人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ブラボー!アンナ・ネトレプコ~METライブビューイング:マスネのオペラ「マノン」を観る

2012年05月07日 06時55分22秒 | 日記

7日(月).今日は連休明けの初日.そんな訳で新聞休刊日です.活字中毒には寂しい日です でも,新聞配達の人たちに休んでいただくためにはしかたありませんね 新聞配達の皆さん,いつもありがとうございます

今日は健康診断のため健康保険組合の診療所に寄ってから出勤します.大企業と違って,健診に会社に来てくれるわけではなく,個々人が予約を入れて受診しに行きます

 

  閑話休題  

 

昨日,新宿ピカデリーでMETライブビューイング,マスネのオペラ「マノン」を観ました.これは今年4月7日に米メトロポリタン歌劇場で収録されたオペラのライブ録画映像です キャストは,ヒロインのマノンにアンナ・ネトレプコ(ソプラノ),騎士デ・グリューにピョートル・ベチャワ(テノール),レスコーにパウロ・ジョット(バリトン),ギヨーにクリストフ・モルターニュ(テノール),デ・グリューの父親にデイヴィッド・ピッツィンガー(バスバリトン)ほか.指揮はファビオ・ルイージ,演出はL.ペリーです

原作はアヴェ・プレヴォ―の小説「マノン・レスコー」です.アナトール・フランスが「生涯を通じて1週間しか貞節でいられなかった女性」と表現したのがマノンです

田舎からパリに出てきたマノンは,騎士デ・グリューに出会います.2人は駆け落ちするようにして逃げ去り,郊外の小さな部屋で暮らし始めます.しかし,彼女はお金のない貧乏生活には耐えられません デ・グリューを裏切って,パトロンの元に身を寄せてパリ社交界で優雅な生活を送ります.一方,デ・グリューは心の平安を求め司祭の道を歩み始めます.しかし,それを聞きつけたマノンは教会に行き,デ・グリューと再会,元にさやに戻ります 2人で出かけた社交界で,デ・グリューはギヨーの挑発に乗り賭けカードに興じます.ところがそれはギヨーの罠で,デ・グリューとマノンは警察に捉えられ離れ離れにされます.最後はみすぼらしい衣装のマノンがデ・グリューの腕の中で息絶えます

休憩時間にデボラ・ボイトが衣裳担当ゴメス・ピゾにインタビューして「マノンが着る衣裳はどれくらいあるの?」と聞くと,「6着です」と答えていました.これについてマノン役のネトレプコは「田舎から出てきた時に着る衣装を”まるでメリー・ポピンズみたい”と言ったら承知しないからね」と言ってボイトを呆れさせていました.また,「せっかくパリの社交界で華やかな衣装を着るのに,最後は汚れたよれよれの服を着てカーテン・コールに出なきゃならないのよ」と悲しんでいました.「着替えにはどれくらいの時間をかけるの?」との問いに,衣裳担当は「最も短くて4分です.舞台の袖で着替えます」と答えていました.

マノンはただ歌がうまいということだけでは務まりません ネトレプコのマノンは歌の素晴らしさはもちろんのこと,演技力が抜群なのです.マノンに求められる「誰からも愛される小悪魔的な女性」を彼女以上に演じられるソプラノはいないのではないか,とさえ思います ベチャワのデ・グリューも負けず劣らず素晴らしいの一言です.彼は歌も演技も全力投球です.それが聴衆に伝わってきます

実は昨年の3.11大震災の東電原発事故がなければ,米MET歌劇場来日公演でネトレプコのミミ,ベチャワのロドルフォのコンビによる「ラ・ボエーム」を聴いていたはずです.残念ながらネトレプコは原発の影響を恐れて急きょ来日を中止しました(彼女には乳児がいました).フリットリが代役を務めました.原発事故さえなかったら・・・・・今思い出しても,悔しい思いでいっぱいです

このオペラはフランス人の作曲家によるオペラのため,歌詞はフランス語によって歌われました.ネトレプコはロシア人,ベチャワはポーランド人ですが,二人とも何とも流暢なスランス語で歌っていました 優れた歌手はインターナショナルです

上映時間は休憩を2回(10分,15分),歌手や指揮者等へのインタビューを含めて3時間54分.11日(金)まで新宿ピカデリー(午前10時から)と東銀座の東劇(午後1時半から,6時半からの2回)で上映中です

下のチラシは,マノンが着る6着のうち逮捕される時のピンクのドレスを着たアンナ・ネトレプコ

 

          

 

劇場入り口に「METライブビューイング ワーグナー”ニーベルングの指環4部作”一挙上映」のチラシが置いてありました.8月11日(土)から8月24日(金)まで東劇で上映されるとのことです.1作品4500円(ラインの黄金のみ3000円)で,4月28日から座席指定チケットが販売されています.ワーグナー・ファンは必見ですね

とくにワーグナー・ファンではないけど,クラシック・ファンという人に上映時間をお知らせしておきます.

「ラインの黄金」 3時間3分(休憩なし)

「ワルキューレ」 5時間14分(休憩2回)

「ジークフリート」 5時間11分(休憩2回)

「神々の黄昏」  5時間28分(休憩2回)

というわけで,体力に自信のある方にお薦めします.ワタシ的には1度観たからもういいかな

 

          

 

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