェなどの歌劇場で活躍しています 高音部が美しいリリコ・スピントです。白眉は第3幕のル・アーブル港で不幸を嘆き切々と歌うシーンです この場面では、隣席のヒソヒソ話のアラフォー女性がハンカチで目頭を押さえていました あんた泣いてんのね・・・だか~ら言ったじゃないの~

ジェロント役の妻屋秀和は凄いですね 何をやってもツボを押さえた演技と歌唱力で楽しませてくれます シリアスな演技をやっても、今回のような三枚目をやっても、決まっています

今回の公演を成功に導いた大きな原動力は、ミラノ・スカラ座で10年間、首席オーボエ奏者を務めたというモランディの情熱的な指揮に応えてニュアンス豊かな演奏で歌手陣を支えた東京交響楽団の面々です 時にオケが雄弁に歌っていました 第2幕と第3幕の間に演奏される間奏曲は、近い将来待ち構える悲劇を暗示するような憂いに満ちた音楽ですが、モランディ+東響は感動的に演奏しました

舞台装置について言えば、極めてシンプルな舞台造りです。余計なものを一切そぎ落とした舞台は、返って聴衆の関心を音楽に集中させます

午後7時に始まった公演は第2幕と第3幕の間に休憩を挟んで、9時40分に幕を下ろしました 観終わって「この舞台は4年前に観るはずだったんだな」と、感慨深いものがありました

 

          

 

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モーツアルト「交響曲第22番~第36番」を聴く~日本モーツアルト協会「全45曲演奏会」から

2015年03月09日 07時01分43秒 | 日記

9日(月)。わが家に来てから152日目を迎え、夜は早く寝るように説得されるモコタロです 

 

          

              まだ眠くないんだってば~ もっと遊びたいよ~

 

  閑話休題  

 

昨日、サントリーホールで日本モーツアルト協会創立60周年記念公演「モーツアルト交響曲全45曲演奏会」のうち第4部と第5部を聴きました 第1部から第3部までの初期の交響曲は前日の7日にサントリーホール「ブルーローズ」で演奏されましたが、私は東京フィルの文京シビック”響きの森”コンサートがあったので聴いていません

 

          

 

第4部は午前11時から三ツ橋敬子が東京フィルを振って交響曲第22番から第30番までの9曲を演奏します 普通のコンサートで配られるプログラムがないので、2,000円を出して「60周年記念プログラム」を買うしかありません やむを得ず買い求めましたが、内容は値段に見合った充実したものだったので後悔しないで済みました ただし、コンサートのどこで休憩が入るのかが書かれていないので、その意味では不親切です 結局のところ、第22番~第25番、休憩、第26番~第28番、休憩、第29番~第30番という時間割で、休憩3回を含めると2時間半の所要時間でした

自席は2階LB1列6番、2階左サイドの最前列(1階席で言えば1列目と同じ位置)の左通路側席です。会場は5割程度の入りでしょうか P席(オケの後ろの席)はかなり埋まっていますが、1階後方や2階席は空席が目立ちます。中期の交響曲なので全体的にはこの程度の入りで仕方ないのかもしれません。でも、ちょっと寂しいです

東京フィルのメンバーが登場します。コンマスは女性です。正確に言えば東京フィルに女性のコンマスはいないので、フォアシュピーラーの栃本さんか平塚さんがコンマスを務めたのだと思います 総勢35人ほどのオケの配置は左奥にコントラバス、前に第1ヴァイオリン、右にチェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対向配置をとります。前日、文京シビックで聴いた尾高忠明+東京フィルはオーソドックスな楽器配置でした。指揮者によってオケの態勢が変わる一例です。楽員を見渡すと文京の時とは違うメンバーです 何しろ東京フィルは団員が150人も居るので融通が利くらしく、2か所で同時公演も可能です。ちなみにこの日は午後2時から東京オペラシティコンサートホールで東京フィルの「午後のコンサート」があり、尾高忠明の指揮で文京”響きの森”と同じプログラムが演奏されるということなので、東京フィルはオペラシティ-とサントリーホールで同時にコンサートを開いていることになります

 

          

 

サントリーホールでこの日演奏するのはモーツアルトが17歳~18歳の時に生まれ故郷のザルツブルクで作曲した交響曲で、第22番から第30番までをケッヘル番号順に演奏するのですが、最近の研究によると有力な作曲順は26番、27番、22番、23番、24番、25番、29番、30番、28番という順番だそうです

三ツ橋敬子がタクトを持って指揮台に上がります。彼女は背丈が低いので指揮台は必需品です 第22番から順番に演奏しますが、主に管楽器が曲に応じて入れ替わったり、弦楽器が増やされたりします。三ツ橋敬子の指揮を見ていていつも思うのは、左手の動きが実に綺麗というか、華麗というか、美しいのです 2階の自席からは彼女の顔の左側がよく見えるのですが、曲の性格に応じて千変万化するのが実に興味深く見られます。P席に座りたがる人の気持ちがよく分かります

22番、23番、24番と演奏してきて、第25番の第1楽章「アレグロ」が鳴った時、今までの交響曲とは違った次元の曲だと感じました つまり、この曲は第40番の交響曲と同様、ト短調の交響曲なのです。45曲のうち短調はたったの2曲に過ぎませんが、2曲とも名曲中の名曲です 一方、もう一つ有名な第29番は優雅で穏やかな曲です。いずれの曲も三ツ橋敬子は躍動感溢れる華麗な指揮で東京フィルから、求める音を引き出していました

 

          

 

第5部は午後3時から井上道義が東京フィルを指揮して交響曲第31番から第36番までの6曲を演奏しました 自席は2階LC2列4番、2階の左センター寄り、前から2列目の左通路側席です。会場は第4部よりは多少聴衆が増えている程度です コンマスは第4部と同じ女性です。オケは総勢46人ですが、メンバーの一部が入れ替わっています。第2ヴァイオリンの首席には戸上眞里、ヴィオラの首席には須田祥子がスタンバイしています。いよいよ真打登場といったところです このメンバーで次の第6部まで行くのでしょう

井上道義は指揮台を使用しません。なぜなら指揮台から落ちる心配がないからです これは冗談です。タクトも持ちません アイ・コンタクトで済ませるつもりです

最初の第31番「パリ交響曲」の演奏を楽しみにしていました。第1楽章冒頭から堂々たる響きです 実はもっと軽く出るのではないかと思っていたのです。井上の指揮は振りが大きく動きが激しいのが特徴です。第1ヴァオリンの方に行ったり、逆の第2ヴァイオリンの方に行ったり、忙しいったらありゃしない、といった感じです 時にボクシングのスパークリングのような動きも見せます まあ、結果としてオケから出てくる音楽が良ければそれで良いのです

井上は第1楽章が終わったところで少し間を置きます。遅れて会場に到着したお客さんが席に着くのを待つわけです 井上は後ろが見えないので、会場の様子が分かりません。井上はほぼ正面の首席ヴィオラ奏者・須田祥子を見て「どう、もういい?」と無言で尋ねます。須田は会場内が落ち着いたのを見計らって、頷いて第2楽章開始OKのサインを送ります。これがさきに指摘した「アイ・コンタクト」です

さあ、私が注目するのは第3楽章「アレグロ」。井上は予想通り早めのテンポでグングン音楽を進めます

先日のブログで、私の場合モーツアルトの交響曲の演奏の基準は、カール・ベームの演奏だ、と書きました しかし、それには唯一の例外があります。それがこの第31番「パリ交響曲」、とくに第3楽章「アレグロ」なのです ベームのテンポはまさに古き良き時代のゆったりしたテンポです。しかし、この交響曲の「アレグロ」はもっと速くなければならないと思うのです。この曲に関しては、オットマール・スイトナー指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団の演奏が理想です その意味で、この日の井上はスイトナーに近いテンポ設定で演奏していました

 

          

 

この日、最後に演奏された第36番「リンツ」には驚くべき作曲経緯があります。モーツアルトは1782年8月にウィーンでコンスタンツェと結婚しましたが、翌年7月から10月にかけて妻を連れてザルツブルクに里帰りしました そしてウィーンへの帰途で中間点のリンツに立ち寄ったのですが、10月30日に当地の伯爵の家に迎えられ、急きょその4日後の11月4日に演奏会を催すことになったのです しかし交響曲を持ち合わせていなかったので、わずか4日間で新たに交響曲を作曲したのです それがこのリンツ交響曲と言う訳です。4日間といいますが、オーケストラで演奏するには写譜をしていくつか楽譜を作らなければならないのでその時間も必要でしょうし、リハーサルの時間だって必要でしょう。それを考えると作曲だけのために実質的に4日間は無かったと思われます そういうことを考えると、とても人間ワザとは思えませんが、モーツアルトは父親に書いた手紙の中で「自分は、頭に浮かんだ音楽をただ楽譜に書きとめるだけです」というようなことを書いてるので、まるで頭で作曲した音楽を写真で撮ったように、そのまま修正もなく譜面に書き写したのでしょう。だからこそ、モーツアルトは天才なのです

第5部の演奏は、第31番~第33番、休憩、第34番~第35番、休憩、第36番という時間割で演奏されました 曲と曲との間、楽員の入れ替えが行われている間、井上は舞台袖に引き上げることなく、ヴィオラ奏者やチェロ奏者に話かけたりして時間をつぶしていました。いちいち舞台袖に引き上げるより省エネが図れるわけです。これは合理的で良いことだと思いました

また、井上は演奏後、主だった管楽器奏者を立たせ、弦楽器群を立たせますが、他の指揮者に比べスマートです 炎の〇〇軒と呼ばれる熱血指揮者などのようにしつこくありません。さっぱりしています かつて井上は「おれが!おれが!」という目立ちたがり屋的な側面が強く出ていて嫌味に感じていましたが、最近はそれが引っ込み、あくまでも主役はオーケストラだ、と言わんばかりにオケを立てます 重病を患ってからでしょうか・・・・きっかけは何であれ、良い傾向です

ところで、分厚いプログラムの指揮者のプロフィールを見たら、三ツ橋敬子の紹介記事の最後に「現在、イタリア・ヴェネツィア在住」とありました 一方、井上道義のプロフィールの最後を見たら「自宅にアヒルを飼っている」と書かれていました ほかに書くことなかったの 

6日から8日までの3日間でモーツアルトの曲だけで19曲聴いたことになります これ程モーツアルトを集中的に聴いたのは生まれて初めてです。日本モーツアルト協会の企画のお陰です。お礼を申し上げます。入会しないけど

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尾高忠明+東京フィルでレハール「金と銀」、シベリウス「フィンランディア」他を聴く~文京”響きの森”

2015年03月08日 07時15分13秒 | 日記

8日(日)。わが家に来てから151日目を迎え、花に季節を感じようとしている風流なモコタロです 

 

          

           梅は咲いたか 桜はまだかいな バラは薔薇ばらに咲くのかな

 

  閑話休題  

 

昨日、文京シビックホールで「響きの森クラシック・シリーズvol.51」コンサート聴きました プログラムは①モーツアルト「ディヴェルティメントK.136」、②メンデルスゾーン「交響曲第4番イ長調”イタリア”」、③スッペ「喜歌劇”軽騎兵”序曲」、④レハール「ワルツ”金と銀”」、⑤ルロイ・アンダーソン「シンコペーデド・クロック」、⑥同「トランペット吹きの休日」、⑦同「フィドル・ファドル」、⑧シベリウス「交響詩”フィンランディア”」。演奏は尾高忠明指揮東京フィルハーモニー交響楽団です

 

          

 

この日のコンマスは三浦章宏。オケの態勢は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスというオーソドックスな配置です

尾高忠明がタクトなしで登場します。1曲目はモーツアルトが16歳の時(1772年)に作曲したディヴェルティメント3曲のうち最初のK.136です モーツアルトはその前年にイタリア旅行しているので、その影響が窺える明るく弾むような曲想です。東京フィルの弦楽器群は溌剌と、軽やかにモーツアルトの魅力を奏でます

この曲を聴くと、誰が言ったのか思い出せませんが次の詩を思い出します(うろ覚えなので正確かどうか不明)。

「だれが風を見たろうか だれも風など見はしない けれど小枝をそよがせて 風は通り抜けて行く」

風は目に見えないけれど小枝を揺るがせて去って行く。それと同じように、モーツアルトのK.136の「アレグロ」は目で見ることはできないけれど、人の心の琴線に触れて消えて行く・・・・という風に勝手に解釈しています

演奏後、尾高氏はマイクを持ってトークに入ります

「モーツアルトのディヴェルティメントは、いま演奏したK.136のほかに、K.137、K.138がありますが、両曲ともとても良い曲です しかし、コンサートで演奏を求められるのはK.136ばかりです また、今年はシベリウス生誕150年ということで、ある指揮者が『今年、20回もシベリウスの交響曲を演奏するよう求めらました』というので、『それは良かったですね』と言うと、『交響曲第2番ばっかりなんですよ』ということでした。日本ではこういうことがよくあります

たしかにその通りです。そういう傾向に私はうんざりしています 来日オケがコンチェルトで取り上げる曲は、ヴァイオリン協奏曲と言えばメンコン(メンデルスゾーン)、チャイコン(チャイコフスキー)、べトコン(ベートーヴェン)、ブラコン(ブラームス)で、チェロ協奏曲と言えばドヴォコン(ドヴォルザーク)、ピアノ協奏曲と言えばチャイコン(チャイコフスキー)といった具合です 確かにどれもが名曲中の名曲ですが、どのオケも同じような曲を演奏するのには閉口します。日本の聴衆をなめてんのかと叫びたくなります

尾高氏のトークの間にオケのメンバーが拡大し、2曲目のメンデルスゾーンの交響曲第4番イ長調「イタリア」の演奏に備えます。この曲は1830年にメンデルスゾーンが訪れたイタリアの印象を音にしたものです 晴れる日の少ないドイツやオーストリアの人々にとって、太陽の国イタリアは憧れの対象だったのでしょう モーツアルトの時代にはイタリアこそ音楽の中心地だったし、メンデルスゾーンの時代も憧れの対象だったのでしょう

尾高の指揮のもと、三浦コンマスを中心に東京フィルは躍動感溢れる演奏を展開しました 個人的にはメンデルスゾーンの曲では、弦楽八重奏曲、ピアノ四重奏曲、弦楽四重奏曲など室内楽の方が好きですが、久しぶりに聴くイタリア交響曲は新鮮に響きました

 

          

 

休憩後の最初はスッペの喜歌劇「軽騎兵」序曲です。スッペは作曲当時は人気者だったようですが、現在ではこの序曲だけによって名前が残っていると言っても過言ではありません トランペットとホルンのファンファーレによって颯爽と幕が開きます。こういう曲は理屈抜きで楽しむが勝ちです

再び尾高氏がマイクを取ります

「演奏するうえでオーケストラが失敗することは滅多にありません。とくにこの東京フィルハーモニーは優秀なオーケスオラです しかし、指揮者は失敗します これは黒柳徹子さんに聞いた話ですが、黒柳さんのお父さんは日本交響楽団(N響の前身)のコンサートマスターをやっておられました。一方、私の親父(尾高尚忠)は指揮者をやっていて、ある日、ベートーヴェンの交響曲第5番”運命”と第6番”田園”を演奏することになった ”田園”を演奏しようとするとき、親父がどうやら”運命”を演奏するような力強い足取りで指揮台に向かってきたので、黒柳コンマスは『これは振ろうとする曲を間違えているな!』と思い、会場に聴こえない小さい声で”田園、田園”と呼びかけたのだが、親父には届かず、怖い顔をしたまま”運命”の出だしのジャジャジャジャーンを振った しかし黒柳コンマスは楽譜通り”田園”の演奏を始めた すると指揮者が慌ててオケに合わせた、という話でした

かつてカラヤンが「ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート」で振り間違いをやったことがあります。何の曲を何の曲と間違えたのか忘れましたが、たしか、カラヤンは自分の過ちに気づいてタクトを下ろしてニヤリと笑ったと思います

尾高節が続きます

「指揮者だけの演奏者によるオーケストラで指揮者なしでコンサートをやったことがあります 朝比奈隆、山本直純、江藤俊哉、山田一雄といった錚々たるメンバーです・・・・・私もヴァイオリンを演奏しました。江藤さんはヴァイオリンも弾き指揮もしたので江藤さんに合わせて演奏することになりました ろくにリハーサルもしないで本番を迎えました。越天楽を演奏することになったのですが、これは指揮者がいないと全く揃わない曲なので、江藤さんに頭を上下することで拍子をとって欲しいと頼んでおいたのです。ところが、前の曲でソリストを務めて拍手喝さいを浴びて高揚した江藤さんはすっかりそのことを忘れてしまって、まったく頭を動かしてくれないのです 私はヴァイオリンの席で演奏していましたが、すぐ近くに山田一雄さんがハープを弾いていたので、『先生、いまどこを演奏しているのでしょうか?』と訊くと、山田先生は『尾高君、我々はいったい、何の曲を演奏しているのかね?』と言われました」(会場大

次はレハールのワルツ「金と銀」です。レハールはオペレッタ「メリー・ウィドウ」や「微笑みの国」などで有名なハンガリー生まれの作曲家です。この曲はメッテルニヒ公爵夫人パウリーネが主催する「金と銀」をテーマとした舞踏会のために作曲したワルツです ハープで始まる長い序奏のあと、美しいワルツのメロディーが出てくるところはたまりませんね すごく好きです

「金と銀」と言えば、思い出すことがあります。私が大学生の頃だったと思います。ある晩、テレビから流れてきた音楽を聴いた父親が「金と銀だな」と言ったのです。私は心底驚きました 私の父は仕事一筋の建具職人で、音楽の”お”の字も知らない、というか、クラシック音楽などまったく興味も関心もない人だったので、どこでどうして「金と銀」を知ったのだろうと不思議に思ったのです 自分の父親に「よく知ってるね、クラシックを」というのも親を馬鹿にしているようで遠慮しましたが、生きている間に訊いておけばよかったと思いました

再び、尾高氏がマイクを持ちます

「次の曲はルロイ・アンダーソンのシンコべーデッド・クロックです。ある親子4人がケーブルカーで山の上に登りました。下りのケーブルカーの時間が4時半発なので遅れないようにしようと夫婦で話し合っていたのですが、山頂でしこたまワインを飲んで寝込んでしまった。目を覚まして今何時かと思ったのですが、夫婦とも時計を持っていない しばらく歩くと牛飼いのおじいさんに出会ったので『今何時ですか』と訊くと、牛のチチを持ち上げて『3時半だよ』と教えてくれた 良かった、間に合った、と最終のケーブルカーに乗ってふもとまで下りた。翌朝、子供たちが、『あのおじいさんにまた会いたい』というので、お礼方々ケーブルカーに乗って山に登った。おじいさんがいたので、お礼を言い『でも凄いですね。牛のチチの張り具合で時間が判るなんて』と褒めると、おじいさんは『いやあ、そんなことじゃないんだ。こうしてチチを持ち上げると、ふもとの時計台が見えるんじゃよ』」(会場大

「シンコペーテッド・クロック」では打楽器のウッド・ブロックが時を刻みます 続いて「トランペット吹きの休日」では3本のトランペットが掛け合いをやりながら軽快にスピード感溢れる音楽を奏でます こういう音楽を聴くとスカッとしますね

次に弦楽器が活躍する「フィドル・ファドル」が演奏されます。「フィドル」はヴァイオリンの一種で、「ファドル」は「ふざける。くだらないこと」という意味です。韻を踏んだ語呂合わせですね。アンダーソンの曲は理屈抜きで楽しめます

ルロイ・アンダーソンと言えば「タイプライター」という軽快な曲があります。手動タイプライターのキーを打つ音と改行の”チン”という音がリズミカルに現われる楽しい曲です 一昨年、日本でも公開された「タイプライター!」というフランス映画を観ましたが、子供たちにその話をした時、昭和61年生まれの長女に「タイプライター」って何?と訊かれ、絶句しました そうか、子供たちの世代はタイプライターを知らないんだな、と変なことに感心しました。昭和40年代の終わりに新聞関係の業界団体の国際部に就職したとき「英文タイプが出来ないと仕事にならない」と言われて、池袋のタイプ学校に通い「f f f j j j ・・・・・・」と練習したことを娘に話しました。仕事では手動タイプと電動タイプを打ちましたが、電動タイプは一つのキーに指を置いたままにすると、自動的に同じ文字をいくつも打ってしまうので後の”修正”が大変でした やがて世の中は「ワープロ」が登場し、それが進化した「パソコン」の登場によりタイプライターは市場から消えていきました。「スマホ」全盛の時代を迎えた今、テクノロジーの急速な進歩と時の流れの速さを感じます

さて、尾高氏が再度マイクを持ちます

「シベリウスの音楽はヨーロッパ諸国ではあまり馴染みがありません。しかし、フィンランドはもちろん、イギリス、アメリカ、そして日本の人々はシベリウスが好きです 彼は若くして引退しアイノラ荘で暮らしましたが、室内には彼が弾いていたピアノ、大きな短波ラジオがありました。引退した後、彼は世界中のコンサート会場で演奏される自分の曲にチューニングを合わせて聴くのを楽しみにしていたようです 彼は若い時にウィーン・フィルに憧れ、試験を受けたのですが、落ちてしまいました もし受かっていたら、このような素晴らしい曲は生まれなかったでしょう」

と言って最後の曲、交響詩「フィンランディア」を演奏しました。この曲はフィンランド国民にとって第2の国歌という位置付けにある大事な曲です 東京フィルは弦も管も重厚な音作りで尾高の指揮に応えます

尾高氏がマイクを持ちます

「ここ文京シビックホールは(新築前は)かつて文京区民会館でした。私は若い時にここで桐朋学園オーケストラを指揮してチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏しました ソリストはその後N響の首席ヴィオラ奏者を務めた店村眞積君でした。ここで演奏すると当時が懐かしく思い出されます 桐朋学園を卒業する時、私と井上道義が齋藤秀雄先生に呼ばれて言われました。『良い指揮者に成りたかったら、あまりしゃべるな』」

指揮者・尾高忠明氏はほとんど「落語家」の様相でステージを後にしました かつて私は指揮者・井上道義が指揮台から落ちるのを目撃したことがあります。指し当たり彼の場合は「落伍者」でしょうか

この日の公演は指揮者・尾高忠明氏のエンターテイナーとしての一面が目立った楽しい楽しいコンサートでした。へたなフリー・アナウンサーよりも、よほどトークに長けています

今年度の「響きの森クラシック・シリーズ」も昨日の公演で終わり、新年度は6月からすべての公演を”炎のコバケン”こと小林研一郎が指揮して「オール・チャイコフスキー・プログラム」を取り上げます このシリーズを特定の作曲家に焦点を当てて特徴を持たせることは良いことだと思いますが、尾高氏の登場がないのは寂しい限りです。 オダカ・タダアキ カムバック 

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日聴いたCDはモーツアルトの交響曲第22番から第36番まで 演奏はカール・ベーム指揮ベルリン・フィルです。今日サントリーホールで、午前11時から三ツ橋敬子の指揮により第22番から第30番までを、午後3時から井上道義の指揮で第31番から第36番”リンツ”までを、それぞれ東京フィルの演奏で聴くので、その予習です。注目は井上道義が第31番「パリ交響曲」をどんなテンポで演奏するかです

 

          

          

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モーツアルト「ヴァイオリン協奏曲第5番」「ピアノ協奏曲第20番」「交響曲第41番」を聴く

2015年03月07日 09時02分53秒 | 日記

7日(土)。わが家に来てから150日目を迎え、ワンルームマンションのベッドでくつろぐモコタロです 

 

          

           いや~ 狭いわが家が一番落ち着くなぁ おれ小さいし

 

  閑話休題  

 

昨日のブログで映画「皆殺しのバラッド~メキシコ麻薬戦争の光と闇」をご紹介しましたが、昨日の朝日朝刊に「メキシコ 麻薬組織掃討作戦 大物を次々逮捕」という記事が載っていました。記事を超訳すると

「メキシコ当局が麻薬組織の掃討作戦に力を入れている。2月末に国内最大規模とされる麻薬カルテル『テンプル騎士団』のトップを逮捕したのに続き、4日には『セタス』のトップを逮捕した 連邦警察と軍は1000人以上を殺害した疑いがあるモラレス容疑者を逮捕したが、彼にはメキシコ当局が200万ドル(約2億4000万円)、米国当局が500万ドル(約6億円)の懸賞金をかけていた 『セタス』はメキシコ陸軍特殊部隊の出身者が多く、2010年には麻薬の運び屋になることを拒否した中米移民72人を殺害したとされる」

「皆殺しのバラッド」のチラシによると、メキシコには麻薬を扱うカルテルが複数あり、『テンプル騎士団』『セタス』の他にも『シナロア・カルテル』『ゴルフォ・カルテル』『パシフィコ・スル・カルテル』、そして映画にも登場した『フアレス・カルテル』などがメキシコ国内にはびこっています したがって、これらのトップも逮捕しない限り、まだまだメキシコにおける麻薬戦争は治まることはないのが実情でしょう

「皆殺しのバラッド」は2013年の制作なので、あるいはこの映画がメキシコのペニャ二エト大統領を動かす大きな原動力になったのかもしれません。ペンは剣より強し。映画は薬(ヤク)より強し

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日の日経朝刊に「ラトル氏がロンドン響へ」という小さな記事が載っていました

「ロンドン交響楽団は、英国人の世界的な指揮者、サイモン・ラトル氏(60)を2017年9月に音楽監督に迎えると発表した 同氏は『これが私の最後の仕事だ』と抱負を語った。ラトル氏は02年にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任。契約満了となる18年8月に退任する

サイモン・ラトルと言えば、一度だけ生でコンサートを聴いたことがあります。ラトルが英バーミンガム市交響楽団を率いて来日公演をやった時ですから80年代から90年代にかけてだったと思います ステージ上の弦楽器群の配置を見て度肝を抜かれたことを今でもハッキリ覚えています 舞台に向かって左サイドにチェロとコントラバスが配置されていたのです 今でこそこの楽器配置はそれ程珍しくありませんが、当時は極めて稀な、というか、初めて見る楽器配置でした。「これは何かの間違いではないか」とさえ思ったものです。そのラトルが祖国に帰りロンドン響を振ることになるわけです。それにしてもラトルがもう60歳か・・・・とは言え、指揮者の世界では「50、60は洟垂れ小僧」と言われています。これからでしょう

 

  最後の、閑話休題   

 

昨夕、新宿文化センターでフレッシュ名曲コンサート「オール・モーツアルト・プログラム」を聴きました プログラムはモーツアルトの①ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調K.219「トルコ風」、②ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466、③交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」で、出演はヴァイオリン=篠原悠那、ピアノ=上原彩子。バックを務めるのは飯森範親指揮東京交響楽団です 篠原悠那は第80回日本音楽コンクール第2位、第11回東京音楽コンクール弦楽部門第2位の若手実力者です。上原彩子は第12回チャイコフスキー国際コンクール・ピアノ部門で女性の日本人として史上初の第1位を獲得したピア二ストです

 

          

 

自席は1階15列22番、左ブロック右通路から3つ入った席です。会場は後方がかなり空いており全体では6割位の入りでしょうか。もったいないですね 東響の面々がステージに登場します。25名程度の小編成ですが、チェロとコントラバスを左サイドに置き、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンを左右に分ける対向配置をとります コンマスは水谷晃です。ヴァイオリン・ソロの篠原悠那が飯森範親とともに、鮮やかな黄色のステージ衣装で登場します

モーツアルトのヴァイオリン協奏曲は全部で5曲ありますが、ザルツブルク時代の1773年と1775年に集中して作曲されています 第5番K.219は1775年、作曲者が19歳の時に完成しました

飯森+東響の軽快なバックに支えられて、篠原悠那は明るく伸び伸びとモーツアルトの世界を奏でていきます 第1楽章終盤のカデンツァは聴きごたえがありました 次から次へと現われる新人の中で、この人が生き残っていくにはどうしていけば良いのだろうか?・・・・そんなことを考えてしまいました

ピアノがセンターに運ばれ、管楽器も弦楽器も拡大してピアノ協奏曲第20番K.466の演奏に備えます。ソリストの上原彩子が紫色のステージ衣装で堂々と登場します 飯森の合図で第1楽章冒頭の低弦を中心とするシンコペーションがデモーニッシュに始まる中、上原はいつもそうするように、後ろに反り返るようにして出番を待ちます そして出番になると少し前のめりになってモーツアルトの短調の名曲に対峙します。よく聴くと、メロディーを口ずさみながら演奏しているようです 彼女の真骨頂が発揮されたのは第2楽章「ロマンツェ」でした。「これ程美しい音楽があるだろうか」という名曲ですが、上原は詩情豊かにロマンティックに演奏します 第3楽章「アレグロ・アッサイ」には間を置かずに突入します。フィナーレ部分でのカデンツァは見事のひと言です オーボエが実に良い仕事をしていました

 

          

 

休憩後の交響曲第41番K.551は「ジュピター」という愛称が付けられていますが、後世の人が、ローマ神話の最高神ジュピターに喩えて付けたものです。その名にふさわしい堂々たる曲想で、古典交響曲のキング・オブ・キングと言っても良いでしょう

第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」を聴いていたとき、第1ヴァイオリン全体の音がコンマスの水谷晃のヴァイオリンを通して聴こえてきたのには驚きました 以前、同じ東響のコンサートで、シューベルトの交響曲第3番をユベール・スダーンが指揮した時に、第1ヴァイオリンの音がコンマスの大谷康子のヴァイオリンを通して聴こえてきたのに驚いたことを思い出しました コンマスは他のヴァイオリン奏者と違って、指揮者の指示を的確に後方の奏者に伝えなければならないので、大きな動作をする傾向にありますが、その動作が耳の”聴こえ”に影響しているのかも知れません つまり、その楽器を見ながら音を聴くとその音が良く聴こえてくるということです

第4楽章「モルト・アレグロ」を聴きながら、ステージ中央のチェロ・セクションを見ていたら、樋口泰世さんの髪型が変わっていることを発見しました 先週木曜(26日)のサントリーホール定期公演ではロングヘアだったので、この1週間以内にカットしたのでしょう この1週間の間、彼女にどういう心境の変化があったのか?いずれにしても今度の方が良いと思うな・・・・・「そんなこと考えてないで音楽に集中しなさい」という声がどこからか聞こえてきて、我に返りました 曲は壮大なフーガを描きフィナーレになだれ込みました。拍手 とブラボーが会場を満たしました

飯森+東響はアンコールに「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第1楽章を弦楽奏者で演奏してコンサートを締めくくりました 1つのコンサートで大好きなモーツアルトを3曲も聴ける幸せは何ものにも代えがたいものがあります

 

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映画「皆殺しのバラッド~メキシコ麻薬戦争の光と闇」を観る~日本記者クラブ試写会

2015年03月06日 07時01分37秒 | 日記

6日(金)。わが家に来てから159日目を迎え、三寒四温の”温”に浸るモコタロです 

 

          

             ひなたぼっこは気持ちいいなあ もう春だよなぁ~

 

  閑話休題  

 

有給休暇がいっぱい余っているので、昨日は休暇を取って豊島税務署まで確定申告に行ってきました 昨年まで、少し出遅れて行ったため、かなり待たされた経験があるので、今年は早めに行きました。それでも手続きが終わるまで丸1時間はかかりました 昨年は「えっ、こんなに取られるの?」という驚きの『確定深刻』でしたが、今年はほんの少し戻った『確低申告』でした 毎年今ごろ申告に行っていますが面倒くさいですね

一旦自宅に戻って軽く昼食を取り、ベッドで寝っころがってCDを聴きながら新聞や本を読んで過ごしました CDは土曜日に東京フィルで聴くメンデルスゾーンの「交響曲第4番”イタリア”」で、オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏です。クレンペラー大好きです

 

          

 

再び支度をして新宿に出かけました。まず、新宿ピカデリーに行き、METライブビューイング、オッフェンバック「ホフマン物語」の指定席を取りました 今週は土曜も日曜もコンサートの予定が入っているので、来週火曜日に休暇を取って観ることにしました。有給休暇まだまだ余ってるし

 

          

          

 

その後、日比谷に出て、日比谷公園の中にある「日比谷グリーンサロン」という名前のレストランでコーヒーを飲みながら本を読みました 雰囲気は学食のような食堂兼喫茶店でカジュアルな感じの店です。コーヒーは300円で、味はまともでした その後、近くで軽い夕食を取ってPCビルに向かいました

 

  も一度、閑話休題  

 

という訳で、午後6時から当ビル10階ホールで開かれた日本記者クラブ主催の試写会「皆殺しのバラッド~メキシコ麻薬戦争の光と闇」を観ました 2000年代後半から現在に至るまで、12万人の犠牲者を生んだと言われるメキシコの麻薬戦争ですが、それは麻薬組織間だけでなく、軍や警察、さらには一般人も巻き込んでいると言われています この映画はそうした”麻薬戦争”の中で警察官として戦う青年と、メキシコの麻薬王の武勇伝を歌にして歌い人気を集める歌手にスポットを当てて、メキシコの残酷な一面を描き出しています

 

          

 

アメリカとの国境の街、メキシコのシウダー・フアレスの警察官リチは、年間3,000件という膨大な数の殺人事件の捜査に追われています その都度、現場で証拠集めをしますが、ほとんどの事件はそのまま何の解決も見ないまま放置されます。麻薬組織から目を付けられると自分たちの命が狙われるからです リチの同僚は彼らの報復に合い、次々と殺されていきます リチのボスは麻薬組織から「お前が今の立場を辞任しなければ命はないぞ!」と宣告され、辞職してしまいます それ程ひどい街でも、そこで生まれ育ったリチは警官を辞めようとしません

一方、ロサンゼルスの歌手エドガーは、メキシコの麻薬王たちの武勇伝を「ナルコ・コリード」という歌にして、北・中米の若者から熱狂的な人気を集めています その影響もあってか、若者たちは麻薬王を英雄視しています。エドガーも妻子のある身で、生活のため歌を売っているのです

この映画はドキュメンタリーですが、一番衝撃的な映像は、麻薬戦争の巻き添えになって息子を殺され、死体をバラバラに解体された青年の母親の慟哭です

「どうして何もしない息子が殺されなければならないんだ 大統領は何をやっているんだよ 息子を返してくれ みんなどうして立ち上がらないんだ 誰がこんなことを許しているんだ みんな声を出してくれ

ネットの動画に投稿されたというこの母親の訴えはメキシコの大統領やアメリカの若者たちに通じたのだろうか、と疑問が湧いてきます メキシコから密輸された麻薬は、ほとんどすべてが米国内で消費されており、15歳以上の42%が何らかの麻薬を使用したことがあると答えているのに対し、メキシコでは5.5%に過ぎないと言われています ということは、メキシコ麻薬戦争はアメリカへの輸出を巡る大手の麻薬カルテル同士で展開されている殺し合いのことだと分かります

この映画はロバート・キャパ賞を受賞した戦場フォト・ジャーナリスト、シャウル・シュワルツが撮ったドキュメンタリーです メキシコに本当の平和が来るにはアメリカでの麻薬の消費を抑えるしかないということですが、残念ながらそれが出来ないのが現状のようです。映画を観終わって地下鉄の中で考えたのは「何だかんだ言っても日本は平和だよな」ということでした

 

          

 

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大江馨+清水和音で「ヴァイオリン&ピアノの夕べ」を聴く~都民芸術フェスティバル2015

2015年03月05日 07時01分10秒 | 日記

5日(木)。わが家に来てから158日目を迎え、船頭さんに成りきって乗船を促すモコタロです 

 

          

            お~い 船が出るぞ~ 最終便だよ~ 置いてくよ~

 

  閑話休題  

 

昨日の日経朝刊第1面のコラム「規制 岩盤を崩す」に「理容・美容 分断70年~縄張り放置 参入進まず」という見出しのもと、意外な事実が載っていました 美容師が男性の髪をカットするのは法律違反なのだそうです。1978年の厚生省(当時)の局長通知で美容師が髪を切るのは女性客という法解釈を示し、それが今でも生きているというのです 1947年に出来た法律により、美容師と理容師が同じ店で働くことは禁じられているとのことです。男と女の境が不明確になっている昨今、信じられない”現実”ですね。それ程、両業者の縄張り争いが激しいのでしょう 厚労省によると「議員立法は手をつけにくい」ということだそうです

話はちょっと違いますが、行きつけの理髪店で聞いた話では、最近理容師の成り手が減り、美容師ばかりが増えているそうです 「理容・美容専門学校」がありますが、美容師志望の生徒ばかりだそうです。たまには美容室をリヨウしようと思うのですが、現在の法律ではそうはいかないようです。何かリハツな考えはないものでしょうか・・・・・・今回のシャレはサンパツでした、ね

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、上野の東京文化会館小ホールで「ヴァイオリン&ピアノの夕べ」公演を聴きました これは「都民芸術フェスティバル2015」の一環として開かれたもので、ヴァイオリン=大江馨とピアノ=清水和音が出演しました プログラムは①シューベルト「ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ第1番ニ長調」、②イザイ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調”バラード”」、③ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調」、④プロコフィエフ「ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ長調」、⑤ラヴェル「ツィガーヌ」です

 

          

 

大江馨は1994年生まれ、仙台市出身です。第82回日本音楽コンクール第1位ほか、数々のコンクールで優勝しています 現在、桐朋学園大学ソリストディプロマコース特待生で、かつ、名前のイニシャルと同じKO、そう慶應義塾大学法学部3年在学中です 法学部ですよ、奥さん 一方、清水和音はロン=ティボー国際コンクール・ピアノ部門で20歳の時に優勝しています 2011年にデビュー30周年記念としてラフマニノフの「ピアノ協奏曲第1番~第4番」と「パガニーニの主題による狂詩曲」の全5曲を一度のコンサートで演奏した時に聴きに行きましたが、すべて暗譜で弾き切り、パワフルかつ繊細なピアノ演奏を披瀝したのを思い出します

自席はR38番、センター右ブロック後方、右通路側席です。会場は8割方埋まっている感じです ステージに2人が登場します。大江はすらっと背が高くスマートです 一方、清水は・・・・・・貫録十分です。さっそく1曲目のシューベルト「ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ第1番」の演奏に入ります。3曲のソナチネの最初の曲です。シューベルトらしい若く瑞々しい感性に裏付けられた曲です。大江は上がっている様子もなく落ち着いて、伸び伸びと演奏します

2曲目は難曲、イザイの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番」です。この曲は6曲の無伴奏ソナタの中の3番目の曲です。ルーマニアの大ヴァイオリニスト、ジュルジュ・エネスコに献呈しています 冒頭から流れるのは、まるで幽霊でも出てきそうな曲想ですが、演奏は困難を極めます 相当の技巧が必要とされます。若き大江の演奏を聴いていて、「日本人がこれ程の演奏が出来る時代になったのだな」と感慨にふけりました

3曲目はブラームスの「ヴァイオリン・ソナタ第2番」です。3曲のソナタのうち真ん中の曲です。ブラームスは1886年から88年まで、夏の間スイスのトゥーン湖畔で過ごしましたが、風光明媚なその地でこの曲を作曲しました 全体的に穏やかで伸びやかな曲想です。大江は曲想どおり、伸び伸びとブラームスの神髄を奏でていきます

 

          

 

休憩後の最初はプロコフィエフの「ヴァイオリン・ソナタ第2番」です。実はこの曲、元々フルートとピアノのために作曲されたもので、後にヴァイオリニストのダヴィッド・オイストラフの薦めによりヴァイオリン用に編曲されたものです 普段、フルートの演奏で慣れ親しんでいますが、大江のヴァイオリンで聴く限り何の違和感も感じません。もともとヴァイオリンとピアノのために作曲されたのではないかと思うほどです もちろん作曲者自身の編曲が優れていることが一番の理由ですが、『名曲は楽器を選ばず』といったところでしょうか。全体的に歌心に満ちた優美で、時にメランコリックな曲想で、思わず聞き惚れます このソナタにおける大江の演奏は実に見事でした。色彩感豊かに生き生きとプロコフィエフの魅力を伝えてくれました 清水和音のしっかりしたサポートがあったればこそです

最後はラヴェルの「ツィガーヌ」です。「ツィガーヌ」とはジプシー(ロマ)のことです。この曲は一言で言えば「ハンガリー風狂詩曲」です 大江は冒頭のカデンツァから聴衆の耳を引き付けます。しばらく集中力に満ちた独奏が続きます 途中から清水のピアノが加わり、二人の対話が始まりますが、まるで一つの物語を語っているかのようです この曲も相当難度の高い技巧を要する曲ですが、大江は何でもないような涼しい顔をして最後まで弾き切ります。この演奏も見事でした 演奏が終わり会場一杯の拍手を受けますが、ピアノの清水は、あくまで若い大江を立てて賞賛の拍手を送っていました。人間が出来ていますね。流石です

実は、このコンサートはあまり期待していなかったのですが、実際に聴いてみたら大変な逸材に遭遇したという思いです まだ21歳という若さで、これからが勝負ですが、この人は近い将来伸びるのではないか、と思います ”久々の大型新人の登場”と言っておきましょう。大江馨という名前を頭の隅に留めておくことにします

 

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小澤真智子 ニューヨーク・アーバン・タンゴ・トリオでピアソラを聴く~日経ミューズ・サロン

2015年03月04日 07時01分57秒 | 日記

4日(水)。わが家に来てから157日目を迎え、時として後ろ向きの人生を送るモコタロです 

 

          

           一人にしてくれ おれにだって悩み事の一つくらいあるんでぇ

 

  閑話休題  

 

昨夕、大手町の日経ホールで第434回日経ミューズ・サロン「ニューヨーク・アーバン・タンゴ・トリオ~祈りと情熱のタンゴ」公演を聴きました このトリオはヴァイオリンの小澤真智子が、ピアノのオクタービオ・ブルーネッティとベースのペドロ・ジラウドとともに2008年に結成したトリオです ピアノはオクタービオの死去に伴いエドリアン・エンリケスに代わっています。小澤真智子は東京藝大卒業後、ロンドン・ギルドホール音楽院を経て、ニューヨークのジュリアード音楽院で修士号を取得しています ピアノのエンリケスはアルゼンチン出身で、数々のタンゴ・グループで活躍しています ベースのジラウドはアルゼンチンのコルドバ出身で、ベーシスト、アレンジャーとして活躍中です

 

          

 

タンゴのコンサートを聴くのは初めてです ステージ上の譜面台を見て、タンゴも譜面を見ながら演奏するのか、と初めて知りました ジャズだと譜面ないし・・・インプロビゼーションだから

自席は1階G9番。前から7列目のセンターブロック左通路側席です。会場は9割方埋まっている感じでしょうか 配布されたプログラムの演奏曲目を見て、2つの予想を立てました。一つは、小澤真智子は赤の衣装で登場するということ。もう一つは、アンコールの曲名です。これは後で判ります

会場の照明が暗転してステージに3人が登場します。まず、小澤真智子の衣装は予想通り赤でした 最初にアストル・ピアソラの作品から3曲、「プレパレンゼ」(用意ドンの意味)、組曲「タンゴの歴史」から「ボルデル1900」と「ナイトクラブ1960」が演奏されます 曲が変わる度に背景の壁が照明で赤くなったり、青くなったり、黄色になったり変化を見せます 日経ホールが見せる演出です。これは良いと思います

ここで小澤がマイクで曲目の解説をして次の曲に移ります バンドネオン奏者フリアン・プラザの作曲した「ダンサリン」(踊り子という意味)、ピアニストで作曲家のオラシオ・サルガンの「ラ・ジャモ・シルバンド」、そしてアルゼンチンではなくデンマーク出身のヴァイオリニスト、ヤコブ・ゲーゼ作曲の有名な「ジェラシー」が情熱的に演奏されます

次に演奏するのはピアソラの「オブリビオン~忘却」です。この曲は聴いたことがあります。曲目解説に「ゆっくりなミロンガのリズムの上に美しいメロディーが際立ちます」とあります 『ミロンガ』という名前の喫茶店が神保町の路地裏にありますが、その方面の音楽が流れているのでしょうね この曲は好きです。前半最後の曲はピアソラの「鮫」です。ピアソラはある夏のバケーションの間、鮫釣りに凝っていたそうで、そこから付けられたようです

休憩後、再度3人が登場しますが、小澤はパープルのドレスの上に黒のシースルーをまとっています。お色直しですね 女性の出演者の時はこういう楽しみがあります。最初の曲はオマール・トレスの「エモショナド」です。このトリオの創立メンバーだったオクタービオがトレスの楽団に入り大きな影響を受けたそうです。彼へのオマージュとして演奏されました 次いで、アニバル・トロイロの「ラ・トランペラ」です。以上の2曲はトラデショナルなタンゴとのことです

次いでピアソラの曲が3曲演奏されます。まず、父親の訃報を聞いて作った「アディオス・ノ二―ノ」。そして小澤が「足にご注目ください」と言って、下に板を敷いて「フラカナパ」の演奏を開始しました。演奏途中で見事なタップダンスを披露しました 会場は拍手喝さいです 次にタンゴヴァイオリンの第一人者エルビーノ・バルダリートのために作曲した「バルダリート」を演奏します

 

          

 

ここで初めてメンバー紹介です。ちょっと遅いのではありませんか?真智子さん。ついでに、しっかり発売中のCDのPRをします 最後にスカルピーノとカルダレラの作曲によるタンゴの名曲(らしい)「パリのカナロ」を楽しく演奏しました 大きな拍手の中、係りの女性から3人に花束の贈呈があり、小澤が「花束ももらったことですし、では・・・」とアンコールをほのめかすと、すかさず会場から拍手が起きました アンコールはもちろんピアソラの「リベル・タンゴ」以外は考えられません。「この曲もCDに集録されています」と宣伝し、3人はノリに乗って演奏、拍手喝さいを浴びました そして鳴り止まない拍手に、小澤が再びマイクで語ります

「これまで楽しく演奏してきました。この公演の依頼があった昨年の今ごろ、創立メンバーであるオクタービオは健在でした。しかし、その数週間後に彼は天に召されました (ここからは涙声で)彼は私にとって公私ともにパートナーでしたから、辛いものがありました。それからの1年間、このコンサートに漕ぎつけるまでは大変な思いをしました 次のアンコール曲はピアソラの『アベ・マリア』です。この日のコンサートのタイトルは『祈りと情熱のタンゴ』です。オクタービオを偲んで、また世界中で懸命に生きている人々への祈りを込めて演奏します」(会場しんみり)。

「この曲もCDに集録されています」(会場爆

ピアソラの「アベ・マリア」は静かな良い曲でした それはそうと、ヨーヨーマがチェロを弾いた「リベル・タンゴ」のCD、CD棚のどこかにあるんだけど、どこにあるんだろう?探してみたけど、見つからなかった

日経ミューズサロンは面白い企画を提供してくれるので楽しみです。一流のアーティストではないけれど、なかなか味のある演奏家を呼んで、低料金で聴かせてくれるという意味ではすごく良心的だと思います

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「ルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズ」、「日下沙矢子ヴァイオリン・リサイタル」のチケットを買う

2015年03月03日 07時01分05秒 | 日記

3日(火)。わが家に来てから156日目を迎え、何でも好き嫌いなく食べる食欲旺盛なモコタロです 

 

          

           モコタロ 君の食べているのはおねーちゃんの衣装だろ!?

 

  閑話休題  

 

昨日、出勤直前に、いま住んでいるマンションの管理会社から電話があり、「緊急連絡です マンション管理員からの通報によると、4階のエレベーターから廊下に至るまで消火器の粉末がばらまかれているのを発見した 至急特別清掃の手配をしたい。犯罪性があるので防犯カメラを再生して犯人を特定したい。警察に通報したいので許可をお願いしたい。また、警察からは防犯カメラの映像のコピーを求められることが予想されるが、許可をお願いしたい」ということでした。理事長として許可を与え、続報を待ちました その後、担当者から電話があり、「防犯カメラを再生し犯人(4階の住民)を特定した。本人を呼び、警察官立ち会いのもと防犯カメラを再生し、事実関係に間違いがないこと、損害を弁償することを本人に一筆書いてもらっている」とのことでした 本人は「酔っていてよく覚えていない」と言っているようですが、防犯カメラに写っている映像を観て観念したようです

聞くところによると犯人は20代の女性とのことですが、エレベーターや廊下ばかりか、防犯カメラに向けても消火液を吹きかけたようです。相当悪質です よほどの不平不満があったのでしょう。自分で自分の不平不満を消化し切れず消火器を使ったのでしょう 痴情のもつれか、時節がら人事異動に対する不満か、一方的な失恋か、小学生に馬鹿にされたか・・・・まったく予想もつきませんが、季節の変わり目にはこういう突発的な行動に出る人が出没します。皆さん、注意しましょうね

 

  も一度、閑話休題  

 

昨夕、地下1階のフリースペース(要するに空き部屋)で、ビルメンテナンス委託会社NBM社のF氏の送別会があり、参加しました F氏は18歳の時から当ビルのビルメンテナンスに従事し28年間も勤め上げた功労者です 当社のU専務の挨拶にもあったように、「責任感が強く、何でも自分でやらないと気が済まない性格で、非常によく働いてもらった。わが社の社員のように思っていた」というのが当社社員の共通認識だったと思います

送別会ではビールをはじめ、日本酒=山形の銘酒〇〇(19度の強い酒。銘柄を思い出せない)、新潟の銘酒・越乃寒梅、どこかの銘酒・鬼ころしをしこたま飲んで、寿司、焼鳥、唐揚げ、串揚げ、厚揚げ、厚焼き玉子、ホタテなど、美味しい料理をたらふく食べて引き上げました X部長に2次会に誘われましたが、翌日(つまり今日)から8日間連日コンサートと映画鑑賞が控えているので、丁重にお断りしました。別れた後のX部長の行方は知りません

 

  閑話休題  

 

チケットを2枚買いました 1枚目は5月11日(月)午後7時から紀尾井ホールで開かれる「ルートヴィヒ・チェンバー・プレイヤーズ」コンサートです。プログラムは①モーツアルト「オーボエ四重奏曲」、②プロコフィエフ「五重奏曲」、③シューベルト「八重奏曲」です

 

          

 

2枚目は7月31日(金)午後7時からトッパンホールで開かれる「日下沙矢子ヴァイオリン・リサイタル」です プログラムは①モーツアルト「ピアノとヴァイオリンのためのソナタK.503」、②同「同K.520」、③ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第4番」、⑤パガニーニ「24のカプリース」から、⑥シューベルト「ロンド」。ピアノ伴奏はマーティン・ヘルムヘンです

 

          

 

交響曲も好きですが、室内楽も大好きです。これからもジャンルにこだわらず聴いていこうと思います

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マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー著「笑う警官」を読む~新訳で読み易く

2015年03月02日 07時01分18秒 | 日記

2日(月)。昨日は日曜日にも関わらずコンサートの予定が入っていない珍しい日でした 今週は今日から来週の火曜日までコンサート7回を含め、連日予定が入っているので体力的に厳しいものがあるので、家で音楽を聴きながら本を読んでゆっくり過ごすことにしました

ということで、わが家に来てから155日目を迎え、くまのプーさんに戦いを挑む果敢なモコタロです 

 

          

           くまのプーだろうが高木ブーだろうが 相手にしてやるぜ!

 

  閑話休題  

 

マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー共著「刑事マルティン・ベック 笑う警官」(角川文庫)を読み終わりました マイ・シューヴァルは1935年、ストックホルム生まれ。雑誌記者・編集者を経て65年から10年間ペール・ヴァールーと『マルティン・ベック』シリーズを書き上げました。ペール・ヴァールーは1926年、スウェーデン生まれ(75年没)です

 

          

 

「1967年11月13日の雨降る夜のこと。ストックホルムの市バスで8人の乗客が何者かに銃撃され死亡した。被害者の中には、右手に拳銃を握りしめた殺人捜査課の若い刑事オーケ・ステンストルムがいた 警察庁殺人課主任捜査官マルティン・ベックは後輩の死に衝撃を受け、なぜ彼がそのバスに乗り合わせていたのかを追究する。オーケのデスクの中には恋人の全裸の写真が残されていた。それは何を意味するのか。唯一の生き証人は意味不明の言葉を残して亡くなった。そうした中、オーケが16年前の未解決事件の犯人を追及している中で事件に遭遇したらしいことが分かる ベックらは当時の関係者を絞り込んでいく中で真犯人らしい人物を特定する。さて、ベックは真犯人を逮捕することができるのか

こういうのを「ページ・ターナー」小説と言うのでしょう。ページめくる手が止まらない、という意味です 本作の中盤までは、ほとんど事件の解決の目途さえつかないというもどかしさを感じさせますが、次第に犯人が絞り込まれていき、遂には直接対決となります 次第に読むスピードが上がって行くテンポ感がたまりません 

今回の文庫本は柳沢由美子の新訳によるシリーズ最初の作品です。旧訳で読んでいないので比較は出来ませんが、非常に分かり易い翻訳です。彼女は巻末の「訳者のあとがき」で次のように書いています

「刑事マルティン・ベックを主人公とする犯罪小説は、第1作の『ロセアンナ』から48年経ったいまも、『87分署』シリーズのエド・マクべインとともに、世界の警察小説の2大双璧と認識され、後続のミステリ作家に多大な影響を与えたと評価されている

是非、柳沢由美子の新訳で『ロセアンナ』をはじめ他の作品も読んでみたいと思います

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日聴いたCDはモーツアルトの交響曲第22番~36番”リンツ”です 演奏はカール・ベーム指揮ベルリン・フィル。8日(日)に日本モーツアルト協会主催の「モーツアルト交響曲全45曲演奏会」のうち第22番から第36番までを聴くので、その予習です このCDに集録された演奏は、私がモーツアルトの交響曲を聴く際の基準になっています

 

          

          

 

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